301: ナイ神父Mk-2 :2016/11/27(日) 23:11:37
大陸SEED その22
始まる決戦とザフトの切り札
C.E71年10月25日、連合軍は占領して仮の補給拠点としていたボアズを出撃してザフトの最後の拠点が残るヤキンドゥーエへと向けて進軍を開始した。その際に連合軍はヤキンドゥーエのへの侵攻を2方向からの同時侵攻として大洋・ユーラシア中心の部隊と東アジア・大西洋の2グループの艦隊へと別れて航行を開始した。此れに対抗するザフト軍でもザラ議長が自らがヤキンへと移りジェネシス使用の為の動き出していた。しかし、同行しているジェネシスの開発主任である男は不満が有るのか何度も議長へと上申を行っている。
「議長、ジェネシスを本当に使用なさるのですか?」
「当たり前だ。此れを作ったのはこの時の為だ。使わないで如何する!」
「し、しかしジェネシスの完成率は未だ80%です!今撃てばどんな問題が出るか・・・」
「今撃たねば地球軍の核でプラント全てが破壊されるのだ!其れを解からんと言うのか!」
「それは解かっています。ですが・・・」
「今は悠長に議論している暇は無い。連れていけ!」
「了解しました。」
「議長!待って下さい。話を・・・」
護衛のザフト兵二人に肩を押さえられて連れて行かれる男を視界の隅に追い遣りながら議長はヤキンの司令室のモニターに写る地球連合の艦隊を睨み付けていた。その画面の端の分割された画面にはミラージュコロイドが解除されて姿を現すジェネシスの姿がある。それは今し方指揮を鼓舞する為の歌を歌い自身の乗艦するナスカ級の席へと座ったラクスにも見える程に巨大なパラボラアンテナの様な物体だった。
「あれが議長の切り札ですか・・・」
「はい、聞くと所に寄りますと、一撃で地球を滅ぼす事が出来るとか」
「私達の力が足りないばかりにザフトが間違った道に進む事を止められ無かった結果ですか・・・」
「ラクス様のせいだけでは有りません。地球軍を撃破仕切れなかった我々軍の不手際でも在ります。」
「ですが・・・」
「何れにせよ。進軍してくる地球軍を抑えねば和平すら侭成りません。先ずは此処でザラ議長の戦いを見守りましょう。我々はプラント防衛を任されて居るのですから」
「・・・はい」
返事をしたラクスは悔しそうにコーディネイター特有の整った顔を歪ませながらジェネシス発射の様子をナスカ級から眺めていた。
そうこうしている内にジェネシスのチャージは終了し、解き放たれたエネルギーは一気に東アジア艦隊の居る方面へと向けて発射され、艦隊へと迫る。
「先程出現したザフトの物と思われる構造物から高エネルギー反応!」
「回避を・・・」
「間に合いません!」
着弾したエネルギーは東アジア艦隊の主戦力や核攻撃隊を全て破裂させながら直進、ボアズを掠めて宇宙の闇へと消えて行った。
隣を航行している大西洋連邦の艦隊司令は暫し呆然としていた物のハッと気が付きオペレーター被害情報の解析を急ぐように命じ、其れを聞いたオペレーターも見えてきた被害に顔を青くした。
302: ナイ神父Mk-2 :2016/11/27(日) 23:12:10
「先程の攻撃で東アジア艦隊の約80%が消滅、残存艦にも少なくない被害が出ています!」
「まさか、これ程の戦略兵器をザフトが隠し持って居るとは・・・発射した戦略兵器の様子はどうなっている?」
「現在停止している様ですが、発射時より円形部分に欠けている部分が見られます」
「・・・ヤキンドゥーエ攻略は残りの参加国で続行する。他の艦隊にも通信を送れ、我々は作戦を続行すると・・・」
「し、しかし、東アジアの艦隊戦力が失われた事は無視できません。此処は撤退すべきでは?」
大西洋の艦隊司令が命令を出そうとした時に待ったを入れたのは司令の副官である少将だった。
「今は艦隊のダメージを気にしている場合では無い!あれが此の侭地球に向けられればどの様な被害が出るか解からんのだぞ!
