893 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/04/06(水) 19:59:55
この作品はGATE(ゲート) 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりと憂鬱のクロスものです。
原作の平成日本とは繋がりません。
色々破茶けてます。
こんなの無いだろ、なオリ設定もあります。
笑い飛ばす程度に読んでください。
以上の事を留意してお読みください。
※注意、若干グロ表現が有ります。
GATEネタ GATE 皇軍 彼の地にて、斯く戦えり 第10話 対日諜報活動 特地編
1945年12月6日 特地 アルヌスの丘 避難民居留地
「随分増えたな・・・」
伊丹は、集まっている避難民の数にそう感嘆の言葉を漏らす。
アルヌスの丘は、周囲を高い山で囲まれた盆地の中にある小高い丘だ。
南部には狭いながら平野部が広がっている。
その狭い平野に彼ら避難民は集まっていた。
「コダ村以外にも遭遇した2つの村が在ったろ?
そこの住民も避難してきている。
最初の村なんか村ごと移ってきたから、合わせて700~800は下らん」
「ちょっとした大きな村じゃねぇか・・・」
伊丹を出迎えた柳田の言葉に伊丹は疲れたような言葉を吐く。
「で?
まさか全員の面倒を見ろとか言いませんよね?」
伊丹の言葉に、柳田はため息を吐いて答える。
「さすがにそんなことは言わん。
上は本格的な避難民の保護観察組織を創ることを決定した。
お前さんと隊の連中は、その指揮下だ。
代わりに新たな臨時捜索中隊を2個作って充てる」
「つまり、予備隊扱いですか」
「そういうことだ。地獄の書類仕事が待っているからビシバシ鍛えてやるぞ」
「なんで柳田さんが関わるんすか?
部署、別でしょ?」
伊丹がそう言って、抗議の意味も込めて、そう指摘する。
が、現実は非常である。
「俺も移動だよ。
本日付で特地派遣軍 特地避難民保護観察部付だ」
「うげぇっ!」
伊丹はそう言って落胆した。
894 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/04/06(水) 20:00:26
1945年12月某日 特地 帝国領デュマ山脈東方にあるとある村の居酒屋
コダ村避難民にとって、日本軍と日本勢力圏国家から派遣された義勇兵達はまさに英雄であった。
何の義理も恩もない上、今は帝国と戦争中、つまりは敵国の兵だ。
にも拘らず、自分たちを助け、それどころか炎龍と戦い、追い払った。
特地の一般的な外国の軍隊なら、殺戮と略奪が当たり前である。
しかし、彼らは違った。
何の利得もなく、しかも敵国民の自分達のために働いた。
食料を、水を、菓子までも分け与えてくれた。
別れ際には、当座の食料、水、菓子として、彼らが1,2日消費する量を残して、残りを全て渡してくれた。
貴族達の阿漕なやり方をよく知る村人達からすれば、雲泥の差であった。
ゆえに、村人達は彼らは英雄の如く称えられていた。
勿論、他国、しかも帝国と戦争中の軍隊のため、村長の指示の元、村人たち全員での秘密としていたが。
だが、そうは問屋が卸さなかった。
彼らは行く先々で人々から証言を求められたのだ。
即ち、炎龍が撃退されたというのは本当か、と。
村人たちの間での秘密としていただけに、最初は皆口々に知らぬ存ぜぬを通していたが、訪ねてくる人々はパ〇ラッチの如くしつこかった。
そんな彼らにウンザリしたある村人が、敵国の軍隊ではなく、傭兵団として証言することにした。
それが不味かった。
やはり噂は真実だった、と人々は熱狂し、他にはないか、とさらに訊いてくる。
他の村人たちも傭兵団ということになっていると知り、それなら大丈夫かもしれないと口を開く。
しだいに、アルヌス以外に移ったコダ村避難民達は、日本軍と日本勢力圏国家から派遣された義勇兵達を傭兵団『緑の人達』として語ることが暗黙の了解となった。
やがてその噂は、瞬く間に帝国中に広まることとなった。
895 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/04/06(水) 20:00:58
「騎士ノーマ。どう思われますか?」
とある村の酒場の一角。
そこに数人の騎士が屯していた。
帝国第3皇女ピニャ・コ・ラーダ殿下御一行である。
