382 :ナイ神父Mk-2:2016/09/28(水) 23:06:07
大陸SEEDネタ その4
コペルニクスの悲劇と熱意の違い
C.E.70 2月7日、月面会議の参加者が、事故で遅れたプラントの代表を除いてテロで全滅してから僅か2日後、大西洋連邦はアラスカ宣言を発表。この事件をプラントの独立派の仕業であり、地球への宣戦布告であると断定。崩壊した国連に変わる国際組織として「地球連合」の設立を宣言、理事国や地球の各国に対して加盟を求めている。
この一連の大西洋連邦の行動に対して、大洋連合とユーラシア連邦は新しい国際組織の設立には一定の理解を示し、加盟を行うものの、コペルニクスの悲劇の原因を調査前に一方的にプラント独立派の仕業であるとする事には難色を示し、先ずはテロの原因と犯人の特定を行うべきではないか?と言う声明を出すも、一刻も早く自らの手にプラントを取り戻したい大西洋連邦と東アジア共和国はプラントの奪還と物資供給の方が先出るとして、その声明を拒否している。
そして、各国の足並みや思惑の違いは、軍の動きにも大きく影響を始める。
その最たる物が後にエイプリールクライシスを引き起こす事になる、血のバレンタインである。
この戦闘では主に東アジア艦隊と大西洋艦隊が主力となってプラント本国へと侵攻を開始して、艦隊は壊滅と引き換えに焦った東アジア共和国の艦隊が核を使用した事によってプラント側が食糧生産コロニーへと改造していたユニウスセブンを崩壊させる事に成功している。
東アジアの暴挙に対して、大洋連合とユーラシアは核攻撃に対する非難を行うも、東アジア共和国は艦隊が壊滅して証拠も残っていない事から此れをプラントの自爆作戦だと言い張り、非難に対しては「謂れ無き言いがかり」として逆に2カ国に対して、非難を行っている。
しかし、この作戦での東アジアの暴挙によって大洋、ユーラシアと東アジア間には旧世紀から燻らせて来た反目感情が再び燃え上がり、対プラント戦を行う前に、地球圏での戦争が再発しかねない状況となり始めていた。
この事態に対して一番焦って居たのは大西洋連邦である。何せこのまま行けば第4次世界大戦は確実であり、必然的に東西安全保障条約を結んでいる大西洋連邦も自動的に参戦となり、プラントの前に物資不足の自分達が大洋とユーラシアに滅ぼされかねない状況なのである。その後、何とか大西洋連邦が3国を仲裁して第4次世界大戦は回避されるも、その代償として大西洋と東アジアは大幅な譲歩を行わざるを得ず、積極的中立勧告の際には歴史通りに南アメリカ合衆国に対して攻め込む事は不可能となっている。
世界樹の崩壊とエイプル・フール・クライシス
C.E.70 2月22日、ザフトは月への橋頭堡の一つである世界樹へと向けて侵攻を開始し、それに対して連合軍も応戦する為L1宙域へと艦隊を進めた。この戦いでは大西洋連邦の艦隊の他にユーラシアと大洋連合の艦隊も戦いに参加し、大洋はこの戦いで最新型MAであるドラッツェを投入して戦闘を優位に進めようと動き始める。
そして、現在のL1空域ではザフトが連合に対して優位に動いていた。その原因はMSの動きに慣れない兵士達がメビウスで無理にドックファイトに挑んだ事と、NJによる通信妨害であった。
しかし、そんな中でも大洋の受け持つ戦域は有る程度拮抗しておりNJによる連携の難しい状況でも対抗できていたが、状況は未だ予断を許さず、艦隊司令に任命されたカーン提督も忙しそうに指揮下の艦隊へと指示を送っていた。
「各艦は右前方へ向けて主砲を一斉射、その後ドラッツェ隊はジン部隊を牽制しろ!MSと言ったって、スーパーロボットじゃない、帰る家を潰してやれ!」
「提督、偵察に出ていたドラッツェから大西洋連邦の艦隊が大打撃を受けて撤退を開始したと報告が入りました。
また、ユーラシア艦隊旗艦、ガングートより発光信号がでています。」
「内容は!」
状況に余裕が少ないせいか、少し苛立たしげな声で提督は部下に対して声を掛けるが、部下も状況を理解している為、提督の言葉に反射的に答えを返してくる。
「『我スデニ戦力ナシ撤退支援ヲ要請スル』以上です!」
「ユーラシアと大西洋は持たなかったか…撤退支援の要請は了承したと伝えろ、我が艦隊はこれより友軍の撤退支援を開始する!」
その言葉の直ぐ後に艦隊旗艦「長門」より発光信号が発信され、各部隊へと情報が伝えられ、前線で動いていた松永中尉も隊長機型のドラッツェの中で思わず驚きの声を上げている。
