291 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/28(月) 00:00:04 この作品には、
オリキャラが出てきます。
最強要素があります。
オリジナル設定があります。
個人的解釈が入っています。
個人的趣味が入っています(オイ)。
それでも良い、という方のみお読みください。
ジェーン誕生日記念SS 504 夜の密会
ある日の第504統合戦闘航空団(以降504JFW)基地
みなさん、こんにちは!
いえ、おはようございます、でしょうか?
それともこんばんわ?
大将・・・じゃなかった、ドミニカ・S・ジェンタイル大尉の僚機を務めていますジェーン・T・ゴッドフリーです。
大将というのはジェンタイル大尉のことで、普段はそう呼んでいます。
って、私は誰に挨拶と説明をしているのでしょうか・・・
まぁ、それは置いておくとして、いま私は大将と一緒に新設された第504統合戦闘航空団、通称504JFWに所属してロマーニャの空を守っています。
いつもの大将の勢いで振り回されてここにやってきたわけですが、大将が司令に気に入られたみたいでなんとか入隊できたようです。
あと、大将が退官届を叩きつけたリベリオン軍も、大将が退官するのはマズイので、転属という形にして御咎めは無しとのことで・・・
あ、御咎めはありました。
扶桑から新しくやってきた隊員さん達、中島錦さんと諏訪天姫さんと一緒に小さな狐の耳と尻尾(6本)を付けた女の子が扶桑からのやってきた輸送機から降りてきたのですが、その女の子を見た大将が顔を青ざめて、その女の子の前で土下座したんです。
私も皆さんもびっくりしましたが、ルチアナさんやパトリシアさんが言うには、なんでも、扶桑で修行していた時の御師匠さんの使いの方とか。
どうやら、今回の行動でお叱りに来たみたいです。
それで、その使いの女の子が御師匠さんからのお叱りの手紙を読みながら、お説教をして、読み終わったら特大の雷を落としました。
お説教の比喩じゃなくて、本当の雷です。
私は慌てて大将に駆け寄ろうとしましたが、ルチアナさんが「分体だし、本気じゃないから大丈夫ですよ」と言って止めました。
あれで、手加減しているって、本気はどんなのなんでしょうか・・・
そして大将は今、御師匠さんから課せられた課題をしています。
いつもは自由な大将ですが、今は物凄く真面目です。
課題にはルチアナさんやパトリシアさんが時々手伝ってくれています。
私も手伝いたかったのですが、あまりの難しさに頭が混乱しそうでした。
伝説の修行って、こんなに難しい事をしていたんでしょうか・・・
カリカリカリ・・・・
「どうかな?」
「こことここは?」
「ああ、これは・・・」
「なら大丈夫ですね」
「えっと、枚数は・・・うん、規定通りね」
「だーっ!終わったぁーーっ!!」
「お疲れ様です」
「ホントにね」
どうやら終わったみたいです。
292 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/28(月) 00:00:36
「はい、大将。カップケーキです」
「おぅ・・・、サンキュー・・・」
大将が机の上に倒れ込み、力なく答えます。
あれからずっとこの課題をしていましたから相当疲れたんですね。
「へぇ、おいしそうね(ヒョイ、パク)」
と、大将に出したカップケーキの1つをパトリシアさんが食べてしまいました。
勿論、大将が起き上がって抗議します。
「おいこら。ジェーンが私のために作ったものだぞ。勝手に食べるな」
「えー!いいじゃない!手伝ったんだからさぁ・・・」
「扶桑で『食い物の恨みは怖い』ということわざを聞かなかったか?」
「『早い者勝ち』ということわざもあるわよ(ヒョイ、パク)」
そう言ってパトリシアさんがまたカップケーキを口に入れました。
すると、大将は勢いよく立ちあがりました。
「よし、これから模擬戦といこうか?」
「あら?今度は勝つわよ」
なんだか一触即発の空気になります。
「あ、あのみんなの分もありますから・・・」
「2人共止めてくださいよ!」
私とルチアナさんが慌てて止めに入ります。
止めに入った私達を見た2人は顔を見合わせ、溜息をつきます。
「ジェーンに免じて赦してやる」
「こっちもね」
どうやら、仲直りしたみたいです。
なんだかんだですが、大将とパトリシアさん、そしてルチアナさんは仲がいいです。
やはり同じ御師匠さんの元で修行をしたからなのでしょうか?
