869 :ナイ神父Mk-2:2016/10/17(月) 23:21:31
大陸SEEDネタ その11

パナマ攻略戦と原作キャラの動き

C.E71年5月30日、この日ザフトのオペレーション・スピットブレイクの第一段階、パナマ攻略作戦が発令された。南米に駐留していたザフト地上軍は南アメリカ軍の空軍や陸軍部隊と共に中米パナマへと侵攻を開始し、対する大西洋連邦側も東アジアと共同で用意していた多数のストライクダガーとダガーLを中心としたMS部隊が迎撃を開始していた。その中には査問後に人員配置を一新したアークエンジェル隊の姿もあった。

「前方のディン部隊へゴットフリート発射後、MS部隊への発進命令を出せ!くそ、ザフトの連中め、大人しく南米の密林で震えていれば良い物を・・・」

そう、新たにアークエンジェル艦長となったハリン大佐が愚痴を言うが、目の前の敵機が消えるわけでも無いのですぐさま、部隊の指揮に集中する。

「しかし大佐、フラガ少佐等のストライクは兎も角として、例の三人・・・ブーステッドマンの3名は如何しますか?今作戦では長期戦も考えられます。余り早くに戦域に出すと・・・」

其処に声を掛けたのは引き続き副艦長を務めるバジルール大尉である。なぜ彼女が此処に居るかと言えば、家が元々アズラエル派の将校に近かった事もあり、アズラエル派に配慮する形で艦に残される事に成った為である。又、新たに艦長となったハリン大佐も所属派閥はアズラエル派であり、現在のアークエンジェルは比較的アズラエル派の色の強い船に成っていると言えた。

「む、そうだったな・・・。ならば、現状はストライク隊とバスターダガー隊を優先して発進。フォビドゥン、レイダー、カラミティーの3機は機を見て派遣する。」

大佐はそう改めて指示を出すと再び艦隊指揮へと移り始めたが、指示を受けたストライク隊もストライク隊で、ある問題に直面していた。
その原因は、現在格納庫で言い争いをしているキラとサイの二人である。

「キラ、お前だけには絶対に負けないからな!」

「待ってくれ、サイ!」

そう言って追いかけるキラを無視するかの様に振り切って、サイは自身がパイロットを勤めるダガーLへと乗り込み他のダガー隊と共にカタパルトから射出されて出撃し、其処にはキラ一人が残された。フレイとの関係がばれて以降、キラとサイの仲は最悪となり、他のメンバーが二人の仲を取り持つ様に動いてくれては居るが、其れでも二人の溝は埋まらないでいた。そんな様子を見ていられなく成ったのか、キラが一人になったタイミングを見計らってストライク隊の隊長となったフラガがキラへと声を掛けてくる。

「まだ、あのサイって坊主と話せてないのか?」

「フラガ少佐・・・」

「おいおい、俺にそんな悲しそうな顔を向けたって、俺にはどうにも出来ないぞ」

「それは、そうなんですが、何とか謝りたくて・・・」

「それなら余計に間が悪いな。戦闘前後の気が立っている状態で話しかけても余計にギスギスするだけだろ?今はこれから起こる戦闘に集中するんだ。でなけりゃ謝る物も謝れなくなる。」

「はい・・・」

そうフラガに言われたキラは若干落ち込んだ様子で自身のストライクへと向かっていき、其れを心配そうに見ていたフラガも整備員からせかされ自身の乗機であるストライクへ向けて走って行った。
そして、彼らが向かう予定の戦域では既にストライクダガーとジンによる激しい銃撃戦が繰り広げられていた。戦況はビームライフルを持ったダガーが未だ優位を保っているが、後方からのザウートによる砲撃によって、何度も戦線を崩されそうになり予断を許さない状況となっている事にダガーのパイロット達は焦りを覚えていた。

