147 :影響を受ける人:2016/07/04(月) 20:42:13
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第九十四話 ―決戦前夜11 大人達は・・・―



辻正信が入室した時、夢幻会メンバーの少なさに溜息を吐きそうになったが、決戦間近のこの時期に秘密会議を開くこと自体が難しい。
特に夢幻会軍人メンバーは特に大忙しだ。
弾薬の積み込みも有れば、整備点検、急に出てくる不具合の処理。
どれをとっても手を抜けず、一つでも抜けばどんな弊害が生まれるかわからない。

「まあ。本当は自分も忙しいと言えば忙しいのですがね。」

そんな事を呟いて何時もの席に座ると、すでに着席している九曜葛葉=嶋田繁太郎を見やる。

「武装の貸し出しお疲れ様です。」
「いえ。対した手間ではありませんしね。」

労いの言葉をかけ、それに対して軽く答える。
長年の付き合いだからこその気軽さだ。

「しかし・・・本当に超兵器ですね。」
「あれが超兵器なら、国宝の武装は何ですか?」
「宝具でしょう。金色のAUOが集めているのようなモノです。」
「あっている感じで何も言えない。」

頭痛を抑える様に眉間をもむ九曜だが、夢幻会の反応としては当然。
ヲタク共はすぐに「某運命か。」と納得したが、三百年前ぐらいに同じように「型月じゃん。」と思っていたので何も言えない。
そんな二人に近衛文麿が声をかける。

「まあまあ。それよりも議題に入りましょうか。」
「そうだな。結果を知らずに進めるのもなんだが、先を見通せないのは不味い。」
「時には金を捨てる覚悟で投資せねばいけませんしね。」
*1

伏見宮博恭王殿下に同意する辻に対し、三人はすごく疑うような目線で彼を見た。

「なんですか? 信頼を得るために、あえて赤字を作るのも計算に入れねばならないのですよ。」
「何時も「予算が多すぎますね。カット。」とか、「これは認められません。却下。」と断罪しているからな。」
「すまん。自分は何も言えない。」

近衛の指摘に憮然とし、博恭殿下から視線をずらされて更に不機嫌となる。

「むぅ・・・」
「辻さん。機嫌を直してください。それよりも対外活動はどうなっていますか?」

どう報復・・・もとい、弄ってやろうか考えていたが、九曜に尋ねられてしまったので気持ちを切り替える。

「自分は大蔵省の人間ですよ? 対外活動は外務省の仕事です。」
「それはそうですが・・・」周りを見回し「誰もいませんので。」
「・・・到着が遅れているのでしょうかね。」

呆れて辻が溜息を吐くが、この世界に来てからと言う物、外務省に所属していたメンバーは大張り切りで外交をこなしている。
豊臣政権下では、古き良き大名家に連なる者達が要職を占めていために、録に携わる事ができずにいた。
しかし功績を上げて重要なポジションに収まっていたので、ある程度は意図的に操作も出来た。
海外派遣軍の帰還を速める事ができたのも彼等の御蔭と言ってもよく、欧州義勇飛行隊・リベリオン義勇飛行隊を引っ張ってきてくれたのも彼等が説得してくれたから。
欧州はウィッチを派遣して居たからいいとして、リベリオンからは多くの機材を購入しなければならなかったが、現場にとっては嬉しい誤算に収まっている。

枷が外れたのは織田政権下になってから。
豊臣政権の失態は大きく、要職についていた者達が後進に道を譲っていく中で、夢幻会は隙間を縫うように入り込む事ができた。
織田信平はこのことを察知していたがあえて無視。
どうせ自分は臨時政権の首相。長い期間、政権を維持することは出来ないと思っている。
ならば、九曜が擁護する者達を見極めることが肝要。

この国にとって良き守人になれるならばよし。外敵になるならば、死なば諸共で持って殲滅する気だ。
即断で激烈。信平をさすならこの言葉だろう。
博恭殿下も高く評価している。出来うるならばもう少し続投してほしいのだが・・・
流石に無理だ。信平自信「老いた奴が何時までも権力にしがみつくのはよく無い。若い知恵を常に仕入れ、彼等が立ち止り困惑した時こそ、手を差し伸べるべきだ。」そう公言している。
豊臣秀文がミスをしなければ、ずっと自宅で過ごしていたに違いない。

148 :影響を受ける人:2016/07/04(月) 20:42:51
そんなのを相手に頑張っている夢幻会政治部門は、何時もヒィヒィ言っては愚痴って帰っていく。
辻正信だけは何も変わらないが。
丁度その時白洲次郎が入室してきた。その後ろに付いて来るように山本五十六と杉山元も入室した。
二人が席に着くと、人数は少ないが会議を始めることにした。

