468 :New ◆QTlJyklQpI:2013/10/31(木) 20:12:24
※マブラヴオルタネイティブとのクロスです。
※オリジナル設定なども多分に入っております。
欧州各国がパレオロゴス作戦の失敗により未だ混乱している中、更なる衝撃が東欧から生じていた。
ドイツ民主共和国の英雄と言われたアルフレート・シュトラハヴィッツ中将による軍事クーデター。
電撃的かつ的確な要所制圧にシュタージの武装警察軍も対応が遅れ、更に内応したハインツ・アスクマンに
より昨今のシュタージ体制を作り上げたエーリヒ・シュミットなどの要人が捕縛されたことで
残存の敵戦力は降伏、もしくは逃亡し異例なほど短期の内に東ドイツはクーデター軍により掌握される
こととなった。
「クーデター成功おめでとうございます。これで東ドイツは安泰ですなあ」
「・・・嫌味かね同志ハインツ?」
未だ銃痕や血糊が処理されていないシュタージ本部の一室でシュトラハヴィッツ中将は友人でもある
フランツ・ハイム少将と共に笑顔を浮かべるアクスマンを睨み付けていた。
仮にもクーデターで出来た政権なのだ。実質軍部が東ドイツを支配することを周辺国が積極的に支持するとも
思えず綱渡り状態の国家運営となるのは確実だった。
「この騒ぎの中で無駄な殺生をしていたようだな?」
アクスマンがクーデターの最中、シュタージや共産党員の一部を直々に処刑していたことを
知ったハイムは咎めるが当人は眉を微かにつり上げて反論した。
「処刑して当然・・・・・党や省の権力を利用していたいけな少女らを食い物にした罰ですよ」
「・・・それも極東の友人からの教えかね?」
「いいえ此方は※シベリアの同志たちですよ」
「極東といい、シベリアといい、良い友人に恵まれてるな、君は」
「全くです。彼らに諭されなかったらと今思うと・・・・」
シュトラハヴィッツの皮肉も効かずに過去の己の所業を振り返り
自嘲までするアクスマンに”こいつ脳味噌でも改造されたのか?”と若干引く2人。
その残虐さと手腕から”褐色の獣”と呼ばれていた男は近年は女性、特に未成年に対する扱いが
紳士的になり、一方では性犯罪、特に権力を翳して乱暴を働く輩をさっきのように直々に処刑、
プロフィールや仕出かした犯罪をばら撒くなど容赦のなさには磨きがかかっていた。
その影響でシュタージのハニートラップ要員の年齢層が上がって若干支障が出ていたが
BETA大戦の影響で重視されつつある女性層からの支持が高かった。
「(しかし、この獣を介して我々の蜂起を支援するとは・・・日本、いや
夢幻会は何を目論んでいる?)」
嘗てあの米国にも互角に渡り合った極東の島国に存在するとまことしやかに囁かれている”影の政府”
が実は「カティア(ウルスラ)ちゃんの父親を救え!」「あの獣をMMJの手で”修正”してやる!!」
「政治に煩わされない柴犬見たい!」という極めて俗な理由でクーデターを支援したなど思いもよらず
シュトラハヴィッツ中将の考えは堂々巡りを繰り返していく。
469 :New ◆QTlJyklQpI:2013/10/31(木) 20:12:59
ネタSS ~日本帝国はBETA大戦を戦います その3~
1979年は東欧、特にポーランドにとって最悪の年と言えた。
ミンスクのハイヴ攻略の失敗に報復のようなBETA群の大攻勢。パレオロゴスで失われた戦力を回復していない
NATO・WTO両軍は為すすべもなく敗退、防衛線は瓦解し首都であるワルシャワは蹂躙、更に政府首脳陣を
乗せた輸送ヘリを光線級に撃ち落され指揮系統は完全にマヒ状態に陥った。
加えてあまりの損害に耐えかねたNATO軍が”戦力の再編”を理由に東欧から非難を浴びつつ後退、
ソ連からの援助途絶に国家間のパレオロゴス失敗の責任の擦り付け合いにより東欧各国の関係悪化、
などの要因も重なりポーランド失陥は避けられない未来として現実になりつつあった。
「バアアアアルカン!!」
そして、そんな地獄の真っ只中で戦うアイ●スキャラの絵を描いた戦術機がいた。
「まだまだいけるぜ、メ●ツェェェル!」
「歓迎しよう、盛大にな!」
肩部のGAU-8 36mmガトリングモーターキャノンと両腕にある※77式120mm速射滑腔砲を駆使して
突進してくるBETAを撃破しているのは前大戦から活躍する”痛い子”中隊所属、※77式戦術歩行攻撃機
A-10J 凄鉄であった。
「・・・・さ、流石、噂に名高い中隊ですね」
「腕はいいんですよ。残念ながら・・・」
監視役としてポーランド軍から派遣された政治将校の引き攣った顔を見て自身も暁に乗り※73式中隊支援砲を
構えつつ、目の前で繰り広げられる痛い子の雄姿に顔が引き攣る嶋田。
NATO軍と入れ替わる形でポーランドに到着した日本帝国遣欧軍は到着早々、早速WTO軍の火消し役として
オーデル川沿いに構築された防衛陣地の救援に赴いていた。
