379 :641,642:2015/03/05(木) 21:11:05
…さて、西の方では大艦巨砲主義の世界が生んだ最強の戦艦群と、航空主兵主義の世界で育った最良の戦艦たちが、真夜中のウェーク島沖で火薬と鋼鉄による殴り合いの準備を始めている時、同じく夜になりつつあるフィリピン沖でのソ連艦隊の旗艦にて、指揮官のイワン・ユマシェフが諦観の表情で、破壊された上に中身も空船化した自軍のカリーニン級軽空母の一隻である『クイビシェフ』が…負傷兵、沈没船の乗員を乗せて…イギリス海軍の残存艦艇と共に暗闇に紛れてシンガポールへ撤退して行ったのを眺めていた。
「………イギリス海軍、『黄色人種の作った航空機何ぞ我がロイヤルネイビーの敵では無い。君たちはボルシチでもウォッカでも飲んで見学して居なさい』(意訳)等と偉そうに大言ホザイテいた割には何の役にも立ちませんでしたな。」
「『的になってくれて感謝する』(直球)…とでも伝えましょうかね、艦長?まあ私たちの被害も酷いので余り人の事は言えませんが。と言うか偉大なロイヤルネイビー…」
「皆、言いたい事は良く分かるが、もう言ってやるな。私たちはこれから突撃して来るであろう日本海軍への対応をしなければならないのだからな」
『それに海戦のルーキーである我らがこれ以上言うと、彼らが哀れ過ぎるぞ。色々な意味で』
ユマシェフの最後の冗談により艦橋は苦笑いに包まれた後、何とも表現し辛くとも暗くは無い雰囲気となり、それぞれ次の戦闘に向けての準備を開始する。つい先ほどまで覆っていた…怒りや絶望、嘲笑などの…負の感情は、取り敢えずは感じられなくなった。
…しかし、この先本当にどうするべきなのか…本来なら普通に考えれば撤退一択だが、相手の艦隊は最大でも重巡洋艦…それもアメリカ海軍のボルチモア級等とは違って、かなり小さめの…そう、時代的に軍縮条約前の建造艦と思われる、今の時代だと軽巡洋艦と大して変わらない規模の重巡洋艦程度だと言う。
戦艦が一隻も居ない艦隊相手に恐れをなして逃げ出したら、ソ連海軍の評判は、ソビエト連邦の威信は…
「レーダーに反応有!巡洋艦や駆逐艦等と思われる反応多数!日本艦隊と思われます!!」
イワン・ユマシェフがこの先どうするか逡巡している時に飛び込んで来た報告により、ソ連艦隊は有無を言わさずに日本海軍との交戦継続を余儀なくされた。
突撃して来る日本海軍の艦艇構成は、重雷装仕様の重巡洋艦4隻、軽巡洋艦3隻、駆逐艦多数。
対して迎撃するソ連艦隊の構成は、戦艦4隻、軽巡洋艦1隻、駆逐艦4隻。
380 :641,642:2015/03/05(木) 21:15:03
…ソ連艦隊が何故こんな主力艦偏重にも程が有る構成になっているのか、それに6隻居たはずの戦艦が何故4隻になっているのか。それとイギリス海軍が何故此処に一隻たりとも残っていないのか。
その疑問の答えは、ほぼ同時刻のウェーク島沖で、アメリカ海軍が日本軍艦載機部隊の襲撃で酷い目にあっている頃に発生した戦闘の結果に有った。
アメリカ太平洋艦隊と同じく『彩雲』の偵察に対してまともに迎撃も撃退も出来ずに、悠々と自分たちの居場所と全戦力を報告された英ソ連合艦隊。確実に日本海軍艦載機の襲撃を受けると判断した両艦隊は、セオリー通りに戦闘機隊の即時発艦体制を取りつつ、四方八方に偵察機を飛ばし続けていた。
…ただ、マートレットやアベンジャー等、(シーファイア除き)普通の艦載機を多く使用している英軍空母はともかくとして、艦載機開発のノウハウ何て皆無で、
アメリカやイギリスの『友人たち』からの援助も無かった為に、陸上戦闘機であるシュトルモビクやヤコブレフYak-7を改造して艦載機にせざる負えなかったソ連空母では、偵察や上空哨戒に出ていた機体が…帰還する度にかなりの確率で…着艦事故で脚部を傷つけるか圧し折る事態が発生し続けていた。
その為に英軍将兵からは嘲笑が、ソ連将兵では憐れみと同情の目線と声がかけられていたが…
