966 :ナイ神父Mk-2:2016/10/02(日) 23:56:09
大陸SEEDネタ その6

Gの強奪と原作の開始

 C.E.71 1月25日。昨年10月の「10月会談」での妥協点が見出せない侭、既に戦争開始から1年以上が経ったこの日、会合を開いていた夢幻会にはある情報が情報局より伝えられていた。
 しかし、ある程度予想が付いていた夢幻会のメンバーはその情報を受け取っても驚く事は無く、普段どうりの会合を始める。

「オーブのヘリオポリスが襲撃?」

「そうだ、ザフトからの詳しい意図は公表されていないが、オーブ側の発表では2回の襲撃時にコロニーを支える
シャフトが崩壊、それによってコロニー自体も破壊されたそうだ」

「おや、それは確かSEED第一話の・・・」

「Gの強奪の際の話だな、これでいよいよ原作に相当する事態が始った訳だが」

「大西洋連邦の機体ですから、余り我々が関わる事態にはなりませんかね?」

「いや、其れがだな。辻本君、実は大西洋連邦・・・と言うよりはハルバートン提督個人からの依頼でヘリオポリスから脱出した新造艦アークエンジェルと新型MSストライクを此方で保護してほしいという依頼が来ているんだよ・・・」

「そうなると一部のパトロール艦隊をヘリオポリス~地球間の航路に向けますか?」

「そうするよりそこは、最寄の基地であるアルテミスに連絡を回して置くべきではないですか?確かもとの話でも、アルテミスによっていましたし・・・」

「いやいや、此処はアーガマ級を派遣するのはどうだ?あの艦なら単艦でもザフトには遅れをとらないだろ」

「それより、なんとしてもキラのプラント行きを阻止するべきだ!フリーダムでフリーダムに暴れられたら目も当てられない!」

「村雨研としてはSEEDに興味があるな、唯の火事場の馬鹿力と言うには余りに瞳の状態が異常だ」

「皆さん、落ち着いてください。原作に関われる嬉しさは有るかも知れませんが、此処は落ち着いて方法を考えましょう」

 そう神埼が声を出した事によって会議のメンバーのテンションも一旦は落ち着きを取り戻し、会議が再開された。結果纏まった内容は神埼の口から発表される。

「では、AAに関してはユーラシアに保護依頼をだし、そこで失敗するようであればアフリカ降下時やインド洋に進出してきた際に保護するという形で良いですか?」

「異議なーし」

「では、次の議題ですが・・・村雨研から報告が有るんでしたっけ?」

 神埼が次の議題について村雨研からの話題を出すと、村雨研の所長は資料を取り出してメンバーへと配布を始めた。

「皆さんご存知の通り、現在村雨研ではNT専用機についての開発と研究を行っておりますが、その経過報告のため、この場を用意させていただきました。」

「この場で発表となると何か大きな進展でも?」

「はい、今回までに開発していたNT用MSジオング、エルメス、キュべレイは、現在も我が研究所に協力しているパイロット達が実践データを収集しているのですが、その蓄積データを基に新たにバイオセンサーとインコムに相当する兵器の開発に成功しました。これで滞っていたZ計画、重火力MS開発計画の再開が可能です。」

「ネックだった部分もやっと完成ですか・・・と言う事は後は生産を開始するだけですかね?一号機のロールアウトは?」

「恐らく3月には完成、4月までには量産を始められるかと・・・」

「それならアフリカ攻略戦までに少数は間に合いそうですねえ。しかし重MSやハイエンド機は金が掛かります。ドーベンは価格比では安い方ですが、それでも高級機です。パイロットを犠牲にしろとは言いませんが、それでもある程度は節約してくださいよ」

967 :ナイ神父Mk-2:2016/10/02(日) 23:56:44
「そちらは我々企業の方としても把握はしていますよ、余り兵器に金を掛けても端から壊されればこちらも赤字ですから・・・」

「所で前に海軍に配備すると言っていた水陸両用MA。あれはどうなった?」

其処まで話していたところで山本は、以前から聞いていた海軍配備のMAの事が気にかかり、質問を投げかけた。其れを聞いた所長も忘れていたと言わんばかりの表情で慌てて説明を始めた

「すいません、シャンブロについては現在も研究を進めているのですが。コスト面の問題もあり完成はもう少し先になりそうです。しかし、間に合えば6月上旬には試作1号機が完成しますので、もう少しお待ち下さい」

「・・・まあ、今は宇宙や陸が戦闘の中心である以上、そちらに偏るのも無理はないが、家はシーパワー国家だ。制海権は疎かにはできないぞ」

「それは重々承知しています。研究所の開発部にも完成を急がせるのでもう少しお待ち下さい」

「・・・これで今回の議題は終了ですかね?それでは今日のところは解散しましょう。皆さんも元の部署へ戻ってください」

 この会合の2日後、ユーラシア側からの連絡でアルテミスにザフトの襲撃があった事で混乱してAAの保護に失敗したという報告が入り、夢幻会のメンバーを落胆させている。その後、AAは進路を地球へととり、ハルバートン指揮する第8艦隊壊滅と共にアフリカへと降下、そこで初めて大洋やユーラシアに保護される事と成る。

 しかし、夢幻会メンバーはそれを聞く事無く仕事に忙殺される事となる。
 それの理由はAA保護失敗から数週間後、C.E.71 2月14日、大洋の宇宙要塞ア・バオア・クーがザフトとザフトの雇った傭兵部隊に急襲されたためであった。


