457: ライスイン :2017/01/08(日) 23:09:53
注意:TS及び一部捏造設定あり
エレブ新暦999年、エレブ大陸では戦乱が起ころうとしていた。
本来の歴史であればベルン国王ゼフィールが富国強兵政策で高めた軍事力を持って他国へ侵攻するはずであった。
しかしこの世界では・・・・・
「畜生っ!!どうしてこんなことに。」
リキア同盟軍の集結地点であるアラフェン侯爵領にあるアラフェン砦の会議室でリキア同盟盟主であるオスティア侯爵ヘクトルは惨めさと悔しさのあまり吠えていた。周りにいるアラフェン侯爵・サンタクルス侯爵・トリア侯爵・カートレー侯爵など諸侯も俯いていた。
リキア同盟軍はフェレ侯爵等の一部諸侯による反対を押し切ってエトルリア王国によるベルン奇襲攻撃に加担しベルン領内に侵攻した。しかし逆襲にあって敗走。
現在は辛うじて国境付近で持ちこたえている状態だった。
「くそ・・・」
ベルンが対エトルリア戦線を重視している為に今の所は攻め込んできてはいないもののサカの大半を調略して参加に納め、おまけに有り余る財力でイリア諸騎士団を丸ごと雇用するという荒技を平然と行うベルンに対抗するには如何にエトルリアからの援軍(魔導軍将セシリアの部隊)があっても心細かった。
更にとある理由からオスティアが併合した旧キアラン領や旧コンウォル領でサボタージュが相次いでいた。
「ヘクトル様、ベルン領から撤退中のラウス侯爵の部隊が壊滅。ラウス候エリック様も戦死なさいました。」
側近のオズインが報告してくる。エリックの率いる騎馬兵主体のラウス軍は侵攻時に先鋒となっていた。初戦が上手く行っていた分、調子に乗ったエリックは当初の作戦を無視して進撃を続けた末に孤立し他の諸侯に比べて撤退も遅れていたのだ。彼を討ったベルン軍はそのまま増援として国境付近に布陣していた。
「指揮官はだれだ?」
「3竜将の一人、ナーシェンです。」
「あのキ○ガイ野郎か」
普段から ”私は美しい” とか ”ベルン最高の邪気眼の使い手である我に勝てると思うな” とかぶっ飛んだ言動と奇抜な格好の割には無駄に有能な存在で侵攻したリキア同盟軍に結構な損害を与えていた。
「それだけでなく元コンウォル侯爵長子レイモンド(レイヴァン)が率いる部隊も帯同。更にサカ方面には元キアラン公女リンディス及びマークが率いる部隊もいるとの事です。
それにタニア侯爵軍も・・・」
「レイヴァンにリンディス、マークめ・・・・なぜ嘗て共に竜と戦った仲間である俺と敵対するんだ・・・。それにタニア候めっ!!」
嘗て共に戦った仲間である自分に平然と敵対してくる2人や事前にベルンに調略され寝返ったタニア候の姿勢を嘆くヘクトル。しかしこれはヘクトルと彼の兄である先代オスティア候ウーゼルが原因であり自業自得でもあった。
「此方側の援軍は?」
「ロイ公子率いるフェレ軍が明日到着するとの事です。またレーデ オルスト ウォード ラグナら西武諸侯の軍も1週間以内に到着予定です。」
親友であるフェレ候エリウッドの息子が率いる援軍が来ることに思わず笑みを浮かべるヘクトル。同盟のベルン侵攻に反対した彼も同盟の危機とあっては流石に援軍を寄越したようであった。
「これで何とか戦えそうだな。」
ヘクトルを始めとしたこの場にいるリキア同盟諸侯は一応は安堵した。だがそれは糠喜びにすぎなかった。
458: ライスイン :2017/01/08(日) 23:10:25
ファイアーエムブレム「封印の憂鬱」
~1週間後 ベルン オスティア国境~
「ナーシェン将軍、アラフェン砦にリキアの援軍が到着した。」
ベルンの工作員の一人であるジャファルがリキア侵攻軍司令官のナーシェンに報告する。
「我が邪気眼の予測通りだな。ジード、竜騎士隊を発進させよ。ジェミー、魔導師部隊に例の物を持たせて待機せよ。」
「了解です。」
ナーシェンの命令に竜騎士隊を率いるジードと魔導師部隊を率いるジェミーの2人は返事をすると自部隊の所へと戻っていた。そして・・・
「ヒャッハー、逃げる奴はリキア兵だ、向かってくる奴は訓練されたリキア兵だ・・・纏めてぶっ飛ばせ。」
ジード率いる竜騎士隊(別名:痛い子竜騎士隊)は萌えキャラの描かれた鞍を付けた飛竜に跨りリキア同盟軍上空へと飛行する。
「目標捕捉・・・投下開始。」
ジードはそう叫ぶと鞍に括り付けてあった新型のフレイボムを投下する。同僚らも同じくフレイボムや火炎樽や炸裂樽を投下していった。
この思わぬ攻撃に混乱したリキア同盟軍はアラフェン砦へ後退を始めた。
