432 :ナイ神父Mk-2:2016/10/04(火) 22:22:04
大陸SEEDネタ その7
AAアフリカ降下とその時の原作勢
C.E71年2月14日、ザフトのア・バオア・クー攻略部隊が壊滅の憂き目に遭っている頃、アフリカのザフト勢力圏であるリビアでは地球連合の新造艦アークエンジェルがアラスカへの降下を失敗して立ち往生をしている真っ最中であった。艦内では臨時で艦の指揮を執っているラミアス大尉が艦メンバーを集めて、これからのアークエンジェルが取る方針について会議を行っている。
「では、我々はこのまま海に出てユーラシアの勢力圏に入ると?」
「ええ、このまま此処に居てもザフトの的になるだけ。それなら管轄が違うとは言え、連合勢力圏のユーラシア方面へと
逃げるほうが得策だと思うのだけど・・・」
「ですが、この艦は大西洋連邦の物です。余りユーラシアに見せるのは・・・」
「それならインド洋か西に移動してザフト勢力圏を突破するの?其れも無茶だと思うわ」
「しかし・・・」
ユーラシアの勢力圏へと入る事を主張するラミアスに対して、あくまで他の連合圏に入らず大西洋連邦勢力圏に入るのを主張するバジルール中尉で妥協点は見出せず、平行線になるかと思われたその時、二人の間に入ったのはフラガであった。
「お二人さん落ち着け、俺はユーラシアに行くには賛成だ」
「ですが、それでは大西洋の機密が・・・」
「少尉も落ち着け、何もユーラシアに亡命する訳じゃ無いんだ、少し物資を補給して直ぐに
アメリカへ向かえば問題は無いだろ?
それに、少尉が思ってるよりユーラシアはこっちの機密に興味を持ってないみたいだぜ」
「その根拠は?」
「アルテミスの時だよ、あの時ユーラシアの司令は俺達を拘束してアークエンジェルを鹵獲する事だって出来た筈だ。其れなのにしなかったと言う事は、連中は俺達にそれほど興味が無いか、友軍に対して其処まで無茶をやる程、滅茶苦茶な連中じゃ無いってのは解かるだろ?」
「確かに其れはそうですが・・・」
「まあ、何か有れば俺のMAや坊主のMSも動かせる。立ち往生して落されるよりはマシだろ?」
「解かりました、お二人の案で行きましょう」
フラガとラミアスの二人に説得されて折れる形でバジルールも納得、その後アークエンジェルは目標をユーラシア連邦の
中東方面へと定めて飛行を開始する。その間に、数度ザフトのMSから戦闘を仕掛けられる事に成るが、此れは別の話である。
そして、AAが頼みの綱としていた大西洋連邦の都市ニューヨークでは現在ブルーコスモス内の派閥争いが加速していた。現在のブルーコスモスの派閥は小さい物を除けば、穏健派、中道派、過激派の3つに分ける事ができていたが、この過激派が問題であった。
現在のブルーコスモス過激派には大きく分けて2つの派閥がある、アズラエル率いるアズラエル派とジブリール率いるジブリール派である。
「だから、先ほどから何度も言っていますが、現在はエネルギー危機脱却が最優先です。それが出来なければ空の化物を打つ事すらままならないのですから・・・」
「だから、それが弱腰だと言うのですよ!戦力が足りないなら大洋かユーラシアに圧力を掛ければ言い!」
「大洋に?圧力を?其れこそ冗談では有りませんよ。現在の世界のTOPは間違いなく彼らです。その彼等に下手な工作をすれば其れこそ破滅ですよ!」
ブルーコスモスの会合に出席していたメンバーは又か、とうんざりした表情でアズラエルとジブリールの二人の言い争いを眺めている。
「大体、あの時そちらが核さえ使用しなければこんなエネルギー危機に直面はしなかったのですよ。この状況に成った事の責任を棚に上げて無茶を通そうとするのは聊か不義理ではありませんか?」
433 :ナイ神父Mk-2:2016/10/04(火) 22:23:04
「何を言う、あれは理事が核を使わないなどと言う日和見な事を言うから代わりに行った事です!それに言わせて貰うが、あの時全面核攻撃を承認していればこんな面倒くさい事にはならなかったのだ。私が核を打ったせいで現状の様になった?こうなったのは貴方の責任だ!」
