471: 百年戦争 :2016/12/04(日) 16:03:06
アメリカ合衆国バージニア級戦艦
同型艦:バージニア、ネブラスカ、ジョージア、ニュージャージー、ロードアイランド
排水量:公称31,600トン(実際は36,500トン)
全長:196.2m
全幅:29.7m
喫水:11.6m
機関:重油専焼水管缶20基+ギヤード・タービン4基4軸推進
最大出力:78,000shp
最大速力:25.4ノット
兵装:45口径15インチ三装砲2基+連装砲2基
55口径13.9cm連装速射砲6基
47mm単装砲6基
【解説】
ローマ海軍軍縮条約の特例としてアメリカ合衆国が建造した超弩級戦艦。
軍縮条約締結により日英に対して一方的に不利となる
アメリカは、
第四次太平洋戦争の敗北後に量産した12インチ砲搭載の弩級戦艦八隻の廃棄と引き換えに、排水量35000トン以下で15インチ砲搭載という制限で新造艦の建造を認められていた。
これによりアメリカはフランスに売却したラファイエットをタイシップとし、装甲と全体のバランスの見直しを図った15インチ砲搭載の標準的性能の戦艦五隻を完成させた――表向きには。
実際に建造された本級は対16インチ装甲を備え、主砲のバーベットも45口径16インチ連装砲塔に対応した事実上の16インチ砲戦艦であり、短期間で主砲換装可能なよう余裕を持たせた船体は単艦でも全体の合計でも排水量の制限を超過している。
このように姑息な戦艦をアメリカが建造したのは、軍縮条約によって日英同盟との戦力差が二対一という比率で固定された為で、このような戦艦を建造せざるを得なかったという事実そのものが日英と対立するアメリカ海軍の苦境を表していた。
条約の制限を半ば無視して建造されているが故にその性能は15インチ砲搭載の条約型戦艦としては圧倒的であり、対16インチ装甲を施された本級は日英独の同クラスの戦艦では対抗困難な防御力を誇っている。
ドイツ帝国バイエルン級戦艦
同型艦:バイエルン、バーデン、ザクセン、ベルテンベルク
排水量:29,600トン
全長:192.0m
全幅:30.0m
吃水:9.35m
機関:重油専焼水管缶18基+ギヤード・タービン4基4軸推進
最大出力:64,000shp
最大速力:24.8ノット
兵装:45口径38cm連装砲4基
45口径15cm単装速射砲16基
45口径8.8cm単装速射砲8基
60cm水中魚雷発射管単装5門
【解説】
イギリスのクイーン・エリザベス級戦艦に対抗する為に建造された38㎝砲搭載の超弩級戦艦。
建造開始は日英の陸上戦力が欧州に展開し始めた1916年であり、陸戦装備に生産力を集中させるべきドイツ帝国が優先度の下がった戦艦の建造を始めたのは海軍重視――というより戦艦マニアである皇帝ヴィルヘルム二世個人の意向が強く、建造開始時点で既にフランス海軍が壊滅していた為に戦時中にも関わらずその建造速度は低調な物であった。
最終的に本級の完成は1918年の大戦終結後にまでずれ込んでしまい、新たな戦艦の誕生は大戦で疲弊した国民の冷めた視線で迎えられることになる。
皇帝の個人的趣味で建造された側面の強い本級ではあったが、趣味人が拘っただけにその性能は主砲、装甲、速力全ての面において対抗馬とされたクイーンエリザベス級に匹敵しており、特にドイツ海軍初の38㎝砲を搭載した戦艦の就役は砲口径という点で王立海軍の後塵を拝し続けていた大洋艦隊の質を大きく向上させる事になった。
もっとも、ヴィルヘルム二世が本級の建造を継続させた為にドイツ帝国政府は財政負担と艦隊法に対する不満を募らせ、大洋艦隊の維持費削減に対する解決策として世界的な海軍拡張を阻止するローマ海軍軍縮会議を開催を決断させている。
ヴィルヘルム二世も本級とマッケンゼン級巡洋戦艦の建造をゴリ押しした自覚があったのか、ドイツ政府が主導する軍縮条約推進の動きに強く反対する事が出来ず、艦隊法の撤廃と大洋艦隊の縮小に同意するしかなかった。
