462 :ひゅうが:2014/11/23(日) 23:42:19
――「諸君。
本日は何の日か知っているかね?
知らない?
まだ入学したての諸君はともかく、後席に座る上級生諸君は情けないにもほどがある。
暗記もののみに注目するのは資格商売のやることだが、諸君、最低限の知識がなければ創造性も発揮しようがないと心得たまえ。
あとで腕立て100回!
ではヒントを出そう。1945年4月9日。
本日は、旧日本帝国海軍が『天1号作戦(オペレーション ハイ・エア ケース1)』発令した日だ。
そして、キール軍港をナチスドイツ海軍の残存艦艇が急きょ出撃した『ケルベロス作戦(オペラツィオーン・ツェルベロス)』の実質的な開始日でもある。
諸君は日付変更線という固定観念をまずは捨ててかからなければならない。
東部時間12月7日は、東経180度線の西側では12月8日であるのだ。
諸君。
まずは考えてみたまえ。
なぜ、かの海軍たちがそろってこのような挙に出たのか。
方や、草創期から艦隊決戦の勝利にこだわり続けそれに特化した海軍を整備したもの、そしてもう一方は艦隊現存主義と通商破壊戦という合理主義の権化のような海軍をもって圧倒的な敵を牽制したもの。
それらがそろいもそろって、敵包囲下地域への艦隊突入と救援を企図した。
それも、祖国が末期状況に達しつつある時点で。
そこに海軍という組織、そして戦争運営の本質が隠されている。
本日の講義はこれを説き起こすことからはじめよう。」
1964年4月10日
アメリカ統合軍幕僚学校 大講堂にて アーレイ・バーク大将特別講義の冒頭
最終更新:2016年05月11日 20:11