「ふふっ、予定通りね。全員詠唱開始・・・メティオ」
ジェミーの言葉を合図に魔導師部隊はメティオを詠唱。某ロートリッターの如くアラフェン砦やリキア軍目掛けてメティオを放つ。
「全軍後退だ・・・後退せよ。」
これ等の攻撃で砦を破壊され展開していたリキア軍は大打撃を受けた。そしてベルン軍が進撃を開始するやヘクトルは断腸の思いで後退を命令した。
~1週間後 ベルン王国王都~
「作戦は順調なようだな。」
「はい、対リキア戦線はアラフェン侯爵領を占領しました。エトルリアも内紛の影響で動きが鈍いです。」
玉座に座るゼフィールの問いに宰相も兼ねる魔竜のイドゥン(近衛)が答える。
「辻さん・・いや財務大臣ヤアン、エトルリアの経済状況は?」
「近衛さん、戦争開始前よりさらに悪化。ハイパーインフレに陥っています。」
続いて財務大臣であるマムクートのヤアン(辻)が説明する。
ゼフィール(伏見宮)が父デズモンドを暗殺し即位した直後より行われた”今までの知識と経験”を生かした殖産興業と富国強兵並びに産業革命の成果で得られた膨大な財力を用いた経済侵略によりここ10年ぐらいでエトルリア王国の経済はガタガタになっていた。華やかであった王都でも各所にスラム街が形成され、税もどんどん重くなり植民地(西方3島)からも過酷な収奪が続き、国民の不満は増大し経済力の低下から軍事予算も削減され、その影響で治安も悪化していた。この状況を打破しようと考えたエトルリア国王モルドレッドはリキア同盟やサカのジュテ族を引き込んでベルンに対して奇襲攻撃を行ったが返り討ちに逢った末に逆に侵攻された。おまけにベルンの工作で宰相ロアーツらが反乱を起こすなど内憂外患で凄まじい危機に陥っていたのだ。
459: ライスイン :2017/01/08(日) 23:11:01
「状況は分かりました。そういえば倉崎の爺・・・パント公爵はどうしてます?」
「相変わらず魔導の研究に没頭しています。なんでも演算宝珠やストライカーユニットの製作を目指している様で。」
「相変わらずのマッドだな。」
倉崎の爺こと元エトルリア王国リグレ公爵パントは10年前(烈火の剣より10年後)に政敵によって陥れられ、家族や弟子(エルク)とその妻(プリシラ)を連れてベルンに亡命。現在では王国技術顧問 兼 リグレ工業の社長としてマッドな日々を送っていた。
「まあ良いでしょう、戦局は有利で多くの原作キャラを引き込んでいます。余程の事が無い限り負けは無いでしょう。」
「ええ、ですが油断なりません。報告ではロイがデュランダルを確保したようです。もしも主人公補正があった場合は碌でもないことになりかねません。」
彼ら転生した
夢幻会メンバーが恐れる事態・・・神将器を確保し補正が加わった主人公達による逆転劇。それを阻止する為に暗殺などあらゆる手段で排除する事も彼らは考えていた。
「ったく。引退して悠々自適な閑院宮殿下らがうらやましい。」
先代宰相を務めていた閑院宮は10年前に引退し以降は同人活動に専念し、3年前からは王都でコミケを開催するなど順調に同人文化を広めていた。
「でもそのおかげで妹(ギネヴィア)が腐教師になってしまいました。」
王妹ギネヴィア。原作と違い兄と対立しなかった彼女は偶然侍女が持っていた801本を見て衝撃を受けて以来801にどっぷりと嵌ってしまった。
今では自前のサークルを結成して各種801本を出版するなどベルン最高の腐女子として801界に君臨していた。
「それは置いておきましょう。ところで嶋田さんの方はどうなっていますか?」
「サカをほぼ手中に収めたとの事です。今は完全掌握を目指して統治に力を入れています。」
嶋田繁太郎(マーク)はサカ方面軍の司令官として出撃。エトルリア側に付いたジュテ族に滅ぼされたクトラ族の生き残りを傘下に加え、竜騎士団やイリア天馬騎士団など圧倒的な航空戦力や物量で短期間でサカ地方を確保。現在は統治に力を入れていた。
「良い事です、ですが彼には一言言いたい。」
「私もです。」
玉座の間に沈黙が舞い降りた。そして・・・・
「「「「「リア充爆発しろっ!!」」」」」
460: ライスイン :2017/01/08(日) 23:11:40
~同時刻 サカ ブルガル ベルン王国軍司令部~
「やっと安定したか。」
嶋田繁太郎ことマークは仕事を終え一息ついていた。
「まったく・・・こうも原作が崩壊するとは・・・いや、表に現れなかった黒い部分が出て来たという事か。」
一息つきながら彼は今までの事を思い出していた。
