68 :影響を受ける人:2016/05/08(日) 22:42:47
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第九十一話 ―決戦前夜08 ―



―8月20日―

原作同様、超巨大ネウロイ“ヤマ”は海岸線に到着。
歩行用の足を切り離し、その反動と重量軽減により多少高度を上げて海上に躍り出て行った。
その際、上空に護衛として留まり続けていた “オニグモ”二体が別の“オニグモ”二体と交代した。
これはすぐさま大本営に報告され、対“ヤマ”戦の際に増援として“オニグモ”二体が増援として現れると予想に組み込まれる。
“ウシアブ”“スズメバチ・改”“アホウドリ”も交代していったが、こちらはほぼ毎日交代していたからあまり問題視されていない。

数が多すぎるし、数えるほうがあほらしい。
取りあえず“アホウドリ”の数ぐらいだろうか、数えるのは。
夢幻会の予想が違ったのは一部分で済んでいる。
切り離した“足”が、新たな随伴護衛として飛翔した事を除けば。
後に命名“オカ”と称される足だったネウロイは合計16本有り、円陣を組んで“オニグモ”とは反対方向に回りだした。

敵が増えたことに政府も、軍も唸り声を上げたが予測の中にあったのでショックは少なかった。
それよりも艦隊を、ベストな状態で突撃させるべく調整が急がれた。
“ヤマ”の飛翔速度は大陸横断の時よりも遅く、逆計算により攻撃する場所を定め、作戦開始日時は8月30日となった。
幸い、同日に「台風発生を確認。牽引と成長促進を開始。」との報告が上がった。
すぐさま作戦開始日時を告げ、その時に間に合うように通達した。

いかに作戦とはいえ、忌み嫌う台風を己の手で育てる行為に、山本をはじめとした海軍軍人は苦笑したという。
兎に角、艦体整備は大急ぎで進められた。
作戦参加な艦艇は、扶桑皇国海軍の全てと言っても過言ではない数を動員するというもの。
余りの数に国民は、避難してきた難民は「これはいける!」「大丈夫そうだ。」と安心した。
が、当の本人達は・・・少し悲観的な考えが多い。

何せ相手は“ヤマ”という名前が付くくらいの巨体の持ち主。
いかに頑強な艦隊を持つ戦艦だろうと、打ち抜かれればおしまいだ。
後になって対処法に転生者の一人が小説〔アフリカの魔女 ケイズリポート〕にて、無線式標的艦を囮にするというのを思い出した。
浮力材を大量につめれば沈みにくいし、機銃もつければある程度の戦力になる。
が、さすがに今現在の状況では間に合わない。アイディアは良いと判断され、後にこの情報は標的艦の有効活用法として世界中に広まり、多くの人命を助けることになる。

―――――

呪歌隊と言うのがある。
基本呪歌使いのウィッチは、陸軍海軍共に一つの隊に一人いるかどうかだ。
怪異相手とか、対人において複数人居ても邪魔でしかなく、護衛も大変なためである。
しかし“合唱”がある通り、複数人で呪歌を歌えば相乗効果が有るというのも捨てがたい。
これを目的とした特殊部隊が、扶桑皇国陸軍呪歌専門部隊:山彦隊と、扶桑皇国海軍呪歌専門部隊:秋月隊だ。

「では、宜しくお願いする。」
「ええ、そちらもね。」

呪歌専門部隊秋月隊隊長:秋月璃子が北郷章香に一礼する。
副隊長:木更津千早と隊員の天宮春香も一礼した。
彼女等は戦場まで牽引してきた台風を受け取る任務を受けている。
言っている事はすごいが、これを効率よく運用し、味方を助けなければならない。
別名“祝詞”とも言われる合唱でもって、敵を閉じ込めるわけだが・・・

流石に巨大な台風を利用するというのは例が無い。
その為、まずは小規模の円陣を自分達で作る。円陣は台風の目を囲うように展開されており、小円陣同士が共鳴し合って大円陣を形成する。
これだけでも問題はないが、中規模の円陣を作り更に安定性を持たせる。
通称“曼荼羅結界陣”と言われるものの改良版だ。
本来はもっと小さいのだが・・・こればかりは致し方が無い。

