652: ナイ神父Mk-2 :2016/11/16(水) 22:26:29
大陸SEED その20
国力回復と解ける封印
C.E10月10日、大西洋連合とユーラシア連邦・大洋連合による早急なNJCの量産と配給によって、地球各国では遂に核の火が復活し、本格的に文明的生活が戻りつつあった。そして、東アジアの僻地ではザフトの恐れるあの兵器も復活の兆しを見せていた。
其れを自身の屋敷の地下のモニター室から見ているのは、ブルーコスモスの過激派トップのジブリールである。
『起爆5秒前、4、3、2、1、0・・・爆発と放射能の発生を確認』
何らかの管制室と思われる画面の中のオペレーターのカウントダウンが終わると同時に、その外を移したと思われる画面では大きく地下から吹き上がる土と煙がカメラの前まで到達し、煙で画面が見えなくなる。そして、管制室を写しているモニターではこの実験の指揮を取っていたと思われる指揮官がモニターの方を向きジブリールに話しかける。
『ジブリール様、御覧になられましたか?此れで我々は連合は、完全に核の火を復活させる事に成功しました。』
「良くやった。此れであの忌々しい砂時計を宇宙の藻屑にしてやる事が出来る。此れで地球は救われるのだ!」
『と成ると我々は人類の救世主と成る訳ですな・・・』
「その通りだ。しかし、あの腰抜けのせいで思ったように数は用意できなかったがな・・・」
『連合加盟国全体でのNJCの分配規定の決定でしたか?』
「ああ、そのせいで公言された一定数は確実に国内のエネルギー回復に回さねば成らんのだ。今は一刻も早く空の化物を滅ぼさねば成らぬと言うのに!」
『しかし、エネルギー危機を完全に脱した事によってジブリール様の事業も回るはずではないのですか?』
「それは解かっている。だが、宇宙にあの化物共が居る限り、必ず奴等は再び我々の脅威となる。だからこそ民衆が敵意を抱いている今なら多少非人道的に見られる手段を用いてでも奴等を滅ぼす事が出来るのだ。」
『なるほど、確かに衣食住が整ってしまえば人道的に成る人間も出てきますな。・・・なるほどそうした意味では確かに反コーディネイター感情を植えつけるならば物資が不足していた方がやりやすいですな』
「そう言う事だ。MSの方はどうなっている?大西洋からフレームを接収して暫く経つ。それなりの物は完成したのだろう?」
『え?ええ、まあ、それなりの物は完成しています。元よりMSに関しては他国に対して遅れを取って居る為ストライクダガー以上に数頼りの機体となって居ますが、艦の直掩として大型の無反動砲を装備したタイプの機体と組み合わせればザフトのMAとも十分に戦う事ができます。』
「それだけの性能が有るなら十分だ。元より本命はメビウスなのだからな。戦果を期待しているぞ」
『はい、青き清浄なる世界の為に』
653: ナイ神父Mk-2 :2016/11/16(水) 22:27:00
そう言って通信が切れた後、ジブリールは徐に立ち上がり棚に置いてあったブランデーを取り出して前祝の心算なのかゆっくりと飲み始める。半分ほど飲んだ辺りで後方の自動ドアが開く音がして振り返ると、義妹であるプリシアが不機嫌な顔をして立っており此方に歩み寄ってくる。
「如何したんだ?随分と不機嫌そうな顔をしているが・・・」
「お兄様、何故私を今回の一連の攻略作戦の配置から外したのですか?」
その言葉にジブリールはああ、と何かを思い出したかの様な顔をしてその理由を語り始めた。
「そう言えばまだお前には話していなかったな。情けない話だが現状軍の多数派は奴、アズラエルの物だ。我々の派閥も主導権を取り返そうと動いては居るが不利なことは否めん。東アジア軍は手中に収める事は出来ているが、正直な話掌握したとは言え東アジア軍のモラルは高い物ではない。そんな部隊に護衛がいるとは言え大切な義妹であるお前を送り込む事などできん。」