「ちょうどよかった白洲さん、外交についてどのように進んだか、説明して頂けませんか?」
「それはいいのですが・・・」

始めると同時に辻が催促してきたので、何時もなら最初に報告してくる軍部部門の方を見る。
そちらには山本五十六、杉山元がいるのだが、二人とも頷いて促した。

「では・・・
 外交面に関しての進捗状況ですが、極めて順調と言えます。
 リベリオン合衆国より購入される武器弾薬は、適正価格で取引されており、今のところ不備は有りません。
 こちらから提供しているネウロイの情報、ウィッチによる戦術、ウィッチとの共同戦術といった情報が、高く評価されており、今後もよろしくという言葉を頂いています。
 フランクリン・ルーズベルト大統領は非常にこちらに対し、友好的に接しています。
 続いて欧州方面に関してです。
 初めにブリタニア連邦ですが。現在ウィストン・チャーチル卿が欧州各国に対して働きをかけています。
 主に懐柔ですね。思ったよりも扶桑皇国・・・いえ、此処は嶋田さんの御蔭による恩恵が大きかったようです。
 人数が多く、教導できるうえに、魔法による魔術治療が大分受けていたようです。
 手術による生存性向上、適性能力者による対病原菌治療魔法が支持されていたようです。
 続いてカールスラントですが今後も技術的な繋がりを、人道的な繋がりを求めています。
 前世のような野心家ではなく、何と言いますか・・・昭和天皇陛下に通じるものが有りますな。
 現方針により、カールスラントにおける技術者募集は、前世の様な勧誘はしていません。
 ですが、皇帝陛下が扶桑に渡る事を推奨しているようです。航空母艦を要望通りに改装したのと、ウィッチ専用軽空母をいたく気に入ったようです。
 我が方としても技術大国として大成するために、彼等の待遇を優遇する事を改めて再度確認しなければなりません。
 続いてガリアの動向ですが・・・ここは“原作”同様と言って良いです。
 先のウィッチ強制撤退において、強く反対していた一派は今のところ大人しくしています。
 しかし貴族は何と言いますか・・・言いたい放題、まったく纏まりが無いと言いますやら・・・
 今は声が小さく無視できます。その間に有力な、良識を持つ貴族。軍部における将校の接触が必須であり。
 慎重に精査しながら進めています。
 特に我が方のウィッチ取り込みを暴露した将校についてですが、すでに接触済みであります。
 彼に対する支援ですが今は無理と判断し、“原作”通りになり、組織の筆頭となる時に支援する事を提案します。」

長い説明を聞き、一同はよう手ごたえに頷く。
前世の様な疑惑なく、良い感触に自然と顔が緩む。
この世界特有の“人類共通の敵”が存在するが故に、自然と隣人と手を取り合う事ができる。
某世界では疑心暗鬼に謀略、自分勝手な思想が蔓延しているが、この世界にはまったくと言って良いほどない。

「提案を了承しましょう。」
「そうだな。まともな思考を持つ人物が、ガリア奪還後に代表となれば国民も納得しやすくなるだろう。」
「だが“ノーブル”に出てきた諜報部隊はどうする?
 彼等はウィッチまで戦力にしている。無視するには危険すぎるぞ。」
「・・・・・・自分は出せませんよ?」

何名かが九曜を見るが、回答は冷たい。
しかし予想された回答でもあったので、すぐさま視線は戻された。
九曜葛葉には分体と言う便利な能力がある。しかし遠距離まで届けるには消費する魔力が多すぎるし、維持を考えると全く見合わない。

「新撰組を回してみては?」
「杉山さん。部隊長は黒田那佳の本家の姉ですが・・・」
「だが構成される部隊員は転生者だ。副隊長当たりに言っておけば守るくらいは出来るだろう。」
「ですが彼女等は陸戦部隊ですよ。」
「墜落したウィッチを拾いに行く。確かエイラの姉、アウロラがやっていた行為をそのまま踏襲してもらえばいい。」
「そんな無茶な・・・」

流石の近衛も杉山の押しに呆れたが、後にこれは決定される。
手札が少ないのも事実なのだ。それに報告にあった将校は、リベリオンに渡って自由ガリア亡命政府を立ち上げ、ガリア解放の実現させることになる。
苦労も背負いこむことにはなるが、この辺は致し方が無いだろう。

