587 :ナイ神父MK-2:2016/06/30(木) 01:06:11
憂鬱日本大陸化ネタ 

1942年編 其の5

セイロン島沖での東洋艦隊の敗北から2月後、インドの東海沿いの都市数箇所で一斉に反乱が発生当初はインド軍の投入でケリが付くと
考えられていた反乱は徐々に大規模なものに変化、遂には複数の都市を巻き込む大規模な反乱となる。そして遂にはインドでも
有数の流通窓口であるチェンナイ港周辺を征圧された事によってこれ以上の拡大を危険視し、陸軍の本格的な投入によっての
鎮圧を決意する。幸いにも、主力であるバレンタインやクルセイダーこそ、大半が中国へと人員ごと移送されていた物のインド軍には
まだ十分な数のカヴェナンターやマチルダⅡが残されており、携行火器を中心とした反乱軍に対しては十分な戦力に成ると考えられていた。
しかし、いざ戦地に到着して彼等が目にした物は予想外の代物であった。

「反乱軍に戦車だと!?」

「馬鹿な、いったい何処から!」

「気を付けろ!あの中戦車、マチルダなら防げるがガヴェナンターは直撃すれば不味い!」

「数が多い!こっちの倍は居るぞ!」

「航空隊の援護は無いのか!?」

「日本軍への迎撃で出撃している、こっちに来る余裕はない!」

この反乱軍との戦闘で、インド軍は派遣した一個師団の約半数を失う大打撃を受けており、反乱軍は益々勢いを増し遂にはインド全体へと
反乱を広げていく。そして、この光景を満足そうに見ている一人の日本軍人がいた、彼は今回のインドへの工作の際に史実日本製の兵器の
教導を任されていた身であったのだが、自身が教導した戦車部隊の活躍に大満足で有った。

(最初は英国の陸軍部隊と何処まで教導したての部隊で戦えるか心配であったが案外何とか成る物だな・・・インド軍も今回の戦闘で其れなりの痛手を
負った筈だ。此の侭ジリジリと削っていけば良い)

其処まで考えて有ることを思い出し、其の男は思わず苦笑いを浮かべた。

(しかし、我が国も随分と贅沢ができるようになったものだ・・・まさか戦車や自走砲、武器弾薬をポンと一個方面軍分も用意してくれるとはな)

反乱軍が華々しい勝利を飾っていた頃、駐印イギリス軍は補給の滞った戦場で徐々に物資不足に苦しめられることと成る。幸い、滞在しているのが
インドと言う強大な食糧生産地であった事から食糧の面では苦労していない物の、武器弾薬は損耗分を補給できず、苦肉の策として撃破された機体や
破損した武器からの部品取りや共食い整備で口糊を凌いでいた。

「そっちにマチルダの前面装甲は残ってるか?」

「こっちのは正面に穴が開いてるから他を当ってくれ」

「俺達は、栄えある大英帝国軍だぞ、何でゴミ漁りなんて・・・」

「我慢しろ、あの無能が日本に戦いを挑んだせいでこの様だ・・・」

「所で聞いたか?」

「なんだ?この現状を打破する方法が有るなら聞くぞ」

「其れは無いんだが、反乱軍の連中いよいよ一大攻勢を北部に掛けるらしい、中には離反した
インド軍も居るって話だ・・・なあ、俺たち生き残れるかなあ・・・」

「しらん・・・」

588 :ナイ神父MK-2:2016/06/30(木) 01:06:45
反乱開始から、三ヶ月後の1943年1月正式にインド国民軍と名を改めた反乱勢力は北上を開始し、翌月にはインド北西部を制圧し残す所は
インド北東部のイギリス直轄領周辺と言う所までイギリス軍を押し込んでいた。そんな状況で半ば達観した状態でホープ侯爵は孤立無援の
軍の状況を聞かされていた。

