176: earth :2016/12/15(木) 23:52:05
ブローネが念願の第18代YAMATOに匹敵する、いや凌駕する《ヤマト》を完成させ、山田とライガーが因果律操作装置を完成させる目途を立てていた頃、殴り込み艦隊旗艦セイレーンの第一艦橋には緊張が走っていた。
「バカな。何故、あの化け物共が……」
第12分艦隊旗艦を務める改スーパーヱクセリヲン級『アルゴー』から送られてきた緊急報告にフォークは目を見開き、一瞬だが呆然自失の状態となる。
「宇宙怪獣共がなぜ、別世界にいるのだ……」
フォークの目に映ったもの。それは彼が乗るセイレーン、その元ネタとなったヱルトリウムが建造された世界で人類の天敵として恐れられた化け物、宇宙怪獣の群れであった。
しかしすぐに再起動を果たすと状況を再確認する。
「第12分艦隊はまだ交戦していないな?」
「劣勢であるため、退避行動をとりました。現地の太陽系内に侵入していた偵察部隊も3隻の無人偵察艦、設置した監視衛星を除いてワープで撤退済みです」
参謀長はそう言うと宙域図をモニターに表示させる。それを見たフォークは眉を顰める。
「……これを見る限り、宇宙怪獣共が現地の地球に殺到しつつあるように見えるのだが?」
「会敵がない場合、3週間程度で現地の地球に到達すると思われます。宇宙怪獣がワープすれば更に早まります」
「確かこの地球は縮退炉もないし、ワープどころか亜光速戦闘も不可能だったはずだ。あの化け物共が《あちら》と
同じなら、なぜ?」
「現地にも宇宙怪獣が存在し、アルゴーのワープが察知された、或いは……宇宙怪獣も世界間移動を可能にしたことも
考えられます。この場合、我々の艦隊がつけられた可能性も考えられます」
「後者の場合、《宇宙超獣》の類か、それとも……いずれにせよ、皇帝陛下に凶報を届けざるを得ないようだ」
「提督、地球への救援は?」
「間に合わん。相手の能力が不明である以上、第12分艦隊のみで当たるのはリスクが大きい。無為に1個分艦隊を
壊滅させる愚は犯せない」
「……よろしいので?」
現地の地球に(最低でも)宇宙怪獣クラスの化け物と戦う力が無い状態で、帝国軍が事態を静観するとなれば、
地球は容赦なく蹂躙される。それは現地の地球人類の死滅を意味する。
「それでも構わないのか?」と問う参謀長に対し、フォークは冷徹に答える。
「構わん。帝国軍は帝国とその友邦を守るために存在するのだ。異世界の民を守るためにあるのではない。彼らには自力で何とかしてもらう。それより各艦隊の警戒態勢を厳にせよ。最悪の場合は探索を中止する」
「了解しました」
「それと皇帝陛下、それに軍本部にも最優先でこのことを報告しろ」
そういうとフォークは再び視線をモニターに戻す。
(まぁどう考えても、この世界の地球に手掛かりはなさそうだからな……)
この緊急報告が入る前、アルゴーから齎された報告にフォークは腹を抱えて笑いそうになったことを思い出す。
(よりにもよって《ガンガル》世界か、ガンダム世界を見つける前にパチモン世界を見つけるとか……などと思っていたが、まさかこうなるとは)
何はともあれ、宇宙怪獣の群れは津波のように地球に殺到した。
さすがに異常に気付いたのか、現地軍は反撃に出る。
ドリルをつけた新型ガンガル、量産型ズク、それにマゼラン級もどきやサラミス級もどき、ムサイ級もどきなど
が出撃したが、戦闘能力だけでなく、数の面でも圧倒的に劣っていたため、彼らは一方的に打ち破られた。
儚い抵抗を粉砕した宇宙怪獣はそのまま何事もなかったかのように前進し、地球人類を滅亡に追いやっていった。
「ヱルトリウム、バスターマシン……世界は違っても、《彼ら》の敵は奴らなのか?」
フォークは散った人類に黙祷をささげた後、この場にいない誰かに問う様に呟いた。
177: earth :2016/12/15(木) 23:54:17
あとがき
いよいよ事態が急変。
(今のところ)スパロボ時空でもないのに、宇宙怪獣出現。
ついでに二次創作では珍しくガンガルも登場(一瞬ですけど)。
あの化け物共と戦えそうな世界は少ないので、色々と拙いです。
最終更新:2017年02月08日 20:39