760 :弥次郎:2016/11/09(水) 01:55:22
『こ、これはザフトへの……プラントへの!いや、コーディネーターという新人類に対する反逆だぞ!』
『今さらナチュラルをどう使おうか勝手だろう!』
『劣等種が優勢種の踏み台になるのは当然だ!』
「こんなクソのようなものを使えばどうなるかもわからん馬鹿が新人類か?ふざけるのも大概にしろ。
総員に次ぐ。艦長と本艦のMS隊隊長は事故死した。航行不能となった為、本艦はこれより友軍艦に移乗。
速やかにこの宙域を離脱する」
既にこれまでのやり取りは通信回線を通じて艦内に流した。
クルーにも予め仕込みをしておいたのも功を奏して、速やかに制圧できた。
「ふん。こんなものを使おうと考えるのが人間かよ。
これを吸い込んで、いい夢を見たまま死んでしまえってんだ」
そして、声の主はエアロックを解放する。
拘束され、ノーマルスーツを着せられていない白服や腰ぎんちゃくの黒服、そして一部の緑服が外の世界へと、宇宙へと消えていく。
悲鳴を上げているのが分かるが、無視する。どうせ数分後には死ぬ人間だ。ノーマルスーツが無ければ呼吸さえままならないのは誰もが同じ。
「さて、やることはやったぜ、ロイ・サリヴァン。あとはもう知らんからな」
プラントにいるであろう雇い主の、というかこの輸送艦の事実を伝えてきた人物である『ロイ・サリヴァン』に呟いたケリー・マチソンは、部下を促しして救助艇へと乗り込んでいく。あとは運を天に任せるしかない。なるようになれ、だ。
『よし……いくぞ……』
ショーンは慎重に大型デブリに突っ込んだマルセイユⅢ級の装甲へとヒートホークを滑り込ませていた。
このマルセイユⅢ級は護衛を殆どつかせずに航行していたのをピケットMSに発見され、先ほどデンバー・ローチ曹長の
狙撃を受けて航行不能となり、おまけに艦橋からデブリに突っ込んだことで身動きが出来なくなって捕縛された。
そしてショーンはローテーションで回ってくる掃海と物資接収の業務を行うべく、僚機にキース・マイヤーズを連れて参加している。
激突の衝撃で気密が維持できなくなったのか、この輸送艦の『中身』がかなり飛び出していた。
空気の放出が収まるのを待って作業は始まった。
(ちょっと昔を思い出すもんだなぁ……)
アフリカでのジャンク屋の内偵。ショーンが開戦前からしばらく行っていた任務だ。
親分(マエストロ)、ミント、ボウゴ。そんなコードネームで呼び合う仲間たちがいた。
アフリカというのは今でも戦線を抱えていたが、もとより開戦前からかなりきな臭い場所でもあった。
そこには多くの戦闘があり、相応のジャンクが生まれ、それを目当てにジャンク屋が集まる。
大洋連合もジャンク屋の情勢について知るためにそこに多くの諜報網を張り巡らせており、ショーンたちはそこに紛れ込んだ諜報員だった。その事実を知るのはサンダーボルト師団でもあまり多くない。
ショーンが今宇宙にいるのも、ほとぼりを冷ますためだ。砂漠を駆け抜けた仲間たちもそれぞれ別の任務に就いているだろう。
短くはない期間だったから、多くの雑技というか、細々した技術を身につけることが出来た。
こんなふうに、適切に破壊するというのも慣れたものだった。
『ちょいちょい……よぉし!』
じりじりと装甲を斬り割くヒートホークは、やがて3m四方を縁取った。
ザクの手がその隙間に入り、ぐっと引く。
振動と破壊の音。
余計なデブリを撒かないためにもショーンは慎重に引っ張る。外れた。
中は格納庫だったのか、多くのコンテナが並んでいた。
そこにキースのザクが手の甲からケーブルでつながれたカメラを射出し、内部へ侵入させる。
暫く内部を走査していたが、やがてその結果が出る。
『クリア…!』
『陸戦隊、突入どうぞ』
輸送艇を運搬してきたサキガケを操るレイトンの合図で、宇宙空間用の無反動銃と専用の宇宙服に身を固めた陸戦隊が突入していく。既に中の空気は粗方漏れているのだが、どこに気密が保たれていて、敵兵がいるかどうかは分からない。
