680 :影響を受ける人:2016/04/18(月) 22:38:45
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
九曜葛葉が大銅鏡と呼ばれる銅鏡から手を放すと、銅鏡に映し出されていた風景が掻き消える。
別室で会議を見ていた天皇陛下は、椅子から立ち上がって体をほぐし始めた。
それを横目に念動で水を浮かせ、圧力と熱量を加えて加熱。同時に茶葉も用意しておく。
「ふむ。今回は実に良い会議であったな。」
「そうでありますね。堀井大将がまた何か言うと思いましたが・・・」
「流石に二度目はしなかったな。」
取り巻きは変わらなかったようですがと言いつつ、香りと味を抽出し終わった茶葉を廃棄し、置かれた茶碗に一定量入れる。
天皇陛下が好む温度にしてあり、香りを楽しんだ後ゆっくりと飲まれる。
「ふぅ・・・やはり九曜の入れる御茶が一番だ。」
「奥方が御怒りになられますよ?」
「おお! それはいかん・・・ 以前に怒られてからと言う物。仕事中に御茶も、御茶菓子一つ出してくれなんだ。」
九曜は小さく笑いつつ、先程の会議を反芻する。
事前にある程度情報を流しておいた御蔭か、堀井一派の暴走は無かった。
むしろ質問攻めに徹し、食い破ろうとする気概を見せたのは少し驚いたものだ。
最後に気になる点を言い、摺り合わせを行って会議は終了。
実に身の入りの大きい会議だったと言える。
(それにしても、竹井殿。生き生きしていたなぁ・・・)
竹井元少将は、原作の竹井醇子の祖父という立場。
漫画版に登場し、車椅子で必死に訴えかけた老将だ。
この世界ではウィッチの医療設備が整っているので、杖を突いて軽く散歩できるくらいには回復している。
当初、そこまで重要人物だとは思っていなかったのだが、
夢幻会との原作知識摺り合わせで聞いて「え、そうなの?」と驚いたものだ。
一応若い頃の彼を遠目で見ていたし、天皇陛下の覚えも良かった。だから知ってはいた。
そんなことをつらつら考えていると、急に陛下が立ち上がった。
そしてこちらに振り向いたその顔は・・・とってもいい笑顔。
内心「また無茶ぶりが来るか?」と警戒する。この陛下、よく思いつきで行動するから侮れない。
こっちも解決策が浮かぶから、奔走する事になる。
取りあえず、平静を保って聞くとしよう。
「どうかしましたか?」
「うむ。良案が浮かんだのだ。九鬼と柴田両名を呼んでほしい。
それと九曜。宝物殿よりいくつか出したいものがあるのだが・・・」
やっぱり無茶をいう。表向きしっかり答えつつ、裏向きに溜息を吐いた。
―翌日 扶桑皇国陸軍試作兵器試験場―
現在、本土迎撃部隊に指定された数あるウィッチ部隊の二つ、狛犬隊と鎌鼬隊が使えそうな兵器を見つくろう為にやってきている。
史実日本や、憂鬱日本ではなかなか作れない紙上の兵器でも、資金たっぷりのこの世界だといろいろ作れる。
それが歩兵用の兵器であるならなおさらだ。まあ辻に見張られているので無駄使いは出来ないけれど。
「隊長~ これ使えますかね~?」
