418 :ナイ神父MK-2:2016/06/28(火) 01:31:14
憂鬱日本大陸化ネタ 

1942年編 其の4

フィリピンが敗北しオーストラリアが制圧された頃、セイロン攻略を任された第3艦隊が南下を始めていた。
そして、其れを察知したイギリス東洋艦隊の残存戦力も南下を開始、レイテ沖海戦で増援分を含めて
最新鋭艦のKGV2隻と『リヴェンジ』、『ロイヤルサブマリン』、『インドミラブル』を失う大被害を受けていたもののそれでもまだ
戦艦3隻と軽空母含む空母2隻を有する大艦隊であり、空母主体の第3艦隊を破るには十分な戦力があると思われていた。
しかし、その考えは実戦にて覆されることと成る、フィリップス提督が負傷した為東洋艦隊の指揮を執ったサマヴィル中将は
航空隊の傘を失った臨時旗艦『ラミリーズ』の中で其れを痛感していた。

「旧式艦とは言え、戦艦が航空機に沈められるとは・・・我が国と日本何時の間にあそこまでの差が開いていたのか」

「『ウォースパイト』、『レゾリューション』共に雷撃を受け、撃沈!」

「『フォーミダブル』、攻撃機の投下した爆弾が直撃、航行不能です!」

「敵攻撃機が魚雷を投下!此方に向かってきます!」

「回避運動を・・・」

「間に合いません!」

艦長が回避運動を指示した直後、流星から放たれた魚雷が『ラミリーズ』に着弾、当たり所が悪く旧式艦だった事も災いして
退艦を指示する間もなく沈没し、内部に数千の将兵を抱えたまま海の底に沈んでいる。この戦いで最終的に降伏した駆逐艦数隻と
空母『フォーミダブル』を除いて大英帝国の誇った東洋艦隊は壊滅、第3艦隊と後続の神州丸を中心とした揚陸艦部隊との上陸戦により
セイロン島及びモルディブ諸島のイギリス軍拠点が制圧され、イギリスは太平洋とインド洋から締め出されることとなる。
そして、同年9月末には日本陸軍によって飛行場が建設されインド沿岸部を中心に富嶽を中心とした戦略爆撃機による爆撃が始っている。

一方で戦艦が一方的に空母機動艦隊に敗れた事は、欧米各国に動揺を広げていた。特に今回の東洋艦隊の壊滅で大打撃を受けたイギリスは
其の分動揺や混乱は大きくなっており、ハリファックスは執務室で頭を抱えていた。

「アメリカ軍は何をやっていたのだ、此れでは約束が違うではないか・・・」

「現在、インド航路が封鎖された影響で物資に影響が出てくる可能性があります。アメリカへ支援を要請しますか?」

「そうするしか無いだろう、ドイツや枢軸国とは停戦しているとは言えお互いに敵対している事には変わりは無いのだからな・・・」

「インドの奪還についてもやはり?」

「考えたくは無いがインドやアフリカの一部市場の開放も視野に入れて大西洋艦隊に派遣してもらわねばなるまい、其の前に日本の講和できれば良いのだが・・・」

「それは難しいかと、現状日本は裏切った我々を強く憎悪しています。下手をすれば戦争を仕掛けた主犯であるアメリカやWWⅠ以来敵対を続けた来たドイツ以上に
です。」

「そこまでか、せめて満州事変までの時点で戦力を把握できていれば植民地人の口車になど乗ることは無かったものを・・・アメリカに日本が大敗してからならばどうだ?
其れならば向こうも遺恨が有っても断れないのではないか?」

「・・・諜報部からの情報を見る限りそれも難しいかと。」

「なぜだ?多少国力が上昇した程度ではアメリカに勝つ事は難しい筈だ、彼等も其処は理解しているのだろう?」

「諜報部が情報を精査した限り、信じられない事ですが国土が10倍と成った事は事実様です。元の日本の国力を考えても推定で最低3倍
最悪は当初の日本の発表どおり5倍までに膨れ上がっています。其の状態であればアメリカと互角に戦えるかと・・・」

「つまり、最悪日本は合衆国自体を滅ぼせると?」

「集めた情報が確かであればそうなります・・・」

その絶望的な答えを聞いて、ハリファックスは目の前が真っ暗なった気がしたがそんな事を吹き飛ばす情報が耳に入って来る事となる。

419 :ナイ神父MK-2:2016/06/28(火) 01:33:29
「し、失礼します!」

「顔色が悪い様だが、なにかあったのかね?」

「先ほど、インド軍指令部より通信が入り、インドの東部沿岸で大規模な反乱が発生したと連絡がありました。現在反乱の規模は徐々に拡大しており、中には離反したインド兵が
戦車や銃火器を持ったまま反乱軍に加わっている模様です。」