侍従武官を兼ねる騎士ノーマ・コ・イグル、准騎士ハミルトン・ウノ・ロー、教官兼騎士補グレイ・コ・アルドと伝令を兼ねる従者数人を連れていた。
そして、街のあちらこちらで耳にした噂について、ハミルトンがノーマに論評を求めた。
対するノーマはというと、今の境遇に霹靂していた。
彼らが居る酒場はそれなりに汚く、テーブルとテーブル間は狭い。
他の騎士や従者達が肩をぶつけ合うほどに身を寄せて料理に手を伸ばし、酒杯を口に運んでいる。
本来なら清潔な宮廷で、貴族の令夫人や令嬢を相手に高級な料理を口にしている身である。
皇女殿下の騎士団と言えば、宮廷の飾り物であり実戦と最も縁遠い軍隊だったはず。
任務とは言え、自分にふさわしくないと受け容れがたく感じているのだ。
皇帝陛下の直々のご命令とあらば、アルヌス方面の偵察という任務自体は仕方ないであろう。
ただ、皇女殿下が動くのであれば、本来騎士団全軍を引き連れ、従卒に傅かれつつ優美に旅程を楽しめるという甘い観測をしていた。
しかしピニャは、『それでは敵に馬鹿正直にこちらが偵察していますと言っているようなものだろ!』と切って捨て、本隊をはるか後方に残しての少数での偵察活動を選択した。
おかげで身分を隠して、薄汚い身なりになって、食べるものといえば・・・。
飲まなきゃやっていられん、とノーマはコダ村避難民を名乗る女給、メリザに手を振り、酒の追加を注文し、ハミルトンの問いに答えた。
「これだけ多くの避難民が言うのだから嘘ではない、と言いたい・・・。
が、聞けば最初は話したがらなかったそうだ。そこが気になる。
何かを隠しているのか、皆で口裏を合わせているのか・・・
おまけに、炎龍というのも信じがたい」
「わたしは、ここまで皆が口を揃えて言うのであれば、信じても良いような気になってきますが・・・」
すると、先程注文を受けていたメリザが、ワインの瓶をテーブルにどんと置いて『なんだい?騎士さん達も噂が聞きたいのかい?』とウンザリしたように言う。
話し疲れているのか、話を信じてくれていないことに不満なのか。
ハミルトンはそのように感じ取った。
「まぁまぁ、気を悪くしないで。
よかったら詳しい話を聞かせてくれないかな?
私は信じるからさ」
そのように感じ取ったハミルトンは、チップとして数枚の銅貨を出してメリザに言った。
チップとしては破格額にメリザは少し悩み、それを受け取ることにした。
「ありがとよ、若い騎士さん。
まぁ、これだけ貰ったなら、それなりの話はしてやらなきゃいけないね」
そう言って、メリザは日本軍、帝国の敵国の軍隊ということにボカシを入れながら、話を始めた。
896 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/04/06(水) 20:01:30
1945年12月8日 特地 アルヌスの丘 特地派遣軍 特地避難民保護観察部
「炎龍が見つからない?」
伊丹は、柳田から伝えられた炎龍行方不明の報せにそう言って訊き返した。
現在2人は、新たに設置された炎龍出現によって生じた特地の避難民を収容する施設の管理部署で膨大な書類を処理していた。
その最中での航空隊からの報告であった。
「ああ。ここ3日、航空隊が大規模捜索を行っているが、全く見つからないそうだ。
デカい図体な上に、目立つ赤色だから見つからないはずはないんだが・・・」
「いなけりゃ、それでいいじゃないか。
もうあんな化け物の相手をするのはコリゴリだし」
「手負いの猛獣は怖いって言うぞ。
それにやつは、人の味を覚えている。その事を考えると軽視できんぞ」
「・・・北海道やカムチャッカ、アラスカの羆や灰色熊達のことを言っているのか?」
史実において、明治や大正の頃に、羆による人間への襲撃事件が起きていた。
冬眠中のヒグマを起こしてしまったために起きた『札幌丘珠事件』(1878年1月11日~1月18日、史上第三位の被害、死者3名・重傷者2名)
食事中のヒグマの傍を偶然通りがかったために起きた『石狩沼田幌新事件』(1923年8月21日~8月24日、史上第二位の被害、死者4名・重症者3名)
そして冬眠に失敗し、人間の味を覚えてしまったヒグマが起こした『三毛別羆事件』(1915年12月9日~12月14日、史上第一位の被害、死者7名・重症者3名(内1名はこの負傷がもとで後年死亡))
憂鬱世界の日本は、北海道のみならず、樺太やカムチャッカ、そしてアラスカにまで領域を拡張し、現地に開拓民を派遣していた。