王立海軍に質の面で追い付いた本級の就役によって、大戦前には世界第三位の規模にまで膨れ上がっていたドイツ大洋艦隊は大幅に規模を縮小されるという皮肉な結末となっている。
軍縮条約締結後はマッケンゼン級と共にドイツ海軍の主力艦として保有され、陸軍国家の海軍として適正な規模に再編成された大洋艦隊の中核として積極的に運用された。
472: 百年戦争 :2016/12/04(日) 16:03:39
ドイツ帝国マッケンゼン級
巡洋戦艦
同型艦:
マッケンゼン、プリンツ・アイテル・フリードリッヒ、グラーフ・シュペー(空母へと改装)、フェルスト・ビスマルク(グラーフ・ツェッペリンに改称、空母へと改装)
排水量:34,500トン
全長:232.0m
全幅:30.4m
吃水:9.30m
機関:2サイクル6気筒ディーゼル機関12基+ギヤード・タービン4基4軸推進
最大出力:96,000shp
最大速力:28.8ノット
兵装:45口径38cm連装砲4基
45口径15cm単装速射砲14門
45口径8.8cm単装速射砲8門
60cm水中魚雷発射管4門
【解説】
イギリスがアドミラル級巡洋戦艦の建造を開始した事を知りヴィルヘルム二世が建造を推進した。
建造決定はバイエルン級よりもさらに遅く1917年とロシアの戦争脱落寸前であり、艦隊法を盾にして戦艦の建造を続けていたドイツ海軍もさすがに後ろめたさを覚えたのか、大戦が終結すると本級の建造を一時中断している。
その後日英米の間で建艦競争が過熱し始めると一・二番艦の建造のみ再開され辛うじて軍縮会議開催前に完成するが、逼迫した予算から三・四番艦は船体の進水が行われただけで本格的な建造は再開されず、ローマ海軍軍縮条約の締結後に空母へと改装された。
本級最大の特徴は世界で初めてディーゼル機関のみを搭載して完成した大型艦という点に尽きる。
英独が同盟国であった事が理由かは定かではないがルドルフ・ディーゼルは1913年に何事も無くイギリスから帰国し、MAN社はドイツ海軍から要求されていた大出力ディーゼル機関の開発に成功。
当初要求されていた2サイクル6気筒12000馬力には及ばなかったものの、一基あたり8000馬力の出力を叩き出す実用的大型ディーゼル機関の完成は世界の技術者達に衝撃をもって迎えられ、最新鋭の心臓を得た本級はドイツ巡洋戦艦伝統の重装甲とフッドに匹敵する速力を兼ね備えた事実上の高速戦艦として誕生する。
完成後はディーゼル機関の特徴である長大な航続距離を生かし北海、バルト海の女王として君臨した――が、同時に最新技術の宿命である故障・不具合の多発に悩まされ、問題発生の度に呼び出されるルドルフ・ディーゼルを始めとしたMAN社の技術者達を「私たちはいつ海軍技官に就職したのだろう?」と嘆かせ続けた。
しかしながら本級の機関開発とトラブル解決から得られた無数の経験はドイツ産業界の技術向上に大いに役立ち、ルドルフ・ディーゼルはそのノウハウを自身の人生哲学である技術の民生利用へと大々的に活用している。
ドイツ帝国グラーフ級
航空母艦
同型艦:グラーフ・シュペー、グラーフ・ツェッペリン(フェルスト・ビスマルクから改称)
排水量:32,000トン
全長:242.0m
全幅:30.4m
吃水:9.30m
飛行甲板長:222.8m x 29.8m
機関:2サイクル6気筒ディーゼル機関12基+ギヤード・タービン4基4軸推進
最大出力:108,000shp
最大速力:30.1ノット
兵装:45口径15cm連装速射砲4基
45口径8.8cm単装砲8門
艦載機:常用55機、補用10機
エレベーター:2基
火薬式カタパルト:2基
【解説】
ドイツ海軍は軍縮条約で認められた空母保有枠を満たす為に、進水だけしていたマッケンゼン級巡洋戦艦二隻の船体流用を決定。