「撤退指示だと?」
「ユーラシアと大西洋は持たなかった様ですね。隊長、如何します?」
383 :ナイ神父Mk-2:2016/09/28(水) 23:06:37
「指示が有る以上は撤退しかないだろう。僚機にも伝達しろ、撤退の支援に移ると。我々も今相対してる部隊を片付けたら母艦へ戻るぞ」
「了解!」
前方に迫るジンを左腕に着けた90mm機関砲でジンを蜂の巣にしつつ、松永はそう指示を出すと機体を反転させて後方へとスラスターを噴射して移動を開始した。
この戦いでは、世界樹付近の防衛に出ていた大西洋艦隊は甚大な被害を出して壊滅し、ユーラシアは世界樹崩壊を以て今作戦は失敗したと判断。艦隊の繰り上がりで総指揮官となったガルシア提督の指示によって各艦隊に撤退命令を発信後に撤退している。
一方で大洋連合艦隊は比較的後方にいた事と、MAドラッツェの一撃離脱戦法によって被害を最小限に押さえているが、それでも戦闘後半で殿を務めた事で被害は無視できない領域にまで達している。
この世界樹の崩壊と連合有利との予想の中での敗北は、各国に大きな影響を齎した。
大西洋連邦では、この言い訳の効かない敗北に対してMS必要論が出始めており、ハルバートン提督のG計画やアズラエル財閥の兵器開発チームがMS開発計画を提出し議会に掛けられている。
大洋ではMSとNJの効果をしっかりと確認した上で、試作中であったMS-03ガザC、MS-06ザク、MS-07ゴブリンの3機種のMSの量産を決定。更にこれからザフトが地上侵攻を行ってくる可能性に備えて水中用、航空用、陸上専用の3種のMSの作成計画にも着手していく事となる。
連合各国がそうして今回の戦いの後処理に追われている頃、ザフトでも今回の戦闘結果については、大きな議題となっていた。
「大洋のMSもどきはそれなりの性能の様だな?」
「はい、大西洋連邦の主力であるMAに対しては、極めて優位に事を運ぶ事が出来ましたが、大洋の新型機は非常に高い推力と運動性を誇るらしく、我が軍のジンを素早さで翻弄して一撃離脱戦法に勤めています。」
「厄介だな・・・」
難しい顔を作りながら、パトリックは報告に来た兵士の報告にそう呟いた。近くで報告を聞いているシーゲルや他の評議会メンバーも皆想定外の苦戦に厳しい表情をしている。
「やはり、大洋との直接対決は避けて大西洋連邦と東アジア共和国に敵を絞るべきでは?」
「しかし、連合に加盟している以上、何れ大洋との対決は免れられないぞ?」
「その前に主戦派である大西洋と東アジアを押さえ込めれば、戦闘に意欲的でないユーラシアや大洋は交渉の席に就く可能性も高いと思われます。此処はやはり継戦意欲を削ぐべきでは?」
「ナチュラルに何を手ぬるい事を!下手に時間を与えれば奴等は何をするかわからない。ここで完全に倒して置くべきだ!」
「議長はどうお考えなのですか?」
その言葉にヒートアップしていた議員達は一度静まり、一斉に議長であるシーゲルに視線を移した。シーゲルも先ほどから難しい表情を崩しては居ないが、少し経って何かを決めたのか、自身の意見を話し始める。
「やはり此処は当面の主敵は大西洋と東アジアに絞って攻撃を行うべきだろうな・・・此処で大洋を刺激しすぎると形振り構わず艦隊を動員して攻撃を掛けてくる可能性もある。そうなる前に地球軍の本隊を地球へと閉じ込めて交渉の席に就かせるべきだろう。」
「しかし、そうするなら封じ込め手段は如何する?大洋の艦隊はまだ全て健在だ、それにユーラシアの事もある。艦隊を一つ一つ潰していくのは被害が大きすぎる。」
「NJを地球へと投下する。」
その言葉には意表をつかれたのかパトリックの声も思わず大きくなる。
「正気か!?此処で地球にNJを投下したら大規模な被害が出る!そうすれば余計にナチュラルの憎悪を煽る事になるぞ!」
「大洋は狙わんさ、東アジアや大西洋連邦の領土と中立国に警告として投下すればそれだけでも警戒は与えられる。それにその2カ国が困窮すればそれだけ降伏するのが早くなる。その後マスドライバーを落せば地球軍は宇宙へと戦力を遅れず、いずれ大洋やユーラシアも根を上げるし余計な血も流れない。」
384 :ナイ神父Mk-2:2016/09/28(水) 23:07:13
「確かに、そうだが・・・」
「他に異論が無いならこれでいく、何か異論の有る者はいるか?」
この後、ザフトでは地球軍封じ込め作戦の一環としてのNJ散布作戦『オペレーション・ウロボロス』を採択、艦隊を整え、妨害が予想される地球軍に対抗できるだけの戦力を整えていく事となる。