輸送艦とはいえ、中に人がいないと保証されたわけではない。最も危険な時間が始まろうとしていた。
761 :弥次郎:2016/11/09(水) 01:57:07
2時間後、艦内は一通り制圧された。
その結果はショーン達にも連絡がもたらされていた。
『中に人は無し。大体逃げ出した後だったそうだ』
『よかった……』
今回『は』生きている人がいなかった。
酸欠で死んでいる死体はあるが、少なくとも交戦がないだけに安心できた。
凄惨極まりない歩兵戦が展開されるのはMSパイロットしても人間としても気分が悪い。
何しろMSを操る自分たちが物理的に排除しなくてはならない時もあるからだ。
生身の人間を相手にMSを使うなど、あまり気分は良くない。
ほっと胸をなでおろしたショーンはチューブドリンクで乾いたのどを潤す。
『中身は?』
『MSの部品が山ほど。不気味なくらい人がいないし、おまけに積み荷がそのままだ。なんだか不安だな……』
『へぇ……でも確かに罠ってのもあり得るかも』
どうやらこの輸送艦のクルーは早々と艦も荷物も見捨てることを選んだようだ。
艦橋がいきなり潰れて組織的に行動できないかと言えば、そうでもないのかもしれない。
それか、キースの指摘の通り罠なのか。いずれにせよ、分析用以外は破壊するし、きちんとトラップがないか調べるから、危険はかなり抑えられているはず。そもそも、ジャンク屋を介して回収できるかもしれないザフトがジャンク屋に被害が出るような真似はするとは思いにくい。ジャンク屋に依存せざるを得ないザフトにとっては危険すぎる。
(うーん……ジャンク屋っぽい思考回路になってるな)
この思考パターンへの理解がこの師団での任務に役立っているといえば前向きな意見なのだが、何となく抵抗も覚える。
こそこそとずる賢く生きるジャンク屋とは違うという軍人なりの矜持故なのか、それとも、個人的な心情ゆえなのか。
そう思いながらも、キースから結果を聞く。
『それにな、なんか知らんが格納庫に血の跡が見つかったんだ』
『負傷者がいたんじゃないか?』
『いや、それがな……さっき掃海班がザフトの白服の遺体を見つけたらしい。後ろ手に縛られていたんだとさ。
ノーマルスーツも着用していなかった』
『おいおい、そりゃ……』
明らかに見捨てられた。ひょっとすれば反乱がおきたのだろうか。
恐ろしいことに、ザフトは軍事組織なのに階級がないらしい。
白服と言えば、艦長であるとかMS隊の隊長であるとか、そういった役職、指揮官クラスの人間だ。
『民兵組織だからそこら辺は大丈夫なのか?』
『さぁな。ただ指揮系統に関しては一応序列が決まっているらしいよ。
でも、個人技だよりだからどこまで徹底しているのかわからない』
『怖いねぇ。何時反乱するかも、指示に従うか保証されていない軍ってのは』
談笑しつつ、規定通り作業に取り掛かる。
内部から陸戦隊によってハッチが開けられ、大量のコンテナが顔をのぞかせる。
これらはすべて回収だ。一部は分析に回すか、あるいは使えるものを再利用する。
762 :弥次郎:2016/11/09(水) 01:58:30
『ミタデラ曹長、これの運搬お願いします』
『了解っと。ん?なんだこりゃあ?』
送り出されてきたコンテナをしっかりと抑えたショーンは流れていかないようにとケーブルをつなぐ。
その時ショーンは見慣れぬものがカメラに映ったのを捉えた。ズームさせる。厳重な密封がされているのが傍目にもわかる。
宇宙区間を輸送する際に内部の物質が変質しないようにかなり厳重にしているのだ。そしてその表面には文字が書かれている。
『化学物質か?なんでまた?』
読み取った情報から得られた内容物の化学式をザクのコンピューターに打ち込み、該当するものがないか検索させる。
やがて、類似した物質が特定される。MSの推進剤だ。だが、違和感を感じる。何故?