任務を受けた三人は夜遅くまで考え、この陣を作り上げた。
が、さすがに大規模すぎる上に人手が足りないので、各隊に配備されている呪歌使いを一時的でいいからこちらに回して欲しいと嘆願してきた。
流石に失敗はしたくない章香はすぐさま了承。
三人は、その嘆願の為に来ていた。
帰る三人に、入れ違いとなった元副隊長の旭川梨奈が「お茶位飲んでいかれてはぁ?」と言ったが固辞。

69 :影響を受ける人:2016/05/08(日) 22:43:24
大急ぎで帰っていく背中を、閉じる扉の隙間から見送り、梨奈は章香の斜め前にある執務机に向かう。
持っていた資料を置くと、すぐさま鉛筆を手に取って戦闘開始した。
そして目も合わせずに会話をし始める。

「隊長ぅ。」
「なんだ?」
「秋月さんの話って、部隊増員でしょ?」
「ああ。呪歌を習得している学兵を主に割り当てる予定だ。」
「風間さんがそんなに苦手ですかぁ?」

一時的に章香が固まる。

「ナニヲイッテイルノヤラ。マッタクワカランナ。」
「なぜに棒読みぃ?」

突っ込んで上げると、横目で恨めし気に睨んできた。

「あの人はもうちょっと落ち着くといいと思うんだ。」
「レズビアンでショタ子好きですけどぉ?」
「言うなよ・・・」

視線を書類に戻しつつ溜息を吐く。

「まあ。あの人は、実力はあるんだ。それに人を纏める事もできる。」
「趣味に偏っていますけどねぇ。」
「今作戦で必要な事だぞ? そこまで偏屈じゃないはず。」
「そういえば突入部隊。編成にあの子達が入っていますけど?」

あの子達と言うのはもちろん坂本美緒達、学兵だ。

「“ヤマ”の“核”調査は最後まで出来なかったからな・・・」
「ウィッチに反応するから。でしたよねぇ?」
「調査隊も、決死の覚悟で挑んでくれた。これ以上は望めまい。」

“ヤマ”に対する透視行動は控えられた。“核”を調査する事は夢幻会でも認められてはいたが、ウィッチの魔力に反応したら調査隊が危ないとの判断により、作戦中に行う事が決議されている。
これは御前会議中にも指摘された事で、最後まで明確には決まらなかった。
しかし、大体三ヶ所に分けて考えは纏まっている。簡単に言えば上・中・下の三つ。
“核”が上、天頂部にある場合は戦艦の主砲で狙っても良いし、ウィッチが切り込んでも良い。
他二箇所に比べ、比較的攻撃がたやすい位置と認識されている。

“核”が中にある、中央部にある場合。これが一番厄介だとされている。
中央部にあるという事は、攻撃の為にそこまで破壊しなければならないという事だ。
“ヤマ”は一キロ四方もある四角錐。核の大きさはわからないが、最大でもせいぜい100mくらいだろう。
更に言えば装甲も兼ねている巨体。いかに戦艦を大量に繰りだそうとも、苦戦は免れない。
海を割る事ができる必殺技を持つ章香と言えど、あの巨体を割るなど出来はしないだろう。

たとえ突き攻撃にしたとしても・・・届くかはわからない。
そして最後に下。底辺にあった場合だ。この攻撃となると戦艦は更に危険な任務に就く。
“ヤマ”は徐々に高度を上げているようで、予測が正しければ最新鋭の戦艦【紀伊】でも潜り抜けられるはずだ。
安全な遠距離からの砲撃ではなく、近距離で敵の真下に潜り込む。
会議でも取り巻き共が煩くわめいたが、結局代案は出されることが無かった。

だが突入前にウィッチが少し覗き込むことになっている。
下部にレーザー発射口や、実弾攻撃部位がある場合。彼女等がシールドを張って戦艦を守ることになる。
結界士や呪歌使い達も援護はするが、猛烈な砲火に見舞われることになるだろう下部は、あまりにも負担が大きすぎる。
攻撃に対する負荷を考慮するならば、最小範囲で済ませたい。
台風の自然エネルギーを魔力に変え、そのまま供給すればシールド強化につながると目されている。

過剰すぎる魔力は、ウィッチの寿命を縮める事につながるが、この際言いっこなし。
戦艦を操作する将兵だけを危険にさらすわけにはいかないのだ。
そんな決意を秘めつつ書類を処理していく。