だがそれは、現地の野生動物の住処を荒らすことにもなる。
そのため、開発には野生動物に対する注意喚起も行われ、陸軍と警察、マタギやイヌイット等と連携した警戒部隊の巡回も行っていた。
しかしそれでも、野生の肉食動物が人を襲う被害は発生していた。
「たしかにコダ村の村長も人や亜人の味を覚えたドラゴンは再び村を襲うって言ってたなぁ・・・」
伊丹は両手を頭の後ろにやり、椅子に座ったまま背伸びをして思い出したようにそう言った。
その時、部屋の扉から栗林と黒川の2人が顔を出した。
「失礼します。伊丹大尉?」
「ん?どったの?」
伊丹は、2人に気付く。
「テュカのことなんですが・・・」
「ああ・・・」
伊丹は黒川が言ったテュカ・ルナ・マルソーの名から大体の事を察した。
897 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/04/06(水) 20:02:02
「まだ彼女は、親父さんの帰りを?」
「ええ・・・」
テュカは、未だ父が生きていると信じ、いつでも帰ってきても大丈夫なようにと、2人分の居室と支給品及び衣服(勿論片方は男物)を要求していた。
同じく生き残ったユノや他のエルフ達、そして彼女らの健康を管理する軍医の黒川や治安維持を担う憲兵の栗林からはなんとも言えない物悲しい行為であった。
「まだあれから1週間も経ってないんだ。
もう少し様子を見たら?」
「それもそうですが・・・。
やはり、探しに行ってあげるべきではないか?と、つい考えてしまって・・・」
「けどなぁ・・・。
現実を突き付けて精神が保てるほど強い娘とは限らんだろ?
もしそれが決定的になって、いよいよ『あっち』の方向に行ってしまったらどうするんだ?」
「しかし・・・」
「探しに行くだけならいいんじゃないか?」
伊丹と黒川の会話を横で聞いていた柳田が、会話に割り込んでいった。
「柳田さん、あんたねぇ・・・」
「別に探しに行って見つからなくてもそれが現実という訳ではないだろ?
聞けば女たらしだそうだし、どこかで別の女を囲っていると思われるだけだろ?」
「いや、あんたねぇ・・・。
いくらなんでも酷くないか?」
柳田のホドリューに対する論評に、伊丹は若干乾いた笑いが出そうになる。
たしかにすぐに栗林らを口説こうとしてアッパーを喰らっていた姿からすると本当に有り得そうだからだ。
「それに、明日そこらで転がっている翼竜の鱗とかを売りに街に行くんだろ?
ついでに探しに行ってあげればいいじゃないか?」
「う~ん・・・」
日本軍との戦闘で多数撃墜された翼竜は、やはりというか、日本軍でも使い道が無く、半ば放置されていた。
死体をそのままにすると疫病の原因と成りかねない、原作を知る転生者達により、とりあえず鱗や爪、牙などの固い部分を剥ぎ取り、残った肉は焼却処分としていた。
中には面倒くさがって剥ぎ取らず、そのまま処分しようとしていたが、それを偶然見かけたカトーやレレイが慌てて止めた。
『なぜ高価で貴重な翼竜をそのように扱うのか!?』
そして、返ってきた言葉に2人は唖然とする。
『だっていらないし。こんなの売れるの?』
両者の価値観の違いに2人は開いた口を閉じることが出来なかった。
そして、すぐに正気を取り戻した2人は、伊丹の元にすぐに駆け込み、『翼竜の鱗や爪などを自分達に譲ってほしい』と頼み込み、
伊丹が柳田と共に上層部にお伺いを立てたところ、『こっちの通貨も欲しいから一部を所得税として納めるなら持って行っても構わない』との判断を下した。
ちゃっかりしているが、やはり今後の事も考えると外貨である現地貨幣は必要であった。
そして明日は、イタリカの街に売りに行く日である。
「第16師団も明日の偵察次第ではイタリカ占領に向かうらしい。
第31師団も東方のデュマ山脈に向かうそうだ。
売った帰りに遠出しても問題ないだろ。
お金は輜重隊に頼んでここまで運んでもらえばいいさ」
「・・・しゃーない。行くか」
こうしてテュカの父親捜索が決まった。
898 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/04/06(水) 20:02:35
1945年12月9日夕方 特地 デュマ山脈の東方の麓 帝都(ウラ・ビアンカ)-イタリカ間の街道上
「どうやら、敵軍は既に動き出していたようですな」
「ふん!だから妾は言ったのだ!
