183 :earth:2012/01/04(水) 22:24:50

 ISの一夏を拾ったネタSSを書きましたが、今度は別の人物を拾った場合のものを……。
 原作ブレイクですが、ネタということでご容赦を。


 地球防衛軍統合参謀本部議長を務めた男、周囲の人間からは議長或いは参謀と呼ばれていた男は、戦後、政治家に転身していた。
彼はこれまでの功績、軍主流派の支持、そして地球の英雄であるヤマトクルーの支持を受けて地球連邦大統領に上り詰めた。
 だがそれは、更なる激務を彼に強いるものであった。

「やれやれ……今日も疲れた」

 公用車の中でそう呟きつつ連邦大統領は大統領公邸に戻った。
 そしてそこで彼を迎えたのは高校生くらいの一人の少女だった。

「お帰りなさい、お父さん」
「ただいま、鈴蘭」

 ある世界では『聖魔王』にまで上り詰めた少女がそこにいた。

「お疲れ様。今日の夕食は」
「ああ。一緒に食べれる。緊急事態が無い限りは」

 この言葉に彼女は笑みを浮かべて喜ぶ。だが原作を知るが故に、大統領は内心で苦笑する。

(やれやれ、何の因果なのやら……)

 彼女を拾ったのはガミラス戦役の最中だった。

184 :earth:2012/01/04(水) 22:25:21

 地下都市の中、一人さまよう彼女を大統領(当時は参謀)は見つけた。
 最初は単なる迷子かと思ったのだが、第6感的な何かが『彼女は違う』と主張した。
 そして彼は己の直感を信じて、他の転生者たちに連絡をとって、彼女を保護した。
 当初は参謀の行動に疑問を持った仲間達も身元調査や幾つかの質疑応答の末に鈴蘭と名乗る少女が、原作開始前の鈴蘭
であると判ると誰もが絶句し、そして参謀の行動を支持した。
 だが同時に彼女の存在は、あの旧き神々や天界、神殿協会などのトンデモ集団のことを思い出させる。

「まさかと思うが、この世界にもアウターがいるとか?」
「神殿協会などは存在しないぞ」
「居たかも知れんし、まだ居るかも知れん。だが彼らが人間を見捨てているのなら姿を現さないのも……」

 しかし結論はでない。そして最終的に厄介ごとは参謀に押し付けられた。
 その後から彼と彼女の親子関係は始まった。
 最初はぎこちないものだった。しかし参謀は激務の中でも鈴蘭への気配りを欠かさなかった。時に養父として厳しくしつけた。
 そして今、彼らは親子として過ごしている。

「それでね、今日学校で彩音が」

 久しぶりの夕食の歓談を2人は楽しんだ。尤もこのとき、大統領の脳裏には彼女の元の世界のことが浮かんだ。

(元の世界ってどうなっているのやら……)

 主役不在のあの世界がどのようなことになっているかに少し思いを馳せたが、すぐにその考えは打ち捨てた。意味が無いからだ。
 彼にとって重要なのは大統領としての職務と『鈴蘭をいかに真っ当に成長させるか』だった。

(あんなイロモノキャラにしてはならない!)

 続編での彼女の成長(?)振りを思い出し、彼は決意を新たにする。

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最終更新:2012年01月07日 00:52