386 :①:2011/07/16(土) 06:00:16
感想であるネタが出ましたので。とはいえアメリカ財界が分割に手を貸すプロットを読んだ時に思いついていたんですが
正直、この話を投稿のは躊躇しました。
○碧の艦隊でもありましたし、いらん論争を起こしかねないネタなので…

しかし、転生世界においてアメリカ分割の影響は、特に中東方面において劇的に変化するのでこういうネタもありかなと思って投稿してみました。
少なくともユダヤ人のイスラエル国家建設は多大な影響が出てきますし、それに伴う中東の紛争の根源であるユダヤ対イスラムという構造が変わることは予測できます。
アメリカ分割後の中東方面の状況は、石油をめぐる日欧対立になるのか、ユダヤ対イスラムという宗教をめぐる対立がイスラム内宗派対立かキリスト教になるのか、当時の中東の植民地支配国であるイギリス・フランスと対する日本、ドイツ、ソビエトがどうかかわるのか一概に予測できない事態となります
変わりに似たような状況でイスラエル国家を建設するとしたら、北米というのはありかなという感じで書いてみました。
とはいえ、この世でのイスラエル国家建設の状況とその後についてはあまり詳しくはありませんので、知識不足による拙い文章となってしまいました。
本当は夢幻会のオカルト好きが陰謀論をネタに雑誌「ムー」をからませた軽いノリの文章にしたかったんですが…


~ある小さくも大きな復讐~

「これを上奏しろと言うのか?この僕に?」

「そうです、この案を夢幻会の連中に提示できて説得できるのは書記官しかいません」

「しかし…これは帝国の根幹にかかわる提案だぞ?」

「だからこそです、これは対米戦終結後、ある意味「世界」に波紋を投げかける提案でしょう。
 しかしこれを成せば、帝国は北米大陸に強力な友好国を作り、尚且つ人道的に何もしなかった欧州諸国に対しイニシアチブを作れます」


「しかし連中を説得できても経済界他が黙っていないぞ。北米の利権はそれだけ大きい」

「夢幻会の連中なら巨大な利権を捨ててでも北米にこの国を作る意図がわかるはずです。さらに太平洋岸に来るアメリカ財界の残党もたいていは納得、
あるいは積極的になるかもしれません」

彼も内心は連中の国を作るところまでは無理かもしれないと思っていた。
しかし前の世での「噂」が本当ならアメリカ財界の連中はやるだろう。
津波で被害を受けた自国民の変わりに同じ血を分けた民族同胞の新たなる約束の地、
太平洋を挟んでいるが強力な同盟国。自分たちの思い通りになるかもしれない新政府。
奴らの「民族の不倶戴天の敵」が作る、傀儡政府が出来るのも確実なのだから。

それに自分と同じ転生者であろう夢幻会の連中なら、この計画の意図するところはわかるだろう
この提案は、前の世で欧米と奴らの陰謀によって火薬庫と化した中東に、
日本による安定をもたらすかも知れないということを。
それは石油を欲しがる日本にとっても悪い話ではない。
アメリカの一部を奴らに与えることで、中東安定が安定するメリットがどれほどのものか、夢幻会の連中なら判るはずだ。
もっとも宗教対立が宗派対立で厄介なことになるかもしれないが
深刻な宗教対立に比べればマシだろう。

387 :①:2011/07/16(土) 06:01:18

その代わり火薬庫と化すのはアメリカだ。
もともと今回の分割占領で火薬庫と化すのはわかっているはずだ
それならば中東に火種が飛び火する前に、アメリカに来させれば火種が消せる


この世の連中にはわからないだろうが前の世の連中なら意味がわかるはずだ
火種は一箇所に、資源のあるところは大国が当面分割すればいい
分割しても欧州は後退していき、やがて独立できるだろう。
そうすれば中東の人間は当面生活は苦しいだろうが希望が出来る。


「それに帝国にもメリットがあります」
「メリット?」
「欧米人、白人は自分たちが神に選ばれたと思い上がっています。だから黄色い猿である日本に負けたとは思いたくはないでしょう。
何らかの陰謀があったと思いたくなっているはずです。そこで北米大陸に彼らの国を作るのです。日本は人道的に彼らを救出し、彼らから割譲を受けた土地に彼らの受け入れ地を作っただけ。
しかし彼らはそうは思いません、「悪辣な奴らが彼らの国を作るために、人のいい日本人を影から操っていたのだ」と勝手に思い込むでしょう。そうすれば我々日本人よりも彼らを憎むでしょう」

「君は彼らを帝国の盾に使うつもりかね!?」

「…申し訳ありません、言いすぎでした。
しかし、彼らは現状、ナチス・ドイツ、ソビエトから迫害を受けています。そして欧州諸国は彼らの存在を無視し、誰も手を差し伸べようとはしていません。
そこでわが国が手を差し伸べ、人口基盤が薄くなった北米大陸に彼らを受け入れ、戦利品の一部を与えて彼らの国家をつくっても、
人道的・同義的にどこの国からも文句は出ません」

「…君の意図するところはわかった。なぜかは判らんが、訓令違反で外務省の上からは嫌われているのになぜか夢幻会の連中は私を買っている。提案はしてみよう。
しかし受け入れられるかは判らないぞ?」

「それで十分です、杉原千畝書記官」


そういって若い外務官僚は深いお辞儀をして部屋を出た
彼は転生者。
今は純日本人だが、前の人生の彼は日本人の父とパレスチナ人の母の間に生まれた人物だった。
母から聞いたパレスチナは悲惨だった。
パレスチナ人もユダヤ人もアラブ人も平和に暮らしていたが
ある日ユダヤ人が来て、「ここは俺たちの土地だ」と言われて追い出されたのだ。
母は難民と化して各地を転々としていたところを外交官だった父に見初められ自分が生まれたのだ
彼の目には父の日本も母のパレスチナも同じだった。日本はアメリカの言いなり、いわば支配されていたのだ
そしてパレスチナはアメリカの手先、イスラエルに虐げられていたのだ。

「…ならば、この世ではアメリカに報いを。ユダヤ人を手先に使ってな」

彼は暗い情念を秘めながら自分の事務室に戻る。これからやることが多くなるであろう自分の仕事に集中するために。
なんとしてでもユダヤ人を一人でも多く北米に送り込むのだ。

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最終更新:2012年01月07日 01:15