579 :名無しさん:2016/11/09(水) 08:04:17
「世界のあちこちにゲートが開いてしまった世界:欧州編」
アメリカ程ではないが、ドイツもゲートを嫌っている国の一つだ。
イギリスを除く欧州に開いたゲートの内、イタリアはマシだった。
しかし、他は関係は壊滅的なものだった。
フランスは当初は友好的に行きかけたものの、憂鬱フランスのアフリカによる絶滅政策が知られるにつれて人権団体の抗議活動が活発化。これに不快感を覚えた憂鬱フランスが史実フランス側に対して「憂鬱世界の常識」に基づいた取り締まりを願った為に一気に関係が悪化した。
彼らの主張は到底史実フランス側に呑めるようなものではなく、一方で取り締まりの出来ない史実フランスに対して憂鬱フランス側も不信感を増大させた。
これに拍車をかけたのが憂鬱欧州の盟主であるナチスドイツのゲートへの対応であった。
何しろ、憂鬱世界のナチスドイツと、史実世界のドイツ連邦共和国は正に水と油。
当初こそ「同じドイツ」と思い、笑顔を見せた双方も即効で顔が引きつった。
当り前と言えば当り前の話で、ドイツ連邦はナチスとヒトラーに全責任を押し付ける事で第二次世界大戦のドイツの責任の大半を逃れている。そこへ現れたのが正にナチスドイツだ。それを認める事など出来る訳がない。
逆にナチスドイツにしてみれば自分達を完全否定する国だ。同族嫌悪というか、即効で双方とも同じドイツ人だからこそ激怒した。
せめて綺麗なナチスドイツなら「我々の世界とは名前だけ同じ別のドイツである」と認識する事も出来ただろう。
しかし、現実は非情。実際には「史実より更に過酷な統治上等、現代の奴隷制を採用し、ユダヤ人のみならずスラブ人に対しても過酷極まる統治を行っている」ナチスドイツだ。
事実、憂鬱世界で悲惨極まりない過酷な生活を行っている同胞の姿を見たポーランドなどは激怒して軍隊を送り込んでいる。
かくして、史実ポーランド軍と憂鬱ナチスドイツ・ポーランド駐留軍との間で戦闘が勃発。
一見すると2015年代のポーランド軍と、1960年代のナチスドイツ軍では前者に軍配が上がりそうな印象を受けるかもしれない。
だが、実際には憂鬱世界の軍事技術は極めて高いレベルにあった。
この時代になると、多少は憂鬱世界の緊張は緩和されていた、かといえばそんな事は全然なかった。
何しろさすがにこの時代ともなれば憂鬱ドイツも核開発に成功していた。この当時の日本帝国は既に核の弾道弾開発に成功しており、ドイツのそれは未だ途上ではあったがそれでも「核を持つ者と持たない者」という状況にナチスドイツが耐えられる訳がなく、乾いた雑巾を絞るような思いをしてヒトラー当人とシュペーア財務卿(財務関連全般を担う重役)の髪を犠牲にしつつも核そのものは完成させていた。
もっともこの当時、日本帝国側は原子爆弾に続き水素爆弾の開発にも成功しており、更に先へと進んでいたし(こちらは更なる極秘機密であり、密かに行われた水爆実験も英国でさえ通常の核実験の一端としか認識していなかった)、加えて早くも原子力潜水艦に搭載した弾道ミサイル潜水艦の開発にも成功していた。
いわゆる冷戦状態にあったが、この状態に危機感を抱いた日本帝国側がナチスドイツ側に核保有数の制限を提案。
「世界を何度も滅ぼすだけの核をお互いに持つ必要はないのではないだろう」
その提案に、ナチスドイツも英国も表は渋りつつ、内心は喜んで応じた。
何しろ、この時点で最も優れた核投射技術を持つのは日本帝国であり、日本帝国の核兵器保有数は両国のそれを合計したよりも更に多かった。おまけに核の生産と維持にはとにかく金がかかった。これを日本帝国側から「数をお互いに抑えよう」と提案してくれたのだから、応じない訳がない。
かくして、核保有数には早々に制限がかけられ、これ以降はより確実な投射手段と威力が追及されていく事になる。
が、史実の「何百回も地球を滅ぼしてお釣りがくる」程の保有をどこも行わなかった分、通常の軍事力の開発に資金が投じられた。
この結果、戦車に関しては陸軍国ナチスドイツでは1960年代に史実のレオパルド2に相当する戦車が早くも出現。
一方、航空機に至っては日本帝国がF4ファントムやF14トムキャットをすっ飛ばし、史実F18とF16を艦載機と空軍機としてそれぞれ開発している。
「この時代の最強戦闘機ならF15だろ!」
という声は当然あったし、開発したいという声は無論あったのだが何しろ双発であるF15イーグルは高価だ。
「お金を稼ぐのがどれだけ大変か理解出来てるんですか?」
そんな辻大蔵大臣のにこやかな笑みに対抗出来る者がいなかったともいう。また。
「マ○ロスの為にもF14トムキャットを!!!」
と叫ぶ者も同じく意見を潰されている。
580 :名無しさん:2016/11/09(水) 08:04:59
ただし、両機共更にわざと弄ったデータをダミーデータとして故意に流出させ、ナチスドイツと英国双方の開発に多大な影響を与えている。
