337 :ナイ神父MK-2:2016/06/26(日) 02:06:16
憂鬱
日本大陸化ネタ
1942年編 其の3
大陸での大勢が決しようとしているのと同時に、フィリピン周辺では日本海軍大艦隊による猛爆撃が続いていた
当初こそ迎撃を試みていた米英の航空隊であったが、流石に物量と性能による圧殺は耐え切れる物ではなく
要塞に篭っても土台から掘り返す様な大型の爆弾によって、要塞を其の侭墓穴にされていた。
連日連夜の空爆の報と航空機の飛行音で半ば寝不足気味に成りながらも報告を聞いたマッカーサーはハート大将や
援軍で来ていたイギリスの艦隊指令であるトム大将と此れからの行動に付いての会議を行っていた。
「はっきり言わせて貰うが、これ以上のフィリピンの維持は不可能だ。」
開口一番マッカーサーが放った言葉にハートは苦い顔をしながらマッカーサーに現状を尋ねていた。
「我々も弾薬の保管庫や小型艦艇に被害が出ているが、陸軍は其処まで甚大な被害なのか?」
「ああ、コレビドールも酷い有様だ。地下の深くまで爆弾が届いて基地が其の侭防衛隊の墓標になってる、例え
生存者が居ても救助は不可能だ・・・」
「あのコレビドールで其れか・・・そうなると他の基地も?」
「・・・陸軍航空隊はIJNの航空隊に磨り潰されて壊滅、基地守備隊の戦車や用意されていた爆撃機の類も皆
格納庫毎スクラップだ、残ってるのは僅かな携行火器と密林に隠していた戦車だけだ。」
「それに関しては軍港に運び込んである上海への援軍の分が無事だ、其れを陸軍に譲渡する。日本軍はどうやら
陸軍拠点を中心に爆撃を繰り返している様だ、狙いは恐らく我々海軍を戦闘に引きずり込んで
撃破してフィリピンに上陸する事の様だ。」
「陸軍としてもそう見ている。しかし、そうなると上海への増援は難しくなるか・・・」
陸海軍の両指令が苦しい情勢を話している中、此処で発言を控えていたトム大将が口を開いた。
「現状、手がないならば日本の作戦に乗るのはどうだろうか?」
「海戦を仕掛けるのか?しかし・・・」
「出てこないと分かれば次の標的は恐らく我々海軍だ、本土からの増援の話しも出ているが其れも間に合う事は無いだろう・・・
それにIJNさえ撃破できれば包囲に穴を開けハワイからの援軍も上海への陸軍の輸送も行いやすくなる。」
「其れしかないか、わかった我々
アジア艦隊も出撃しよう」
フィリピンでこの様な会話がなされている頃、
夢幻会でも予算報告に来ていた辻が嶋田にフィリピンに送る戦力について聞いていた。
「アジア艦隊及び東洋艦隊を撃破する為に第一、第二艦隊を動員すると?」
「現状、敷島(56cm砲の元大和型)は日本周辺で動かす方が都合が良い、序に各国へと衝撃を与えられるからな。」
「現状のネルソンやビスマルクすら上回る巨大戦艦となれば各国からのショックも相当な物が期待できますからねえ・・・所で現在空爆
に参加している第3艦隊は如何するんですか?」
「第3艦隊には本土での補給後にインド洋方面へと向かってもらう。」
「インド洋と言うことは狙いはセイロン島ですか?」
「ああ、セイロンを攻略して飛行場を確保する。同時にインドに潜伏させた情報局の局員を
利用してインドを混乱させる。」
其れを聞くと辻は黒い笑みを浮かべた。
338 :ナイ神父MK-2:2016/06/26(日) 02:07:10
「インドの反乱軍が出所不明の銃火器を持って反乱を始めるわけですね」
「裏切り者には相応の対価を払って貰わないと国民も納得しないだろう?」
「それだけでは国民が納得するか怪しいのでは?」
「何か案は有るのか?」
「まあ、案と言うか次の会合で提案する予定だったので言わせて貰いますと、対米戦にドイツを引き込みます。」
「それは流石に国民から反発が来ないか?それに向こうの国民感情もある、総統の『我が闘争』では露骨なまでに日本人にを下に見ていた様だが?」
「流石に、全面協力や同盟は難しいですが、海上戦力の販売はどうでしょうか?」
「海上戦力?まさか、史実の艦か?」
「そうです。現状、各大陸の艦は非常に有用ですが余りにも多すぎます。其れ加えて史実日本の駆逐艦や軽空母
