193 :影響を受ける人:2016/10/30(日) 00:05:37
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第九十八話 ―扶桑海事変―02―



先手を取られた通常戦闘機部隊であったが、その後は何とか迎撃に成功し、体勢を立て直す事ができた。
敵を誘引し、護衛の数を減らす目的であるが故に、その空域での格闘戦に移行している。
そしてネウロイの“学習能力”は此処でも発揮された。

「こんにゃろ!」

操縦桿を引き上げ、右旋回に入るとレーザーが通り過ぎていく。
それを追うように“スズメバチ”が突っ込んできて、その後ろに着こうとするが・・・

「やっぱし来るか!」

二機連携を重視している連中が出張ってきていた。
同時にこの連中はレーザーの発射感覚が短く、連射するように攻撃している。さながら機関銃の様に。
いままではチャージする数秒の間が有ったのだが、この方法での攻撃はその数秒が無い。
高速で避け辛いと言うのに、速射能力が付与されたのだ。
幸いなことに短射程となり、薙ぎ払う事が無くなったのが救いか。

二体目の攻撃も避けて一時的に離脱する。
自分は隊長だ。だから俯瞰して味方に指示と援護をしなければならない。
それに専念したいのだが、敵も許してはくれない。
下手に一人で離れるとあっと言う間に攻撃される。

「ちくしょうめ・・・」

悪態をつきながらも空戦領域を見やる。
明らかに味方の数が少なくなっており、敵の数は変わっていない様に見える。

「“スズメバチ”ばっかかよ。“ウシアブ”はいないのか?」

当たりを見回してみるが、急降下戦法が得意なはずの敵が見えない。
大陸で“スズメバチ”以上に沢山撃墜されたから、もう繰り出せるほど残っていないのだろうか?

「もしくは、温存しているかだな・・・」

実際問題、あの攻撃方法は有効だ。
急降下するが故に命中率が高く、たとえ上昇しても攻撃を後方から繰り出すから厄介だ。
実際に大陸で後方に食らいついた味方が何人もやられている。
対処法は前後以外から攻撃するくらいだ。

「ん?」

旋回しつつ視線を動かし、すぐに味方の援護に行ける様にしていたのだが。
視界の端で同じように旋回しているネウロイを発見した。
噂の、ベテランのネウロイか?

「まさかな・・・」

そう思っていると一体の “スズメバチ”がやってきて、しばらく並行飛行していたと思ったら、そのまま空戦に戻っていった。
例のネウロイを置き去りにして。

「いっちょ、やってみるか。」

――同空域――

―だぁぁぁ! しつこい!―

追い掛け回されるリーダーネウロイが叫ぶ。
ベテラン組から教育され、実戦を経て経験を積んだからこそ下手に攻撃をしていなかった。
だから余力が有ったのだが・・・狙われてからは全く余裕が無い。

―散れ! 散ってくれ!!―

指揮に専念したいが、敵は全く許してくれない。それどころか執拗に狙ってくる。
一応空戦している空間に突入して動き回れば、撒くのは容易にできる。
しかし一度でも離れた俯瞰しようとすると、すぐさま反応して攻撃してくるのだ。
堪ったものではない。
それにしても先制攻撃できたというのに敵が全く減る気配が無い。

取りあえず再び空戦域に突入し、撒くことに成功した。
そして、今度は飛び出ずにあたりを用心深く観察する。
しばらく様子を見つつ、後ろに食い付かれた味方を援護していたら、迂回するように飛行する“アホウドリ”の一団を発見した。
雲塊を利用して空戦領域を離脱し、発見した一団に、知り合いの“アホウドリ”へと向かう。

194 :影響を受ける人:2016/10/30(日) 00:06:28

―おーい。どうしたんだ?―
―ん?―
―おまえら、外周部の護衛だったろ?―
―ああ。でも敵を見つけた奴がいてな。撃ち落とされたみたいだけど。―
―ここ以外にか?―
―そうだ。見つけたのは、お前の所の部下じゃないがな。―
―さっきから追いかけまわされて、状況判断なんかできなかったぞ・・・―
―連中もいろいろするなぁ。―
―話を聞く限り。デカイ、やばい奴を沢山持っているらしいから、優先で攻撃しろってさ。―
―そうか。ってことはデカブツ二体も後から行くのか?―
―確認でき次第な。―
―そうか・・・気を付けろよ。―
―そっちもエネルギー残量に注意しろよ?―
―そろそろきついから戻るつもりだ。交代の連中が来るまでだが・・・―

話を切り上げ、すぐさま離れる。
襲撃をする仲間を気付かれて、迎撃されるのは不味いと自分でもわかるから。

―小さい奴に気を付けろよ。―
―わかってる。アイツらが一番危険だ。―

最後の言葉を交わし空戦領域に戻る。
目の前で部下が後方に食い付かれたのを見つけ、牽制に一射した。
残念なことに直撃はしなかった。しかし敵を追い払うことは成功し、そのまま僚機として共に飛ぶ。

―何時まで戦うんですか!?―

すぐさまヒステリックな叫びが木霊したが、自分だって叫びたい。
実際もうすでに何度も交代要請を出していた。
が、待てども暮らせども全く音沙汰なし。新たな敵にかかりっきりになって・・・いたわけではないだろう。
それもこれも、図体が一番デカいくせに、一番臆病なアイツが悪い!!