とある国の軍人の家に生まれた彼は15歳で軍師として立身を志して旅立った。その最中にリンディスに出会い、流されるままに彼女に協力。そして竜との戦い。
戦後はリンディスと共にキアランに戻り骨を埋め様としたがしたがリンディスの祖父であるキアラン候ハウゼンの死後、病死したオスティア候ウーゼルの置き土産的な工作による親オスティア派の増大からくるオスティアへの併合。親友であったはずのヘクトルやエリウッドは止めようともせず、僅かな親しい者達と共にキアランを追われたマーク達は覚醒した同志たちの手引きでベルンへと亡命し今に至った。
「レイモンドも良くやっていますね。まあそれだけオスティアへを憎悪しているといった事か。」
コンウォル侯爵家はリキア同盟の資金を横領した罪で当時盟主であったウーゼルの判断で取り潰されていたが、実際はコンウォル領を併合する為に家臣を買収して侯爵が行ったように見せ掛けたウーゼルの策略であった。これらの事実は戦後に諜報部に雇い入れたジャファルやラガルトの調査により判明した事だった。
因みにジャファルやニノも戦後は取り消されるはずであった指名手配がキアランを除いて取り消されず、苦難の末にマークの手引きでベルンに移住していたのだ。
「落ち着きましたか?」
マークが考え込んでいると彼の”妻の一人”えあるニニアンがお茶を持って入ってきた。続いてリンディス フィオーラ ファリナ フロリーナも入ってくる。全員が彼の妻だった。
しかも販促な事に30代半ばなのにであった頃の美しさを保っているという反則振りで同胞である夢幻会メンバーからすればまさにリア充爆発しろであった。
妻たちと談笑を終え、一人になったマークは嘗ての仲間たちがいるであろう方向を向いて
「そろそろツケを払って貰いましょうか」
と呟くのだった。
○憑依者一覧
ゼフィール(伏見宮):覚醒は父王デズモンドによる最後の暗殺未遂時。命の為に父王を弑逆して王位を簒奪後は自分と同胞の生存及びベルンの繁栄を目指して積極的に働いている。最近の悩みは萌え文化を振興させすぎたせいで妹が腐女子化した事。密に部下(ブルーニャ)と交際中。
イドゥン(近衛):原作通りゼフィールによって目覚めさせられた時点で覚醒。その能力ゆえか宰相を任されている。
ヤアン(辻):マムクートで原作通りに火竜石を使って竜化できる。財務大臣を任されていてエトルリアやリキアがハイパーインフレでズタボロになったのは此奴のせい。
同時に女学園も運営していてそこの生徒(ソフィーヤ)と交際しているという中々のリア充。
ナーシェン(富永):相変わらずの邪気眼中二病。邪気眼使いで構成される組織”萌える牙”の首領。
ジード(須川):痛い子中隊の須川が憑依。彼の竜騎士隊は全員が元痛い子中隊メンバー。萌え鞍を付けた飛龍に跨り、上空からの爆撃という反則技を駆使する。
マーク(嶋田):影が薄い烈火の剣の軍師マークに憑依。今までの幾多の憑依転生からくる豊富な知識や経験をもとにリンやエリウッドらを助け、烈火の剣終了時には神軍師と呼ばれるまでになる。その後はリンや親しくなった女性らとキアランへ戻るもオスティアの策略でキアランから去らざるを得ず近衛ら同胞を頼りベルンへ亡命。
現在はベルン軍の司令官 兼 筆頭軍師としてサカの攻略及び統治を担当している。因みにヘクトルやエリウッドが病死したウーゼルの策略を止めなかったのは絶大な功績を上げたマークへの嫉妬や恐怖の他に好意を持っていた女性たちを尽く奪われたという妬みもあった模様。
リンディス ニニアン フィオーラ ファリナ フロリーナという原作女性キャラ5人を妻にして良好な関係を保っているという超絶リア充。
他にも作中に登場していない憑依者は
マードック(杉山)、 ゲイル(山本)、 ゼロット(東条)、 シン(福留)など。
461: ライスイン :2017/01/08(日) 23:12:12
いかがでしょうか? 前作「聖戦の憂鬱」に続いてファイアーエムブレム物を書いてみました。
完成した後で改めて確認した所、憂鬱成分がかなり薄くなっていた事に気付きました。
捏造設定としては
01:烈火の剣前にコンウォル侯爵家が取り潰されたのはヘクトルの兄ウーゼルの策略。
02:リンディスがキアランを離れたのはウーゼルが残した策略をヘクトルらが止めなかった為。
の2つです。
機会があればまたファイアーエムブレム物を内容を濃くして書いてみようと思います。
掲載お願いします。
最終更新:2017年02月09日 21:38