244 :名無しさん:2015/04/03(金) 11:40:25
〉〉114の書き込みを見て、プリンツ=オイゲンにもう一度活躍させてみるテスト
何? 軍事的じゃない? 気にするな!
何? 改装されてないじゃないかって? 気にするな!
1956年7月、深夜。
霧が晴れつつある洋上を、二隻の客船が漂っていた。
イタリア船籍の大型客船、アンドレア=ドリア。
そしてスウェーデン船籍の中型客船、ストックホルム。
直前まで立ち込めていた霧により、航路を誤ったストックホルムがアンドレア=ドリアの横腹に衝突。
ストックホルムはその際の艦首の圧壊によって漂流を始め、
アンドレア=ドリアに至っては浸水によって徐々にその身を傾けつつあった。
既に救助を求める緊急電は発されていたが、アンドレア=ドリアの被害は大きく、
船上、そして海上には救助を待つ乗組員や乗客が溢れており、事態は逼迫していた。
最中、海面を一筋の光が切り裂いた。
夜闇を切り裂くその強い光は一つ増え、二つ増え、やがて四つとなる。
周囲を真昼のように照らし出した光の主を探し、両船の人間が光の射す方向を見やると、
そこには今時珍しい巨大な探照灯を装備した四隻の軍艦が迫りつつあった。
再軍備の決定に基づき、派遣された将兵の“再”完熟訓練が終了。
一路、故国への帰還途上であった彼女達は、緊急電を受信するや否や
持ちうる最大の速度でこの海域に向かっていた。
そう、十数年前のあの日のように。
『こちら、ドイツ連邦共和国国防海軍。艦隊旗艦、プリンツ=オイゲン。これより救助を実施する』
鉄十字の軍艦旗が、かつてを誇るかのように翻る。
護国護民。彼女達のその精神は朽ちることなく、受け継がれていた。
ドイツ海軍健在なり。
その一文が紙面を飾るのは、もう間もなくの出来事である。
(終)
最終更新:2016年04月09日 17:37