854 :影響を受ける人:2016/05/29(日) 22:40:22
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
―8月22日―
天皇陛下から武装を授けられる。その通知が来たのは御前会議の当日だった。
思い付きの相談を受けた九曜葛葉は、
「武器はそれなりにあります。ですが相性と言う物が有りますので、まずは人を決めない事には・・・」
と言ってまずは人を集める事から始めた。
と言ってもそれほど時間が有るわけではない。命が下された北郷章香、江藤敏子両名は台風の目に突撃するメンバーから選出する事に決める。
敏子の方はわりと早く決まったのだが、章香の方が苦戦。
流石に天皇陛下から貸与されると言うのは畏れ多く、誰もが辞退していった。
戦闘中に損失したらどうなるか、怖くてとても責任が取れそうもない。
(そんなの自分だってそうなのにぃぃぃ!!!)
そう思って自分の上司を、厄介事をあっさり渡してきた水瀬を恨んだ。
ついでに、
「旗本さん。宜しくお願いします。」
「・・・寝言は寝て言え。」
「後生です! 期日までにメンバーが集まらないのは不味過ぎる!!」
「・・・知らん。」
最後に頼み込んだ旗本サエは、それはもう渋りまくった。長い交渉のすえに何とか受けてもらったが・・・
まあ嘆いても仕方がない。あまり相談に乗ってくれなかった副官も連れて皇居に向かった。
―――――
皇居に向かった一同であったが、武装の貸与に対する御礼を申し上げ、陛下がそれに答えるまでは普通(?)の式典。
が、さあ武装を渡そうという段階になって陛下が、「武装は兵器開発試験場に運んである。朕も向かうぞ。」と言って一同を慌てさせた
同席していた九鬼大将と柴田大将は動じていなかったが(天皇陛下の御転婆ぶりは有名だったので)、章香と敏子は目を見開いてどうしようと、これまた同席していた水瀬大佐と田中大佐をみる。
(ど、どうすれば!?)
(どうにでもなれ・・・)
(大佐ぁぁぁぁ!!)
流れに乗るしかないと悟った上司は役に立たなかった。
それはともかく、一名がとてもウキウキして移動し、複数名が胃をキリキリさせて追従、残りが困惑しつつもしたがう。
こうして一同は兵器試験場となっている場所に到着し、貸与される現物を始めてみることになった。
それらは刀剣類が主であったが、一部よくわからない防具らしきものが数点ある。
何だろうと思っていると、天皇陛下が武装群の前に立ち、
「では、朕自ら説明をしよう。」
「「「「「「「「「「ええぇ・・・・・・」」」」」」」」」」
とんでもない事を言い放った。当然陸海軍の将軍が眉間をモミモミしている。
ついでに、ここにはいないけど遠くから監視している、信頼する侍従長も頭を振るって痛みを紛らわせていた。
とはいえ本人は真剣そのもの。おもわず声が出てしまったが、気を引き締める。
「では、扶桑皇国海軍所属 田端みね隊 副隊長 真嶋志麻、前へ。」
「う・・・ はい!」
危うく「うぃっす。」と言いかけ、隣にいる旗本から威圧を受けてすぐさま言い直す。
そして前に出ると、黒子が一つの大斧を持って来た。っていうか、この黒子の人達誰?
そんな一同(一部察し)の疑問をよそに、陛下は目の前の武器についてにこやかに述べる。
「この武器は、名を【硬絶(こうぜつ)】と言う。
みての通り巨大な斧であり、全て鋼鉄製の一品である。」
陛下に言われ改めて武器を見下ろし・・・志麻は少し口が引き攣った。
そりゃそうだ。彼女が扱う鉞は、刃渡り大凡70㎝、柄の長さも2m位だ。
しかし目の前の緒のは常識はずれ、刃渡り1m、柄の長さ3.5mもある巨大なモノ。
これ持てるの?それは一同が、当たり前に思った事。
855 :影響を受ける人:2016/05/29(日) 22:41:08
「ところで、陰陽魔法力は出来るかね?」
「は、はい。できますぐぁ・・・」
「それは良かった。この斧の特徴は陽魔力で重量が増し、陰魔力で重量が減ると言う物。
重さは・・・ふむ。通常は120㎏だが、40㎏から3tまで変えられる。」
「ぇ・・・・・・」
沈黙が場を支配した。
120㎏の斧が、40㎏から3tまで重量を自在に変動させる。その非常識な能力に全員が唖然となっていた。
確かに歴史博物館において、かの有名な蜻蛉切は、先端に止った蜻蛉をそのまま真っ二つにしたという逸話がある。
しかし実際に振るわれて使用されている刀剣類の殆どは、頑強性能を追求されて製造されていると聞いている。
なのに、目の前の斧はそんな常識外の代物だという。
「もってみたまえ。」
どうすれば良いのか、信じても良いのか、わかりかねて混乱していた志麻だが、天皇陛下に促さられて恐る恐る【硬絶(こうぜつ)】を手に取る。
視線が武器と陛下を何度も往復したが、意を決し、鍛え上げられた両腕でもって持ち上げる。
「ぐぁ!」
重い。
全て鉄と言う斧の重量が、志麻の力に抗い、重力したがって上がらない。
恐らく疑似椀部全部使っても上がらないだろう。そのぐらいは馬鹿な自分でもわかる。
一度力抜き息を整える。
(畜生。俺、陰陽魔法力苦手なんだが・・・)
そうも言っていられない。目を瞑って集中する。
後ろから、なんとなく心配するような気配がするのがわかった。背中を任せてきたからわかる。