東側の露骨な監視やBETA戦でのPTSDの発症に悩まされつつも今まで研究してきた戦術機による戦術や
実地試験とセールスも兼ねて大量に持ってきた新兵器のお蔭もあり今日まで戦力を維持していた。
「何はともあれ、取りあえずこの戦線は突破されずに済みそうだ」
原作ではこのオーデル川の防衛線が崩壊、後方にあるヴロツワフが包囲される形になり2カ月
近く耐えたものの、救援部隊がBETAの奇襲により壊滅することで数十万の軍民と共にBETAの群れに
飲み込まれたがこちらでは崩壊は何とか食い止められそうであった。
「ここを突破されればヴロツワフは避難民諸共BETAに飲まれていたことでしょう。
あの忌々しい西側諸国とは違い物資の援助や有力な戦力の派遣の数々、
ポーランド人民を代表して心より感謝を」
取り繕う余裕もないのか、あるいはこれがポーランドの政治将校だからなのか、
イメージに似つかわしくない誠意ある感謝の言葉。その中で”あの忌々しい西側諸国”
の下りに明らかに嫌悪の感情が込められているのを確認した嶋田は思わず苦笑する。
「我が国も一応”西側”だよ?」
「こ、これは失礼いたしました!」
「(やはり西側諸国との関係改善には時間が掛かりそうだな)」
470 :New ◆QTlJyklQpI:2013/10/31(木) 20:13:31
戦力の再編が必要とはいえ、実質ポーランドを犠牲にしたNATO軍にポーランドだけでなく
東欧各国でも激しい非難と怨嗟の声が上がっていた。とはいえソ連の支援無きWTO軍では
BETAの攻勢が抑えられないため再編したNATO軍を頼るしかないのだが感情的なしこりは必ず残る。
NATOに恩を売りつつ、東西陣営の関係改善のため今回の派遣は”西側諸国からの要請に応えて”
という形にするらしいが前線の将兵の反応を見る限り根本的な関係改善にどれくらいの手間が
掛かるのか分からず嶋田は溜息を吐く。
ふと、目の前を3機のMiG21の編隊が通過する。
「行くわよ、カーヤ!シルヴィ!」
「うん!」
「イレナ、待って!」
回線に流れるまだ幼い声に驚く嶋田に政治将校は説明する。
「第303戦術機大隊の衛士たちですね」
「まだ子供じゃないか・・・・」
「ええ・・・パレオロゴスでほとんどの人員を喪失しましたから。
徴兵年齢もこれから下がる一方でしょう」
「(あと20年も経たずにこの光景が日本でも・・・・)」
自分らもいずれ、少年少女を戦場に出さなければならないと実感し気が沈む嶋田。
自身がその時に総理に任命されることが勝手に決められ、また目の前を後のシュヴァルツェスマーケン
のメンバーの1人が通過したことも知らず、嶋田は痛い子らの支援(お守り&ストッパー役)を
遂行する。
~余談 後の通信にて~
「嶋田あああああ!!何で写真撮ってないんだよおおおお!!」
「知るか!そこまで原作知識ないわ!」
「ヴロツワフ包囲がなくなったからシルヴィアも気弱なままか」
「でも理想求めすぎのイレナと現実につぶれたカーヤの間だと原作に似たことが起きそうな・・・」
「・・・幸薄キャラに変わりはないか」
「ともかく今度会ったら写真取れ!」
「あ、それならアイリスも!」
「ファム姉も願います!」
「無茶言うなああああああああ!!」
471 :New ◆QTlJyklQpI:2013/10/31(木) 20:14:05
※シベリアの同志
通称ベリア派、「イエスロリ!ノータッチ!」が信条。
特に性犯罪に対しては容赦しないその姿勢から西側諸国から”赤い紳士”とも呼ばれており
(まだマシな)良識派と認識されている。
※77式120mm速射滑腔砲
対中大型種用に開発された兵器。AA-12をモデルにしている。
元々36mmと120mmを2つ携行する突撃砲では120mm弾の弾薬搭載量が少ないとして
120mm砲のみの銃器として開発された。ドラムマガジン状の弾倉で30発近い弾数を誇る。
数的に多いのが小型・中型種なので36mmで十分として必要性に疑問符が投げかけられたが突撃級に
弱いA-10や要塞級へ効果的な攻撃が見込めるとして前線からの評価は高い。
※77式戦術歩行攻撃機A-10J 凄鉄
原作A-10。こちらではフェイアチルド・リムパリックと光菱が共同開発したことで
配備が前倒しにされている。A-10Jでは武装は変わらないが爆圧スパイク機構ジャベリンを
下半身に限定し代わりに胸部に対小型種用旋回機銃、着脱可能なコンフォーマルタンクを
各所に装備することで稼働時間を向上させている。
※73式中隊支援砲
暁の装備として開発した戦術機用の支援重火器。CISウルティマックス100をモデルにして開発され
ストッピングパワーに優れた57mm弾・76mm弾の2タイプが存在する。原作のラインメタルMk-57より
弾種のバリエーションが少ないがその分小型・軽量で取り回しが効くため非力な第1世代機でも
十分運用できる。
最終更新:2016年08月11日 15:52