映像を見る限り、アレの連射機能は低い。発射出来ない今がチャンスなのだ!」
「ですが・・・」
少将が再度反論しようとした時、突如通信が入り目の前の画面には今作戦で大洋連合の主力艦隊の指揮を務めるカーン中将の姿が在った。
『此方連合軍第6艦隊司令のカーンだ。攻撃の件なのだが少し待って欲しい。』
「カーン司令、何か有りましたかな?」
『あの戦略兵器への対策、此方でやらせて欲しい』
「?しかしあなた方の艦隊からではあの兵器への直接攻撃は・・・」
『切り札を隠し持っているのは彼らだけでは無い。そう言う事だよ。我々の方でもアレに対抗で出来るだけの物を用意している。』
「何時の間にそんな物を?」
『核を使わなくとも連中が何らかの切り札を用意している事は予測できた。本来は出番が無いまま終わってくれれば良かったが、そうも行かなくなった。』
「解かりました。進撃は一時中断、その間に艦隊の再編を行います。」
『感謝する。此方とてあの様な兵器を野放しにはして置けんからな・・・』
通信が切れた事を確認すると大西洋艦隊司令はすぐさま艦隊への待機を命じてその宙域へと留まり戦力再編と東アジア艦隊の友軍の救助へと部隊を動かしてた。一方で大洋の有する宇宙要塞アクシズの宙域では宇宙軍の総指揮を預かるギレン大将が旗艦である長門型3番艦「加賀」にて東アジア艦隊に向けてザフトの戦略兵器が発射されたと言う報告をアサクラ大佐より受けていた。
「やはりこうなったか・・・」
「東アジアは既に80%近い被害を受けている様です。幸い此方の艦隊は別行動を取っていて無事な様ですが・・・」
「仕方あるまい。東アジアは二度目の核攻撃だ。トラウマに成っているザフトが攻撃を行う事は目に見えていた事だ」
「ソーラ・レイの発射作業に入れ」
「と言うことはやはり?」
「総理からも許可を貰っている。撃て」
ギレンの命令と共にオペレーター達は忙しく動き始めた。其れと同時にソーラ・レイの砲口部分には徐々に光が収束していく。そしてエネルギーの収束が一定値に達した時にオペレーターの秒読みが初まり、ギレンは目の前の発射装置を手にとった。
303: ナイ神父Mk-2 :2016/11/27(日) 23:13:11
「ソーラ・レイ発射5秒前、4、3、2、1、」
「ソーラ・レイ、発射!」
その言葉と共に発射されたソーラ・レイのコロニー直径にも匹敵する大型レーザーは凄まじい勢いで射線上に有るあらゆる物体を焼き尽くしながら直進していく。その頃、自分達の切り札を焼き払えるだけの兵器の存在を知らないザフト兵達はジェネシスの威力と地球軍の受けた打撃を聞いて喜び勇んでいた。
「聞いたかよ、連合軍艦隊の一つがさっきの攻撃で壊滅したって!」
「マジかよ、やっぱりナチュラルなんて大した事ないな。」
「其れよりまだ出撃命令は出ないのか?ナチュラル共を落したくてウズウズしているんだからよ!」
こうした自身の兵器の優秀さに喜ぶ様子はヤキンドゥーエの司令室のオペレーター達も同じであり、中には見えないように小さくガッツポーズをする士官も居る。そして、発射を命じたザラ議長やその側近達もその戦果に湧いていた。
「素晴らしい、正しく創生の名に相応しい威力だ。うっとおしいナチュラル共の艦隊がこうもアッサリ消し飛ぶとは」
「此れで奴等も我々コーディネイターに逆らう愚かさを身に染みて感じたでしょうな」
「うむ、後は月とムンゾさえ制圧してしまえば宇宙は再び我等の・・・」
「え、L1宙域方向より非常に強力なエネルギー反応が接近!」
「なんだと!?」
そう言うのが早いか、ジェネシス周辺を写していたモニターからは突如として強烈な光が発生した。見れば途轍もなく巨大な光がジェネシスに向けて照射され、その光の射線上に居た艦隊を纏めて消滅させながら徐々にジェネシスを蒸発させながら砕いていく。しかし、悲劇は其処で終わらなかった、砕けたジェネシスの破片が周辺一体に飛び散り始めたのである。此れによって加速を付けて飛び始めた幾多の残骸は散弾のジャワーの様に周辺の艦隊へと浴びせられていく。
「ジェネシスの残骸が艦後方より接近!」
「早く飛んでくる残骸を打ち落とせ!この為の機銃だろうが!」
「あの残骸未だPS装甲が生きている。機銃が効かない!」
「司令部、此方カーチス隊助けてくれ!残がいが・・・」
