100 :ナイ神父Mk-2:2016/10/20(木) 01:31:00
大陸SEEDネタ その12

パナマ攻略戦と原作キャラの動き②

C.E71年5月30日AM10:00、戦闘開始から3時間程が経過したこの時、パナマの防衛の総指揮を取っているパナマ基地では正体不明の物体が多数降下してきている事が確認されていた。初めはザフトの降下部隊と思われていた其れだが、通常MSが個別に降下を開始する高度に成ってもMSが投下されない事から、司令部に詰めていた将官達はザフトの謎の行動をいぶかしむ。

「なんだ、新型の降下ポットでは無いのか?」

「降下物体は現在も降下中です。どうしますか?」

「降下ポットの類では無いにしろ。ザフトの物である以上は撃墜すべきでは?」

「そうだな。最寄の航空隊に攻撃を行う様に指示をだせるか?」

「いえ、周辺の航空隊はザフトの新型の足止めで戦力が割かれています。ダガー隊と対空砲で対処すべきかと」

「ならばそうしてくれ、あとは・・・」

司令部からの指示により陸上戦艦や大口径砲を持った部隊が降下してくるグングニールに対空砲撃を浴びせるも、一部はザフトの占領した戦域に落ちた事や、多数のディンとジンが護衛に向かった事で防がれている。そして司令部の東西並行線上と南方に落ちてきたグングニールをザフトが一斉に起動させた事によって、周辺一体に強力な電磁パルスが発生、一部の電磁パルス対策が施されていた施設や戦艦等を除く機械部品に大きな障害が出て次々と機能を停止させる。マスドライバーも例外では無く強力なEMPによって機能を停止した。此れにより戦局は大きくザフトに傾く事と成る。

「な、何が起きた!」

「い、EMPです!ザフトが新兵器と思しき兵器を着陸させた地点から強力なEMPが発生。周辺のダガー隊や総司令部との通信が途絶しています!」

「ダガーに総司令部までだと!下の状況はどうなっている!?」

「映像では周辺一体のダガー隊の動きが停止。ザフトの攻撃によって一方的に破壊されています!」

「いかん、直ぐにGAT-X隊を出撃させろ。ストライク隊にも通信を行い、友軍の救出と護衛を行うよう通信を行え。最悪は発光信号でも構わん!本艦は引き続き敵部隊への砲撃を継続、気を引き締めろ。さっきまでとは比べ物に成らない数が来る筈だ!」

ハリン大佐はそう指示を出すと、弾かれたように動き出したオペレーター達が各部署へと指令を伝達、其れを受けた格納庫でも温存されていた後期GAT-X達も動き出していく。

一方で、先程のEMPを耐え切っていたフラガ率いるストライク隊は機体を捨てて、又は鈍くなった乗機を無理矢理動かして離脱してくる友軍の防衛に追われていた。

「くっそ、ザフトの連中ここぞとばかりに狙ってくる!坊主共、そっちは任せたぞ。絶対に敵を通すな!」

「解かっています!くっサイと連絡が取れない。無事だと良いけど・・・」

「キラ、サイも心配なのは解かるけど、今は敵を撃って。此の侭本当にサイに会えなくなるよ!」

他のストライクに搭乗するトールとフラガにそう言われ、キラは周辺の兵士の中にサイが居ないかを気にしながらも戦闘を続け、攻撃してくるザフト軍のMSに対して対抗していた。そして、前線から離脱して来る見覚えのある姿を集団の中に見つけたキラは思わず安堵し、外部スピーカーをオンにしてサイに声を掛けようとした直後、その後方に突撃銃を構えたジンが居る事を確認し思わずストライクを操作して前に出る。

「サイ、危ない!」

兵達の後方へと着地したストライクはそのままビームライフルを発射してジンを撃破、他の兵士達は逃げ出す物のスピーカーをオンにしていて名前を呼ばれたサイだけは困惑したような表情で何かを言おうと口を動かしている姿がモニターを通して見えていた。
その様子に焦った様にキラは叫ぶ 。

101 :ナイ神父Mk-2:2016/10/20(木) 01:31:36
「サイ、早く逃げるんだ!」

そうスピーカー越しにキラは、サイにそう声を掛けるとサイはまた前を走り出す。しかし、サイが走り出したその瞬間。兵士達の集団に上空から飛来した流れ弾が直撃、サイを含めた周辺にいた生身の兵士達を丸ごと消滅させた。その光景にキラは思わず固まる。そして、その隙を付いて周辺に居たザフト軍のMSたちが邪魔なストライク隊を排除しようと動き出す。其処には近づいて来るフリーダムの姿もあった。