なんだか、もやもやした気持ちが広がります。
あ、3人の御師匠さんというのは、扶桑にいる伝説のウィッチ、九曜葛葉様です。
「あ、ルチアナ。ちょっと・・・(チョイチョイ)」
「なんですか?」
と、大将がルチアナさんを手招きして耳打ちします。
なんなんでしょうか?
「(えー、あれですか!? さすがにあれは・・・)」
「(いや、解っているけどなぁ。どうしてもあれが・・・)」
「(はぁ、解りました。あれは・・・うん、大丈夫かな? じゃあ今夜にでも)」
「(あ、私もー)」
「(はいはい、じゃあパティさんも)」
いったい、なんなんでしょう?
293 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/28(月) 00:01:10
「ルチアナとパティとドミニカが?」
「はい・・・」
あのあと、大将やお二人になにを話していたか訊ねたのですが、はぐらかされてしまいました。
お開きとなった後、どうしても気になるので、談話室に集まっているフェルさんやマルチナさん、アンジェラさんや中島さん、諏訪さんに訊ねてみました。
「うーん。あたしは知らないね・・・」
「あたしも分かんないなぁ」
「すまん、私も・・・」
「俺達はそもそも詳しく知らないしな、天姫」
「そうね、錦ちゃん」
ですが、皆さんにも分からないみたいです。
「うーん・・・3人は今夜って言ったのよね?」
「え、ええ・・・」
すると、フェルさんがニヤリと笑いました。
「ふふふ・・・、じゃあ今夜、3人がなにをするか、調べてみましょう!」
「わー、面白そう!」
「お、いいなぁ、それ」
「ちょっ!?錦ちゃん!駄目だよ!」
フェルさんの突然の提案に、マルチナさんと中島さんが賛成します。
一方で、諏訪さんが慌てて止めようとしています。
「第一、竹井大尉にバレたら大変ですよ!」
「バレなきゃいいのよ!」
「そーそー!」
「私は興味ないな」
そう言って、アンジェラさんは部屋を退室しようとします。
すると、フェルさんが私に顔を向けてきました。
「ねぇ、ジェーン。夜遅いだろうから、なにか夜食をお願いできない」
「え?いいですけど・・・」
「是非参加させてもらおう!」
なんか、アンジェラさんって、食いしん坊キャラですよね。
294 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/28(月) 00:01:47 そんなわけで夜になりました。
私と諏訪さんは大将を、アンジェラさんと中島さんはパトリシアさんを、フェルさんとマルチナさんはルチアナさんを、それぞれ見張っています。
大将はしばらく部屋のベットで横になっていたのですが、途中で時計を見て、こっそりと部屋の外に出たので、私も部屋を出て後を追います。
すると、食堂のほうに入っていきました。
「こんな夜中に・・・つまみ食いかな?」
「感心できないな、それは」
「そうですねぇ、私が作ったお夜食を食べているアンジェラさんがそれを言えるかですけど」
いつの間にか、アンジェラさんと中島さんも食堂の傍に来ています。
どうやらパトリシアさんも食堂に入ったそうです。
フェルさんとマルチナさんも傍に隠れていたので、3人は食堂にいるみたいです。
「ちょっとなにしているか聞いてみましょうか?」
「いったいなにしてるのかなー?」
フェルさんの提案で聞き耳を立てることになり、マルチナさんが、ワクワクしながら、そう言います。
私もそっとドアに近づいて耳を澄ませます。
じゅる・・・・じゅる・・・・
「(なんだろう・・・水音みたいな音が・・・)」
「(しっ!声が聞こえる)」
くちゃ・・・・ずず・・・・
「うん、おいしいよ。ルチアナ」
「(え・・・、まさかアレじゃないよね!?)」
「(うぇ!?まさかそんな・・・っ!)」
「(あれってなにー?)」
「(静かに!聞こえる!)」
ちゅる・・・・ちゅる・・・・・
「あー、口周りが汚れちゃった・・・」
「(ちょっ!?まさかあの3人!)」
「(い、いや何かの間違いだろう)」
「(そ、そうですよ!)」
「(でも、まさか・・・)」
くちゃ・・・・じゅる・・・・
(ううぅ・・・・・、もう、我慢できません!)