「どうし・・・ はぁ。それは君しか使えない・・・」
「でも~ 30mm機関砲ですよ~ 私~ 欲しいな~」
狛犬隊の副隊長:江草貴子が“怪力”に物を言わせて大型機関砲を持って来た。
それを見たアナスタシア・ジュガシヴィリ・葛城は深く溜息を吐く。
頼りになるが、何時ものんびり過ぎる副隊長に頭が痛くなる。
「弾薬がそれほど無い。」
「む~」
頬を膨らませて抗議する貴子をみて、余計に頭痛がひどくなる。
だが、今時珍しくない扶桑とオラーシャのハーフであるアナスタシアにとって彼女はかけがえのない親友でもあった。
学校入学が同時で、寮も同室で、軍も同期で、堅物と自覚している自分のフォローをしてくれる。
彼女が居なければ、人付き合いが苦手な人物になっていたに違いない。
だからと言って甘えさせないが。
不貞腐れて元の場所に置きに戻る副隊長を見送ると、今度は鎌鼬隊の隊長が来た。
681 :影響を受ける人:2016/04/18(月) 22:39:18
「相変わらずですね。」
「そう思うなら、助けてくれてもよいのだが?」
「じゃれ合いみたいなものでしょ?」
「ちがう。」
抗議の為に鎌鼬隊隊長:飛龍優花を睨むが、彼女は微笑むだけで堪えない。
彼女もまた同期の仲間だ。
再び溜息を吐き、当たりを見回す。
「しかし、いろいろあるのだな。」
「そうね。」
試作兵器の倉庫と言うだけあって、失敗作も含めて大量にある。
複数あれば予備も含めて全て持っていけるが、単品の物だと厳しい。
何気なく周りを見渡すと、鎌鼬隊副隊長:寒衣シキが不和姉妹に迫られていた。
「寒衣副隊長」「これどうでしょう?」
「む?」
二人が持っているのは倉崎製の椀部ストライカーだ。
不和ヒビキが持っているのは、現在使用している20mm機関砲を椀部に添えたもので、構える事無く振り回せるらしい。
ベルト給弾式で、弾倉は背負うことになる。
対して妹のスズが持っているのはパイルバンカー・ストライカー。
「ぬぅ・・・」
「だめ?」「ドカンと一発。」
唸った寒衣に双子がコテンと首をかしげて見せた。
あれはおねだりの仕草だ。あれを整備員にやっては、無茶な要求を通しているという。
が、
「ん・・・」
副隊長は厳しかった。顎をしゃくり、元の場所に戻すように促す。
「残念。」「無念。」
双子はがっくり肩を落として試作ストライカーを戻しに行く。
しかし・・・こうしてみると本当にいろいろある物だ。
椀部ストライカーを見ても、
―魔力刃を展開して五つの回転刃で抉るように攻撃するモノ。
―戦車砲をベルト給弾式にして両腕に取り付けるモノ。
―巨大な手を模した、ロケットブースターが付いたモノ。
―アンカーが付いたモノ。
―腕の代わりに触椀が四本もある異形。
―肘あたりから、大砲と通常椀部が存在するヘンテコなモノ。
とまあこれだけある。此処の研究員の頭はどうなっているのだろうか?
最近有名になりつつある倉崎重工と懇意にしているとも言うけれど。
しかし、と思う。
「碌なものが無い。」
そう、本当に碌なものが無い。
もうこうなったら、双子が諦めたような変態兵器でも持って行くか?