『うーん……』
地上戦線向けだから?違う、地上でも推進剤が必要になることはある。
輸送していたから?そうではない。プラントだって地上以外で生産もしている。
あまりにも綺麗に残り過ぎているから?脱出したにはおかしくはない損害の筈だ。
(いや、待て……)
コンテナをチェックする。
これでも通商破壊任務はそれなりの期間を経ている。ザフトの補給物資を目にする機会もあった。
コンソールを操作。目の前のそれとこれまで鹵獲されたものとを比較させる。
結果は、似ているが、違う。細部が異なる。少なくともコンピューターはそう判断した。
『曹長?』
『ごめん、ちょっと離れる』
コンテナの一つを手に取ったショーンは作業を行っている宙域から離れた。
十分な距離をとった後に、そのコンテナからザクの手を離し、自衛用のザクマシンガンをザクの手に持たせ、慎重に狙いを定める。
『推進剤ならば引火するなりなんなりするはずだ』
トリガーに指を掛ける。
ごくりとつばを飲み込み、そして、引き金を引いた。
『ビンゴ……』
ショーンは結果を見て呟く。
爆発のようなものは起きたが、『軽い』。
MSを狙撃した時のように弾薬や推進剤などに誘爆したものより、規模が小さい。
疑問は確信へと変わる。これは、たんなる推進剤ではない。
『レイトン、この船の積み荷、ヤバイ』
『は?』
ショーンの何時になく真剣な声が、いつもの通商破壊を全く別な物へと変える合図となった。
さながら、パンドラの箱を開けるかのような、おぞましき作業に。
『ビーハイヴにも連絡取ってくれ、早く』
『りょ、了解!』
戸惑いながらも通信を開始する伍長を横目に、ショーンは頭の中で嫌な予感が大きく膨らむのを感じた。
それは、とてつもなく嫌なものだった。
763 :弥次郎:2016/11/09(水) 02:00:10
そして、6日後。
MS空母ドライドフィッシュ 艦長室。
質素な調度品が並ぶその部屋にはただ事ではない空気が満ちていた。
ドライドフィッシュの艦長エドガー・バロウズ大佐、工作艦ビーハイヴの艦長クローディア・ベール中佐、そして発見したショーン・ミタデラ曹長。そして白衣を着た眼鏡の女性が一人と、数名の士官や参謀などなど。このサンダーボルト師団のブレインたる面子がが勢ぞろいしていた。ここに集められたのは、6日前に回収された化学物質についての解析が終わり、医療班と分析班の要望で機密度の高い報告をするためだった。いや、その結果が原因でこのようにわざわざ場を設ける必要に迫られたというべきか。
「その話は本当ですか?」
「間違いありません。ビーハイヴとドライドフィッシュの分析班はほぼ同じ結論に達しました」
ドライドフィッシュの医療班の若き秀才 カーラ・ミッチャムは分析結果をまとめた資料をめくりながら断言した。
「強い幻覚作用、そして人の意識レベルを抑制する作用。控えめに言っても、合成麻薬です。
この麻薬、コードネーム『ライトニングロット』はそのような危険な薬物です」
「カーラ先生、これはどういうときに処方するものですかな?」
バロウズ大佐の問いにしばし考えたカーラは考えながらも答える。
「そうですね……。鎮静作用を期待できるかもしれません。強い精神ショックを受けて精神的な均衡がとれない患者に処方すれば、意識こそ低迷しますが、少なくとも暴れたりはしないと思います。ただ……」
「ただ?」
「これほどに強いものを必要とするのはどうにも納得がいきません。下手をすれば生命維持に必要な自律神経さえも、過剰に抑制するかもしれません。副作用が強すぎます。もっと別な、安価で合成の簡単な沈静作用のある薬品はいくらでもあります。
こんなものをわざわざ使う理由があるとは思えません。明らかに別な意図があります」
「別な意図?」
護衛の須磨型軽巡洋艦の艦長ビンセント・パイク中佐の疑問にカーラは頷いた。
「はい、これは添付されていた資料にあるのですが、これは精神的な作用をもたらせます。おそらくコーディネーターにも使えるでしょう。
それに関連しますが……」
「え……精神的に?」
不意にショーンのつぶやきがカーラの報告を途切れさせた。
自然と視線が集まる中で、慌てたショーンはおたおたしながらも謝る。
「あ、すいません。いえ、ちょっと……憶測が混じりますが、思い当たるところが」
「構いません」
一言クローディアに礼を述べたショーンはその『情報』を思い出しながら明らかにした。
「ちょっと諜報部の伝手から聞いた話なんですが、南米戦線では薬漬けにした少年兵が目撃されているそうです。
処方量を調整すれば人間を一種の催眠状態に陥れて、意のままに操ることができるとかなんとか……」
「そんなバカな!?」
反射で、クローディアが叫ぶ。
人を洗脳して投入?まさかそんなことをするのか?