「言ってくれますね・・・」
「両者ともそろそろ落ち着いて下さい、このまま言い争って居ても埒が開きませんよ」
最近はアズラエルとジブリールの仲裁役をやらされている参加者が疲れた様に二人を諌めるも、この後数時間、会合が終了するまでずっと二人は言い争いを続け、会合参加者は全員疲れた顔で会場の外に出ていた。会議より1時間程たった頃、アズラエルの姿は自宅内の執務室に有った。モニターには軍でアズラエルの意思を伝える役割のサザーランド大佐の姿も見られている。
「全く、あの狂信者の戯言には付き合いきれませんよ。何で高い金を掛けて作ったプラントを吹き飛ばさなければ行けないのか。あれが後々必要に成って来るのは解かりきった事のはずなんですがねえ・・・」
「ジブリール様は東アジアに拠点と利権を多く持ってらっしゃいます。それが影響しているのでは?」
「其れは解かっていますが、アレは異常ですよ。もう戦争云々ではなく、完全に生存競争を考えてる目ですよアレは」
「しかし、コーディネーターが滅びてくれるならそれで良いのでは?」
「貴方達軍はそれで良いでしょうが、商売人の僕や政治家の皆さんはそれじゃ困るんですよ。コーディー共を根絶やしにするの一体幾ら掛かると思いますか?銃火器や兵器だって安い物じゃないんですよ?」
「それは・・・まあ、私も軍人ですからその手の予算については把握していますが・・・」
「はあ~、此れなら相手がクラウス議員だった時の方がまだマシでしたよ。彼女相手ならまだ妥協点の探りあいだけだったのに・・・」
「しかし、クラウス議員は・・・」
「解かってますよ、過激派の台等を嫌って政治家に専念すると言って抜けた事位、お陰で穏健派の影響力は駄々下がりでジブリール君みたいな夢想家が幅を利かせる始末です。いっそこっちから頼んで復帰してもらいたい位ですよ・・・」
アズラエルはひとしきりサザーランドへと愚痴を語り、その後肝心の用件を2、3伝えると通信を閉じて、仮眠を取る為奥の寝室へと向かった。
その背には年に見合わない哀愁が漂っていた事を此処に明記しておく。
しかし、アズラエルは愚痴で済む分恵まれていたと言っても良い、そう思われるほど現在のザフトの議員の様子は酷い物であった。
「馬鹿な。全滅だと?傭兵共も合わせれば100機近いMAとMSが居た筈だが」
「艦隊は完全に壊滅です。此れは偵察型のジンが実際に確認してきた事なので間違いは無いかと・・・」
「此方で解析した連合のMSはPS装甲で非常に高い実弾防御を実現していた、大量生産とまでは行かない物の其れを配備していたのでは?」
「だが、アレは鹵獲時点では碌なOSを積んでいなかったのだぞ。それが昨日今日でもう運用に耐えるだけのOSが組み込まれたとでもいうのか?」
パトリックの側近であるユウキの報告に、ザフトの議員の多くは混乱していた。しかし、此れは有る意味当然の結果だといえる。戦争開始から現在まで連合側はザフトに負け続けで有った筈が、此処に来て突然の大敗である。そんな中でもパトリックは取り乱さず冷静を装いながら議員たちに落ち着くように呼びかける。
「混乱するのも解かるが、議員が此処で慌てても仕方ない。次の策を考えるべきだ。アフリカに対する戦力強化はどうなっている?」
「はい、現在の所新造したバクゥやザウードをアフリカ方面へと送り続けては居ますが、やはりア・バオア・クー攻略の失敗で俄かに勢いづいている地球軍の事を考えると想定された数の戦力を送るにはもう4ヶ月は掛かるかと・・・」
「ジャスティスとフリーダムを送ると言うのは如何だ?」
「其れでも厳しいかと、如何にジャスティスとフリーダムが強力な戦力でも多勢に無勢と成れば処理が追いつかず敗北する可能性も・・・」
「それは幾らなんでも考えすぎでは?ナチュラルのMS如きフリーダムとジャスティスが居れば簡単に撃破できるのでは?」
