866 :ナイ神父Mk-2:2016/10/26(水) 00:46:12
大陸SEEDネタ その14
北米防衛戦と自由と正義の敗北
C.E71年6月15日、南アメリカ軍陸軍の増援部隊を待ってザフト軍は再度北上を開始した。進軍を開始したザフトは南アメリカの戦力を加えた事によって力を増しており、ザフト軍は初期のザフトがそうであった様に、破竹の快進撃を続け、遂には北アメリカの大西洋連邦本土目前までその戦力を進めていた。しかし、パナマでの敗北から体勢を立て直し、直ぐ後ろに本土がある為、背水の陣と成った大西洋連邦は本土の防衛部隊も糾合して戦力を増強、南米・ザフトの連合軍を待ち構えていたのである。
そして、両軍は旧メキシコとテキサスを隔てていた嘗ての国境で激突する事となる。
侵攻してきたザフトを最初に迎えたのは最早誘導が宛てにならない為に半ばロケット弾同然の感覚で弾幕となって飛んでくる無数の対空・対地ミサイルであった。腕の良いディンのパイロット達やジャスティスとフリーダムの居た中央戦線はミサイルを迎撃、或いは回避するも、其れの出来ない南アメリカの戦闘機部隊や新兵の乗ったディンはそれだけで次々と撃墜されていき、更には地上に着弾したミサイルが咲かせた大輪の爆炎の華が足の遅いMS形態のザウードやジンを飲み込みながら花開いていく。
最も、それに巻き込まれた側はそんな様子を気にする事無く、悲鳴を無線へと響かせ進撃してきたザフト兵士達の足を止めさせる事と成る。そして、その悲鳴は連合からパナマで奪った陸上戦艦内にも響き渡り司令部を混乱させる事となる。
「ミサイル着弾地に居たショーン隊、通信途絶!同行していた南米の戦車大隊からも連絡が有りません!」
「先程の対空ミサイル群により我が方の航空機部隊約20%の通信がつながりません。恐らく撃墜された物かと・・・」
「中央戦線のフリーダムより通信、対空ミサイル群の撃墜に成功。しかし、対地ミサイルは3割ほどがフルバーストを抜けて地上に着弾したと報告がありました!」
「くっ、警戒していたのに此れか!バクゥを中心として機動力を持って敵の防衛ラインを食い破れ。出し惜しみはするな!」
陸上戦艦に乗るクライスラーが指示を出すと同時に、出撃したバクゥ隊は迎えたのはバスターダガーやリニアガンタンクによるバクゥ部隊に対する大量の鉄量の投射であった。
「くそ、アフリカから逃げて漸くあの雨から逃げられると思ったのに!」
「あ、足をやられた。助けてく・・・」
「ば、爆炎でなにも見え、うわあー!」
「は、話しが違う!ナチュラルがこんなに・・・」
それに対して元アフリカ方面所属のザフト兵達は、アフリカの経験を活用して何とか被弾を避ける様に動いている物の、経験の無い南アメリカや新任のザフト兵達は次々と被弾箇所を増やし、動けなくなった機体から次々にビームや砲弾の直撃を受けて断末魔を上げながら機体ごと砲撃に粉砕されていく。又、其れ何とかして弾幕による鉄の檻を抜け出した先でザフトの部隊を待っていた物は更なる試練だった。
「おっと、此処は通さないぜ!」
そう言ってオープン回線で通信を繋げ弾幕を突破したバクゥを切り裂いて登場した一機のソードカラミティがストライクダガー隊を引き連れ、行く手を阻んだのである。
「まさか、切り裂きエドか!?」
「畜生、こんな所で!」
「落ち着けエースとは言っても人間だ。連携で・・・」
隊長格と思われる機体から指示が出るより早く、エドは再び機体を操作して即座に接近、近場に居たバクゥを切り裂いた。其れと同時に部下であるストライクダガー隊も射撃やビームサーベルに寄る接近戦を開始して、周辺の敵機の掃討に移っていた。そして、掃討と同時に、部下であるストライクダガー隊より通信が入ってきた。
867 :ナイ神父Mk-2:2016/10/26(水) 00:46:44
「隊長、周辺掃討は完了しました。」
「おお、ご苦労だったな。上にはこっちから連絡しておくからお前等は待機していて良いぜ」
「了解しました。」
