177: ナイ神父Mk-2 :2016/11/20(日) 00:37:05
大陸SEED その21

ボアズ攻略と核の使用

大洋とユーラシアが順調に進軍を続けてザフト艦隊を駆逐している頃、東アジア艦隊では大西洋連邦より購入したアストレイのフレームをベースに作り上げられた軽MSグウと重砲撃MSカイエがザフトのキメラシリーズと戦闘を行っていた。しかし、砲撃戦に関しては今の所,数に勝る東アジア艦隊が優勢では有るが、MS同士の近距戦、特に格闘戦や銃撃戦ではグウが不利な状況を強いられていた。重突撃機銃で今し方マンティコアを撃墜したパイロットは現状に対して苛立ち気味に叫ぶ。

「まだ、メビウス連中は役割を果たせないのか!?もう部隊が持たないぞ!」

そう叫んだと同時に件のパイロットは其の侭ゲイツのビームライフルに貫かれて爆散した。周辺を見回せば其れだけでなく機体トラブルで落ちた機体も少なくは無い。


「う、腕が故障した。誰か助け・・・」

「か、加速が止まらない!少佐、孫少佐、助けて下さい!」

ある機体は腕のジョイント部分が不具合を起こし、銃を相手の方へと向ける事が出来ずに攻撃を受けて撃墜され、又ある機体は加速したまま止まらなく成り其の侭ローラシア級のブリッジへと突っ込んで行った。そのMSの様子を見たザフトの新兵は東アジアのMSの不具合を嘲笑する。

「ハハハ、なんだナチュラルなんてやっぱり大した事ないんじゃないか!」

そう嘲笑したパイロットは自身の乗るクラーケンを加速して対艦攻撃に向かおうとしたが、先に対艦攻撃に出ていたメビウスに見つかりミサイル攻撃を受けている。そして、クラーケンが撃墜された事を皮切りにザフト艦隊直上に現れたメビウス部隊はその加速性に任せて次々と対艦ミサイルを発射する。

「メビウスだと!?護衛の兵士は何をやっていた!」

「そ、それが護衛を命じたMS隊がメビウスの迎撃に出たままメビウスに追い抜かれた様で・・・」

「何をやっているんだ!良いから機銃を起動させろ。迎撃するんだよ!」

恐らく二十歳にも満たないであろう黒服のザフト兵の指示の下、各艦より迎撃用の弾幕が張られるが、発見が遅れた事と、本来メビウスを止める筈だった直掩のMSが他の部隊に撹乱されて引き離されたことによって殆ど妨害が無い侭に多数の対艦ミサイルがナスカ級を始めとした艦隊へと直撃、ザフトの防衛艦隊に多数の被害が出ている。
そして、前方にいたザフト艦隊の多数が撃破され、ボアスまでの道のりが開けたと考えた東アジア艦隊の司令は艦隊に更に命令を出す。

「艦隊の排除が終わったなら核武装型のメビウスを出せ。それでボアズを焼く」

その言葉に驚き、艦隊旗艦を勤めるアガメムノン級「江東」の艦長はその艦隊司令の言葉に反論する。

「あれは対ヤキン・ドゥーエ用に用意された部隊の筈、其れをジブリール様の許可無く使うのは・・・」

「だとしても、今の戦闘で受けた被害を考えれば要塞に取り付く事は難しい以上は使う他有るまい?それとも艦長は事態を好転させる奇策でも持って居るのかな?」

「それは有りません。しかし余り使いすぎれば他国の反発を生みます。やはり此処は通常兵力で行う事がベターでは?」

「それでは国民が納得しないのだ。今大戦が始ってから我が国は碌な戦果を上げていない。此の侭では国民の反発によって再び革命と言う事態もありえる。其れを避けるには戦果が必要なのだよ。ザフトの誇る宇宙要塞に大打撃を与えたと言う戦果がな。・・・これ以上 議論をしている暇は無い。やってくれるな?艦長」

「・・・了解しました。核装備のメビウス隊に出撃を命じます。」

この遣り取りから数分後、アガメムノン級等から複数の核武装型メビウスがボアズへと向けて出撃、複数の核ミサイルで要塞に対して攻撃を加え、対空防衛網や格納庫から出撃する途中であったザフト艦艇の撃沈に成功している。一方で核攻撃を受けたボアス内部は激しい揺れに襲われていた。

「何が起こった!」

「か、核攻撃です!地球軍が核を使用しました!」

「ナチュラル共め、性懲りも無く核などと。フリーダム隊は何をしている!アレはあれを落とす為の物の筈だ!」

「現在フリーダム隊は他の戦線に出ていて予備機がもう有りません。」

「其れならばキマイラでもジンでも良い。核で開いた穴を塞げ。此の侭ではナチュラル共に取り付かれるぞ!」

そう言って指示を出すローゼンバーグでは有ったが、その指示は一足遅いものであり、迎撃体制が整う前に連合の機体がボアズ本体に取り付いたとの知らせを受ける事と成る。

178: ナイ神父Mk-2 :2016/11/20(日) 00:37:55
ボアズ攻略とその頃の原作組

核による盛大な花火は別エリアからの進行を行っていた大洋やユーラシアだけでなく、東アジアと同盟を結ぶ大西洋連邦が請け負った戦闘エリアからでも良く見える物であり、ボアズ攻略に参加していたアークエンジェルの艦橋に居たメンバーも確認していた。