しかもそれは、コーディネーターがナチュラルを、ということだろう。
まさかそこまでするのか?と疑う将校たちの中でその言葉にうなずく人物がいた。
764 :弥次郎:2016/11/09(水) 02:01:13
「無い、とは言い切れません」
カーラだ。
明らかに表情を曇らせた彼女は、言葉を探すようにペンをもてあそびながら自らの推測を述べる。
「催眠術というのは、そう、よくあるオカルトと思われていますが、実際にはかなり医療方法としてはある手法なのですよ。
暗示ともいいますけどね。ええ、しかし……医療用が限度の筈。ともかく、暗示というのはトラウマであるとか、思い出したくない記憶を忘れさせる方法として使うことはかなり一般的です」
「そんなに簡単にできるのですか?」
頭を振ったカーラはクローディアの間違いを、よくある勘違いを訂正する。
「そこまで便利ではありません。いきなり見ず知らずの相手に暗示をかけられたら、それは本当の超能力ですよ。
前段階として暗示をかける側とかけられる側が『暗示を受け入れるほどの信頼関係』にあり、『その暗示によって規定される行動をかけられた側が嫌がることなく実行することができる』などの条件があります。しかし、それを何らかの方法で、短縮あるいは代替出来れば、ええ、恐ろしい話ですが、可能と思われます」
「つまり、可能なのですね?」
「はい。意に反した行動をとらせることも容易いかと思われます。
事実、この『ライトニングロット』の発明者はこれが洗脳用に使われるかもしれないと明言しています。
現在も続く南米戦線、いえ、ひょっとすればアフリカ戦線にもばら撒かれているかもしれません」
「南米、アフリカ……旧世紀の足かせや近年の外交などが合わさって情勢が不安定だな」
バロウズの補足にカーラは肯定を示す。
「ミタデラ曹長の情報と併せて考えれば、そして我々がこのデブリ帯で通商破壊を実施して少なくはない被害を与えて、戦線の拡大によってザフトが疲弊していると仮定すれば、十分にあり得ます。南米やアフリカは必ずしも治安が良いとは言えません。
NJの投下でその傾向はさらに強まっているでしょう。そんな子供たちに目をつけたとすれば……」
カーラの推測に、部屋が沈黙が降りた
だとするならばこれまで通過した輸送艦にも『ライトニングロット』が紛れ込ませてあったのかもしれない。
あるいは、開戦後に南米に運び込まれた?ひょっとすれば、南米で生産している可能性だってある。
悪い予感だけが、ネズミ算のように増えていく。
「この一件は私が預かろう。本当の話ならば、これはとんでもないことだ」
バロウズは、重い沈黙を破る。
「ザフトがもしこのような危険な薬物を使用しているか、あるいは使用するつもりなのかは不明だ。
だが、これは現物が見つかっただけでも危険性を警告するには十分すぎる証拠だ」
「お願いします。ミタデラ曹長、このことは他言無用に」
カーラの嘆願とも呼べる頼みにショーンは深くうなずいた。
一曹長としては知るには危険すぎる情報を知ってしまったから、これはもはや口には出来ない。
「了解しました。諜報部には話を通して構いませんね?」
「……許可します。ただし厳重な注意の上でお願いします」
「了解です」
「ではくれぐれも頼む。私はこれから参謀本部と因幡、それとムンゾにも連絡を入れる」
解散が告げられる。しかし、ドライドフィッシュの艦長の部屋から出ていく人間の顔は晴れない。
掘り出し物というには、あまりにも大きすぎるものを見つけてしまった。