そう言って通信を切った部下を尻目にエドは通信司令部へと通信を入れ、突破した敵MSの撃破に成功した事を司令部へと告げた。この報告を聞いてザフトに対する面制圧を進めた司令官はにやりと笑う。
「どうやら、作戦は順調に推移している様だな・・・」
「はい、上空から偵察を行うスカイグラスパーからの報告では、確実に敵MS部隊は活路を探して意図的に薄くされた箇所に飛び込み始めています。」
「そうか、それならば問題は無い。例のGAT-Xに似たザフトの新型は?」
「其方はアークエンジェル隊が対応しています。理事肝いりの部隊か・・・。コーディネイターが居るのは気に入らんが、まあ、クラウス議員の手前も有るのだろう。我々は此の侭・・・」
「緊急通信!第12戦車大隊にザフトのMSが喰らい付きました。救援を求めています!」
「な、あそこにはストライクダガーが中隊規模で護衛に着いていた筈だ!そいつ等は如何した!!」
「敵のデュエルとバスターに突破された様です!又、其処の弾幕が弱くなった事で其処を中心にザフト兵が群がり始めて居ます!」
「こんな所でもあの間抜けのせいで足を引っ張られるか!ソウキス共を出せ、奴等に対処させる!」
「しかし奴等はコーディネイターですよ!」
「こんな時に言っている場合か!役に立つなら強化人間だろうが、コーディネイターだろうが変わらん。いいから出すんだ!」
「り、了解しました!」
司令からのその言葉に司令の近くで控えていた副官やオペレーター達は再び忙しく動き始めた。一方で、火線を突破したデュエルとバスターに乗る二人はと言うと、近場から応戦に来るストライクダガーへの対処に追われていた。
「くそ、次から次へとうっとおしい!」
「全くだ。切りがないぜ。アレだけパナマで叩いたのに此れだけ居るのかよ・・・」
「ふん、ナチュラルの数が多いのは元からだ。其れより敵もビーム兵器を標準装備化している。うっかり落されるなよ、ディアッカ」
「解かってるよ。お前こそ気をつけろよ。何だかんだで突っ込んで行くし」
何時もの軽口を叩き合いながら敵機を処理しているとその時、突然多数のビームが先程まで二人が居た地点へと直撃して地面を融解させた。ビームが飛んできた方を見ると、複数のデュエルと支援用と思われるバスターが小隊を組んで現れる。
「オイオイ、マジかよ。ドンだけ金使ってるんだ。連合の奴等・・・」
「言っている場合か!其れより気を引き締めろ。さっきの様に簡単に通してくれる相手じゃ無さそうだ」
そう言ってビームサーベルを構えたデュエルは、連合側のソキウスが操作するデュエルへと白兵戦を挑んでいった。
イザークとディアッカが此れまでに無い強敵と相対している頃、戦闘が行われている上空では護衛であったディンや戦闘機が落とされ半ば孤軍奮闘となっているニコルとアスランが搭乗しているフリーダムとジャスティスの姿があった。遠くから牽制の為なのか、大量の空対空ミサイルが発射され、被害は無い物の、衝撃で幾度と無く体勢を崩されそうになっている。
868 :ナイ神父Mk-2:2016/10/26(水) 00:47:19
「くそ、他に味方は居ないのか!?」
「先程の対空ミサイルで他の部隊にも相当な被害が出ています。恐らくは他の戦線の支援に行って居るんだと思います。」
「だからと言って・・・」
アスランが其処まで言いかけた所で突如として大型のビームがフリーダムとジャスティスを分断する様に通過、直撃は避けた物の2機の距離は離される事と成った。其処に2機、フォビドゥンがそれぞれに鎌で切りかかる。その時フリーダムの方は明らかに胴体を切り裂く様な軌道をしていた為、後から追いついたフラガはシャニの乗るフォビドゥンへと通信を入れる。
「おい、撃墜するなって言われていただろ!初っ端からヤル気満々で行って如何する!?」
「だって何かウザかったし・・・」
「命令なんだから仕方ないだろ。それに情報だとあいつ等には原子炉が積んであるんだ。切ったりしたらどんな被害が出るか・・・。
兎に角、あの2機は鹵獲しろって命令だ。解かったな!」
「・・・ハーイ」