CICに通信を通して響いてくる悲鳴と目の前の惨劇に先程まで歓喜に沸いていた状況と打って変わって要塞内や無事だった艦隊は静まり帰っていた。何せ戦闘を行う前に艦隊の多数が戦わずに壊滅し、コーディネイターの世を作るべく建造された切り札ジェネシスは無残にもより強い力によって砕かれたのである。それはまるでコーディネイター、延いてはザフトの行く末を暗示している様であった。
そして、更なる凶報がザフトを襲う。
「ジェネシスα設置空域で大規模な通信障害が発生!」
「NJか!?」
「いえ、NJの妨害に影響を受けない通信機器も全て通信不能!レーザー通信もです!」
304: ナイ神父Mk-2 :2016/11/27(日) 23:14:35
ジェネシスαと特殊部隊の強襲
ジェネシスαが存在しているエリアでは現在大規模な通信障害や精密機器への異常が発生して混乱が起きていた。そして、それに呼応するかの様に複数の影が凄まじい速度で宇宙を駆けている。その内の5機はサンダーボルト師団に新しく配備されたFAZZガンダム、そして新型のビグロであるマイヤーとビグルフである。残りの5機のMSは何らかのSFSが装着されているのか、まるでMAの様な形態を取って航行している。フレミング少尉はそろそろ通信機器が効き辛く成って来ている事を確認すると、今作戦でユーラシアから派遣された特殊部隊サイクロプス隊へと通信を繋げる。通信と共に自身が聞いているジャズが向こうにも流れるが気にした様子は無く話し出す。
「そろそろ目的の宙域が見えてきたぜ。事前にブリーフィングで伝えられた通り、アイザックが行っている通信妨害で通信が使えなくなる。注意してくれ。」
「此方サイクロプス、シュナイターだ。忠告感謝する。しかし、此方もプロだ。忘れてはいないさ。」
「アンディ、バーニィ、お前たちも聞いたな?」
「聞いてます、大丈夫です。」
「此方も問題有りません」
比較的新任である二人の言葉にシュタイナーは画面を見ながら頷くと通信を切った。見れば前方には既に目標と成っている大型兵器と其れを護衛する艦隊の様子が見て取れた。其れと同時にビグルフがその強大なミサイルを前方の目標に向けて射出し、それに合わせてブースターに装着された爆撃用の短距離ミサイルが次々射出されている。
急なあらゆる通信機器に対する妨害と、多数の監視システムの不調は肉眼やカメラでの確認が可能に成る距離まで敵部隊や攻撃の接近を許してしまい、多数のMSや警備艦艇へとミサイルが着弾した。特に厄介で有ったのがビグルフが発射した100m級のミサイルである。
敵艦隊中心部まで到達した2発のそれは外装をパージして内部に収納された無数の小型ミサイルをばら撒きながら進み、最後は進路方向から退避仕切れなかったローラシア級に直撃して複数のMS隊を格納庫に抱えた侭轟沈させている。
そんな轟沈したローラシア級から慌てて出てきたのはジェネシスαの警備隊長を務めるアッシュ・グレイであった。強力な通信妨害が起きた時点で彼は敵の襲来を予見してリジェネレイトの発進準備を進めていたのだが、一歩及ばず艦内を出る直前に爆発に巻き込まれたのである。そして爆発に巻き込まれる中、何とか艦の外に出てきた彼を待ち受けている光景は、少数のMAとMSに艦隊が一方的に攻撃を受けていると言う現状だった。
305: ナイ神父Mk-2 :2016/11/27(日) 23:15:15
強襲を仕掛けて来たと思われるMSはその手に持ったショットガンやマシンガン、ビームライフル等で通信による連携が取れずに混乱するMS部隊を一方的に攻撃して行き、戦闘宙域内を縦横無尽に飛び回る2機の大型MAがその手から出したビームサーベルでナスカ級やローラシア級を溶断して轟沈させていく。
「なんだこれは・・・一体何が起きている!」
奇襲と先程から起こる理不尽の連続に彼はそう叫ぶ事で精一杯だった。だが、叫んだ所で現状は改善せず、取り敢えずは近くを漂っていたゲイツのビームライフルを装備して手近に居たZZガンダムへと自身の装備したビームサーベルを展開して攻撃を仕掛ける。
「コイツは・・・大西洋から奪われたって言うGの改修型か?」
