528 :ナハト:2016/06/18(土) 08:40:45

私は先日取材したAさんの話が信じられませんでした。
そこで、他の整備した関係者はいないかと探りを入れたところ、もう一人取材を取ることが出来ました。
彼は、その整備中隊の班長であり、現在は戦後立ち上げた大企業の会長となっていた


「初めまして。連絡を聞いた時は耳を疑ったよ。
あのミチル君に妹さんがいて、そのお孫さんが私に会いに来たかったと聞いてね。
今日会って、確信したよ。君はあの子の妹さんのお孫だ。本当にミチル君にそっくりだ。
彼女も生きていれば・・・・・

あっ、いや愚痴になってしまいましたな。本当に酷い戦争でした・・・・
私よりも若い兵士やウィッチがポンポン死んでいくものですよ。私達が普段いる基地も絶対安全ではなく
何度か奇襲的に襲撃が仕掛けてきたこともあって、私の整備中隊から何人か戦死者出ましたよ。


あの当時本当に安全と言える場所は扶桑の本土だけじゃなかったかなあ



おっと、話が逸れてしまいましたな。
私は元々本土の一部隊の整備士だったのですが
大陸で怪異が発生したという知らせと同時に大陸に渡りました。
基地は最前線近くで新設基地だったということで毎日資材が届いて
整理整頓のてんてこ舞いですよ。その合間に襲撃があったりとその対応にもでたりと
忙しい日々でしたよ。


彼女が、やってきたのは暫くして落ち着いた頃でしたな。
政府がウィッチの数不足を補うために学徒兵徴集したという
噂は前々からあったのですがいざ、現実の目の当たりになるともの凄く衝撃的でしたね。


ミチル君と出会ったのはそこでした。
彼女は明るい子でしたよ。面倒見がよくて、私達整備士たちにもきちんと挨拶をしてくれるいい娘でした
彼女達がいた龍宮隊は他の部隊とは一味違って10人で編成された部隊でした
他の部隊が平均4人ないし6人で編成されたことを考えると多いのは分かるでしょう?


それ故に他部隊が真似できないごり押しによる大戦果を常に挙げて連戦連勝でした。
私達も鼻が高かったですね。何せ彼女達の整備をしていたのは私達でしたから





      • ですが、それが悲劇のもとになってしまったのです。





いつも通りに帰ってきた彼女達でしたが
すぐさまに次の襲撃情報が入ってきて、そのまま空に上がっていったのです。
その時に新人が整備中だった銃をミチル君が取っていったのですが、すぐに追っ払って
すぐに帰ってくるだろうと楽観していたのですが・・・・数時間経っても彼女達は帰ってきませんでした。


どうしたのだろう?別の基地に不時着したのか?と思ったのですが
外から陸戦ウィッチ達が大急ぎで、担架ごと私達の基地に入ってきたのが見えてきました。
私が何事かと見れば、それは負傷したミチル君と千君でした。


私達は大急ぎ彼女達を集中治療室に連れていき、辛うじて峠を越すことが出来ました。
ですが、千君はもう二度と飛べない体になってました・・・・・
ミチル君の方は幸いにも軽傷で直ぐに復帰できたのですが・・・彼女は以前にあった娘じゃなくなりました。

529 :ナハト:2016/06/18(土) 08:41:15

明るい娘だったのですが暗い娘になり、優しさがなくなり、怒鳴り散らす娘になったのです。
また、銃が壊れたことにより、私達整備士に強い不信感を持って、整備を拒否する有り様で
止むを得ず、本土から来た補充兵であったA君にミチル君の整備を任せることにしたのです。


それから酷い物でしたよ。ミチル君が常にA君を罵倒するのを毎日見てました。
それでも、私達が出ればミチル君はよりこじれていくのが見えていたため私達は手出しできず
A君を通して少しずつミチル君に不信感が和らげればと願っていましたが・・・・それは叶わぬ夢でした


ある日のことでした。帰ってきたミチル君がA君を殴り飛ばしたのです。
どうも、A君が整備した銃に不満を持っていたそうです。もちろん、A君も殴りかかろうとして
私達が必死に止めました。


もはや、A君もミチル君もここには居る事が出来ず、喧嘩両成敗の形で二人とも転属してしまい、それっきりですよ・・・
彼の名誉に言っておきますよ。彼の整備はしっかりとしていて、ミチル君以外の整備士やウィッチがやっても
ほとんど違和感を感じないほどの故障です。というよりも戦場で使うには許容範囲内でした。
        • ですが、ミチル君はあの悲劇の後でしたから。僅かな故障でも神経質になってたんでしょうねえ。


本当に残念な結果になってしまいました。
罪悪感から来る贖罪というわけではありませんが、私は戦後企業を立ち上げて
積極的にあの戦争で体が欠損したウィッチや兵士達を採用して商売しました。


私はこの小さな手で故郷を人を守ってき彼女達が恩返し的に出来ることは何か?と考えた結果がこれです。
最初は赤字続きで倒産になりかけたこともありましたが、多くの人に支えてもらえて、今では大きな企業になりました。
今でも、障がい者・孤児の方を引き取って立派な社会に役立てる人を育てています。




        • A君に再び会えたら、済まなかったと伝えてくれないかな?」

530 :ナハト:2016/06/18(土) 08:41:47
終わり
もう一つの視点から見る整備士となります。
これでミチルがなぜA君につらくあったのが分かるでしょう。

531 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/06/18(土) 09:46:51
ほぼ半日で次話とは・・・乙です。
が、ちょい疑問点。
ミチルは龍宮隊壊滅後、他の隊から断れ続けてやっと狸釜隊に転属、でしたから、既に龍宮隊から狸釜隊に転属しているのでは?

532 :ナハト:2016/06/18(土) 09:51:30
狐釜にくる前に断られ続けてたので一人で出撃したのでは?と思いまして

533 :ナハト:2016/06/18(土) 09:56:33
もしくは、正式な部隊所属じゃない臨時にいたとか

538 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/06/18(土) 11:13:52 >>532-533
そうでしたか。
転属と書いてあったので、あれ?と思いましたが、納得です。

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最終更新:2016年09月12日 15:54