480 :taka:2015/01/25(日) 13:06:39
チハたん∩(・ω・)∩

1945年 北ビルマ イラワジ河畔

百合中尉が率いる機動砲小隊は、窮地に陥っていた
僅かな歩兵とたった2門の機動砲で、南下してくる敵機甲部隊を阻止しなければならないのだ
後方に抜かれれば、シングーに布陣中の日本軍への突入を許してしまう事になる
故に、たとえ全滅の危険を犯してでもこの陣地で敵戦車を阻止せねばならない

(しかし、2門の九四式37mm速射砲でどうなるものか……)

せめて、前日の空襲で輸送中の47mm機動砲が破壊されてなければ……
あれならば、同じ側面攻撃でも撃破は確実に可能
だが、この砲では側面から50m以内で的中しても装甲の破壊は不可能
数発をエンジン部などに集中的に命中させ、擱座させるという危険極まりない撃破方法しか存在しない
対戦車砲は出会い頭の一撃必殺が勝機と言える
連続して当て続けなければならないという事は、その間戦車の反撃を許すという事だ
そして、場所を露呈した対戦車砲は、戦車にとって的にしか過ぎないのだ

(もはや、神仏の加護に縋るしかないという事か……)

最近になって対装甲の切り札となった使い捨ての無反動砲も、この陣地には配備されていない
最悪、地雷を持って肉薄攻撃しかない……と覚悟を決めた百合中尉に、歓喜の笑みを浮かべた伝令が走りこんできた

「中尉殿、チハです、チハが来てくれました!」
「おお、そうか!!」

陣地変更の為に移動中の97式戦車改は、移動途中の歩哨から敵戦車部隊接近の連絡を受けた
損害なし、弾もまだ余裕がある。司令部からの命令も渡河した敵への阻止攻撃
斯くして戦車は機動砲小隊と共同して敵戦車の阻止攻撃を行う事にした
2門が布陣していた丘にチハが布陣、2門は移動してバナナ畑側に布陣した
チハが正面から来る敵戦車を叩き、迂回してバナナ畑側に移動した戦車の側面を対戦車砲が狙う寸法である

そしてやってきたM3中戦車に対し、丘から砲だけ突き出すようにしていたチハが発砲
M3中戦車は2両が撃破された時点で分隊に別れ側面に迂回し始める
そこに待っていたのが2門の対戦車砲だった
決して貫通はしなかったが、次々と連続射撃で当てられる37mm砲弾にM3中戦車は擱座する車両が発生
途中で対地攻撃のハリケーンが丘に群がりチハを追い回す窮地も発生したものの、戦車隊の撃破には成功した

「やりました中尉殿、敵戦車後退していきますっ」

黒煙を吹き出す数両を放置し、煙幕を張りながら撤退していく英国軍戦車隊

「まさに神様仏様チハ様だな……うおっ、大丈夫か丘はっ!?」

遂には英国軍は野砲まで撃ちこんできて、慌てて歩兵達が丘から逃げ出してくる
その後ろを、ギャリギャリと音を立てながらチハが猛スピードで後退していった………

このように、チハはビルマにおいて対装甲戦力への切り札となっていた
日本軍の将兵は、手に無反動砲があればひとまず安心し、近くにチハがいれば熱り立ち
両方無ければ神仏とチハに祈りを捧げ、武運を祈ったという……
最終更新:2016年08月16日 12:40