「ああ・・・ 本当に前線で刀を振るっていたのが懐かしく感じる。」
「上に上がるって、面倒ですからねぇ。」
「大佐が逃げたがっていたのもわかるよ。」
「わかりますけど、大佐が居なかったら自分達いませんよぉ?」
「だな・・・ 真嶋なんて、陸戦に早々に飛ばされていたはずだし。」
「暴走しがちでしたからねぇ。二人ともぉ。」
「押さえてくれたのが旗本さんだったな。」
「「頭が上がらないな。」ですねぇ」

苦笑する二人。
そして突等にある事を思い出し、手を休めて梨奈の方を向く。

「そう言えば、例の件なんだが・・・くるか?」
「例の件・・・どれでしょうかぁ?」
「九鬼大将から呼ばれた奴だ。」

途端に渋い顔になる。
そんな副隊長を内心で溜息しつつもたしなめる。

「名誉なことだと思うぞ?」
「そりゃぁ・・・ 名誉でしょうけどねぇ・・・」

70 :影響を受ける人:2016/05/08(日) 22:44:16
誰が行く予定でしたっけ?と聞くと、

「私と、真嶋も呼んである。あと三人だな。
 陸軍からは、狛犬隊副隊長の江草貴子。鎌鼬隊の不和ヒビキとスズ姉妹。狐火隊隊長の穴吹智子と副隊長の加東圭子。以上五名だ。
 で、海軍は後三人なのだが?」

成程、その五名か。狐火隊の二人はわかるとして、狛犬隊と鎌鼬隊はどうやって選んだのだろうか?
考え込む前に章香がどうだ?としつこく聞いてきたので手を上げる。

「自分は辞退しますよぉ。風間さんなんてどうですぅ?」
「う、うーむ・・・」
「選出基準って、能力持ちでしょぉ?」

そうなのだ。九鬼大将から依頼された例の件は、能力持ちのウィッチであることが条件とされている。
能力持ちはそれほどいないが、捜せばいるので問題ないはず。

「実力も無いといけないから、難しいんだ。」
「となると・・・誰が良いでしょぉ?」
「だから困っているんだ。」

う~んと悩む二人だったが、取りあえず鮫島トミを呼び込むことにし、なし崩しに旗本サエも呼ぶことにした。
鮫島はシールドに定評があるし、旗本さんは頼りになる。

「身内贔屓なんてしたくなった・・・」
「決まらないから仕方がないでしょぉ?」

項垂れる章香を見つつ、梨奈は席を立ってお茶菓子を取り出す。

「もういい時間ですしぃ。休憩しましょぉ。」
「そうだな。そうしよう。」

いろんな意味で疲れ切った章香も同意したところで、二人はささやかな御馳走を食する。
決戦はまだ先だが、やる事は数多い。
物資の融通も終わっていないし、空母との連携会議も終わっていない。
更に時間が進めば艦隊は作戦に乗っ取って行動を開始する。それまでに色々と終らせなければならない。
学生時代ならば、終わっていない夏休みの宿題にてんてこ舞いになっていた筈だ。

それが今では書類作成にてんてこ舞い。
いかに学んでいようとも慣れる事は無い。
理不尽な現実があるが、取りあえず無視をして御茶を飲む。
小さくも、確かな熱を胸の内に宿して・・・



以上です。
艦隊編成は以下になります。


第一艦隊
 第一打撃艦隊 戦艦【紀伊】【尾張】【駿河】【近江】 軽巡洋艦×3 駆逐艦×12
 第二打撃艦隊 戦艦【長門】【陸奥】【伊勢】 軽巡洋艦×2 駆逐艦×8
 第三打撃艦隊 戦艦【山代】【若狭】【日向】 軽巡洋艦×2 駆逐艦×8

第二艦隊
 第一遊撃艦隊 重巡【雲仙】【恐山】【田代】【焼石】 軽巡洋艦×2 駆逐艦×8
 第二遊撃艦隊 重巡【古鷹】【加古】【青葉】【衣笠】 軽巡洋艦×2 駆逐艦×8

第三艦隊
 第一機動艦隊 戦艦【金剛】【比叡】 空母【赤城】【天城】 軽空母【祥鳳】重巡【妙高】【羽黒】軽巡二隻駆逐艦十二隻
 第二機動艦隊 戦艦【霧島】【榛名】 空母【飛龍】【蒼龍】 軽空母【瑞鳳】重巡【那智】【足柄】軽巡二隻駆逐艦十二隻


以上ですが、あくまでもイメージしやすくする資料だと思ってください。

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最終更新:2016年09月12日 11:58