149 :影響を受ける人:2016/07/04(月) 20:44:48
「さて、次は海軍だな。獲らぬ狸の皮算用になるが。
 とりあえず建艦計画についてだが、大和型戦艦は三隻に抑え、前世でも建造した伊吹型三隻を建造する。
 その後の戦艦建造計画だが、旧式になる戦艦【金剛】【比叡】【霧島】【榛名】【山代】【若狭】【伊勢】【日向】を廃棄決定後、代替え艦として建造を予定している。
 艦の設計はまだ済んでいないが、未来でも活用できるぐらいに余裕のある艦体とする予定だ。
 とりあえずは40.6cm50口径砲を搭載予定であり、最大速力は33ノットを予定している。
 次に正規空母だが、大鳳型が将来のジェット機運用に耐えられるようにしたいと考えている。
 これは前世と同様だな。特に説明する事でもない。
 だがウィッチ専用空母建造をすべきかどうか、現在も検討中だ。
 ウィッチは所謂軽戦闘機ともいうべき存在で、将来においてネウロイが高火力、高硬度、高速力を発揮しうる可能性が示唆されている。
 現行の戦闘方法では対抗が難しくなると考えられており、通常戦闘機を改良したウィッチ専用通常戦闘機開発が進められている。
 理由はやはり積載量の改善、誘導兵器の出現だ。今は運搬を専門とするウィッチがいるが、その後も上手く行くとは考えられない。
 現在レシプロ機での試作機を製造しているが、形になるのは来年以降だな。
 成功を収めれば通常の航空母艦建造ですむ様になるし、魔力の節約にもなるだろう。
 故に大鳳型優先で計画は進んでいる。一応ウィッチ専用航空母艦として雲龍型として設計だけは進めている。
 補助戦力となる重・軽巡洋艦、駆逐艦建造は、そのまま流用して改めればよいと思う。
 そして国外売却用として天竜型航空巡洋艦の設計はだいぶ進んでいる。
 それから夢幻会所属の設計士から一つ提案が有ったのだが・・・現実味が無い為、現在精査している。
 最後は陸戦兵器と航空機に関してだが・・・」

ちらりと杉山の方を見る。

「歩兵の武装に関してだが、墳進砲の配備を進めている。後は対物ライフルの研究だな。
 将来において大陸反攻作戦は必ずやる。その際に歩兵戦力が旧式のままではいけない。
 連射できる機関銃の配備も必須だが、中型以降のネウロイの装甲は硬く、機関銃程度では足止めすらできん。
 よって強力な一撃を加える必要性が出てきた。現在は対戦車ライフルを配備してお茶を濁しているが、未来おいては対物ライフルを一部隊に一丁は配備させてやりたい。
 続いて戦車だが。緊急製造していた駆逐戦車・・・あー通称【チハ】だが、思いのほか高性能なせいで、現場から後継戦車に駆逐戦車を望まれている。
 とりあえず主砲口径を同じにした旋回砲塔の戦車と、オープントップの自走高射砲開発を計画にいれている。
 いれているのだが・・・更に大口径砲を搭載させ、同じ車体を流用した駆逐戦車の開発も同時に進めている。」
「結局駆逐戦車は作るのか。要望に折れたか?」
「殿下、それもありますが中型には有効でも、大型に対しては無力では話にならない。この現場からの悲鳴はわかるのですよ。
 【チハ】は上手くやれば中型位倒せる実力を有しています。
 しかし大型が相手となると、表面は削れても中までは打撃が加えられません。現状ウィッチの攻撃でしか仕留められないのです。
 一応野砲の集中砲火で撃破可能です。ですが野砲の攻撃は、弾着まで時間がかかり、展開にも時間がいります。
 故に、他の方法でも打撃を与えられる兵器は必要なのです。」
「そうか、すまないな。」
「いえ。大丈夫です。」

150 :影響を受ける人:2016/07/04(月) 20:45:30
素直に謝る博恭殿下に対し、杉山は非常に恐縮しきった様子で返答した。
昔の、前世の博恭殿下ならばもうちょっと好戦的な所が有ったかもしれない。
しかしこの場には九曜・・・嶋田がいる。
昔の恥ずかしい一面を知る、もう一人の育ての親には頭が上がらない。
それに、唯一皇族を怒鳴りつける事ができる人物であり、昔はよく怒鳴られては躾をされたものだ。

続いて飛行機部門の報告もあったが、その前に行われた会議とあまり変わらなずに終始した。
ストライカーユニットの更新は出来ず、通常戦闘機部隊も変わらない。
夢幻会のヲタク共としても、可愛く、将来もある女の子たちの負担を軽減させてやりたいという気持ちもある。
その思いで陸軍と海軍に志願した転生者も多い。
だが、出来ないモノは出来ない。

「最後に私から申し上げましょう。
 現在、台風の規模の拡大、制御による牽引は上手く行っています。
 決戦日時8月30日には到着します。」

九曜から報告が入り、一同安堵する。
台風に突っ込むなど、今でも正気ではないと思っているがしかし、勝利の為ならば嵐に突っ込む覚悟はしてある。
そんな一同の中で、九曜だけはどうにも気持ちが晴れなかった。
自身の持つ未来予知能力。自分が尽き果てるまでしなければ訪れる厄災。
長い経験の中で絶対に何かが起こるとお思っているが、何かはわからない。
もどかしい気持ちを抑えつつ、細かい質問が始まった会議室に身を置くのだった。



以上です。
なんだか説明回になってしまった。

変更しました。
なにも思い浮かばず只削除し、教えていた自走高射砲の一文を追加しただけ・・・
済まぬ済まぬ。

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最終更新:2016年09月13日 11:23

*1 (お前が言うのかよ・・・・・・