それ自体は他の軍縮条約参加国も行っている手法でありなんら外交的問題となる事ではなかったのだが、海軍の予算削減によりようやく国内経済を復興させ始めていたドイツ国内では新たな艦船の建造に掛かる予算そのものが問題視され、本級の就役はドイツ経済が復調した1929年と他国に比べて大幅に遅れてしまった。
予算問題から建造が遅延した為に本級は先に就役していた他国の改装空母達を参考に完成度を高めており、島型艦橋や全通甲板といった艦隊型正規空母として必要な能力を十二分に兼ね備える事に成功している。
同時にマッケンゼン級で問題となったディーゼル機関の性能も向上し不具合もある程度改善されていた為に、船舶としての信頼性は原型となったマッケンゼン級を上回る物になった。
特筆すべきはドイツ海軍の重防御思想の権化ともいえる装甲化された飛行甲板と、艦首方向に向かって埋め込まれた2基の火薬式カタパルトである。
これによって本級は艦載機の迅速な展開が可能となっていたが、出力調整の困難な火薬式カタパルトは艦載機に射出の衝撃に耐える強度を要求し、このカタパルトの存在によって大戦後にドイツ帝国で成立していた空軍と艦載機部隊との機体の共用を困難にしていた。
また、せっかく装備しているカタパルトも安全面から緊急時以外ではあまり使用されなかった為に、このカタパルトの設置は航空機開発の主導権を空軍に奪われまいとした海軍の悪足掻きなのではないのかと噂されている。
473: 百年戦争 :2016/12/04(日) 16:04:43
大日本帝国金剛型巡洋戦艦/伊吹型巡洋戦艦/イギリス連合王国ライオン型巡洋戦艦
同型艦:金剛(イギリス建造)、比叡、榛名、霧島/ライオン、プリンセス・ロイヤル、クイーン・メリー、タイガー(日本建造)
準同型艦:伊吹、鞍馬、筑波、生駒
排水量:28,800トン
全長:222m
全幅:28.04m
機関:重油専焼水管缶32基+ギヤード・タービン4基4軸推進
最大出力:85,000shp
最大速力:28ノット
兵装:45口径35.6cm連装砲4基
50口径15.2cm連装砲8基
45口径7.6cm単装高角砲6基
53.3cm魚雷発射管8基(伊吹型は建造時から無し、後に金剛型も全艦撤去)
【解説】
ドレットノートに続いて日英が共同設計した――というより、日本が推進していた第二次八八艦隊計画を知ったイギリスが、半ば強引に技術交流と共同開発を売り込んで共同設計にした超弩級巡洋戦艦。
日英の造船技術の相互交流の為に金剛型一番艦である金剛はイギリスで、ライオン級の四番艦タイガーは日本でそれぞれ建造されている。
第四次太平洋戦争において弩級戦艦を投入し世界中の戦艦を一気に時代遅れとした日英であったが、20世紀初頭の技術発展は弩級戦艦を短期間で陳腐化させつつあり、特にイギリスは第四次太平洋戦争後にオライオン級超弩級戦艦を就役させた事で自身が作り上げたドレットノート級を再び旧式化させてしまっていた。
こうした背景の中でイギリスは日本が建造しようとしている第二次八八艦隊計画に着目。
自国で計画していた巡洋戦艦の試案を提供する事で第二のドレットノートショックを引き起こそうと画策した。
結果としてイギリスの申し出は日本に好意的に受け取られて成功し、金剛型=ライオン型巡洋戦艦は文字通り世界の戦艦を置き去りにする俊足と、全ての戦艦を撃破可能な牙を備えた存在として完成した。
バランスのとれた本級の性能に満足した日本は改良を加えて伊吹型巡洋戦艦の建造を開始し、軍縮条約締結後も本級の系譜が日本海軍の主力を務める事になる。
余談ではあるが本級の設計に参加したフィッシャー第一海軍卿は持論である優速主義「速力は最大の防御」を主張し、日本側技術者が繰り返す「こんなこともあろうかと……と最高の装甲を施すべきでは?」という主張に懐疑的であった。
そもそも巡洋戦艦を偵察用の大型巡洋艦として完成させたかったフィッシャーにとって、日本が求める「艦隊の前衛を務め、機動力をもって敵艦隊を捕捉し続ける」という巡洋戦艦のコンセプトは納得のいくものではなく、艦隊主力は走攻守のバランスのとれた戦艦によって担われるべきであると考えていた。