434 :ナイ神父Mk-2:2016/10/04(火) 22:23:39
「それに単対多を想定して建造したのがフリーダムだ。多少の数の差くらいは覆せる。」
「議長、御判断を」
フリーダムとジャスティスの投入案に耳を傾けていたパトリックは、心を決めたのか瞑っていた目を開けて口を開いた。
「解かった、アフリカ戦線にフリーダムとジャスティスを完成し次第投入する。他の者も其れで良いな」
こうして議長の鶴の一声でフリーダムとジャスティスの投入が決定されるが、これが後に地球軍を大きく利する事になるとは、賛成した議員も含めザフト全員が予想し得なかったことである。
大洋の本気とユーラシアの準備
C.E71年4月現在、ビクトリア湖のマスドライバー基地にはアフリカ侵攻作戦に向けて多数の大洋の陸軍部隊が駐留を始めていた。
基地内には所狭しとノーマルのザクやドムを初め、南方や砂漠での運用を想定したディザートザクやドムトローペンが配置され、少し奥を見れば宇宙から召集された特務艦隊のザンジバルやアーガマが停泊し、町の郊外には合わせて7隻は下らない大型の陸上艦艇が鎮座して、多数のMSに守られている。
基地を警備している南アフリカ統一機構の兵士達も、此処までは兵力が集結する様子など滅多に見ることは無く、その威容に見入っている。
「大洋もすげえな、一つの作戦の為に、此処まで戦力を投入するのかよ・・・」
「余所見をするな曹長、気に成るのは解かるがな。それだけ砂漠の虎が脅威に見えたんだろう。それに北アフリカの連中もいる。油断は出来んぞ」
「申し訳ありません、少尉。でも確かに其れは厄介ですね・・・。あれ、あの青い色の部隊ってまさか・・・」
「ん、お前はそう言えばミーティングの時に居なかったな。アレは亡命してきた青の部隊の連中だよ」
「やっぱりですか、北アフリカ共同体のエース青の部隊・・・でも何で亡命なんかを?」
「現在のアフリカ共同体のTOPが自民族が第一の人間でな。青の部隊を構成する兵士達の部族も弾圧を喰らったのさ」
「それで亡命を。しかし良く大洋はMSの提供を許可しましたね。」
「元々錬度が高い事は大洋も知っていたし、恐らく難民を受け入れたからその分のアピールでも有るんだろう。どちらにせよ戦力が有るのはいい事だ」
其処まで話すと少尉は自身の搭乗するザクスナイパーの元に向かって再び歩き出し、曹長も後ろの機体を気にしつつも自身のザクへと向かって行った。ヴィクトリア基地で大洋が南アフリカ軍と共に兵力を準備しているのと同時刻、北アフリカを挟んで反対側の地域でもユーラシア連邦の陸軍が多数の陸上艦艇をスエズに集結させて反抗作戦への準備を行っていた。
「・・・では侵攻部隊はアフリカを南下しながら徐々に北上してくる大洋の軍と合流する形となると?」
「そうだ、今作戦はユーラシア、大洋、南アフリカの3軍合同だ。そして我々は、北から侵攻を開始する。MS部隊の指揮はロンメル大佐、君に任せたい」
「それは構いませんが、ビッター少将は如何なさるのですか?」
「私は今回は陸上艦『レーニン』から部隊の指揮を取る。まあ、本隊であるレビル大将の補助の様な物だが・・・」
「解かりました。MS部隊指揮の件、やらせて頂きます。」
「頼んだぞ。今回の作戦でユーラシアを脅かすザフトの戦力を排除できるかどうかでこの戦争の行く末が決まる。失敗は許されないからな」
その後、C.E71年の5月5日、3国共同で企画されたアフリカ反抗作戦は、大型陸上戦艦だけで2カ国合わせて10隻、超大型の戦略爆撃機4機を投入した一大作戦となり、今まで温存され続けてきた大洋とユーラシアの本気をザフトや大西洋連邦に見せる事となる。
435 :ナイ神父Mk-2:2016/10/04(火) 22:24:13
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最終更新:2016年10月17日 18:57