そんなグダグダしている二国艦隊に対して、日本第二機動部隊が差し向けた『烈風』と『流星』、そしてその二機種に搭乗する…第一機動部隊には『少しばかり』劣るが…優秀なパイロットが舌なめずりした状態で襲撃を開始した。
無論英ソ連合艦隊もずっとボケーっと海に漂っていた訳でもなく…所謂ビギナーズラックと言う奴か…初陣で偵察に出たソ連海軍カリーニン級軽空母三番艦『クイビシェフ』所属のシュトルモビクが進撃途中の日本艦載機部隊を発見し、報告した為に、英ソ共に出せるだけの戦闘機を艦隊上空に配置する事が出来た。
…とはいえ、英ソ両艦隊の艦載機総数は250機強程度。大して日本機動部隊の艦載機総数は350機程。この大艦巨砲主義世界では、世界トップクラス(と言うかトップ)の空母部隊を保有していて、尚且つ戦闘機中心で、そう易々とは突破されない編成であったはずのアメリカ海軍ですら、日本機動部隊に…それなりに日本側に幸運(敵兵大混乱、無線飽和による敵機の連携途絶等)が有りはしたが…痛撃を食らう羽目にあったのだから、100機近くも数で劣勢、質でも劣位の英ソ機動部隊が、日本機動部隊の攻撃を無傷か損傷少なく切り抜ける事なんて出来る筈が無かった。
381 :641,642:2015/03/05(木) 21:18:39
まず初めの第一次攻撃隊の標的になったのは…大英帝国の…ある意味戦艦以上に…貴重な正規空母であるインプラカブル級空母『インプラカブル』『インディファティガブル』の二隻であった。
第一機動部隊と同じく、戦艦は優先目標から外されてはいたが、それ以外の細かい指示は特に無かった為、艦載機乗りの本能に従って『流星』部隊は多数『インプラカブル』『インディファティガブル』に対して攻撃を開始した。まあ戦艦以外だと一番目立つ艦艇であるから仕方が無い。(尚画面外では、『烈風』が大した被害も無く英ソ戦闘機部隊を張り切って駆除しています。むしろ烈風相手にマートレットだのシーファイアだのYak-7でどうやって勝てと。数でも劣勢なのに)
アメリカ海軍よりもかなり薄い弾幕を…流星の強靭な防弾能力も有り…難なく突破後、攻撃機から放たれた多数の魚雷や爆弾が自由落下やスクリューの機動を始め…、多数の水柱が立ち上った後、それが収まるころには『インプラカブル』も『インディファティガブル』も、まるで天から見えない巨人の手によって海面に押し付けられているかの様に勢い良く沈没を始めるか、完全に横倒しになるかのどちらかになっていた。
そして英軍正規空母二隻を戦闘開始直後に撃沈したのを皮切りに、第二機動艦隊艦載機部隊は、同時期に遠く東方で行われているアメリカ海軍フルボッコ劇が柔く感じられるレベルでの徹底的な蹂躙劇を開始した。そしてさらに救いようが無いオマケとして、艦載機部隊の攻撃と合わせて、対艦攻撃訓練を積んだ伊号潜水艦隊による襲撃も、水面下で始まっていた。
艦載機攻撃隊では、時間と弾薬の許す限りの…対艦用爆弾や魚雷は当然として、敵艦に掃射した機銃弾も大分消耗した…艦艇攻撃を繰り返し、潜水艦も(余力を残しつつ)食い荒らした後のフィリピン沖に残されたのは…
ソ連海軍
戦艦
ソビエツキー・ソユーズ級『ソビエツキー・ソユーズ』『ソビエツカヤ・ウクライナ』
モスクワ級『スターリングラード』『レニングラード』
(モスクワ級戦艦『モスクワ』は4本、『キエフ』は3本の伊号潜水艦の雷撃が直撃し大量に浸水、応急修理に失敗し沈没)
(健在の4隻も、機銃掃射やロケット弾攻撃等でそれなりの数の副砲や高角砲等を排除済み)
軽空母
カリーニン級『クイビシェフ』
(艦載機全滅の上飛行甲板等の損傷大なり。航行には支障見られず)
軽巡洋艦
チャパエフ級『フルンゼ』
(15.2cm 3連装砲二基損壊、使用不能)
駆逐艦
オグネヴォイ級4隻
大英帝国海軍
駆逐艦
バトル級2隻
382 :641,642:2015/03/05(木) 21:22:07
