120: earth :2016/11/30(水) 00:18:53
 『時空の迷い子達
 《縁の下を支える者》 

 地球帝国軍の宇宙艦隊の大半は従来の波動エンジンとブローネが持ち込んだモノポールエンジン、この2つの複合動力で動くようになっていた。
 ブローネとしてはさっさと18代目宇宙戦艦YAMATOを建造したかったものの、さすがの天才科学者でもブレイクスルーには限度があった。
 そもそも2つの異なるエネルギーで動かすだけでもかなり無茶なのだが、そこはブローネ、ライガー、山田、この卓越した3人の科学者たちがそれを可能にした。
 尤も彼ら3人だけですべてが足りる訳がないので、彼らをサポートする者もいる。

「大ロボット軍は宇宙最強!」

 科学省管轄の研究施設でそう叫んでいたのは、長髪イケメンのフランス人男性……より正確にはそう見えるロボットだった。
 ちなみにそんな男(?)を冷めた目で山田博士は眺めていた。

「相変わらず元気だな、ナポギストラー、いや田代君。ついでに言うと、ロボット軍ではなく、帝国軍と言ってほしいところだが」
「失礼しました。では改めて地球帝国軍を真の意味で宇宙最強、いや多元宇宙最強にすることこそが我が使命! そのためには一日たりとも落ち込んではいられないのです。
あ、あと田代で統一してください。万が一、ドラえもんが来たら面倒なので」 
(相変わらず暑苦しいな、おい……まぁドラえもんと戦わなくて済んだだけ、テンションがあがるか……)

 チャモチャ星を一度支配したロボット、ナポギストラー。彼もまた山田と同様に転生者であった。
 しかし残念なことに、彼が覚醒したのはクーデター後。これまでの経緯、そして部下の手前、簡単に人間と和解するわけにもいかず、途方に暮れていた際に山田博士と
出会ったのだ。
 お互いの素性が判った後、山田博士自体は和解を勧めたものの、「いくらチャモチヤ星人が穏健でも、私を許すはずがない!」と言って和解は困難だと首を横に振った。
 かくしてナポギストラーは影武者を立てた後、山田博士の助手として山田博士の旅に同行することになったのだ。
 この過程で、ナポギストラーの体躯に不満を持った転生者(元の名前は田代)は、山田やライガーの協力の下、『ナポギストラー』の元ネタの一つであるナポレオンに
ちなんで、ナポレオンの人生を描いた某漫画で出てきたスマートなナポレオン風の外見に変更した。
 これは万が一、ドラえもんが出てきた際に一発でばれないための措置でもあったのだが……。

「小宇宙戦争のドラコルルも転生者だったら、嬉しかったのだがね。転生者の質にもよるが……うまくいけば中々の知恵者になっただろうし」
「博士があの星を見つけたら、もう劇場版は終わっていましたからね……まぁブローネ博士やライガー教授と来た面々もいますし、こちらもサポートロボを量産しているので、
何とかなるでしょう」
「ふむ」
「そして速やかに、帝国軍を多元宇宙最強にしなければ!」
「……まぁ頼むよ。ああ、あとこちらの地球人を懐柔するためには相応の飴がいる。こちらも頼むよ。得意分野だろうし」
「お任せあれ!」

 かくして今日も科学省の研究施設に元気な(暑苦しいとも言う)声が響き渡る。

121: earth :2016/11/30(水) 00:22:10
あとがき
短いですが、今回はこのあたりで。
今回はラビリンスに出てきた『彼』に登場してもらいました。
ナポギストラーは元ネタ通り(某漫画風ですが)ナポレオンになってもらいました。
他に誰か出すべきか……
本当はワッハマンを出そうと持ったのですが、なぜか彼が先になりました。

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最終更新:2017年02月08日 19:32