(あ、ちょっ!!)
我慢できなくなった私は、扉を勢いよく開けて中に入りました。
「三人共、なにしてんですかぁーー!!!」
私がそう叫んで部屋に突入すると、そこには・・・
295 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/28(月) 00:02:19
口の周りをケチャップで汚しながら、机の上に置いてある麺料理を食べている三人がいました。
「「「「・・・はい?」」」」
「「「「「「ナポリタン?」」」」」」
「ええ、扶桑の麺料理です」
ジェーンは、一緒に聞き耳を立て、自分に続いて入ってきた他の5人と共になにをしていたか訊ねると、ルチアナからナポリタンを食べていたという説明を受けていた。
「そのケチャップで和えた麺料理が、か?」
「ええ」
料理の事だからか、アンジーが興味つつに訊いてくる。
ルチアナが手に持っているお皿の上に盛られたケチャップで赤く染まった麺料理に、アンジ―が指を指して訊ね、ルチアナがそう答えた。
「そうなのか?」
アンジーは念のためと、扶桑人の中島と諏訪の2人にも訊ねた。
「ええ、たしかに扶桑にありますよ」
「というか、ロマーニャの料理じゃないのか?」
2人が肯定すると共に、中島がルチアナに訊ねた。
たしかにロマーニャの地名であるナポリの名前を冠しているため、ロマーニャ料理のようにも思えるかもしれない。
だが、ルチアナは苦笑しながら否定した。
「名前からそういう勘違いがありますけど、実際は扶桑のオリジナルなんですよ」
「あれ?そうだったんだ」
中島が改めて知り、そう言って驚く。
「ていうか、なんでそんなものをこそこそと食べているのよ」
そう言ってフェルが突っ込む。
彼女としては自分達に秘密にしたのが不満であった。
まぁ、同じ戦場で戦う仲間が隠し事をしていたら不満になるのは仕方ないと思う。
「えーと、隊長。怒らないで聞いてくれます」
「なによー、私がすぐ怒ると思っているの?」
そう言ってフェルは頬を膨らませる。
子供のような態度にルチアナが少し苦笑する。
「そういうわけじゃないんですが・・・」
「いいから!ほら、話しなさい!」
そう言ってフェルはルチアナを急かせ、ルチアナは諦めて言った。
296 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/28(月) 00:02:53
「・・・これ、パスタなんです」
「「・・・は?」」
フェルとマルチナは、ルチアナの言葉を聞いて動きを止めた。
今、なんと言った?
これがパスタ?