其処まで話した所でジブリールは手元に有った酒を飲み干し、新しくグラスに注ぎ込んでいた。訳を聞いたプリシアも一応は納得した表情と成るが、其れでもまだ気に成る事が有る様子だった。
「お兄様が心配される事は解かりました。ですが、それなら私は如何すれば良いのですか?」
「・・・先ず間違いなく、此れからのアズラエルとの争いはブルーコスモスとしてではなくロゴスとしての主導権争いの場になる。
そうなれば此れまでの様な武力によって行動を起こす事態は極度に少なくなるだろう。その時に頼りになるのは軍人や一山幾らの戦闘員では無くお前の様な優秀な人間となる。そうした舞台で私を支えて欲しい、出来るな?シア」
「はい、お兄様!」
ジブリールの問い掛けに自身が頼りにされていると確信したシアは嬉しそうにジブリールに返事をして部屋から退室した。戦力を整えた東アジアはジブリールの思惑通りに分配されたNJCを規定ギリギリまで核兵器へと積み込み、月のアルザッヘル基地へと集結。各国軍と共にボアズ、そして、その先にあるプラント本国を目指して航行を開始する。
654: ナイ神父Mk-2 :2016/11/16(水) 22:28:06
ボアズ攻略戦の開始とザフトの新型
C.E71年10月15日、連合の主力艦隊はザフトの軍事要塞ボアズへと侵攻を開始した。その艦隊の姿をモニターへと捉えたボアズの司令であるローゼンバーグは忌々しそうにモニターに写る艦隊を睨み付けている。
「ナチュラル共め、大人しく自分達の巣に引き篭もって居れば良い物を、我が物顔で出てくるとは。・・・全部隊に伝達、此れより我々は連合軍との戦闘に移る。愚かなナチュラルに宇宙は我々の領域で有る事を知らしめろ!」
そのローゼンバーグの言葉に答えるように様にボアズの港湾部からは次々とナスカ級を初めとした艦隊が出撃していく。その中にはザフトの作った狙撃用MSジャッジメントの姿が有った。他の部隊がMSが戦闘可能な距離まで艦隊で進む中、ジャッジメントは単独で出撃して近くにあるデブリに陣取ると其の侭狙撃のためにレールガンを展開、射撃を始めた。超長距離からの狙撃は見事にドレイク級に命中するも、件のドレイク級は損傷部分をパージして何事も無かったかの様に動き出し、大した効果は見込めなかった。
「うーん、やっぱり艦艇だとダメコンで直ぐに立て直すかな?じゃあ次はMSを・・・命中」
リーカが次々とMSに対する狙撃を決めていく中、その中でも目立つ白いでっぷりとしたMSを照準に収めた時、それは起こった。
「え、あのMS、こっちを見てる?」
その言葉をが示すようにモニターに写るMSは特徴的な鶏冠と一体化したような長い顔で此方を真っ直ぐに見据えてビームライフルを向けていたのである。全身に寒気が走り、慌てて身を翻した次の瞬間、先程まで居た位置をビームが通過し、避け切れなかった狙撃銃「カラドボルグ」の銃身を真っ二つに溶断して通り過ぎた。其れを見たリーカは顔を真っ青にして固まっている。
一方で白いMS、村雨研が開発した新型NT用MSジ・Oに乗るアムロ中尉は遠方に感じた敵意が急速に薄くなっていく事を感じて銃を一度下ろした。其れを見ていた近くのマラサイのパイロットは不思議そうにしながらアムロへと通信を繋げる。
「アムロ中尉、如何したんだ。急に遠方を狙撃なんかして?」
「バイオセンサーが敵狙撃手と思われる反応を捉えましたから、其れを狙撃しました。申し訳有りませんが、何機か向こうのデブリへと回して下さい。」
「余り勘で部隊を動かしたくは無いんだがな。解かったハイザック小隊をあちらに回しておく。我々は次に行くぞ」
そう言われたマラサイのパイロットは不思議そうな顔をするも何時もの事だと割り切りハイザック小隊に指示をだして調査へと当らせた。後日、アムロ中尉が示した座標から大型の狙撃武器の一部と思われる残骸が発見され、改めて狙撃用MSが居た事が証明されており、口径からあのまま狙撃を行わせていれば危険で有ったという事が解析班の報告より上げられている。