「クソ、ザフトめ、一体どれだけの戦力を南米に溜め込んでたんだ、此れじゃあ、きりがない!」

「諦めるな!俺たちが此処で負けたら次は本土が蹂躙されるんだぞ!」

870 :ナイ神父Mk-2:2016/10/17(月) 23:22:04
しかし、そんな彼らの決意を砕くかの様に、ジン部隊の合間を縫って今度はバクゥを中心とした切込み部隊が多数出現し、ストライクダガーの放つビームを次々避けながら接近、ダガーへと襲い掛かって来る。一部の機体は運悪く接近した所を持ち替えたビームサーベルによって貫かれるが、大多数のストライクダガーは飛び掛られたまま、ビームサーベルやレールガンを腹部に受けて爆散していく。そして、穴の開いた戦線付近に次々と他のジン部隊やザウート隊が進撃して、連合側が体勢を立て直す暇を与えずに穴を広げ其処を南アメリカの歩兵隊や戦車隊も侵攻していく。

後ろに続いてくる様子を見ながら、先程ストライクダガーを仕留め、現在も敵機にレールガンを浴びせているバクゥのパイロット達は自分が出した成果に思わず顔を緩める。

「MSとは言えナチュラルの物ならこんな物か、この程度の機体にやられるなんて全くアフリカの連中はどうかしてるよ。砂漠の虎も所詮は名前負けだったかな?」

「そう言うな。アフリカの連中はその前に大打撃を受けて新兵が多かったんだ。仕方ないだろ?」

「庇う必要なんて無いぜディック。ワーワー群れなきゃ戦えないナチュラルに負ける連中が情けないんだからよ」

「しかしだな・・・」

「そろそろ話は御終いだ。またナチュラルの連中がウジャウジャ来たぜ?」

パイロットの言葉が示す通り、先程の部隊の仇だと言わんばかりに新たにストライクダガーの部隊が前方に現れた事を確認したバクゥ部隊はそれぞれ背部の武装の照準を合わせて射撃を開始しようとしたが、突如として上空から多数のビームやレールガンがストライクダガー部隊に降り注ぎ壊滅させた。慌てて上を見れば新型MSであるフリーダムが上空で砲を構えている様子が見て取れる。

「あれは、例の新型か?」

「くそ、良い所を持って行かれた!」

「援護を貰って其れはないだろ。良いから行くぞ。でないとお前の言う良い所が無くなっちまう」

「解かってるよ・・・」

僚機のパイロットからそう宥められたバクゥのパイロットはレバーを動かして前進を開始する、一方で先程地上へと攻撃を行ったフリーダムのパイロットであるニコルも、戦闘機動に問題が出ていない事にホッと胸を撫で下ろした。ジャスティスのパイロットであるアスランもそんなニコルを気遣う様に近くに機体を寄せて通信を繋げてくる。

「大丈夫だったかニコル」

「ええ、バランス調整の為に取り付けたディンの羽も上手く動いてくれていますし、何とか戦闘は出来るみたいです。其れよりアスランの方は大丈夫ですか?イザークのデュエル用の左腕とシールドの予備で補修されてた様ですけど・・・」

その言葉が示す通り、二人のフリーダムとジャスティスは前回の戦いから完全に修復する事は出来ずに居た。その為、南アメリカに辿り着いた2機には既存の機体の予備部品を使用して修理が施され、戦場に駆り出されていたのである。その事を指して大丈夫かと問い返して来るニコルに対してアスランは自信を持って答えを返す。

「ああ、問題無い。さっきこっちに向かってきた連合のMSと戦ったが、問題は出なかった。」

「それなら良いんですが、気を付けて下さいね?ジャスティスは白兵戦主眼の機体ですから」

「解かっている。それよりそろそろグングニールが投下される時間だ。急ぐぞ」

そう言うとジャスティスはスラスターを噴かせてフリーダムを置いて先へと進み始めた。ニコルも追いつこうとフリーダムをハイマットモードに切り替えようとするが、その時ふとフリーダムのカメラアイが上空を捉える。其処には複数の物体が空から落ちてくる様子が写し出されていた。
作戦はまだ、始まったばかりである。