自分が一方的にライバル視し、その強さに尊敬を持ち、目の前にいるそいつを守りたいと思った。
だから努力を忘れる事は無かった。
「ぅしっ!!」
+方向の魔力を流し、再び持ち上げ・・・天高く持ち上げすぎた。
だが、
「お・・・おお!!??」
斧は、羽の様にとまではいかないが、先程よりも軽く扱える。
手元にまで戻し、しげしげと見ていると、満足げに頷く陛下。
「では、試し切りをしていただこう。物は使ってこそわかる!」
「え?」
そう言われて陛下が腕を振り上げた先には、一台の軽戦車が鎮座しているのが見えた。
そしてそのまま陛下の顔を見ると、ニコニコ笑っておられる。
やるの? うん♪
視線で語ってみたが、現実は変わらない。
視線に促され、取りあえず軽戦車の前まで来たものの・・・
仲間達の方をちょっと見てい見るが、全員ソッポを向いた。ついでに上司は空を見上げている。
助けは無い。孤軍奮闘せよ。酷い裏切りに自然と肩が落ちて、重量が戻りそうになる。
「えぇぇいぃぃ! クソッたれぐがぁぁ!!」
と怒鳴りたいが、天皇陛下の前でそんなことは出来ない。
だから、
「グゥゥゥガァァァァァ!!!!」
思いっきり振り上げて、
「ゲェラァァァァァァァ!!!」
全力で振り下げた。
黒光りする斧は、黒い残像を残して軽戦車に接触し、金属同士が接触する音と共に轟音が響き渡る。
志麻はほぼ本能的に接触する直前で陰魔力を注ぎ込み、重量を最大まで引き上げていた。
その結果は軽戦車の装甲を拉げながら叩き割り、その衝撃に耐えかねた軽戦車は接触した部分から二つに割れ、前後に部品をぶちまけながらひっくり返り、斧はそのまま地面に陥没。
土煙が舞い上がり、その衝撃の強さを示して見せた。
この結果に、一同は・・・この武器を製造した物を知る将軍二人さえも、驚きを隠せない。
それは斧を振るった志麻も同様。
さっきまでは気が付かなかったが、魔力の流れ方がいつも以上にスムーズで、六角棒の柄も非常になじむ。
恐る恐る持ち上げて状態を確認してみるが、何の損傷も無い事がわかった。
まるで手足のように振るえ、戦車を切りつけても何ともない武装。其れがだんだんわかってくると、興奮が体の中から燃え上がる。
「どうかな?」
「すげぇ・・・ こりゃすげぇぇぇぇ!!」
856 :影響を受ける人:2016/05/29(日) 22:42:19
大興奮状態で大声を張り上げる。
それは獣の歓喜の様で、とても女性的ではないが、嬉しいという感情がはっきりわかる。
「そうか。それはよかった。」
「あ“・・・・」
それに大満足する天皇陛下にたいし、失態を犯したこと悟った真嶋志麻の引き攣った声が出た。
すぐさま振り返って頭を下げるが、そんな事は気にしない御方であったので事なきを得る事ができた。
後で書類と説教をもらう事になるが。
続いて陸軍狛犬隊副隊長 江草貴子が呼ばれた。
先程の結果を見て期待が高まるが、同時に不安にもなる。
どんなものが自分に与えられるのか、まったくわからない。
そんな思いを抱いていると、先程の様に再び目の前にモノが運び込まれてきた。
一見するとそれは鎧のようにも見えるのだが・・・ つける部位として言うならば、上半身だろうか。
「この防具は、名を【鬼支腕(きしで)】と言う。
防具に見えるかもしれないが、どちらかというと補助である。」
防具に見えるのに補助?
良くわからないが、黒子の人達に手伝ってもらって装着する。
「意外と軽い~?」
装着が終わって立ち上がってみるが、あまり重量が感じられない事に驚いた。
見た目古い扶桑の武者鎧、それも両肩から垂れ下がる“大袖”が、弾体の様に垂れ下がって腕の籠手につながる様になっている。
いろんな方向に腕を動かしてみるのだが、まるで阻害されるような事は無く、自在に動いてくれた。
「ではこれを持ってみると言い。」
「・・・・・・わぁ~」
そして、やっぱり先程の志麻の様に御試しの物が運び込まれて来ていた。
それは先日持ってこようとした30mm機関砲よりも大きい、37mm機関砲。
弾帯付きで、示された目標は先程叩き斬られた軽戦車。
「えっとぉ~・・・」
取りあえず視線を陛下に向けるが、相変わらずニコニコ笑うだけ。
すると、黒子の一人が陛下に耳打ちする。
「おお、そうだったな。跳弾を避けねばな。」
そう言って黒子と共に避難していく。どうやら御付の人がわかってくれたようで一安心。
ようやく安心して射撃ができる様になり、37mm機関砲を持ち上げて驚く。
両手で持ち上げたのはいつもの癖。何時もは20mm機関砲を扱っていたから、そのつもりだったのだ。
「軽い~・・・」
しかし、30mmよりも重いはずの代物が軽く扱える。これは自分の“怪力”を増幅させているのだと分かった。
そしてそのまま銃口を残骸に向けて発砲。
しばらく銃撃の音が場を支配していたが、扱っている貴子自身は大興奮状態。
「反動が力で殺せる~。跳ね上がるのを捻じ伏せられる~。真っ直ぐ狙えるぅ~!」
目算で3倍。いや、5倍近い能力の向上。これならもっと重い武器が持てる!
興奮しすぎて、全弾撃ち尽くすまで、ずっと貴子は笑い続けた。
以上です。
今回時間がかかりました。
さあ、あとの武装を考えなぁ・・・
最終更新:2016年09月13日 17:08