日蘭世界 ゲート編 日本の混乱
日本総理官邸では連日起こる右派と左派両方からのデモに、総理大臣が苦労していた。
この原因は数ヶ月前にさかのぼる。
ゲートが繋がって以降、日本では一部国民が向こうの日本に対するデモが行われていた、中には帝国主義を
打倒しろや世界と協力して帝国主義を辞めさようなどの、二つの世界で戦争を起こしたいのかと思われても
可笑しくないプラカードをあげる人間もいた。
「どうするんだこれ、下手に向こうから抗議が来ようものなら余計に国民が加熱するぞ・・・」
「万が一、戦争になればたとえアメリカと協力しても勝利は不可能です。何とかして国民を落ち着かせて
向こうの日本に謝罪しましょう。そうすれば最悪の事態は避けられるでしょう。」
「そうだな、早速外務省と連絡を取って・・・」
官房長官との話しで今後の対応を決め早速電話に手を伸ばした、総理だが不意に電話が掛かってきたことより、ひとまずそちらに対応することにした。
その電話は、衝撃的な内容を総理に伝えるものだった。
「私だ、ゲート側から進入してきた艦艇群が一様に日本の南側目指して進行中?
それで対応は、すでに出来ているのか?・・・一部がすでに突破して、しかも相手は此方に艦載兵器や携行型の兵器で攻撃を加えてきただと!?
しかも数が多くて対応が間に合わない・・・わかった、此方で在日米軍へ支援を要請してみるそちらは出来る限り艦艇群を抑えろ、此方
はもう攻撃されている反撃してかまわん、最悪撃沈させてでも上陸を阻止しろ。何?野党の抗議?この緊急事態だ無視してかまわないから市民の安全を最優先しろいいな」
一通りの命令を済ませると状況を確認するべく自衛隊本部へとむかった。
本部へと到着するとどこから聞きつけたのかとある野党議員が統合幕僚長に食って掛かっていた。
「ですから、上陸阻止は総理の命令で・・・」
「ですが相手は難民でしょう?兎に角、難民に銃を向けることは、国際的に見ても問題がある。ただでさえ
向こうの日本のせいで混乱が起きているのです。そこに私たちまで暴力に訴えたら、世界から非難されかねません。何としても攻撃はやめていただく。」
「それは無理です。すでに艦艇群は沿岸まで来ているそれに武装までしているのです。陸に揚げればどんな被害が出るか予想も付来ません」。
総理は頭が痛くなる思いで議員に声をかけて止めた。すると今度は矛先を総理に変えて詰め寄ってきた。
「総理どういうことですか、これでは日本が攻撃的な国家だと世界に見せているようなものです。」
「例え攻撃的に見られようとも、現状の被害を最小限に収める方法はそれしかありません!!」
「良いでしょう、次の国会ではこの事は問題にしますよ。」
そう言って鼻息荒く部屋を出て行く議員を見てため息を吐きながらも目の前の問題を片付けるべく
総理は意識を切り替えた。
結果で言えば自衛隊及び在日米軍は上陸を阻止出来なかった。そして、この事件は戦後以降最悪クラスの人災として
歴史に残ることになる。
被害は以下の通りである。
自衛隊及び海上保安庁:殉職者145名 負傷者268名
各離島住民:死者25名 負傷者152名
九州沿岸部:死者1794名 負傷者535名
沖縄本島:死者6756名 負傷者4270名
このうち、沖縄が最も多い理由はある不幸が重なったことが原因となっている。
一つは当時沖縄では米軍基地や移設を進めようとする政府に対して数万人規模の大規模デモが行われていたことと、
もう一つは政府の連絡が沖縄県に届いていなかったことがあげられる。理由は詳しくは解かっていないが、一部県職員が国に対する
嫌がらせで連絡を繋がなかったや知事がアポなしで東京を訪れようと飛行機に乗っていた為、連絡が付かなかったとも言われている。
この事件を受けて、国民の間で波紋が広がり中には再軍備を求める声や、憲法を改正して行った向こうの中国へと報復しろいう声が
出てくるほどに今回の事件は日本を根底から覆しかねないほど大きな波となっていった。
その中で現与党は安保法案を提示するが、それに反対する左派と対応が甘いと言う右派のデモ隊が各地で衝突するという事態が多発
するようになり、与党は難しい舵取りを迫られている。
おまけ
EUのイギリスとフランスでは現在ある話題で持ちきりとなっていた。
それは向こうの世界のBCとFFRである。向こうでは敗戦国であるはずの2国が
巨大な連合を築いていることに対して、自分たちは欧州で小さな共同体を作ることで
精一杯な現実にショックを受ける国民が続出していた。