―わかってる!―
―具体的にはどうするんですか!―
―ああ、もういい! 付き合ってられるか! 相手が引くのを見越してこっちも引くぞ!―
―え? 本隊に敵がきませんか?―
―知るか! 第一こいつらが来た時点でばれてるのがわかるだろうが!!―
―それもそうか。―

結論をだし、戦域すべてに聞こえるように叫んだ。
それに答える声は明らかに当初より少なくなっているが、それでも健在の味方を確認するとホッとする。
現金なものだ。
その後、なんとか本隊と合流する事に成功するも叱責を喰らうのだが、逆に大声で非難八倒しまくって怯えさせてしまった。
もし彼等の声を理解できたら、この場面を見ていたら、夢幻会は大いに戸惑って笑うだろう。

何せ超大型ネウロイを、小型ネウロイが言葉だけで打ちのめしたのだから。
彼はそのまま補給を兼ねる大型ネウロイ周辺を飛んで回復に専念し、次なる戦いに備えた。
もちろん大型ネウロイに対する愚痴をネチネチ聞かせながら。

――第一打撃艦隊――

「敵部隊。我が方に接近中!」
「そうか。」

報告を聞いた古賀峯一はちょっとだけ溜息を吐く。
それに気が付いた副官が苦笑した。

「先に発見されてしまいましたね。」
「まあ予定通りだ。問題はない。
 それよりも対空戦闘用意を。」
「はっ! 対空戦闘用意!」

命令が復唱され、すぐさま艦隊全てに通信により通達される。
陣形は対空戦に最も強い輪形陣。
とは言え、相手はレーザーを使う相手であるので対処は格段に難しい。
大型艦である戦艦は回避が遅い、放たれた事を確認してからでは遅いのだ。
これはもう個艦の操舵手の技量に賭けるしかない。

ふと上空を仰ぎ見れば、陸軍の通常戦闘機部隊が飛んでいくのが見える。
恐らく交代の為だったのだろうが・・・今はこちらに向かう有力な敵集団に向かっているはずだ。

「それにしても。」
「なんでしょうか?」
「前世において漸減作戦を否定していた我々が、この世界では漸減作戦を展開している。
 何とも言えんな。」
「そう言えばそうですね。」

一応今世においても航空戦力は無視できないファクターだ。
しかしながら相手が国家ではなく、まったく未知に相当する敵となると話が違う。
生産工場があるならそこを叩けばいい。
海上なら航空母艦を叩いてから潰せばいい。
対空砲火がきついなら遠距離から命中率の良い武器で潰せばいい。

195 :影響を受ける人:2016/10/30(日) 00:07:24

これらが全く通じる相手ではないのだ。
エネルギーに関しては金属が補給元だと思われいるが、どのくらいの効率なのか不明だし補給の仕方も不明。
住んでいる所から滑走路無しで飛んでくるし、命中精度も嫌になるほど高い。
某青狸を友達とする泣き言少年、背後に立つと死ぬ暗殺者、泥棒一味の渋い男ほどではないが。

「お、ウィッチが飛んでいくぞ。」
「外に出て坊振れしている連中がいますね。」
「“アホウドリ”を相手取る為だろうな・・・ どこの所属だったか?」
「【瑞鳳】です。」

そんな会話をしつつ双眼鏡で上空を飛行する彼女等を見る。

「・・・見えないな。」
「・・・・・・見えないですね。」

何がとは言わない。
艦長が溜息を吐く事以外は平和な【紀伊】の艦橋であった。

――第二打撃艦隊――

「それで、第三打撃艦隊は!」
「そ、それが・・・」

堀川吉郎が怒鳴ると、恐縮した通信兵がおずおずと報告する。

「『【山代】 【若狭】 二艦 共 ニ 機関部 不調 ナリ』としか返答が有りません。」
「クソが!」

嫌な予想とはよく当たるものだ。
作戦開始時は足並みをそろえていた第三打撃艦隊は、件の報告を上げてからと言う物、まったく速力を上げていない。
そのせいで堀川の機嫌は下がっていく一方だ。
だらと言って当り散らしてもどうにもならない。
片手で顔押さえつつ指示を下す。

「仕方がない。【陸奥】に【山代】【若狭】を置いて此方にくるように言ってくれ。」
「越権行為ではないでしょうか?」

副官が心配げにしているのを見やり、大丈夫だと言う。

「あまり考えたくはなかったのだが、この場合も想定していた。
 故に対策を取る許可も得ている。」
「【陸奥】は来るでしょうか・・・」
「流石に連合艦隊司令長官からの命令だと言えば従うさ。それに【陸奥】に詰めている連中は九鬼大将一派だ。
 何の問題も無い。」
「了解しました。すぐに連絡をします。」

きびきびと動き始めた部下を横目に見つつ、敵の動向をかんがえる。
撤退していく上空の味方は、こちらの上を通るルート。
すでに第一打撃艦隊より敵襲来の報は届いている。
その内此方にも敵は来るだろう。それに備えて気持ちを引き締めた。



以上です。
最後の方はこれで大丈夫だろうか不安だ。

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最終更新:2016年12月06日 21:35