揚陸艦なども着ています。流石にこれを全て運用するには予算が足りません。どの道廃棄するならば少しでも資金に変えた
方が得ですからね。」
「外交や向こうの動き次第になるが其れも選択の一つか・・・取り敢えずは次の会合で議題に上げてからだな。」
「そうですね、絵に描いた餅の話しをしてもしょうがないですから此ればかりは相手の出方しだいですね。」
こうしてお互いに艦隊の撃滅を試みた艦隊は出撃し、フィリピンのレイテ沖でお互いの艦隊を確認したが、日本海軍の
威容に米英海軍共に息を呑む事となる。
「アレだけの大型艦を日本は何時の間に」
「日本艦隊より艦載機の離陸を確認、半数程が此方に向かってきます。」
「此方も戦闘機の発進を急げ、迎撃しろ!」
敵の威容に一瞬気を取られつつも、迎撃を開始したアメリカ軍であったが、日本軍が投入した震電や疾風を中心とした
ジェット戦闘機部隊に押されみるみる内に数を減らしていく。それは日本の艦隊へと取り付いた攻撃部隊も同じであった。
「敵の火力が厚すぎる!」
「な、対空用の誘導兵器だと!」
「相手は黄色い猿のはずだろ!、何で、何で当らないんだよ!」
「戦闘機を送ってくれ!此の侭じゃ嬲り殺しだ!」
オクラホマに乗艦していたハートはその圧倒的な日本側の攻撃に半ば唖然とした表情で状況の推移を見ていた
「まさか、此処まで日本と航空機の性能に差が有るとは・・・」
「日本の艦隊側の戦闘機に此方の護衛部隊は半数近くが撃墜されています。此の侭では全滅も避けられません」
「ヨークタウン、爆撃を受けて滑走路が破損してしました、このままでは航空機が着艦できません!」
「無事な機体はイギリスの空母に着艦させ・・・」
339 :ナイ神父MK-2:2016/06/26(日) 02:08:01
突如として艦を襲った揺れにハートは驚きながら、情報を艦長へと尋ねたが、其の返答は驚くべき物であった。
「て、敵艦隊より大型のロケット弾の様な物が着弾しました!装甲を抜き艦内に深刻な影響が出ています!」
「馬鹿なこの距離でか・・・まだ砲戦の距離にすら至って居ないのだぞ・・・」
「敵ロケット弾がヨークタウンへ直撃、し、沈みます!」
「ロケット弾で空母が撃沈だと、2万t級の正規空母だぞ・・・それを・・・」
オクラホマの艦長がそう呟いている間にも日本艦隊からのミサイル攻撃は続き、駆逐艦や巡洋艦の中には既に撃沈される
艦も出始めていた。そんな中で砲戦距離に到達した敷島型や相模型の砲撃により連合艦隊はより追い詰められていく。
「敵戦艦砲撃を開始しました!」
「応戦は如何した!」
「い、いえ、我が艦は未だ砲戦距離については居ません!」
「何とか砲戦距離まで近づけ、此の侭では一方的に沈められるぞ!」
「キングジョージ5世に敵の砲撃が直撃、沈みます!」
「トム提督は?」
「脱出しました!」
「此方の残存艦は?」
「残りは我が艦とアリゾナ、駆逐艦数隻です・・・」
「・・・駆逐艦は離脱をし、オーストラリアまで離脱する様指示しろ。我が艦と残りの殿を務める。」
「いえ、提督も脱出して下さい。」
その言葉にハートは驚いた顔で艦長を見返した。
「私に艦隊壊滅の汚名を背負ったまま生き残れと?」
「此の侭日本への対策が遅れれば何れハワイやミッドウェーで同じことが起ります。成らばせめて現状を本国に伝えて
対策を立てて下さい。」
「しかし・・・」
「提督しか居ないのです。現状日本からの脅威を直接知った指揮官は・・・」
「解かった脱出しよう・・・」
この言葉を最後にハート提督はオクラホマを脱出し、駆逐艦に拾われてオーストラリアへ離脱し、ハート提督はインド洋経由で本土へ
向かい日本の脅威を本国へと伝えることと成る。そして海空の守りを失ったフィリピンは多数の物資を失った状態で孤立し、その1月後に
降伏、日本の占領下に置かれオーストラリアもフィリピン陥落の3月後に日本軍の空爆と艦砲射撃に屈して降伏している。
340 :ナイ神父MK-2:2016/06/26(日) 02:08:32
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最終更新:2016年07月03日 12:13