この外見の美しさや可変翼の魅力、更に逆行者のせめてアニメでは!という活動から日本帝国のアニメにマク○ス相当の作品と可変翼を有するヴァ○リーが主役メカとして描かれたり、ナチスドイツにおいて可変翼を採用した次期主力戦闘機に四苦八苦し、関係者が単発機で可変翼も採用していない日本帝国最新鋭機の姿に「騙された!」と絶叫する事になるのだが(英国は予算の関係で日本帝国最新鋭機発表までに次期主力を実用化出来なかった)、それはさておき話を戻すが、まだまだ電子機器分野などで2016年代のそれとは劣る部分もあったが、それでも憂鬱世界へと侵攻したポーランド軍戦車をゲートから出てくる瞬間を狙って攻撃、破壊可能なだけの戦車をナチスドイツは既に保有していたのは紛れもない事実である。
加えて、ホームグラウンドなのはナチスドイツ側。
ポーランド側はゲートという決まった場所を必ず通らねばならない。
かくして、ポーランド軍の侵攻作戦は早々に頓挫。
ゲート周辺の建物を取り壊し、陣地を築いて双方がゲートの周辺に強固な陣地を作り睨みあう事になる。
そうして史実ポーランドなど東欧諸国は……史実ドイツに盛大なる苦情を述べた。そして当然だが、史実ドイツは頭を抱えた。
難民問題に加えて舞い込んだこのゲートの問題に首相のみならず連邦議員全員が「どうしろっていうのよ(んだ)!!!!!」と叫んで頭を抱えたという。実際、「何とかしろ!」と言われても既にこの時点でドイツ連邦共和国とナチスドイツは極めて険悪な状態に陥っていた。
それでも何とかゲート双方にまたがる交渉現場、いわゆる板門店のような施設を設けて渋々ながら交渉を続けていたのは一重にナチスドイツの側も交渉も何もなしに即時軍事的衝突に突入した旧ポーランド方面に関して史実ドイツを介して、「せめて停戦」にもちこみたかったからだ。いきなり自国領内に有力な敵対軍事組織が出現した事に、ナチスドイツもまた頭を抱えていたのだ。
この後、アメリカの大混乱とそれに伴う世界的な経済の壊滅的混乱。
更にアメリカが国内の混乱を理由に軍事力を各地から引き揚げた事、これに加えて欧州もまた大西洋大津波への対策を国内から求められた事。
これらがEUにも巨大な亀裂を走らせる事になる。
フランス、スペイン、ポルトガルは当り前のようにEUに津波対策への支援を求め、国土の大半が低地である為に余波でさえ大きな打撃を受ける事が確実なオランダもこれに同調。
反面、被害を受ける可能性の低いイタリアや東欧は予想される莫大な負担額に反発。
元々、難民問題で大きな亀裂が走っていたEUはこれを機に空中分解状態に陥る。この影響をモロに受け、支援の停止したギリシャが極度のデノミネーションと価値が大幅に下落したドラクマでの支払いを宣言。反発したEUの他の構成国などの警告をも無視した結果、ギリシャのEUからの追放を通達。
これを機に元々分解寸前だった分裂が更に進み、フランス・スペイン・ポルトガルにイギリスを加えた大西洋に面した国家群、ドイツイタリアにオーストリアやよる新経済圏。東欧はロシアへと急速に接近を図り、遂にEUは崩壊に至る事になる。
この結果、ポーランド方面の軍事情勢は収まりを見せず、何とか史実ドイツを介して交渉こそなされているものの「人道的な扱いをしろ!せめてこちらへの彼らの移住を認めろ!!」という東欧と、「余計なお世話だ!お前らの国の奴らじゃないだろうが!!」というナチスドイツの交渉がまとまるはずもなく軍事的緊張は高まったまま。
世界的な大不況と軍事的空白による混乱は拡大し、遂にドイツでは首相が倒れ、職務継続困難として辞任しているが次の首相も間もなく倒れ、しかもこの状況で次の成り手になりたい者がいるはずもなく、外交に関してはドイツ連邦大統領が一時代行せざるをえないという緊急事態に陥っている。
581 :名無しさん:2016/11/09(水) 08:05:31
こうした一連の結果として。
アメリカが機動部隊維持の関係上巻き込まざるをえない日本を加えて太平洋経済圏という名のブロック経済圏を実質構築。
旧ワルシャワ条約機構の参加国を主体とした東欧協力機構(略称EEC/The East European Cooperations)がロシアを加えて成立。
イギリスフランスを主体とする大西洋同盟(略称AAO/The alliance of ATlantic Ocean)、ドイツイタリアにトルコを加えた経済協力条約の成立などが一気に進む事になる。
これらの緊急事態によってアメリカからはオイルサンドの、日本では海底のメタンハイドレート及び鉱物資源採掘が急速発展し、その結果として今度は中東の経済的困窮が更に進む事になった。
インドや東南アジアは独自経済圏を新たに構築を図りつつ、日米の太平洋経済圏との接続を図っており、史実世界の再編に伴う大混乱は収束の兆しを未だ見せてはいない。
後にこの混乱の時代を分析した歴史学者が称して曰く。
「第三次世界大戦が起きなかったのは奇跡の大盤振る舞いと経済的困窮の賜物」
582 :名無しさん:2016/11/09(水) 08:07:46
以上です
もうしっちゃかめっちゃかでEUも崩壊。EUによって恩恵を被ってたドイツは更なる泣きっ面に蜂状態です
結果、第一次世界大戦前の緊張状態の再現に陥って、ゲートの向こうにナチスドイツがいなかったら、大西洋大津波の情報がなかったら第三次世界大戦勃発に至っていた可能性大でした、という設定です
最終更新:2016年11月14日 09:57