…生き残ったのはコレだけであった。いや、むしろ潜水艦の襲撃に加えて、第一次、第二次攻撃隊の烈風に殆ど全ての戦闘機を撃墜され、最初っから最後まで流星に加え烈風にすら良い様に攻撃され続けた事を考えると、『コレだけ生き残れた』と表現するのが適切なのかもしれない。
取り敢えず艦載機全滅の為居ても的にしかならない『クイビシェフ』を、仮に合流しても使われる戦闘用語等が違い過ぎたり、共同での艦隊運動訓練等一度もやった事が無い為に、双方にとって害にしかならない英海軍バトル級駆逐艦二隻護衛に就かせて退避させた後、イワン・ユマシェフ司令官が撤退か否か考えていた時に発生したのが、冒頭の状況である。
「さて…もはや笑うしか無い補助艦艇の少なさを、戦艦の砲力でドレだけ補えるか。…正念場だな」
ユマシェフの小さな呟きは、『ソビエツキー・ソユーズ』たちの砲撃音によって掻き消された。
第一遊撃部隊 旗艦 重雷装重巡洋艦 『青葉』
「さあもうそろそろ敵さんの砲撃が来るぞー。総員訓練、作戦通りに動くように。…どうした、皆強張った顔をして?」
「少し、緊張しているだけです。…重雷装重巡洋艦は、駆逐艦や雷撃巡洋艦とは違って、雷撃後も敵戦艦との至近距離にて砲戦を展開する艦艇
です。今までこの様な艦艇に乗った事は皆有りませんので…」
「なんだ。そんな事で緊張していたのか」
「そんな事って…司令官、何か楽しそうですね…」
「艦載機部隊による攻撃で戦艦の副砲や高角砲の多くは排除できている。ソ連の軽快艦艇も軽巡1と駆逐艦4のみで脅威にはならん。オマケに相手さんは海軍創設以来今回が初の実戦だと言う。何時も通り落ち着いてやれば何も問題は無い」
…指揮官だからこそこう言わなければならないが、俺の本心は君たちと同じだ。誰が味方戦艦の援護無しに敵高速戦艦の懐に好き好んで飛び込もうと言うのか…
初実戦の相手が高速戦艦な上に、自分たちの乗艦が色物以外の何物でも無い『青葉型重雷装重巡洋艦』で、司令部要員がややあがっているのを余裕の笑みを見せて落ち着かせるも…心中ではその要員たちと大体同じ心境であった、第一遊撃部隊司令官の通称『雷撃戦の神様』の異称を持つ帝国海軍軍人である、三川 軍一。
基本的に第二次世界大戦頃の、誘導爆弾や対艦ミサイル等の誘導兵器が無い時代の…単艦行動等では無く、艦隊を組んで戦う…通常の海戦の基本的な常識として、『『優秀な高速戦艦』を沈めたければ、『敵高速戦艦と同等かそれ以上の能力と連度を持つ高速戦艦をぶつける』か、『強力な航空機の群れで袋叩き』にするかしか無い』と言う物が有る。
383 :641,642:2015/03/05(木) 21:26:19
幾らそれなりに損傷していても、巡洋艦や駆逐艦では余程の数の差がなければ戦艦には勝てない………と言うよりも、たかだか数にして5倍10倍程度の差で巡洋艦や駆逐艦に負けるような戦艦は、戦艦を名乗る資格は無い。よく言って「戦艦のようなもの」、悪く言えば「デカいだけのただのゴミ」である。
超高連度の水雷戦隊に炸裂量強化型の超高性能酸素魚雷と言うジョーカーを保持していると言っても、長時間敵戦艦の主砲弾の雨に晒されながら、雷撃の為に二度もどてっぱらを敵戦艦に見せ、最後には近距離砲戦を挑みかかると言う…上で語った海戦の常識からして、どう考えても『死ぬがよい』と言わんばかりの運用が目指されている青葉型、古鷹型重雷装重巡洋艦の一隻に乗艦する羽目になった三川にとっては、今となっては『何故俺は雷撃戦訓練で記録的好成績を残してしまったんだ…』と嘆きたくなる状況であった。
「敵戦艦発砲!」
だがソ連海軍は、至極当然の事ながら砲撃を開始し、それ以上三川たちが心内で嘆き続けるのを許す事は無かった。
「全艦回避運動を取りつつ敵戦艦に突撃せよ!タイミングを合わせて雷撃を実行する!各員、死力を尽くせ!!」
そして日本海軍も己の持つ鋭い短刀をソ連戦艦の喉元に突き立て、その命を刈り取る為に行動を開始した。
この海戦で初めに損害が出たのは…当然ながら日本海軍だった。ソ連海軍の戦艦は『控えめな攻撃力』と評されてはいるが、その比較対象はモンタナ級やアイオワ級、ライオン級等と言った『戦艦』である。『巡洋艦』や『駆逐艦』に取って見れば、『控えめ』どころか『強大無比』な攻撃力でしかなかった。