「あれは、たしか東アジア艦隊が居たフィールドか?」

「その筈ですが、まさか東アジアが又核兵器を?」

「・・・東アジアの切り札は此れか。まあ軍事要塞に対する使用であれば問題は無かろう。」

「ですがもし、彼らが再びプラントを狙えば占領時に余計な抵抗を受けるのでは?」

「其れは有るだろうが、流石に我々で核攻撃を止める事は出来ん。遣るなら政治面からの干渉しか無いだろうな。・・・それよりチャンスだ。先程の攻撃で敵に動揺が見られる。フラガ中佐のストライク隊を中心にして敵の防衛網を突破して要塞に取り付く様に伝えろ。」

ハリン大佐がそう命令を出した頃、ストライクのコックピットから核攻撃を見ていたストライク隊のメンバーは敵の動きが乱れた隙を付いて敵機に対して攻撃を仕掛けていた。特に、フラガのストライクが装備しているガンバレルストライカーは試作兵装として2連装ビーム砲を搭載しており其れを利用したオールレンジ攻撃で敵機を次々と撃墜していく。

「通信、アークエンジェルからか?」

「此方アークエンジェル、フラガ機聞えますか?」

「聞こえている。で、如何したんだ。こんな時に通信なんて?」

「先程の核攻撃で敵部隊全体に大きな乱れが見られています。フラガ中佐は部隊を後期GAT-X隊と共にボアズへの上陸を狙って下さい」

「さっきの派手な花火か、了解した。指示通りこっちはボアズを攻撃する。その分直掩機が少なくなるから注意してくれ。」

フラガはそう言って通信を切ると今度はキラ達他のストライク隊とオルガ率いる後期GAT-X隊へと通信を繋げる。

「お前ら、艦隊への攻撃は一旦中断だ。」

「んだよ、此れからがおもしれー所じゃねえかよ」

「フラガ中佐、なにか有ったんですか?」

「さっきアークエンジェルから通信があって俺たちは此からボアズ本体へと攻撃を仕掛ける。対艦攻撃は別の奴らがやるそうだ。」

「分かりました。」

「解ったよ。シャニ、クロトさっさと行くぞ」

「はいはい」

「あの綺麗に光った所に行くの?」

179: ナイ神父Mk-2 :2016/11/20(日) 00:39:16
そう言って各々機体のスラスターを吹かせてボアズまで向かうと、其処には既に上陸を始めていたのか、ユーラシアのゲルググや大洋のマラサイの姿があり既に要塞の護衛へと回っていたフリーダムやゲイツ部隊と激しい射撃戦を繰り広げていた。そして、新たに向かってくる大西洋のMSを目撃したミハエルはその連合の数の多さに思わずルーラーの中で毒づく。

「くっ先ほどの切除でもう30機目だ。一体この要塞に何機の病巣が取り付いたんだ!」

「隊長!先ほどの報告で第3ゲートが破られたと報告が…」

「馬鹿な。あそこにはフリーダム3機が配備されていたんだぞ。それがこの短時間でか?」

「報告では未確認の大型MSであると報告が…」

「また新型だと!?何時から此処は連合の新型機のコンペ会場になったのだ!」

そう言ってミハエルが思わず叫んだ時、突然上方からのビームが直撃して僚機であったゲイツが撃墜された。見ればまたしても未確認の連合のGタイプである。これ以上付き合って危険だと感じたミハエルはビームサーベルを抜き、ルーラーの売りである速さを活かして一気に目の前に現れた新型Gへと突貫する。しかし…

「な、防がれた!?」

ルーラーが突き出したビームサーベルは現れた新型Gハイペリオンガンダムの光波シールドに防がれて効果を及ぼす事なく止められていた。それをハイペリオンの中で見ていたカナードはにやりと笑う。

「馬鹿め、その程度の攻撃が止められないとでも?」

そう言ってカナードはビームマシンガンをルーラーへと向けて引き金を引こうとするが、其処はミハエルがコーディネイターらしい反応速度で素早く離れ、直撃を免れている。接近が危険だと判断したのルーラーは素早くハイペリオン周辺を飛び回りな上がら光波シールドの死角を狙って攻撃を掛けようとするがそれを読んでいたカナードは機体の周囲全体へとシールドを展開する。

「全周囲にシールド、死角は無しか…」

そう言いつつも何とか弱点は無いかと探すミハエルであったが、攻防戦を始めて少し経った所で所属艦隊の旗艦であるナスカ級から通信を受ける。

「撤退?ボアズを放棄するのか!」

「ボアズは既に内部まで敵の陸戦隊の侵入を許しています。おそらく奪還は不可能かと…」

「…防衛司令部は何と?」

「『全ザフト艦艇は己の判断で動くべし』これが最後の通信です。」

「解った。このオペを終わらせ次第そちらに向かう。」

「急いで下さい。既に残存艦艇に対する追撃戦も始まって居ます。」

その言葉を最後に艦からの通信は途切れ、ミハエルは再度ルーラーのスラスターを噴かせ、ハイペリオンへとレールガンを連射しながら突貫した。それを見たカナードもまた再度シールドを展開するが、照準が甘かったのかハイペリオン周辺の岩にも当たり周辺に岩が巻き上がる

「そんな虚仮威しで。…なに?」

再度攻撃を掛けてくると考えていたカナードであったが、ルーラーはそんなカナードに構うことなく全力で戦域を離脱し、止めに入ったストライクダガーが帰りがけの駄賃として撃墜されている。この1時間後、ザフトの誇った宇宙要塞ボアズは完全に陥落し、連合の占領下に置かれる事となる。そして、ボアズを失った事でザフトは事実上ジェネシスαとヤキン・ドゥーエを除く全ての拠点を事実上失いプラントの最後は直ぐ其処まで迫っていた。

180: ナイ神父Mk-2 :2016/11/20(日) 00:39:54
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最終更新:2016年12月05日 23:10