871 :ナイ神父Mk-2:2016/10/17(月) 23:22:55
第二次低軌道会戦と広がる両軍の差

パナマでの戦闘が開始されるのと同じ頃、パナマ上空の宙域でも大西洋連邦の再建された艦隊とザフトの降下部隊が激しい攻防を繰り広げていた。
陸上ではある程度の優勢を誇ったストライクダガーであったが、此方ではパイロットに比較的新兵が多い事とザフト側が新型機であるゲイツを戦線に投入してきた事で大西洋側は不利を強いられていた。

「ザフトめ、何時の間に新型なんか・・・」

「気をつけろ。あの新型ビーム兵器を搭載している。迂闊に近づくな!」

「畜生、就役したばかりのワシントンが!」

「パニックに成るな!分散したら敵の思う壷だ!」

そう言って部隊を鼓舞する隊長機のダガーLであったが、自分の部隊は纏め切れても他の部隊には指示が届かず四苦八苦している。対するザフトは其処に付け込む様にゲイツ中心の部隊で連合側の部隊連携を断ち切り、孤立した部隊をジンで叩くという方法を取って確実に連合側の戦力を削りにきている。
一方で予想より多く投入されている連合軍のMSにザフト側も焦りを覚えていた。例え此処での戦闘に勝利してもグングニールを落せないほど戦力を消耗してしまえば作戦は失敗なのである。その事から作戦の指揮を任された艦隊司令も急いでグングニールの投下を行うよう部下に指示を送る。

「グングニールの投下状況は!?」

「現在、投下開始10分前です」

「この際多少調整不足でも構わん!なんとしても連合が此方に辿り着く前に投下しろ。投下を防がれれば終わりなんだぞ!」

「しかし隊長!このグングニールは試作兵器です!未調整のまま落せば味方にも多大な危険が及びます!」

「解かっている!しかし、此の侭では・・・」

「司令。MS部隊の指揮官であるハイネ隊長より通信が」

司令官が投下を強行しようとするなか、指揮を取っていたナスカ級に突然MS部隊の隊長であるハイネから通信が入る。

「此方MS隊隊長のハイネだ。話は聞かせてもらった。投下部隊は其のまま時刻通りの投下を行ってくれ」

「だが、このままでは連合に・・・」

「現状は此方の方が優位だ。焦る必要は無い」

「・・・解かった。此方も焦りすぎていた様だ。MS部隊は引き続き護衛を頼む」

司令官のその言葉を聴いて安心したハイネは、そのまま通信を終わらせて画面から消えた。そして落ち着きを取り戻した
司令も投下の強行を取りやめて計画通りの投下を指示する。ザフトが着々と計画を進める中、連合はMS隊からの攻撃によって撃墜数が増え100機以上居たストライクダガーも遂には3分の2程までに減少していた。そんな中でも艦隊の指揮を取るブラットレーは諦めずに指揮を続けている。

「駆逐艦ダグラス撃沈及び輸送艦ネタニヤフが中破、戦線を離脱します!」

「くっ、MSを揃えても此れだけの損害が出るとは・・・。兎に角、ストライクダガー隊は攻撃を続けろ!ダメージは確実に向こうの方が大きくなっている。先に限界が来るのはザフトとのほう・・・」

「敵機接近!」

オペレーターのその叫びを聞いたブラットレーがはっと視線を正面へのモニターへと移すと対艦ミサイルを構えたジンがブリッジの目前まで到達し、ミサイルを撃とうと構えていた。しかし、発射しようとした次の瞬間、一条のビームがジンの前方を通り過ぎ、慌てて後退する事と成る。

「援軍か?」

そう呟いたブラットレーの言葉を肯定するかのようにオペレーターからある報告が上がってくる。

872 :ナイ神父Mk-2:2016/10/17(月) 23:23:26
「後方より多数の艦隊とMSの機影を確認、所属はユーラシア連邦です!」

「後方のユーラシア艦隊より通信入ります。」

その言葉と共に映し出されたのはスキンヘッドが特徴の壮年の将官であり、ユーラシアの宇宙艦隊を率いる将兵の中でも指折りの名将であるデラーズ中将であった。先程の自分の艦を助けた攻撃がユーラシアのものだと確信したブラットレーは通信を通してデラーズに対して礼を述べる。