敵艦を砲撃しつつ回避運動を取り続けているさなか、運悪く『ソビエツキー・ソユーズ』の砲弾が至近弾となり、その爆圧を受けた重雷装重巡洋艦『衣笠』はスクリューを損傷し速力が急激に低下。その直後に降り注いだ『スターリングラード』の砲弾をモロに喰らってしまい…軍縮条約前に生まれた『衣笠』に41㎝砲弾の威力に耐えられる筈も無く、一撃で撃沈。『衣笠』は、日本海軍が今戦争で初めて喪失した大型艦艇となった。
厄災は当然ながら重雷装重巡洋艦だけでなく、軽巡洋艦や駆逐艦にも降りかかった。
川内型軽巡洋艦の一隻『那珂』は、あえて敵戦艦の注意と砲撃を引き受ける為に探照灯を点灯した為に敵戦艦の砲弾が集中。『華の二水戦』の旗艦を姉妹艦と一緒に長年務めあげた老練艦の意地か、機関が焼き付かんばかりに回し続け、軋む船体を酷使して敵艦隊の注意を全力で引き付け、味方が雷撃に成功するまでの時間を得る為の命がけのダンスを踊り続けてかなりの時間を稼ぐ事に成功した彼女には…敵戦艦からの褒美として、46cm砲弾が2発命中し瞬時に爆沈。生存者がたった1人のみと言う、壮絶な最期を遂げた。
384 :641,642:2015/03/05(木) 21:30:59
朝潮型駆逐艦『峰雲』には戦艦の砲弾が命中こそしなかったものの、至近弾の爆圧で艦尾が抉り取られて航行不能となり、戦線から離脱せざる負えなくなった。
『霰』『荒潮』には41㎝砲弾、『朝雲』には46㎝砲弾が命中。装甲皆無な駆逐艦が戦艦の砲撃を受けて浮かんでいられる筈も無く、轟沈。
三隻とも、生存者は発見されなかった。
一糸乱れぬ激しい回避運動を展開していても、『当たりにくくなる』だけであって『当たらない』訳では無い。このまま敵戦艦の砲撃を許し続けていれば、遠からず第一遊撃部隊は壊滅する事になったであろう。
「…良し。現状は優勢。このまま行けば問題無く押し切れるな。」
…だが、ソ連艦隊が日本艦隊に対して圧倒的優位に戦えたのは此処までだった。
見張り員が突如前触れなく絶叫した時から、ソ連艦隊の短い栄光は早くも終わりを告げた。
「敵艦隊より魚雷多数接近!!!」
…ソ連艦隊の不幸は、日本海軍が…自分たちの世界では開発が断念、中止された…酸素魚雷を、それも徹底的に強化された物が実戦配備されている事を知らなかった事。又実戦経験の少なさゆえに、日本艦隊の水雷戦隊が自軍の想定地点より遠くで反転したのを見て「我らの砲撃に恐れをなして、重巡部隊を見捨てて逃げ出している」と誤解してしまった事。…この二つだろう。
遠距離から雷撃後、セオリー通り全艦がすぐさま離脱したらソ連艦隊は…日本艦隊の行動を…不審に思って回避運動を取る可能性が有った。
確実に沈める為に全力で突撃して近距離で雷撃しようとしたら、それこそ恥も外聞も無く30ノットの高速を生かして逃走するかも知れなかった。
…経験が無いからこそ、そしてソビエト連邦の艦艇の補充能力がそこまで高くないからこそ、情報不足も有ってソ連艦隊がどのような行動を取るかは完全に不明瞭であり、臆病なまでに慎重な…それこそ石橋を叩いて壊して鉄橋を掛けた上で戦艦大和で川を渡る様に行動する『かも』知れなかった。
だからこそ、ソ連艦隊に『自分たちが優位に有る』と誤認させ、このまま撤退させない為にも、三川艦隊は遠距離で雷撃を実行し、重巡部隊と一部の駆逐艦は雷撃後に離脱せずに敵戦艦に喰らいつかせる事を選択した。
ソ連戦艦は30ノット前後の速力を持つ高速戦艦である。この世界のアメリカ戦艦の性能はこの世界きっての、文字通り最強クラスであるが、ソ連戦艦に関してもかなり優秀な能力を保持していた。戦闘に手慣れた熟練の水兵が多数搭乗すれば…化物としか表現しようの無いモンタナ級やUS級よりかはマシだが…見逃す事など出来ない、極めて大きな脅威となる。熟練の水兵が乗っていない今が、この4戦艦を撃沈して実質的にソ連をこの戦争から離脱させられるか否かの境界線であった。