一方で、既に激戦区となっているエリアでも、ザフトの窮乏を示すかの様なMSが続々と出現しており、その光景を見た連合側のパイロット達は目を白黒させて目の前を飛んでくるグーンの群れを見ていた。
「連中、水中用MSを宇宙に持ってきたのか!?」
そう言ったインパクトを連合兵へと植えつけた後、宇宙用グーン「クラーケン」は連合のMS部隊へと一斉にビームキャノンやレールガンによって弾幕を張り、MS部隊が防御に回った隙に推力に任せて突破する。艦隊が見えてきた所でクラーケンに乗るザフト兵達は一斉にミサイルを斉射した。それが何かに着弾し一斉に爆発した様子を見た新米ザフトパイロットは思わず嬉しそうに笑い出した。
「はは、なんだよこの程度か、ナチュラルなんて所詮・・・え?」
多数の爆炎が見える中、突然飛んできたビームによって笑みを浮かべていたザフト兵は後方に居た味方機も含めて纏めて消し飛ばされた。
そして、その爆炎の中からゆっくりとスラスターを噴かせて出てきたのは4機のMAビグザムであり、艦隊にミサイルが直撃する直前に前に出て傘を展開した事で艦隊を守ったのである。そして、其処からユーラシア艦隊へと攻撃を仕掛けたMS部隊の悪夢が始まった。
ビグザム小隊による艦隊規模にも匹敵する一斉砲火によってザフト部隊は分断され、その隙にゲルググやリックドムが開いた穴に次々と喰らい付いてザフトのMS部隊を完全に分断、各個に包囲を開始したのである。そして、包囲されたMS部隊には四方八方からのビームやバズーカ、マシンガンによる鉄の嵐が噴きあれ始める。
「くそ、ナチュラル如きに負けるか!」
655: ナイ神父Mk-2 :2016/11/16(水) 22:29:59
そう叫びを上げながら包囲を食い破ろうと動くマンティコア部隊の隊長は、此方に発砲してくる部隊へとその運動性を生かして攻撃を回避しながら肉薄するもマシンガンなどの近づけば近づくほど密度を増す射撃に徐々に機体を削られ、避け損ねたマシンガンの弾が足を吹き飛ばした事でバランスを崩した隊長機は其の侭マシンガンによって蜂の巣にされて撃墜されている。
そして、ビグザムからの攻撃に対して必死に砲撃を回避するキマイラを中心とする部隊にも敵機が迫り始めて居た。まるで壷か何かの様な尖った頭をしたMSは肩や足に装着された小型ロケットランチャーを発射しながらキマイラへと肉薄、ビームサーベルによって次々とザフト側のMSを切り裂いてく。ビグザム対策に出撃して、この機体に気が付いたジャスティスが慌てて間に入り攻撃を仕掛けてきた内の一機を切り裂き撃墜、すぐさま生き残っていたキマイラに向けて通信を飛ばす。
「ガキ共はさっさと逃げろ!」
「で、でも・・・」
「でもじゃねえ!白服の俺が命じてるんだ。さっさと行け!」
「ひっ、了解しました。」
ジャスティスに乗る白服のパイロットの気迫に押されて慌てて後退していくキマイラを尻目にジャスティスは敵の新型MSギャンに向けて向き直りビームサーベルを構える。敵はジャスティスが現れた事に少し焦っている様子であり其れをチャンスと捉えたジャスティスは目の前のギャンに向けてビームサーベルを持って突貫して行く、しかし、突然割り込んできた別のギャンがジャスティスの攻撃をシールドで防ぎ突貫を止めた。見ればそのギャンは一般機とは違い青色に塗装がなされ、肩とモノアイだけが赤く色づいている。
「ちっ、寄りにも寄って向こうのエース格かよ・・・」
そう言って悪態を付くが、逆にギャンのパイロットであるニムバスは、敵機の動きを見て其れなりに動ける相手と判断し嬉しそうな表情を浮かべて通信を繋げる。
「中々やる様だな。私はユーラシアの騎士、ニムバス・シュターゼンだ!私の名前を手向けとして死ぬが良い!」
そう言って一方的に通信を終わると相手のジャスティスへと有無を言わさずにビームサーベルを振り被って攻撃を開始した。