イオはリジェネレイトの攻撃をかわすと其の侭ブースターを吹かせて一気に加速を始めた、逃げられたと感じたアッシュはZZを追おうと機体をMA形態へと変形、ジェネシスαの加速装置が使えない為、ブースターの勢いだけで追いすがる。しかし、MS形態で有りながらZのMA形態を凌駕する推力を持つFAZZには中々追い付けず、距離はどんどん離されていく。そして一定の距離を明けられた時突如イオの乗るFAZZは反転真っ直ぐにリジェネレイトの方を向いた。その行動に危険を感じた次の瞬間、FAZZより腹部ハイメガキャノンが発射され、MS形態に変じて回避しようとしたリジェネレイトの左足と左腕を蒸発させて直進PS装甲によってビーム兵器にも高い耐性を持つはずのジェネシスαにも大きな損傷を与えている。そして、FAZZは発射し終えたと同時に即座にスラスターを加速させてリジェネレイトへと突っ込んでくる。其れに対して反応の遅れたアッシュは咄嗟にPS装甲製で有る程度のビーム耐性を持つ腕でコックピットを防御しようとして、直後に其れさえもまるで意味を成さない程の高出力のビームサーベルによって両断されて爆発四散している。
周囲を見れば既に強襲部隊だけでなく制圧部隊も到着し始めたのか。先程までは見なかった大洋やユーラシアの機体も徐々に増えており離脱しようとする艦艇やMSに対して遠距離からの狙撃が加えられてる事からサンダーボルト師団の本隊も到着した事が伺える。
そして、サイクロプス隊の面々も戦闘を無事に終えて補給の為か、此方まで近づいてきていた
「フレミング少尉、無事だったか・・・」
「流石にあの程度には負けねえよ。それよりそっちも?」
「ああ、何とか欠員を出さずに無事に終える事が出来た。感謝する。」
その後の調査で此処に有った施設は戦略兵器として使える代物では無かった事が正式に大洋及びユーラシア連邦より発表されているが、一歩間違えば大量破壊兵器の2連射が行われていたと言う事実は大きく、戦後のザフトに対する追求材料の一つとして扱われ、ザフトの立場を悪くする一因と成っている。
306: ナイ神父Mk-2 :2016/11/27(日) 23:16:08
簡易機体紹介
ズサ・ブースター
全長:25m
重量:80.4t
武装:7連装ミサイルポッド×2
4連装ミサイルポッド×2
概要
大洋の開発した第2世代機用の追加装備でありSFSの一種である。主にMS部隊での強襲任務等で使用され目的地まで推進剤の節約や事前にミサイル攻撃を行える様に複数のミサイルポットが搭載されている。又、原作とは違い此れを運用する専用機体であるズサ自体は大洋は開発せずあくまで第2世代機クラスの全長の機体であれば区別無く使用可能に成るように設計されている。
ビグ・ルフ
全長:45.5m
全高:26.6m
武装:メガ粒子砲
クローアーム×2
4連装ミサイルランチャー×2
ミサイルポッド×2
大型ミサイル×1
前面ガトリング砲
頭部上空防御ガトリング砲
モノフェーズ光波防御シールド×4
概要
大洋が開発した大型MAであるビグロ。その強化型の一種であり主に対艦攻撃や対拠点攻撃用に用いられる機体である。機体ベースはビグロの後期型を中心に追加のブースターや大型ミサイルの設置が行われており、中でも目を100mクラスのこの大型ミサイルは弾頭の内容によって対艦、対MS、対拠点等マルチに使えるものと成っている。
ビグロマイヤー
全長:50.5m
全高:24.5m
武装:大型メガ粒子砲
対MS用ビーム砲兼大型ビームサーベル
4連装ミサイルランチャー×2
前面120mmガトリング砲×2
頭部上空防御ガトリング砲
試作型陽電子シールド
概要
大洋がビグロベースに開発を行った強化型の一種である。見た目の違いも然ることながら最大の違いは他の機体と違い足が有ると言う事である。此れは大気圏内での運用も考慮に入れられて居る事が理由であり、原作より巨大化している理由もミノフスキークラフトと陽電子シールドを搭載した事が理由と成っている。又、PS装甲を有した機体との戦闘も考慮されており、椀部に付けられたメガ粒子砲には大型のサーベル形勢機能も付与され対MS戦や対MA戦でも使用できる機体と成っている。
307: ナイ神父Mk-2 :2016/11/27(日) 23:18:54
以上です。WIKIへの転載は自由です。今回はゴブ推し氏の作中での登場キャラであるサイクロプス隊と弥次郎氏の作中の登場キャラであるサンダーボルト師団のイオ少尉を使わせて頂きました。有難う御座います。
誤字脱字修正
ボアスをボアズに修正
最終更新:2016年12月05日 23:06