誰もが憤りの焔を燃やしていた。その焔は、ドライドフィッシュを確かに焦がしていた。
765 :弥次郎:2016/11/09(水) 02:03:01
自室に戻ったカーラは、コンテナから回収された情報媒体のファイルを端末でもう一度読み返していた。
多くの情報が、この情報媒体からもたらされた。ミタデラ曹長の言っていたことも、悲しいことに、事実という公算が高い。
この資料を作成した主が、必死に訴えてきているのだ。
この記録が閲覧しているのが誰か、私には分からない。
だが、できることなら連合国のどこかであればいい。
もっと欲望を言えば、大西洋連邦などではなく大洋連合であるとなおいい。
本名は明かせないがロイ・サリヴァンと名乗っておこう。
私はこの合成麻薬…コードネーム『ライトニングロット』の開発と製造にかかわったプラントの学者だ。
この『ライトニングロット』というのはヒトの意識レベルを低下させ、人によっては興奮や酩酊状態に陥らせる麻薬だ。
簡単に言えば、人に言うことを聞きやすくする麻薬だ。
この麻薬の使用方法は「地上戦線でのメンタルケアのため」ということになっているが、それは事実に反する。
これは洗脳用の薬物だ。恐らくナチュラルの捕虜などを洗脳して破壊工作などをさせるつもりなのだろう。
地上戦線での戦況が芳しくないのは私も理解している。だが、だからと言って外道を働くことが良いとは思えない。
この麻薬には特徴的な要素がある。
一定の電気刺激を与えてやればトリガーが引かれて吸引した人間へと再度作用をもたらすことができる。
一回の接種につき一回しか使えないのだが、薬物耐性ができる速度を理論上半減できる。
また長く蓄積させて電気刺激を与えれば、その人間の知能や判断能力を致命的にまで低下させることが可能だ。
勿論この麻薬の弱点もある。
作用を緩めるには鉄分の接種が有効だ。鉄分との接触が人間の平均的なそれより多いと蓄積はしても作用が鈍くなるように設計されている。
私の手を離れた後に手が加えられている可能性もある。だが、およその開発経過についてのファイルも添付した。
これがあれば少なくはない被害者が救われると信じている。
ライトニングロットの生産量は多くはない。しかし、それは確実に地上戦線に配備されている。
私の所へとフィードバックがもたらされているからだ。それだけは確信を持って言える。
赦しは請わない。これはただの自己満足の行為だ。
もう残された時間は少ない。どうか頼む。
この忌まわしき人の業を消し去って二度とこの世に出ないように計らってほしい。
私の脳みそに残っている記録は出来得る限り添付してある。あとは、私の脳みそからも消去するだけだ。
情けないが、それは私にはできない状態だ。怖いこともあるのだが。
プラントのフェブラリウス市に私のラボはある。そこにある限りの資料がある。
どうか、これを消去してくれ。頼む。
「任せてください……絶対、止めてみせますから。サンダーボルト師団が、必ず」
カーラは涙した。
望まぬ方向へと自分の知識を使わされる、人種の違いこそあれど同じ学問の輩のために、涙がこぼれた。
サンダーボルトが、ライトニングロットを壊せるように。
カーラは決意を胸に、分析作業を再開した。
766 :弥次郎:2016/11/09(水) 02:03:48
以上。wiki転載はご自由に。
大陸種のナイ神父Mk-2氏とゴブ推し氏への支援ネタでした。
ちょっとやり過ぎた感もありますね。もしあれだったら話は修正します。
駄目だ、眠い…おやすみなさい
誤字修正
最終更新:2024年03月05日 21:03