麺がかなり弛み、ケチャップがベットリとまとわりついていてギトギトし、 切り刻んだハムとソーセージ、そして申し訳程度のタマネギとピーマンとマッシュルーム。
さらに、山盛りの粉チーズと何故かタバスコが添えられ、パティのものには、チーズの白い山が更に作られ、ドミニカのものには、タバスコがかけられて赤みが増している。
「「・・・こ、こんなのパスタじゃなーい!!!」」
「ですよねー」
2人の叫びに、ルチアナはそう言って溜息をつく。
ロマーニャ人にとって、ナポリタンは完全な邪道であった。
かく言うルチアナも、扶桑で修行中に食事で出されたときには驚き、抗議したものであった。
九曜の修業の見学に来た
夢幻会メンバーの1人の転生者が、疲れているだろうから濃い目の味付けであるナポリタンがいいだろうと振る舞ったのだ。
最初は嫌がっていたルチアナであったが、今ではこれを受けていた。
ただし、さすがにロマーニャ人ゆえにこれが祖国では受け入れられないものだとは理解しており、普段は作らずに我慢していた。
そして、同じく修行でこの料理を経験していたドミニカとパティもこのことは理解していた。
そのために自重はしていたが、課題に疲れたドミニカは、疲労から無性にナポリタンを食べたくなったのだ。
ゆえに深夜にこっそり作って食べようとしていたのだ。
「はぁ・・・、そういうことだったんですか」
事情を知ったジェーンはそう言って、さっきまで自分達が考えていたことが取り越し苦労だったことを知り、溜息をつく。
「まぁな。さすがに料理で問題を起こすわけにはいけないしな。黙ってて、すまん」
そんなジェーンにドミニカは隠し事をしていたことを謝る。
「てっきり、3人は仲がいいから・・・(ゴニョゴニョ」
「ん?なんか言ったか?」
「な、なんでもありません!!(///」
そう言ってジェーンは顔を赤らめて、そっぽを向く。
すると、
『グゥ~~~~~!!!』
「「「「「「あ・・・」」」」」」
彼女、そしてフェルやマルチナ、アンジー、中島、諏訪の6人のお腹の虫が鳴った。
297 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/03/28(月) 00:03:29
「どうするんだ?
一応、おかわりがあるから、人数分くらいはあるはずだが・・・
どうだ、ルチアナ?」
そう言ってドミニカがルチアナに訊く。
「ええ。多めに作ってますから、6人分なら多分何とか・・・
足りなくなれば、また作ればいいですし」
「そうねぇ。でもその前に、お説教を喰らったほうがいいんじゃないかしら?」
「げぇ、タケイ!?」
ジャーンジャーンジャーンという鐘が聞こえそうな怒気を放ちながら、笑顔の竹井が部屋の入口に立っていた。
「え、えっと・・・。いつからそこに・・・」
ルチアナは、努めて冷静に竹井と対応する。
一方で、ドミニカのほうはマイペースに『面倒になったなぁ・・・』とナポリタンを続けて食べ、パティはため息をついて口周りをナプキンで拭いていた。
「そうねぇ・・・。皆で『ナポリタン?』と言っていたところかしら?」
「ほとんど最初からじゃない!!」
そう言って、フェルは叫ぶ。
この後、9人は竹井からお説教を喰らい、そして、騒ぎを聞いて起きてきたドッリオと共にナポリタンを食すのであった。
なお、ジェーンはルチアナからナポリタンの作り方を教わり、時々ドミニカに提供するようになったこと、
これがロマーニャ軍、リベリオン軍、ブリタニア軍、ヒスパニア軍に伝わったこと、
ロマーニャ軍と扶桑軍の最高司令部同士でちょっとした口論があったことをここに追記しておく。
あとがき
というわけで、ジェーン、誕生日おめでとう。
いかがでしたでしょうか?
今回、初めて一人称視点を導入し、前半部分はジェーンの一人称視点にしてみました。
時系列的には、影響を受ける人さんの『ライトニングフォックスVSバーニングフォックス』の後のお話です。
アンジーが腹ペコキャラ・食いしん坊キャラ化しているのはご愛嬌。
で、定番のナポリタン。
聞き耳で聞こえたのは、擬音はナポリタンを食べている音、会話はナポリタンが美味しいとか、ケチャップで口周りが汚れたことです(笑)。
内容は、ナハトさんのノーブルウィッチーズネタを参考にさせてもらいましたので、似ていると思います。
この場を借りて、勝手にお借りしたことを謝罪いたします。
今回の事件を切欠に504で広まりました。
なんか腹減ってきたから、今度ナポリタン食べよう。
お読みいただき、ありがとうございました。
最終更新:2016年09月12日 11:05