「怒られやんの、バーカ」
「ウザイ」
「馬鹿はお前もだ。サッサとやんぞ」
フラガからの通信が途切れた直後、通信を繋げて馬鹿にしてきたクロトに対してシャニは一瞬切れそうに成るも、オルガの言葉によって再びフリーダムを見据えて鎌で切り掛かる。下からはカラミティが砲撃を開始していた。対するフリーダムもレールガンや片羽根のビーム砲で対応するが、フォビドゥンのバックパックに取り付けられたゲシュマイディッヒ・パンツァー装備の盾に防がれ、その隙に背後からレイダーのハンマーがフリーダムを落とそうと振り回される。3対1の形に成ったフリーダムは徐々に追い詰められている。
其れと同時にジャスティスも又、キラの操縦するフォビドゥンと2機のストライクによって追い詰められ始めていた。アスランはキラを説得しようと試みるもキラは聞く耳を持たない。
「まだ、地球軍で戦っていたのか!いい加減引いてくれ!」
「前も行った筈だよアスラン、僕には守りたい友達が居るんだ!それにサイの事もある。此処で君を落す!」
そう言って通信を切ったキラはフォビドゥンを操作してジャスティスを蹴り飛ばした。その隙を付く様にフラガのストライクがビームライフルを発射してくる。体勢を立て直したアスランは素早くそれに対処して盾を構えるがそのタイミングが悪かった。フラガのストライクのビームを弾いた直後、下方から放たれたトール機のライフルから放たれたビームへの対処が遅れてしまい、其の侭突き出した腕を貫通、伝達機器を破壊されて左腕はPS装甲も含めて完全に停止した。その隙を突く様にキラの機体からフレスベルグが放たれジャスティスへと迫る。腕を破壊された隙を突いたこの攻撃はジャスティスから両足を奪い去り、一気に機動性を失わせた。完全にバランスを崩す形となったジャスティスへとキラは思い切り鎌を振り上げる。
「此れで!」
その一言と共に放たれた一撃は斬撃としては機能しなかった物の、その衝撃は防ぎきれずに地面へ向けてジャスティスは叩き落され、地面に突っ込む形で停止した。その背後では四肢と頭部、背中の羽まで破壊されたフリーダムを抱えたレイダーが下りてくる。フリーダムとジャスティスの撃墜。この報告は戦線に居た両軍の兵士に大きな影響を与えた。特に切り札を失ったザフト軍の衝撃は大きく、これ以上の戦闘は不可能だと悟ったクライスラーは部隊へと撤退命令を出して撤退を開始した。
その後、南アメリカが降伏を決意した事でザフトは南アメリカからも出て行かざるを得なくなり、宇宙への出口を求めてザフト兵達は中立であるオーブへと向かい始める。
869 :ナイ神父Mk-2:2016/10/26(水) 00:47:49
盟主の憂鬱と協力体勢
C.E71年6月20日、ブルーコスモスの盟主であるアズラエルの財閥の本社の会長室には現在5人の人間が集まっていた。
此処の持ち主でもあるアズラエルとその側近的存在であるサザーランド、元ブルーコスモスの穏健派代表マリア・クラスウス上院議員、そして、残るは連合内の反ブルーコスモス派の筆頭であるアンダーソン提督とその腹心のカナリスである。
「皆さん、お忙しい中集まってもらえて感謝しますよ。」
「それでアズラエル理事、我々を呼んだ理由を尋ねたいのだが?」
「そうですね。元ブルーコスモスの私だけなら何となく察しは付きますが、アンダーソン提督までとなると・・・」
「お察しの通りですが、どうやら状況の不味さまでは聞き及んで居なかった様ですね・・・。単刀直入に言いますが、僕と協力してジブリール君、延いては東アジアを押さえてはくれませんか?」
その言葉を聴いた二人は思わず怪訝な顔をする。現在の所二人が知らべて居る限りではブルーコスモスの勢力はアズラエル派がジブリール派を押している状況なのである。その筈であるのに、自分の勢力で抑えられるジブリールを押さえろとは何時ものアズラエルらしくない言葉である。これは並々ならない理由か、自分達の及ばない部分で何かが動いていると考えた二人は話を聞く体勢へと入る。