「反乱軍の鎮圧は失敗、駐留していた駐印軍はその半数以上が壊滅か・・・本土からの増援は?」

「・・・有りません、現有戦力で解決しろとの事です。」

「不可能だ・・・あの鎮圧失敗以降我が軍は敗北を重ね、反乱はインド全域に広がっている。今では反乱軍の方が圧倒的多数だ、
残っているのは?」

「将兵の撤退等は迅速に行えた為、兵士のみであれば5個師団程の戦力は残っています。しかし、実際に戦力に成るのは
実質1個師団程で残りはホームガードパイクと携行火器を主力にした部隊が一個師団ほど、残る3個師団は自前のサーベルやピストルすら有りません・・・」

「・・・此処までだな、我々は義務を果たした。インド国民軍及び日本軍に対して降伏を申し入れる。」

1943年3月インド総督からの降伏宣言により、インド帝国は事実上敗戦し以降は国民軍が打ち立てた暫定政権の下戦後処理を行っていく事となる。
インドが敗戦したのと時を同じくしてエジプト王国では元々枢軸国よりであった将兵の強い勧めの元、駐留イギリス軍を排除して枢軸同盟側への
加入を宣言し、イギリスへの敵対を決める。結果としてイギリスはインドだけでなく遂にはスエズの利権すら失い、没落を加速させていく。

エジプトの枢軸加盟から一ヵ月後、ドイツの首都ベルリンでは日本と枢軸主要国の外務大臣級の人間を集めてとある会談が開かれていた。
内容は日本から枢軸への兵器提供に関する内容である。そこで日本は大陸化で増えすぎた余剰海上戦力の譲渡を提案各国に提案するが、その内容が
問題であった。

「これは本当なのか?」

報告を聞いたヒトラーは思わず報告を持ってきた部下にそう尋ねていた。

「はい、事実のようです。日本は旧式含む軽重両巡洋艦ならびに駆逐艦、護衛空母を売り渡す準備が有るということです。」

「それだけの戦力を売り払って問題ないだけの工業力を日本は手に入れたということなのか?兵器に付いてのスペックは?」

「目玉である重巡は基本203mm連装砲を搭載、雷撃能力を含め使い様によっては戦艦にも大打撃を与えうる攻撃力を持つ様です。
しかし、その様な運用を行う場合は現在の海軍とはまた違う運用が必要に成る為、長期間の訓練を必要とすると思われます。」

「他の艦艇については?」

「旧式艦も含まれる為、一概には言えませんが航続距離もそれなりにあり購入我が国で運用するにも十分な性能が有ると考えます。
また、今回提示された戦力の他に次の会談では補助艦艇や正規空母、戦艦の販売も計画しているそうです。」

「大盤振る舞いだな・・・解かった、話しを聞いたレーダー元帥を始め海軍将校からも強い勧めを受けている。イタリアと協議した上で購入する
艦の割り振りを考えよう・・・」

その後、協議を重ねた枢軸国から購入希望が入り、日本の格艦艇が各国に販売されている。尚、最終的な販売内訳は

ドイツ:利根型重巡洋艦2隻、高雄型重巡洋艦4隻、阿賀野型軽巡洋艦4隻、川内型軽巡洋艦3隻、護衛空母5隻

イタリア:最上型重巡洋艦4隻、妙高型重巡洋艦4隻、長良型軽巡洋艦5隻、球磨型軽巡洋艦5隻、護衛空母5隻

フランス:古鷹型重巡洋艦2隻、青葉型重巡洋艦2隻、天龍型軽巡洋艦2隻

※駆逐艦の数は割愛

と成っている。
また、この他に護衛空母用や艦載機研究用の資料として史実ゼロ戦や艦攻等が販売され、枢軸国に引き渡され海軍での調整や
訓練の終了した艦からイギリスに圧力を掛ける為の戦力として運用され、イギリスを終戦まで悩ませる事となる。

589 :ナイ神父MK-2:2016/06/30(木) 01:07:16
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最終更新:2016年07月03日 12:14