ア・バオア・クー襲撃とNTの脅威

 AAのユーラシア保護失敗から約2週間ほど経過したC.E.71 2月14日。ア・バオア・クーでは防衛側の大洋連合のザク部隊が次々に襲い掛かって来る傭兵のメビウスやジンに対して戦闘を行っていた。襲い来る傭兵達の機体をザクマシンガンやザクバズーカで迎撃しつつ部隊は、フォーメーション崩さず戦っているものの、その動きには徐々に精彩が掛け始めていた。

「クソ、何処から沸いてきやがったこいつ等!」

「知るかよ!それより余所見するな。こっちだって手一杯なんだよ!」

「援軍は!?」

「後、5分待て!最寄のパトロール艦隊が動いてる!」

 そんなザク中隊の奮戦を遠くのナスカ級の中から眺めているのは、今回のア・バオア・クー攻略部隊の隊長を務める、白服のザフト兵である。

「ナチュラル共のMS、中々落ちんな・・・」

「メビウスや傭兵のジンでは限界が有りますね、こちらの艦のMS部隊を出しますか?」

「ナチュラル如きにこちらのMSを態々出す事は無いと考えていたが、この際だ。仕方がない。
 私のシグーも出せ。こんな所で余り時間は取られたくない」

「了解しました。」

 隊長が言うか早いか、他のローラシア級からは次々にジンが出撃、続いて隊長機であるシグーも出撃して計45機。増援の傭兵の機体も合わせれば70機近い数が後続としてザク中隊に向かおうとしていた。その様子は中隊の方からも見えたようでザクの動きには焦りが見える。

「隊長!敵本隊が・・・」

「焦るなジーン!援軍は来る、今は兎に角生き残る事に専念しろ!」

 そう部下を気遣った隙を付かれたのか。隊長機のザクの後ろには何時の間にか重斬刀を振り上げたジンがおり、隊長機が気が付いた時には既に時遅く回避も間に合わない距離で剣が振り下ろされようとしていた。

「隊長!」

969 :ナイ神父Mk-2:2016/10/02(日) 23:57:19

 機体が切り裂かれると思われたその時、一筋の光線がジンを貫き機体を爆散させた。その瞬間を見逃さず、隊長機は急いでスラスターを部下のもとにまで後退して来ていた。

「デニム隊長!無事ですか!」

「ああ、何とか助かった。しかし、今のは・・・」

「隊長、アレを!」

 そう部下に指をさされた方にモノアイを動かすと其処には次々に此方にスラスターを噴かせて掛け付けて来る友軍の姿があった。その中には他の機体より一回り大きいジオングの姿も見られている。

「援軍、間に合ったか・・・それにあの機体はアムロ少尉か」

 その言葉に反応するかの様に、ジオングは一瞬だけモノアイをザクの方へと向けると直ぐに戻し、敵に向けて有線型のメガ粒子砲を射出し戦闘を始めた。その動きは凄まじく縦横無尽に動くサイコミュハンドは敵を次々に補足し、時には爪を立てた時の様に指を動かし、ビームを拡散させて敵を数機纏めて撃墜させている。

「凄いですね・・・」

「ああ、来たばかりの時は村雨研が何を考えているか解からなかったが、あの性能なら納得だ。連中が自信を持って出してきただけの事はある。」

 そう二人が話している間にも援軍に来た部隊は次々と敵機を撃墜、先ほどまで劣勢に立っていた大洋軍側が今度はザフトを苦境に立たせ始めた。
こうなると余裕がなくなるのはザフトの方である。こんな筈ではなかったとザフトの隊長はシグーで攻撃を避けながら、撤退を考え始める。

「くっそ、ナチュラルのMS如きに此処まで・・・撤退する!私に・・・」

 そう、シグーが周辺の部隊に伝えてナスカ級の方を振り向いた時、突然近くに居たローラシア級が直上からビームの直撃を受けて轟沈。続いて他のナスカ級や傭兵部隊のドレイク級やネルソン級も次々にビームを受けて爆発、轟沈していく。

「一体なにが!・・・」

 爆発の原因が居ると思われる上に目を向けると、其処には全長40mを優に超える大型MAが次々と急降下を掛け、口を開けてビームを放って来ている様子が目に飛び込んできたのだ。下を見ればたった今、自分が帰投しようとしていた最後のナスカ級が火を噴いて爆発する様が、目に飛び込んでくる。そんな様子を見て何かが切れた隊長機は、全速力でジオングへと向けて突進していく。

「貴様等ナチュラル如きに、この私がやられる筈がない!貴様だけでも死んでもらうぞ!」

 そう言って重斬刀を向けて突っ込んでくるシグーであったが、突如前方のMSの腹部がビームを放ち、パイロットは貫かれて蒸発し死亡、主を失ったシグーもスラスターが止まりモノアイのライトも消えて力なく宇宙を漂い始めた。

 その後、少し遅れて到着した防衛艦隊の本隊が調査を開始し、傭兵の中の機体にジャンク屋のマークが張りつけられたままになっている機体を発見、ジャンク屋組合に強い抗議を行っているが、ジャンク屋組合は一部の心無いジャンク屋の仕業だとして組合の関与を否定している。
 また、ザフトでは強硬路線を表明した直ぐ後にこの大被害を受けた事と、連合のMSの性能が想像以上の性能であった事から強硬派の基盤がぐら付き、更に貴重な艦隊がやられた事によって地球~ザフト間の補給や物資の輸送に大きな障害を与え、これは後々にまで影響していく事となる。

970 :ナイ神父Mk-2:2016/10/02(日) 23:57:49
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最終更新:2024年02月26日 23:13