50 :641,642:2015/02/23(月) 21:34:29
7月16日 台湾沖にて

「いったい何処のボケナス野郎だ!『サルどもにB-17を落とせるような航空機なんて存在しない』なんて大法螺吹きやがった奴はぁ!!
こっちの方が敵機を落とせねえぞチクショウ?!」

『台湾沖航空戦』に参加したとあるB-17の機銃員が戦死する直前に放った最後の絶叫が、この空戦…と言う名の殲滅戦…の状況を物語っていた。


相互に宣戦布告状が手渡された後、初めに動いたのはアメリカ軍の陸軍航空隊…その戦略爆撃機部隊だった。極僅かの予備機と故障機を残して、在フィリピンの殆どのB-17を用いた台湾への戦略爆撃には、流石に反対意見がチラホラ見受けられた。…あまりにも性急すぎる。
もっと情報を確保してからでも遅くは無い…と。

だがアメリカ軍戦略爆撃機司令官のカーチス・ルメイは、全ての反対意見を押し切ってB-17を出撃させた。諜報部から伝わった日本戦闘機(98式)の性能が…実際よりも…低く表されていた事、日本海軍の空母の豊富さから出撃以前に横合いから奇襲されて地上撃破されたらたまった物では無い事、台湾にも戦略爆撃機等各種戦力が見受けられた為、先制攻撃してその戦力を減殺しこれからの戦争を有利にする事、そして開戦初頭に大戦果を挙げる事により、戦略爆撃機部隊への予算と発言力をさらに増やす事…これらの事柄により、緒戦でB-17を多数失うリスクよりも、先制攻撃による多数の戦果によるリターンの方が大きいと踏んだのである。


そして、ルメイによる開戦初頭の博打は、見るも無残な結末に終わった。それもたった一度の戦闘で。

出撃して少ししてから、フィリピンを偵察していた電探や無線機満載の電探哨戒機型連山(間に合わせの為偵察専用でジャミング不可。現在愛称募集中)に捕捉され、B-17の大群が台湾沖に近づいた頃、哨戒機型連山の指示の元、機体の直上や真下から多数の日本軍戦闘機『烈風』『隼』が襲い掛かったのである。B-17の防御火器は12,7ミリ機銃。いくらコンバットボックスで死角を補い合っているとはいえ、自分の機銃では敵機をまともに撃墜どころか損傷すら負わせにくいと言う状態では、どんな陣形を取ろうがどれだけ機銃員が根性見せようが、はっきり言って何の意味も無かった。


結局物量によってか、はたまた欧州で積んだ実戦経験の差か、もしくは頑丈だった為か…日本迎撃戦闘機群を強引に突き破る事の出来た10機程度のB-17が台湾上空にたどり着けるも、台湾本土近くで最終迎撃態勢を整えていた戦闘機に無数の対空砲火も歓迎して来た事により、そんな状態での軍事施設狙いの爆撃など出来る筈も無かった。

…そしてB-17は、一機が市街地に破れかぶれで一部投弾した以外は爆弾漕すら開く事も出来ずに一機残らず地面か海面に叩き落された。
日本側の損害は戦闘機が10機程撃墜破されたのと、避難が遅れた台湾在住の民間人に50名近い死傷者が出た事、そして民間の建造物が幾らか爆撃により破壊された位で、軍事的戦果は皆無と表現するしか無い程の惨状であった。

51 :641,642:2015/02/23(月) 21:37:15
パイロットだけで無く、整備士からも『飛んでいるのが奇跡』と表現されたほどの損傷を負ったB-17が複数機基地に帰投後に『台湾沖航空戦』の顛末を本国と司令部に報告し、誤報かと本国から何度も確認の連絡がきてフィリピンの司令部が現状把握に半狂乱になっている頃。


7月20日。本国国防省庁や各軍司令部に極東等からの報告が入ってきた。始め二つは戦前から予測していた事、残り六つは予想何ぞ欠片もしていなかった報告だった。

『一つ、中国海岸沿いの連合軍拠点、日本軍の空襲により無力化される。』

『二つ、グアム島陥落、ウェーク島に空襲』

『三つ、日本本土より多数の輸送船団出港。針路はフィリピン、インドシナと推測』

『四つ、日本軍基地航空隊と空母機動部隊の航空攻撃により在フィリピン航空戦力、並びに蘭軍艦艇多数撃沈。軍事基地にも多大な損害発生』

『五つ、日本軍潜水艦による通商破壊により太平洋、西海岸を航行していた多数の船舶、護衛の駆逐艦が撃沈される。現在もこの状況は継続中』

『六つ、日本周辺のみならず、極東方面に配置した多数の潜水艦との通信途絶』

『七つ、日本本土スパイ網完全壊滅』

『八つ、戦艦『モンタナ』『ニューハンプシャー』、潜水艦の雷撃により大破』


…そして南方に鉄と油、そして血の奔流が生まれる胎動が動き始めていた丁度その頃、反対側の日本本土の『試される大地』方面では。


「…連山や偵察機からの、敵機の報告は?」

「…いまだに何も。」


アラスカやカムチャッカ方面から飛来する『ハズ』の爆撃機迎撃任務に従事していた戦闘機隊が完全なる待ち惚けを食らっていた。

52 :641,642:2015/02/23(月) 21:40:05
はい、以上になります。
…そしてフィリピンに救援にくるアメリカ艦隊の巡洋艦や駆逐艦の編成と数…
英ソ連合艦隊の護衛艦艇の編成も(wikiりつつ)早く決めないと…

御免なさい次回投稿本気で何時になるか分かりませぬorz

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最終更新:2016年10月10日 19:39