この言葉通り、インドではセイロンが日本に制圧されたのと時を同じくして大規模な反乱が発生、反乱を起こした集団は出所不明の銃火器を装備しながら拡大を続け、後にインド全体に
反乱は広がっていくこととなる。

イギリスがインドの反乱を聞いている頃、ドイツベルリンでもヒトラーが日本との関係に頭を悩ませていた。

「此の侭では、不味い・・・何とかしてソ連と日本の関係を切らねば欧州の地はスラブ人と其の背後に居る黄色人種に蹂躙される。其の最悪のシナリオだけは回避せねば・・・」

「現状、日本にはイギリスへの敵対心の影響で、イギリスと敵対していた我々枢軸に対する反感は薄れてきています。其処を利用するのは如何でしょうか?」

「だが、国民が納得するのか?日本への反感を煽ったのは他ならぬ余だ、それが急に態度を急変させたと成れば日本に媚を売ったと執られるのではないか?」

「しかし、此の侭ソ連と戦いで悪戯に損耗を増やせば、ドイツ自体の枢軸の盟主としての立場が揺るぎ兼ねません。」

「其れは解かっているが、しかし・・・」

そんな中でアイディアを出したのは、意外な事にオカルト好きで有名なヒムラーであった。

「いっその事、日本を巨大化を利用してアーリア人の混じっていると流布してみるというのは如何でしょうか?」

「如何言う事だヒムラー?」

「ですから、日本人には僅かばかりアーリア人の血が混じっていると市民に流布するのです、勿論純血などと認める必要は有りません。
あくまで僅かばかりです、そのアーリア人の血が本来は劣った黄色人種である筈の日本人を白人に匹敵するほど優秀にしている。
そう市民に信じ込ませて、関係緩和に利用すれば如何でしょう?」

「それと日本の巨大化に何の関係が有るのだ?それに市民に情報を流した所で早々信じるとは思えんが・・・」

「普通なら信じにくいでしょう、普通なら、しかし、今の日本は通常ではありえない現象が起きています。領土の突如とした巨大化に
膨大な人口の出現、これらの情報と上手く混ぜながら情報を流布すれば普通ではありえないと考えることでも有り得る様に見えるかと・・・」

「奴等をアーリア人と見るのは納得行かんが、他に手が無い事も事実だやってみろ、ただし、失敗したときは解かっているな?・・・」

「はい、ラインハルトを含めゲシュタポも動員ての流布を行います吉報をお待ち下さい。」

その後、何処からとも無くドイツ国内では日本人は東に国を作ったアーリア人の血が入っているという説が各地で聞かれるように、
一部日本の神話やドイツ内の民話に共通点が見られる等証拠と言えなくもない物が出始め少しずつでは有るが、日本人はアーリア人である
と言う話が出始めていた。また其処から日本人に対する偏見が少しではありながら薄れた事から効果は有りとヒトラーに見なされヒムラーの首は
繋がってる。

420 :ナイ神父MK-2:2016/06/28(火) 01:33:59
ドイツ、イギリスがそれぞれ日本との関係を考えている中で変わらなかったのはアメリカである。アジア艦隊の壊滅は確かにアメリカにとっても
其れなりのダメージを与えたが、本土が無事であり生産力も落ちていないアメリカからすればまだ巻き返せる程度の物であった。
しかし、だからと言って無視できるものではなくロング大統領は陸海の司令官を呼び出して今回のフィリピン陥落とアジア艦隊壊滅の責任追及
を行っていた。

「君達、軍は日本と開戦してもフィリピンで半年は防衛できると言っていた思ったのだが、私の半年と君たちの半年では随分と感覚に違いが有った様だな?」

「日本軍の海軍戦力は当初此方が想定していた物より遥かに高いものでした。また、日本の巨大化により戦力が増大したことも原因と考えます。」

「陸軍も同様です、日本はタイプ97の他に多数の重戦車を使用しており、情報が不足しておりました。」

「ふむ、ではなにか?君達は日本の事前情報無く負けたそう言いたいわけか?」

「情報不足に加えて性能不足も一因であったと考えます。タイプ97に対して此方の主力であるM2は歯が立ちませんでした。
早急な兵器の行進が必要だと考えます。これは海軍も同じ考えです。」

「兵器開発への追加予算は考えておこう、次こそは勝って欲しい物だなこれ以上日本に負けると成れば今度は南米で面倒ごとが
起りかねないからな。」

この言葉の通り、アメリカでは新型兵器の開発が活発化しM4や新型航空機、新たな戦艦建造計画などアメリカの生産力を見せ付けるような
兵器製造を行っていくが、それが対日本で役にたったかはまた別の話しである。

421 :ナイ神父MK-2:2016/06/28(火) 01:34:30
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最終更新:2016年07月03日 12:14