「敵は多数が健在、おまけに新型。こっちは3機。参ったな。本格的にヤバイぞ・・・」

「フラガ少佐、如何しますか?」

「如何するっていった・・・」

「よくもサイをー!」

「お、オイ、坊主!」

フラガと、サイの死を見ていない為、比較的冷静だったトールが対応策を話していると、先程まで停止していたキラのストライクが突如として動き出し、キラの叫びと共に敵の集団へと突貫、手当たり次第に敵機に手に持っていたビームライフルを乱射し始める。その行動に対してトールは驚き、声を上げる。

「キラ、落ちつけ。此の侭だとエネルギーがヤバイぞ!」

「あいつ等が、あいつ等がサイを!」

「トール、兎に角キラを援護するぞ。此の侭だとアイツまで撃墜される!」

「は、はい!」

キラの突然の行動にフラガもトールも驚きながら援護を再開。しかし、敵機の攻撃が激しくなり、更にフリーダムが上空から砲撃を開始した事で戦況はドンドン不利に成っていく。フラガも流石に危ないと感じ始めていたその時、突如として上空から複数のビームが飛来し、展開していたザフト部隊を排除し始める。何事かと思いフラガが上を見上げると其処には上空から此方を攻撃する黒いGAT、レイダーの姿があった。その横ではフォビドゥンがフリーダムと接近戦を演じている。そして後ろからはいつの間にか近づいてきていたのか、カラミティが出現して付近のMSに自慢の火力をぶつけ始める。するとモニターに金髪の若い男、オルガが写りストライク隊にハリンからの言葉を伝える。

「あのおっさんからの伝言だ。一旦おっさん達は引けってよ。此処は俺たちがやれだと」

「おっ、済まない、助かった。俺達は下がるが、お前等も落されるなよ」

思わず「おっさんと言うな!」と言いそうになったフラガであったが、時間が無い為、其処はグッと押さえ込み、伝言を伝えたオルガに礼を言うと未だにビームライフルを乱射し続けているキラに対して通信を繋げる。

「お前もいい加減にしろ!此の侭じゃお前まで死ぬぞ!」

「で、でもあいつ等がサイを!」

「お前が此処で死んだら、誰がそのサイの最後を伝えられるんだ!サイの最後を見ていたのはお前だけなんだろ!お前は其れを他の奴に伝えるんだ!」

「・・・解かりました」

フラガに怒鳴られて幾分か落ち着いたのか、キラは大人しく指示に従い、アークエンジェルへと撤退を開始した。この後、パナマ基地の司令部は発光信号によってパナマ基地の放棄と全軍への撤退を通達、多数の兵士がMSをその場に置いたまま撤退を行い、陸上戦艦や無事だった機体に輸送されて後方の基地まで撤退を開始している。そして、無人となったパナマ基地を制圧したザフト軍はと言うと、基地機能の復旧後に此処を前線基地と定めて北米大陸への足ががりとして確保している。

102 :ナイ神父Mk-2:2016/10/20(木) 01:32:08
南米基地襲撃と核兵器の捜査

ザフトが北米へと向けて陸海両面から攻撃を仕掛けて大西洋連邦と激戦を繰り広げている頃、南米沖の海底では大洋海軍の大型潜水母艦「蒼龍」が呂号潜水艦を複数率いてプエルト・ベルグアノ海軍基地に向けて進軍していた。艦隊を率いる戸上大佐も真剣な様子で目の前の画面と向き合っている

「今回の作戦内容を説明する。」

戸上大佐は、手元のマイクを使用して艦内全域に自身の声を伝える。

「今回の作戦は陽動だ。我が艦隊は此れより、南アメリカ軍の海軍基地プエルト・ベルアグノ基地を攻撃する。繰り返し言うが、これは友軍を援護する為の陽動だ。各隊はなるべく派手に暴れろ。それが友軍の助けとなる。各員の健闘を祈る」

大佐はそう言うと、艦内通信のスイッチを切り、自身の腕につけた腕時計を確認する。

「そろそろ浮上か。各員作戦準備に取り掛かれ!」

そう大佐が命令を出すと蒼龍を初めとした潜水艦隊は、機体を発進させた後に海面付近まで上昇、対地ミサイルによる攻撃を開始する。
一方で攻撃を受けたプエルト基地には大きな混乱が起きていた。何せ、旧アルゼンチンの主要海軍基地とは言え、南アメリカ合衆国が大西洋連邦と戦争を始めた後は殆ど後方基地扱いであり、襲撃など予想していなかったのだ。基地の守備隊は慌ててジャンク屋から購入したジンやジンワプス、リニアガンタンクを出して迎撃に移るが、奇襲してきた大洋の方が一枚上手だった。