しかしながらイギリスで建造された金剛の公試に立ち会ったフィッシャーは持論を修正。
充分に対14インチ装甲を施されながら大出力機関により28ノットの高速を叩き出す金剛の俊足に惚れ込んだ彼は、装甲の削減ではなく機関出力の向上による速力の獲得へと優速主義の方針を変更し、「Powweeeerrr!!!」と叫びながら戦艦用機関の大出力化を推進していく。
474: 百年戦争 :2016/12/04(日) 16:05:20
大日本帝国薩摩型戦艦
同型艦:薩摩、安芸、河内、摂津
排水量:27,600トン
全長:187.6m
全幅:28.4m
機関:重油専焼水管缶28基+ギヤード・タービン4基4軸推進
最大出力:75,000shp
最大速力:25ノット
兵装:45口径35.6cm三装砲4基
50口径15.2cm連装砲8基
45口径7.6cm単装高角砲6基
53.3cm魚雷発射管4基
【解説】
大日本帝国が第二次八八艦隊計画で建造した超弩級戦艦。
イギリスとの共同設計となった金剛型と異なり完全に日本独自で設計され、世界初の三連装砲塔を搭載して完成した。
速力こそ金剛型に劣るものの十分に高速と言える速度を持ち、14インチ砲12門の弾薬投射量と完全なる対14インチ装甲を施された本級は就役当時紛れもなく世界最強の戦艦であった。
本級と金剛型の一斉就役は、第四次太平洋戦争後にアメリカ合衆国が建造していたサウスカロライナ級弩級戦艦を一気に旧式化させるものであり、アメリカは慌ててニューヨーク級超弩級戦艦の建造を開始しその後ダニエルズ・プランへと海軍拡張を続けていく。
これに対して海洋帝国を自負する大英帝国は同盟国の戦艦を凌駕する主砲を搭載したクイーンエリザベス級戦艦の建造に踏み切り、世界大戦後に軍縮会議を引き起こす日英米の建艦競争はこの時点で開始されていたといえるだろう。
イギリス連合王国クイーンエリザベス級戦艦/大日本帝国扶桑型戦艦
同型艦:クイーンエリザベス、ウォースパイト、バーラム、ヴァリアント/扶桑、山城、伊勢、日向
排水量:29,800トン
全長:196.7m
全幅:29.4m
機関:重油専焼水管缶28基+ギヤード・タービン4基4軸推進
最大出力:80,000shp
最大速力:25ノット
兵装:42口径15インチ連装砲4基/45口径35.6cm三装砲4基
50口径15.2cm連装砲8基
45口径7.6cm単装高角砲6基
53.3cm魚雷発射管4基/扶桑型は無し
【解説】
日本海軍の薩摩型戦艦建造を知るとイギリスは海洋国家の矜持を大いに刺激され、最強の称号を奪還する為に事実上の高速戦艦の設計に着手する。
15インチ砲を搭載しイギリス設計らしからぬ重装甲の船体を大出力機関で疾走させる本級は、大英帝国がその誇りを懸けて建造しただけに優れた性能を持つ戦艦として完成し、最強の座を短期間のうちに薩摩型から取り戻す事に成功している。
そして薩摩型に続く第二次八八艦隊計画の二期戦艦群を設計していた日本海軍が本級の性能に注目し、新型戦艦のタイシップとして主砲を薩摩型と同じ35.6㎝三連装にした上で、ほとんど同型艦とも言える扶桑型戦艦として採用。
ワンランク上の戦艦設計は充分過ぎる装甲と速力を実現し、第二次八八艦隊計画最強艦として完成させた。
完成直後に発生した世界大戦には日英共に全艦が参戦し、金剛型ライオン級薩摩型と共にフランス海軍を撃破してその性能の高さを示している。
軍縮条約締結後も王立海軍、帝国海軍の主力艦として運用され、艦隊側からの評価も上々であった。
475: 百年戦争 :2016/12/04(日) 16:06:54
以上で投下終了です
wiki転載などはOKです
次こそは本編の続きを投下いたしますです……
最終更新:2017年02月08日 19:47