492: earth :2016/12/04(日) 21:28:39
銀河帝国皇帝府の一室。
丸テーブルの席に帝国の重要人物である銀河帝国皇帝ブローネ、銀河帝国内相兼情報相ライガー、銀河帝国科学相山田が座って即席のカップラーメンを啜っていた。
「うん、やはりこの味だな。チープだが懐かしい味だ……ふふ、歳を取ると涙もろくなるな」
「独身で金がないときにはよくお世話になった……歳を取って食べ過ぎると、血液検査で色々と拙い数字が出るから控えたが」
「あとコンビニは価格が……都会は特に物価が。あと消費税も地味に痛かった」
そんな会話(帝国高官の会話の割にスケールが小さいが)が続いた後、食べ終えた三人は表情を切り替える。
「旧ボラー連邦の強引な統治のお陰で、我々は解放者扱いだ。まぁ精々、大幅な自治権を認めて飴をしゃぶらせておこう」
「資源を求めるなら異星人が少ない並行世界で事足りますからな。それに何かをするにしても人の目を気にせずに済む」
「件の若返りの技術を餌にすれば、抵抗する機運は減るでしょう。金と権力を得た者が次に狙うのは不老不死ですから」
銀河帝国政府、いや三賢者としては飴と鞭を活用することで統治を円滑に進めたかった。
彼らにとっては銀河帝国の建国、いやそもそも地球帝国の建国でさえ故郷への帰還のための手段でしかなかった。
特に山田博士は目的(故郷への帰還)と手段(銀河支配)を取り違える愚を犯したくなかったため、銀河帝国が不安定化して、無駄な労力が発生しないように細心の注意を払うべしと考えていた。
「資源地帯とした並行世界の銀河で資源採掘と改スーパーエクセリヲン級の建造が急ピッチで進んでいる。艦載機も同然だ。
オリジナルを遥かに超える性能を持っている。宇宙怪獣並みの敵と遭遇しても十分に戦えるだろう」
「自己増殖する工作機械、資源採掘装置によって量産される超兵器群。それを操るのはクローン兵士とロボットと。
いや、今では人間の脳ではなく、動物の脳を組み込んだサイボーグを作る計画まで提案されたときには目を疑いましたよ。
《万能文化猫娘》をリアルでする羽目になるとは……」
山田博士は顔に手を当てるが、ブローネは「何を恥じるところがある?」と逆に問う。
「イルカの脳を使った未来予知装置をはじめ、動物の兵器転用はすでにあるのだ。犬や猫の脳を使った兵器があっても
おかしくないだろう?」
「まぁそれはそうですけどね……ああ、言っておきますが、バスターマシン7号はさすがに量産はできませんよ」
「仕方ないか。鉄人兵団のロボットを量産できればいいのだが……まぁ当面はシズラーの改良型でいくしかないか」
「原作を知る人間が実物を見たら卒倒しかねませんよ……23世紀技術で強化された銀河中心殴り込み艦隊とか何の冗談
ですかね。まぁ某銀河帝国が相手ならそれでも足りない可能性がありますが」
そんな会話を聞いていたライガーは「いや、あの艦隊を見たら、こちらの世界の人間も卒倒すると思うが」と思ったが
それを口に出すことはなかった。そんなことを言っても意味がないと判断したためだ。
ライガーは生産性のある会話に戻す為、別の話題を振る。
493: earth :2016/12/04(日) 21:29:11
「それで護衛艦隊は新型のハイブリット艦を?」
銀河帝国では波動エネルギーとモノポールエネルギーのハイブリット艦を建造していた。
18代宇宙戦艦YAMATOに相当する宇宙戦艦の建造を考えていたのだが、モノポールエンジン1基と波動エンジン2基を搭載し、問題なく稼働させるのは色々と手間がかかっていた。
エンジンの小型化も色々と面倒であり、ハイブリット艦は相応に大型となっている。おかげで戦艦は全長が600m前後、巡洋艦が300m前後という規模になった。
ただし戦闘力は相当なモノであり、純粋な波動エンジン搭載艦よりも高い戦闘能力を有していた。
一昔前の駆逐艦の仕事は、艦載機に振りあてられるようになっており、第一線から駆逐艦は姿を消していた。
ちなみに純粋な波動エンジン搭載艦も多くが退役か、予備役指定を受けて保存艦となっている。
「既存艦の改装でいくのが良いだろう。新型艦は出来るだけこちらの世界で運用しておく。
面倒だが、不穏分子を牽制するためには相応の武威が必要だ」
ブローネの意見に山田は渋い顔をする。
「既存艦の改装では限度があるのでは?」
「むしろ運用実績がある点を考慮したほうが良い。それに新型艦の習熟にはそれなりの時間がかかる。満足にバックアップできない並行世界で機械的トラブルが起きたら堪らないからな。いくら操るのがクローン兵でも相応の配慮が必要だ」
「ふむ……まぁ仕方がないですね」
「あと保存艦として残している艦も使えばいいだろう」
「徹底的に使い潰すつもりですね」
「当たり前だ。立っている者は親でも使う」
いくつかの会話の後、彼らは己の仕事場に戻る。
そして己の職場に戻る途中、山田博士はふと思った。
「ヱルトリウムやスーパーエクセリヲンの周りをヤマト世界の船が飛ぶのか……絵面にしたらすごい光景だな。いやヤマトがスパロボに参戦するご時世だったから、なくともないのか? どちらにせよ原作を知る人間がみたらどう思うことやら」
何はともあれ、銀河中心殴り込み艦隊ならぬ並行世界殴り込み艦隊(殴り込む相手がいるとは言っていない)が編成され出撃することになる。
494: earth :2016/12/04(日) 21:31:33
あとがき
うん、実験SSとは言え、ぶっ飛び過ぎている気がする(汗)。
何はともあれ次回以降、別世界に殴り込み艦隊が出港します。
最終更新:2017年02月08日 19:50