「畜生、連合の奴等、なんだってこんな後方の基地を!」

「喚いてる暇が有るなら早くワプスを出して海に出ろ!」

「解かって、うわあ!」

「な、ルーイ!?」

海へ入ろうと海面へ近づいた機体は、突如として海から伸びてきた腕に貫かれて沈黙。見れば同じく海に入ろうとしていたジンワプスが次々と沈黙させられ、その身体を盾代わりにしてザフトの機体に似た、何処か生物的なフォルムした大洋の水陸両用MSが次々と上陸してきたのである。南アメリカ軍所属のジンたちは一度はその機体に驚くも、即座に反撃を開始する。しかし、此れに対して大洋のMS、ハイゴックは腕に装備された腕部メガ粒子砲で応戦を開始し、更に上陸地点を確保した事によって次々にMSが上陸を開始してきた。中には指揮官機なのか、他の機体より体格のガッシリした機体、ズゴックEが数機上陸してきている。
敵機を沿岸部から排除した海兵隊所属のMS部隊は、周囲の安全を確保した事を旗艦である蒼龍に連絡する。

「上陸地の確保に成功、此れより基地施設の破壊に移ります。」

『ああ、そうしてくれ。此方から追加のゾック小隊も出撃させる。以降はゾックと連携して攻撃を行え』

「了解しました。」

「笹井隊長、司令からは何と?」

通信を終えた笹井に通信を送ってきたのは、ハイゴックに乗る部下からである。其れに対して笹井は、何でも無いように返す。

「以後は、後続のゾック隊の支援を受けながら攻撃だそうだ。」

「ゾックを出すんですか?いささか、やり過ぎの様な気もしますが・・・」

「上としては、此処でザフトに負担を掛けて、間接的に大西洋を支援する積もりなんだろ?それに降伏して来た訳でも無いんだ。手を緩める必要は無い」

「其れもそうですね。失礼しました。」

103 :ナイ神父Mk-2:2016/10/20(木) 01:32:40
部下はそう言うと通信を切り、増援に出てきたリニアガンタンクに120mm機関砲の掃射を開始して、次々に敵機を撃破していく。其れを見ていた笹井も攻撃へと移り、近くに出てきたグーンヘ格闘戦を仕掛け、その腹をクローで貫いている。そんな中、大洋が確保した地点からは新たに3機のMSが上陸して来た。その姿はどちらかと言えばザフトのグーン
にも似たフォルムで、モノアイとそのスリットの周りにはメガ粒子砲なのか複数の砲門が備わっている。

新しく上陸した機体であるゾックは、其のままモノアイを動かして周辺の様子を探り始めた。すると、少し離れた倉庫の裏に走っていくジンの姿が見える。其れを確認すると思わずゾックのパイロットは笑い出す。

「馬鹿め、ゾックのの火力を甘く見るなよ!」

パイロットのその言葉と共に発射されたメガ粒子砲は、ジンが隠れた倉庫を正面から貫通。内部に有った戦車等も貫いて倉庫の後ろに居たジン3機を纏めて蒸発させている。
この1時間後、破壊の限りを尽くした蒼龍隊所属のMS部隊は来た時と同じ様に海中へと消え、其のまま南アメリカ海軍の追跡を振り切っている。この基地の他、多数の拠点が大洋とユーラシアの襲撃を受けたことがパナマの攻略部隊に伝わったのはこの1時間後であり。ザフト・南アメリカ合同軍は、此れから進軍するか、後退するかで内部の意見が別れている。一方で、戸上大佐の下には総司令部からの通信が入っていた。

「・・・失敗、ですか?」

『ああ、元から情報に不鮮明な所が多い情報で有ったがな。報告の有った基地を襲撃したユーラシアの部隊は見つける事ができなかったそうだ』

「では、任務は此れで終了ですか?」

『いや、貴官らは此れよりユーラシアの捜索隊の援護に入ってくれ』

「ユーラシアのですか?」

『そうだ。行うのは引き続き陽動ではあるが、大西洋連邦とザフトの戦闘結果次第ではザフトの本隊ともぶつかる可能性があるが、やってくれるな。』

「命令とあらば」

『頼んだぞ、ザフトが南米に核を持ち込んだのでは無いかと、総研の方々も心配しているのでな・・・』

その後、南米の沿岸部は、大洋の潜水艦隊の襲撃を相次いで受ける事となり、蒼龍率いる潜水艦隊は南アメリカからは恐怖の対象として見られていく事となる。

104 :ナイ神父Mk-2:2016/10/20(木) 01:34:10
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最終更新:2016年10月21日 13:56