「話を聞いていただける様で何よりです。ご存知かとは思いますが、先日の戦闘で我々は見事ザフトを退け、その勢いで南アメリカを降伏させました。」
「その件については要望を通してくれた事に感謝します。」
「ああ、その件については構いませんよ。僕としても必要な事だったので」
マリア・クラウスが言う要望とは、コーディネイターのイメージアップ計画の一環である連合所属のコーディネイター達のアピールである。
その為に送られた機体はすべてアズラエルの系列の会社の機体であり、アズラエルが協力した事業でもあった為だ。
「その作戦とジブリールを押さえる事に何の関係が有るのだ?確かにパナマでの戦闘時はジブリール派の兵士達や議員が忙しく動いていたが、あの時点で我々がザフトに対抗できるだけの力を持っていると大洋に見せるのは手としては悪くないはずだが?」
「それは、問題ないんですよ・・・。問題は此れです。サザーランド君お願いします。」
「解かりました。理事」
そう言ってサザーランドが二人に見せたのは2機のMS。連合が鹵獲したフリーダムとジャスティスであった。
「この機体はたしか、北米防衛戦で鹵獲された・・・」
「向こうの呼称で言えばフリーダムとジャスティスと呼ばれています。ジブリール君の影響下に居る部隊が密かに鹵獲する様に命令を受けていた機体です。僕の方で調べた限りでは、この2機にNJCが搭載されているという情報が入り、僕も伝のある部隊に戦力を送って鹵獲を頼みました。結果はこの通りドンピシャですよ・・・」
「此れをジブリール派の兵士が鹵獲しようとしていたと?」
「正確には東アジア共和国の兵士が、ですけどね。此れによって大西洋連邦でもエネルギー復活の目処が立った訳ですが、同時に核兵器も復活した事に成ります。」
「核をジブリール派が使うとでも?大西洋の物は厳重に保管・・・まさか」
870 :ナイ神父Mk-2:2016/10/26(水) 00:48:25
自国の核の管理状況について述べようとしたアンダーソン提督であったが、何かに気が付いたのか言葉を止める。そして其れを引き継ぐようにアズラエルは話し始めた。
「そうです。彼らは再び東アジア軍に核を使用させる積もりなのですよ」
「しかし、東アジアが頷きますか?彼らも血のバレンタインで痛い目を見たはずです」
そうクラウスはアズラエルに自身の考えを伝えるが、アズラエルは其れを否定するように首を振る。
「残念ながら彼らは、自国民の生死以上に面子を重視します。そんな彼らに、目障りなザフトを一掃できる手段が転がり込んでくる。使わない手は有りますか?」
「それは・・・」
「残念ながら、東アジアは粗完全にジブリール君に近い思想で軍、政権共に染まっています。そして、一回使った物は引き金が軽くなる。
僕としては大金をかけて作ったプラントを壊されるなんて真っ平です。ですからお二人にこうして協力をお願いしているわけですよ。」
その1時間後、来客であった二人は退室し、後にはアズラエルとサザーランドの二人が残った。ゆっくりと飲みかけだったコーヒーを飲むアズラエルに大してサザーランドは心配そうに声を掛ける。
「あの二人、頷くでしょうか?」
「クラウス議員は兎も角、アンダーソン提督は微妙かな?最悪は妨害が無い事だけでも期待しましょう・・・」
「しかし理事、あのままジブリール様の暴走を止められなければ何れ・・・」
「解かっていますよ。だから下げたくも無い頭を対立しているアンダーソン提督にも下げたんじゃないですか。兎も角、後は結果を待つだけです」
そう言ってカップを置いたアズラエルは自身の机へと戻り、再び書類の処理を始めた。この会合より3日後、二人より協力する旨の返事があり、アズラエルの誠意は一応伝わった形と成っている。
871 :ナイ神父Mk-2:2016/10/26(水) 00:50:07
以上です。WIKIへの転載は自由です。正義と自由はオーブまで生き残らせる気でしたが、戦力や流れを見て不可能と判断し、此処でアスランとニコルには退場してもらいました。
最終更新:2021年06月06日 04:12