C.E.70 4月1日、NJを搭載した投下ポットを多数擁する投下艦隊は、護衛艦隊に守られながら地球への投下予定ポイントに到達。地球連合の艦隊の接近を抑えながら投下を開始した。この時プラントの投下妨害に出たのは、大洋や東アジア、ユーラシアを中心とする艦隊で有ったが、ザフトが牽制のために多数の艦隊をアクシズ周辺空域へと派遣してきた事によって再建中の本国艦隊が出る事と成り、防衛するジン部隊に対して苦戦を強いられている。
そんな中でザフト軍は無事に地球へと向けてNJの投下を開始し、投下されたNJは、ダミーを含めた約数千機が地球へと投下され自己埋没を開始。ザフトの想定通りに機能を稼動させて連合の原子力発電や原子力機関に大きな打撃を与える事に成功する。
しかし、同時に予想外の事態が発生する事となる。それは本来予定していなかった、中立国のNJの起動と掛けられていた抑制装置が一部の過激派士官によって外されてしまった事である。このことによって本来は被害を受ける予定では無かった中立国や大洋連合、ユーラシア地域にも被害が及び、予想していた範囲以上の被害を地球全土へと齎している。
このNJの投下後、
夢幻会では今後の対応を決めるべく、緊急の会合が開かれ、話し合いの席がもたれていた。
「やはりNJの投下は避けられなかったか・・・」
「カーン提督は善戦した様ですが、想像以上にザフト側の防御が厚かった事と、牽制に派遣された部隊のせいでコロニーを疎かに出来ずに投下を許したようです。」
「元々数基落せば地球全体を覆い尽くせる装置だ、どの道降下ポイントまで辿りつかれた時点で、阻止は不可能だったからな・・・。被害の全容は?」
「続く通信障害や一時的な停電の影響で交通に支障が出ていますが、元々ザフトが降下してくる可能性があるとして、航空機の航行を一時停止させたので、致命的な事故は発生していませんね。エネルギー不足に関しても戦前から進めていた宇宙発電と融合炉への変換のお陰で代替は可能です。暫くすればユーラシアや南アフリカにもエネルギー供給ができると思います」
「しかし、本当に融合炉が間にあって良かったな、太陽光発電だけではどうなっていたか・・・」
「遅くなりました!すいません、余裕持って出てきたんですが・・・」
「今の状況じゃ仕方も無い、神崎君も自分の席についてくれ」
夢幻会メンバーがそう話して居た所に遅れていた神崎が到着、議題はエネルギーの話から、林からのMS開発の状況についてに話題が移っていった。
「現在の所のMSの配備状況は、ガザCが当初予定の70%、ザクが40%、ゴブリンの生産状況が30%だな。やはりこの点は元作業用のガザが早く進んでいる。ザクに関してはドラッツェとゴブリンにも部品を分散させているから設計自体は早かったが、他の生産を平行している事もあって遅れも目立つが、これは誤差の範囲だな」
「取り敢えずは順調ですか・・・ゴブリンの販売は何時にしますか?ユーラシアやアフリカは、暫くは戦車で対応する気の様ですが?」
「ユーラシアが不利になってからでも構わないだろう?流石に有効かどうかも解らない状態で販売しても、売れはしないだろうし、此処は試作したMTを渡して見よう。あの機体なら自走砲だからハードルも低いと思うんだが」
「ヒルドルブですか・・・確かにあちらならそうですが、あのインフラブレイカーを買いますかね?」
「どちらにせよ、暫くは意固地になってる大西洋連邦が動くだろうから其処まで気にする必要は無いがな・・・向こうは戦争開始以来負け続けだ。何かしらの作戦でザフトに対して優位に立たないと次の選挙が危ないからな」
「どちらにしろ大西洋が破れるまでは出番はナシですか・・・」
神埼がいったこの言葉が示す通り、後の新星防衛戦やザフトの南アメリカへの降下作戦では、東アジアや大西洋連邦が軍の威信を掛けて防衛線に挑む事となり、戦線は徐々に硬直化、7月の新星放棄後はお互いに戦力を整えるための自然休戦の態をなし、小競り合いに終始する事となる。
そして、
夢幻会の知るSEEDの開始、ヘリオポリスの崩壊を持って話は徐々に動き出していく事となる。
385 :ナイ神父Mk-2:2016/09/28(水) 23:07:43
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最終更新:2024年02月26日 22:52