アルヌスの敵が、なにもせずじっとしてくれる訳もないと!」
現在ピニャたちはイタリカに向かう街道の途中でイタリカ陥落の報を聞いていた。
丁度イタリカの方角から逃げる様に急いで走る馬車を見つけて、それを止めて事情を聴いたところ、アルヌスの敵軍がイタリカに攻めてきたので逃げている最中とのことであった。
「陛下もマルクスも見通しが甘すぎる!」
「姫様。陛下のお耳に入ると大変なことになりますぞ」
ピニャの論評に、グレイは呻きながら額に流れる汗をぬぐった。
彼女の言っていることは、聞こえようには皇帝批判に繋がりかねないからだ。
「だが、現に奴らはイタリカにまで歩を進めておる。
このままでは奴らが帝都(ウラ・ビアンカ)に至るのも時間の問題だぞ。
マルクスの奴は、今から兵を集め、訓練を施し、軍を再建するしかないと言うておった。
だがそれでは、奴らが帝都に至るまでには間に合わん!
それを解らぬ陛下ではあるまい!」
「小官は聞きませんでした!!」
グレイはそう言って、明後日の方向に顔を向けた。
その一方でハミルトンがピニャに駆け寄り、問いかける。
「それで、どうするんですか、殿下?
まさか、このまま騎士団でアルヌスに突撃する、なんて言いませんよね?」
「ハミルトン。お前、妾を馬鹿だと思っているのか?」
ピニャはそう言ってハミルトンが自分をどう評価しているのかについてに問い質そうとする。
「いいえ。違いますけど、今にも『妾に続け』とか言って駆け出しそうな雰囲気でしたから」
「突撃するかどうかは別にしても、一度はアルヌスへ行かねばならない。敵を今一度この目でみておかねばな」
「ですが、どうやっていくんですか?」
そう言って、ハミルトンは地図を取り出してピニャに見せながら訊ねる。
「予定ではこのままイタリカに向かう予定だったが、イタリカが陥落したのならば仕方がない。
南に回って、南東方向からロマ川を遡上する様にアルヌスの丘に近づく」
「かなりの長距離偵察行になりますね。危険ではないでしょうか?」
「はっきり言って危険だ。だが、敵の支配下を通るよりマシだ。もしもの時は頼むぞ」
ピニャはそう言いつつ、来た道を引き返し、ハミルトンやグレイ、ノーマらが後に続いた。
899 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/04/06(水) 20:03:11
以上です。
今回はアルヌスでの避難民保護と姫様の偵察行を入れました。
アルヌスの話が長くなって姫様の偵察行が少なくなってしまった(笑)
『緑の人』話は、最初は敵軍なので口を噤んで、途中から傭兵団ということで話す形にしました。
これなら、帝国内で話しても問題ないかな?
テュカについてはずっと父親の帰りを待っている娘という感じにしました。
まぁ、原作の状態よりマシかな?
ついに動いた日本軍は第16師団がイタリカを占領し、山岳師団の第31師団がデュマ山脈への登山を開始しました。
今後はここを防衛戦にする予定です。
さすがに防衛線を門周囲のままにするわけにもいかないしね。
なお、ピニャたちとの遭遇フラグはまだ折れていません(笑)
今回はここまで。
更新も話の展開も亀ペースで不定期ですが、なるべくエタらないようには頑張りたいです。
それでは、また次回に。
最終更新:2025年03月05日 17:04