ニムバスがそうして自身の愛機で敵部隊へと攻撃を仕掛けているのと同時刻、大洋の管轄する攻撃エリアでは特大のビームがザフトMS部隊を数隊纏めて焼き払い大打撃を与えていた。僚機であった機体を纏めて失ったテスタメントのパイロットであるマーレは呆然とした表情でこの事態を起こしたMSを眺めている。そのMSこそ、大洋が開発した特機タイプのMS、ZZガンダムである。ZZは生き残っているテスタメントを見て其の侭バックパックに備えられていたビームサーベルを引き抜くとスラスターを噴かせて猛然と突進してきた。其れを見て慌てたマーレは先程吹き飛んだナスカ級の残骸へと隠れるとコックピットの中で息を整える。
「くっそ、なんなんだよあのMSは。何で、何でナチュラルがあんな機体を!」
そして一時的にでも体勢をととの得る事ができたマーレは次第に冷静になり、自身の機体の武器を思い出したマーレはニヤリと笑う
「そうだ、俺には此れが有るんだ。・・・驚かせてもらった分はタップリと返させて貰うぞ」
そう言って量子コンピューターウイルスを送る機能を起動させようとしたマーレであったが、何故かシステムが上手く起動しない事で再び焦りを見せ始める。
「な、何で起動しない!システムは何処にもクソ、通信・・・も出来ない?一体如何なって・・・え?」
656: ナイ神父Mk-2 :2016/11/16(水) 22:30:33
焦って機能の回復に躍起に成っていたマーレは其の侭振るわれたビームサーベルで真っ二つに戦艦の残骸ごと切り裂かれて蒸発し、後に残ったテスタメントだった残骸も其の侭推進剤等の爆発に巻き込まれ吹き飛ぶ事と成る。其れを見ていたZZのパイロットであるクレアは敵機を撃破した事で、何時もの軽口をコックピットの中で口に出す。
「ごめんね?、強くってさー」
「毎度、毎度、良くそんな決め台詞が出ますわねヒースロー大尉?」
「あれ?少佐聞いてたんですか?」
モニターに写る霧島の姿を見て後ろを振り返ると近くまで来ていたサイコガンダムMk-2と特務隊の旗艦であるアーガマの姿が有った。
周辺には他の特務隊の面々であろうガ・ゾウムや未だ指揮官機用に少数配備が始ったばかりのドライセンの姿が見られる。
「聞いていたも何も貴方は戦闘で敵を撃墜するたびに言っているのですから、好い加減耳にタコができそうですわよ」
「あはは~如何にも機体に乗るとこう、心の奥底から出てきちゃって・・・」
「まあ、それは良いですけど、周辺のミノフスキー粒子の濃度が濃くなっていますわね?若しかしてハイメガ粒子砲を?あれは味方を巻き込みかねないのだから注意して使って下さいね?」
「解かって居ますよ。ってあれ?所でハマーン大尉は何処に居るんですか?新型機を貰ったって聞いたんですけど・・・」
「ああ、彼女なら現在は機体の調整中ですよ。今回配備された機体はこのサイコと同じでかなりの大型機ですからその分調整も時間が掛かるそうですわよ」
「確かに大きな機体でしたからねえ~」
そう言って進軍しながら会話を行っていた特務隊の面々であったが、急にボアスが有る辺りで大爆発が数回起った事で一旦足を止めた。
見れば断続的にボアズの方で大きな爆発が起っている。
「まさか、核を使ってる?」
誰とも無しに呟いたその言葉にしばし特務隊の面々は爆発の起こる方向を見ている。ボアズ攻略戦は新たな局面を迎えようとしていた。
657: ナイ神父Mk-2 :2016/11/16(水) 22:32:06
以上です。WIKIへの転載は自由です。
674: ナイ神父Mk-2 :2016/11/16(水) 23:03:37 >>660
スイマセンWIKI見たら後付でしたね。・・・テスタメントのコンピュータウイルスは此処では核搭載機として時期主力としてコンペに出されたゲルフィニートの機構を試験的に採用したと考えて頂ければ・・・
誤字脱字修正
最終更新:2016年12月05日 23:14