そして戦場の女神は、一発当れば即座に死一直線と言う戦場で、決死の覚悟で死のダンスを舞い続けた勇者たちである日本海軍に微笑んだ。
385 :641,642:2015/03/05(木) 21:35:44
初っ端からそれこそ無数に放たれた酸素魚雷の群れが始めに牙を剥いたのは、ソ連艦隊旗艦『ソビエツキー・ソユーズ』。強固に守られたハズの重要防御区画をあっさりと突き破ったのち、酸素魚雷4本に搭載された多量の爆薬が炸裂。炸裂量強化型の酸素魚雷を4本も喰らえばダメージコントロールも何もあった物でもなく、即座に総員退艦命令が下され、沈没した。
『ソビエツカヤ・ウクライナ』に命中したのは二本。…それも接近してくる駆逐艦の襲撃から離れる為に全速で走りだした最中に艦首部分に直撃してしまったものだから、大穴の空いた艦首から自艦が前進するにつれて大量の海水が浸入。排水も間に合わない内にズブズブと沈み、最後は突撃して来た駆逐艦『満潮』『大潮』の雷撃により介錯され、フィリピン沖にてその3年にも満たぬ艦生を終える事となった。
『スターリングラード』には一本命中し、応急修理が遅れた事により速度がかなり低下。必死に主砲を振りかざして迫りくる日本艦艇を攻撃するも、『青葉』の砲撃が偶然にも艦橋部分に命中。艦橋要員が多数薙ぎ払われ、…指揮継承に手間取った為に…一瞬だけ生まれた指揮の空白を好機と見て突撃した『神通』と『朝潮』、そしてその空白を生み出した下手人たる『青葉』による至近距離の雷撃により8本もの魚雷が直撃。多数の水柱が収まった時には…『スターリングラード』は、この世から跡形も無く消滅していた。
寮艦が次々と被雷して行く中、『レニングラード』だけは雷撃を回避する事に成功するも、その無航跡の魚雷に注意を取られ過ぎた『レニングラード』の退避針路を予測して展開し、激烈な砲撃を展開した『古鷹』『加古』の猛攻により火災が発生。昼の防空戦では奇跡的に引火しなかった大量の可燃物が今度ばかりは大炎上。延焼が急激に広がり戦闘力が一気に低下した隙をついての雷撃で撃沈される。
尚、自軍戦艦部隊を守る為に日本水雷戦隊へ突撃した『フルンゼ』やオグネヴォイ級駆逐艦に至っては…死神に魅入られでもしたのか、極めて不運な事に『華の二水戦』での旗艦歴が一番長い『川内』率いる水雷戦隊と真正面から激突する羽目にあい、『フルンゼ』が航空攻撃で主砲を二基使用不能にされている上に、(転生者ボーナスの差も有り)日ソ海軍の連度が違い過ぎる事も有って撃沈や撃退どころか、一矢報いる事すら叶わずに一艦残らず殲滅された。
…そして、日ソ艦隊による砲雷撃戦が始まる前に撤退を開始した軽空母『クイビシェフ』とバトル級駆逐艦二隻の針路上には、昼の海戦でも戦艦二隻を撃沈させる殊勲の功を立てた潜水艦隊が『食後のデザートだ!』と言わんばかりの戦意で多数待機していた。その後の英ソ連合艦隊三隻の艦艇の末路は、言うまでも無かった。
386 :641,642:2015/03/05(木) 21:37:04
最終的に、日本海軍は重雷装重巡洋艦『衣笠』軽巡洋艦『那珂』駆逐艦『霰』『朝雲』『荒潮』『峰雲』(自沈処分)を完全喪失するも、代価としてソ連、イギリス双方の極東艦隊を全滅させると言う大戦果を得る事に成功した。
…そして第一遊撃部隊の各艦艇が、自分たちが『戦艦の援護無しに敵戦艦を撃沈する』と言う偉業を成し遂げた事に興奮する気持ちを落ち着かせつつ、敵味方問わずに救助活動を行っている時に、自分たちと大よそ同じころに遠く東の海のウェーク島沖にて始まっていた大海戦の結果が飛び込んで来た。
387 :641,642:2015/03/05(木) 21:40:04
投下完了に御座いまするー。
うん、コレは本気で酷い日本無双。
調べこそしたけど…水雷戦隊の戦術も有ってるかどうか…
ヤベ、心配で胃が痛くなりそう(´・ω・`)
最終更新:2016年10月10日 20:12