「先程の牽制は感謝します。お陰で2階級特進は避けられました。」

「友軍を助ける為、当然の事をしたまで・・・。此れより我々も攻撃に移る。先行させたMS隊ももう直ぐ到着する筈だ」

デラーズとブラットレーがそうした会話を行っている頃、ユーラシアのMS部隊は既に戦域に到着。大洋からの輸出MSであるザクとリックドムを中心とした部隊が合流した事によって再び連合が数でザフトを上回った事と、先程までの戦闘でザフトが疲弊していた事から戦況は一気に連合側へと傾き始めた。この状況はもう少しで勝利が見えていたザフトの兵士達を一気に絶望させる事となり、ハイネの通信にも次々と撃墜される仲間の断末魔が入り始めた。

「此方ジョンソン隊、応援を!このままでは包囲されます!」

「味方、味方はどこ・・・」

「こちらホルスト、敵のMSがせっき・・・」

「くそ、此処まで来てやらせるか!あと少しなんだ、あと少しで・・・」

ハイネがそう叫んで近くに居たMSに攻撃しようとスラスターを噴かせようとした時、上から襲撃してきた一機のMSに気が付き、咄嗟にシールドを構えて相手の機体のビームサーベルを防ぐ。襲ってきた機体は既存の大洋のMSに近いモノアイを持ち、頭部にはまるで豚の鼻の様な排気口が人間で言う口にあたる部分に取り付けられ、機体色はパーソナルカラーなのか、四肢を青く染め胴体をグリーンに塗装している。

「くそ、此処に来て新型か!」

その言葉を知ってか知らずか、ユーラシアの新型MSであるゲルググは一機がジャスティスまで接近、再度ビームナギナタを構えながら攻撃してくる。ジャスティスは其れを再度シールドで受けて防ぐものの、隙を付いて腹部に蹴りを喰らい距離を取られた。味方はちょうど攻撃を仕掛けたゲルググの後ろで攻撃を受けており、ジャスティスだけが味方から引き離された形である。一方で攻撃を仕掛けたゲルググのパイロットであるガトー大尉もジャスティスに対して有効な打撃を
与える方法を見つけられずに居た。

「報告にあった新型MS、確かに大した性能だ。このゲルググが運動性で負けているとはな・・・。だが、此処で逃がせば後の憂いとなる。此処で確実に仕留めさせて貰うぞ。」

そう言って再びジャスティスに攻撃を仕掛けようとするガトーであったが、後方からの接近警報に気が付き上へとスラスターを吹かせる。見れば2機のゲイツが後方から迫っておりジャスティスはその隙を付いて戦域から離脱した。

「な、邪魔だー!」

ジャスティスが離脱する様子を見たガトーは慌てて前方に居たゲイツ2機を片付けると急いでジャスティスを追った。しかし、速度はジャスティスが圧倒的に上回っており敢え無く逃がしている。

「・・・逃したか」

「大尉、ご無事ですか?」

「カリウスか。私は無事だ。しかし敵の新型は・・・」

ガトーが言ってモノアイをある方向へ向け、カリウスのリックドムⅡに其方にモノアイを向けると、其処に遠くに光るジャスティスのスラスターだけが光っていた。
この戦いで大西洋連邦の宇宙艦隊は艦隊戦力の3分の1を失う大打撃を受けるが、その代わりにグングニール投下作戦に投入されたザフト艦艇の8割を撃沈する事に成功しており、ザフトはこの戦いで高い技量を持った戦前からのベテランパイロットの多くを失う事となり、結果的にザフトが徴兵年齢を大きく引き下げる事の原因となっている。

873 :ナイ神父Mk-2:2016/10/17(月) 23:24:00
以上です。WIKIへの転載は自由です。

886 :ナイ神父Mk-2:2016/10/17(月) 23:47:53
スイマセン、キャラを勘違いしていました・・・ダガーに乗ったのはサイの方ですね。此方では関係修復の機会が訪れず、部隊再編に際してMSパイロットに配属されたという事で・・・

トールをサイに修正

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最終更新:2016年10月21日 13:18