「あ、いたいた。」
考え込むと同時に、この場にいないはずの人の声が聞こえた。
俯いていた顔を上げて声のした方向に、その場にいた全員が振り向く。
「ぬぅぅ?」「お~。珍しいね~。」
「あ。」「総隊長だ。」
「あらあら、まあまあ。」
「江藤総隊長。どうしましたか?」
視線の先にいたのは江藤敏子。
扉を開けて入って来て、近い所にいるアナスタシアの元に歩いてくる。
視線が少し合った飛龍もまた、アナスタシアの元に向かう。
「狛犬隊と鎌鼬隊を探していたのよ。」
「私達を、か?」
「あら。なにかしら?」
自分達を抜いて大佐になる事が決定している後輩が、何時になく真剣な眼差しでこちらを見ていた。
何事かと隊長二人は顔を見合わせるが、情報が圧倒的に足りないので推測も出来ない。
そして敏子から話を聞いた二人は、驚きに目を見開いて絶叫し、隊員達の視線を集めまくった。
682 :影響を受ける人:2016/04/18(月) 22:40:06
――同日 竹井邸――
オブザーバーとして呼ばれていた竹井元少将は、久しぶりに充実した一時を過ごした。
病に掛かり床に伏していたが、手厚い看護で今は杖を使えば歩けるくらいにまで回復している。
海軍を去って以来、どこか空虚に感じていて、日々の生活に実感が無かった。
そこに今回の依頼である。
当初は堀井一派に対する対抗者として呼ばれ、自分もそのつもりでいた。
しかし結果として、あまり役に立ったとは言えない終り方。
堀井大将がそれほど攻撃的にならなかったのもあるが。
九鬼大将が最近気にかけているという一派対して、主に探りを入れたのが竹井であった事だろう。
事実、最後の摺り合わせで堀井よりも多く質問をしたのは自分自身。
「九鬼さんには悪い事をしたかな?」
呟いてみるが、九鬼はそれほど気にしてはいないと思う。
むしろ感心したりしていたし、例の一派の方が気にしているだろう。
竹井が質問攻めの攻勢をかけてくると思っていなかったのか、慌てる雰囲気が感じ取られて逆に心配になったものだ。
等と回想していると、扉が叩かれたので入室を許可する。
扉の方を向くと、入ってきたのは義勇兵として頑張っている孫娘がいた。
「お久ぶりです。」
「ああ、久しぶりだね。堅苦しい挨拶もなんだ。お前のお爺ちゃんとして、いろいろ聞きたいな。」
竹井はそう言うと、向かい側に座る様に竹井醇子を促す。
彼女としても経過が良好とは聞いているが、療養中の祖父に余計な気遣いはさせたくない。
喜んで向かいに・・・ではなく隣に座る。
「醇子は甘えん坊だな。」
「うん。」
横に座った孫娘を優しく撫でる。醇子は倒れて療養中となった祖父を一度見舞いに行った事が有った。
余りにも弱々しいその姿に、胸が締め付けられるような思いを抱き、出来うる限り甘えて祖父と言う存在を記憶にとどめておきたかった。
戦場に出て戦死した者達の様に、唐突にいなくなってしまう、その恐怖から逃れる様に。
二人はお手伝いの女性が入れてくれたお茶を飲みつつ、久しぶりに楽しい時間を過ごしていく。
そして、
「醇子や。」
「なに、おじいちゃん?」
「お前は何を持って戦う?」
「・・・え?」
突然の問いに醇子は戸惑った。しかし祖父は無視して続ける。
「優しいお前の事だ。友がいるから戦うと言うだろう。しかし、だ。友が居なかったらお前はどうする?
いなければ戦わないか? 関係ないと引っ込むのか?
最初の切掛けはどうあれ、今お前は一人の兵士として戦場に立っている。
その時、戦っていた友がいなくなってしまったら・・・死んでしまったら。
お前はどうする?」
恐る恐る覗いた祖父の顔は、いままで見たこともないほどの威圧が有り、全盛期の軍人としてそこにいた。
それに気圧された醇子は・・・振るえる身体を抑えて答えようとした。
以上です。
オリキャラの所属変えました。
アナスタシア・ジュガシヴィリ・葛城 :陸軍 狛犬隊隊長 扶桑とオラーシャのハーフ
江草貴子 :陸軍 狛犬隊副隊長 “怪力” 大型機関砲を主に装備
飛龍 優花 :陸軍 鎌鼬隊隊長
寒衣 シキ(読み:かむい しき 旧:神威 シキ) :陸軍 鎌鼬隊副隊長 “能力向上(20%~45%時間制限10分、付与可)”
不和 ヒビキ :陸軍 鎌鼬隊隊員 双子ウィッチ コンビネーション戦法が得意
不和 スズ :陸軍 鎌鼬隊隊員 双子ウィッチ コンビネーション戦法が得意
最終更新:2016年09月12日 10:58