894: 333 :2017/01/28(土) 20:15:37
フローデ達の憂鬱 番外編





銀河の歩き方 5040年 春号

ログリカール特集


地上観光といえば、様々な惑星がある。今回はその中でもログリカール諸国について見ていこう。

まず、ログリカール諸国とは何か?アーヴの読者も名前は聞いたことがあるかもしれないが、詳しく知っている者は少ないだろう。

そこでまずはログリカール諸国の歴史についてだ。

ログリカールとは移民船の名である。この移民船には驚くべき事に五つもの民族が同乗していたのである。

しかも多民族国家から送り出されたのではない。五つの国家が共同出資して一つの移民船を送り出したのだ。

地球時代これらの国家はいわゆる弱小国家だった。一国で移民船を作れない国々は互いに協力する。

移民船ログリカールは五つの星系をめぐり、居住化可能惑星を確認したら一つの民族をそこで下ろして次の星系に旅立った。

それを五回繰り返して最後に残った民族が惑星改造を終えたときには、すでに300年の月日が流れていたという。

ところがこれら五つの星系間の結びつきはその後も細々とだが続いた。

光帆推進船で互いに交易船を送りあい、極めて疎らながら交易をしていたのだ。

アーヴによらず星系同士で繋がっていたのはログリカール諸国だけであり、歴史上初めて現れた星間国家という説もあるほどだ。
                ファーゾス
そうした理由もあって、平面宇宙航法が生み出されてからは結びつきが強まった。

さて歴史を勉強したところで次はそれぞれの地上世界についてみていこう。


ルアーム

ルアーム人たちはかつて地球時代、多くの民族に分かれていた。しかしルアーム諸族を迫害する国が現れてからは次第に一つの民族

としてまとまっていった。

そうした歴史からルアーム人たちは独立心が強い。

ルアームの見所は美しい森である。この惑星の木は恒星の光成分の関係から通常の木とは色合いが違うのだ。

青に煌く木の葉と赤い幹のコントラストは映像では体験できない魅力だ。

またこの森でだけ生息できる希少種の蜘蛛もある。気持ち悪いと思う読者もいるかもしれないが、この蜘蛛が出す糸は銀河で最も

細く最も美しいといわれているのだ。
 ヨース・ルアフ
ルアーム糸の織物は声も出ないほど滑らかな手触りで、控えめな光沢は他の糸では出せないものだ。

ルアームに訪れたときには旅の記念としてぜひ買ってみてはいかがだろうか。

895: 333 :2017/01/28(土) 20:16:42

シャフ

シャフというとまず思い浮かべるのは魚である。

ここの海は惑星改造の際に用いた浄化菌の変異種によって黒っぽい色になっている。

そしてこの変異菌がシャフの豊かな海を支えているのだ。

シャフ料理は辛いが、観光客向けに魚を主体にした辛くない料理もある。
                  ウォキーリュ・シャム
またアーヴの旅行者にとってはシャフ魚醤がお勧めだ。

なぜかアーヴ以外の旅行者には不評なこの調味料だが、変異菌が生み出す自然の贈り物にはなんとも言えない旨みが詰まっている。

アーヴには馴染み深いシャフ魚醤。ラクファカールにも売っているが、シャフで作ったものでなければその味は落ちてしまう。

惑星ごと変異菌の住処という環境でなければ、発酵過程での微妙な味の変化が不完全だからだ。
                         メヴ・シャム
シャフ魚醤をおいしいと思えるのならば、シャフ鍋に挑戦してみよう。

地元の魚を豪快に使った料理はきっとお気に召すだろう。

潮の香り漂う鍋にここにしか生息していない魚を煮込み、アーヴ用に麺までも入れている。

アーヴならば一度は本場で食べたい味だろう。

磯の香りに包まれ、海の幸を味わうならばシャフしかない。

トルージュ

トルージュの魅力はやはり大渓谷だろう。

惑星改造の際特定の岩石だけが溶けてしまったため、途轍もない高低差の断崖絶壁が延々連なる惑星になったのだ。

上からは底が見えず、底からは上が見えない。

雲海の中に転々と浮かぶ岩の大地はここでしか味わえない見ものだ。
   フェス・トルグ
またトルージュ鷲の遊牧もほかでは味わえない体験である。

大気と重力の関係からトルージュ鷲はこの惑星でのみ、人を乗せて飛ぶことができる。

このトルージュ鷲を何百頭も飼って移動生活を送る、空の遊牧民もいるのだ。

トルージュ鷲の乳は濃厚でそのままでもおいしいが、乳酒や乳蘇などに加工するともっとおいしい。

空と渓谷の惑星、トルージュ。ぜひ行ってみてはどうだろうか。

896: 333 :2017/01/28(土) 20:17:59


フォラーニュ

フォラーニュ人は苦難の歴史を歩んできた民族である。
                        ガノース
地球時代第二次世界大戦で国を失い、大和の下自治都市で生活していた。

人類が宇宙に進出してからも祖国には帰れず、ログリカールに乗って移民することで新たな故郷を手に入れようとしたのだ。

またフォラーニュ人はシレジア人の祖先というと、歴史に詳しい読者なら以外に思うかも知れない。

300年前に存在していたシレジア共和国。軍人とその家族だけが全ての権力を握り、さらに自らを不老にするというアーヴでさえ

しなかった事を実行したこの独裁国家は、元はと言えばフォラーニュから移民した数々の惑星の内の一つが元になっているのだ。

歴史のことはさておいて、このフォラーニュは惑星改造に失敗しており惑星上の全てが海に覆われている。

ところがせっかく新たに手に入れた故郷をまた捨てる気にならなかったフォラーニュ人は努力と執念でこの惑星に根を下ろす。
                    ネーシュ・フォラン
そうした努力の結晶が有名なフォラーニュ都市なのだ。

深海底に基盤を打ち込み、そこから海上まで伸ばした水面下の摩天楼。

それが水上に出ているのが水上都市である。

煌く陽光とのどかな風景。磯臭さも少なく爽やかな風と波。その中に浮かぶ白亜の建物達。

これだけでも訪れる価値があるが、深海も見逃せない。

恒星の光に溢れた水上都市の下には人工の光で満たされた海底都市がある。

水族館の中に都市があるかの様な景色は、水上とは違った趣がある。

地上観光ならフォラーニュで決まりだ。


アルーニュ
 アージュ・アルン
アルーニュ模様を自宅に飾っている読者も多いのではないだろうか。

精緻な幾何学模様で構成されたアルーニュ模様はここアルーニュの特産品である。

どこまでも続く砂の海。アルーニュはそういう惑星だ。

しかし、いやだからこそアルーニュの都市は水に溢れている。

本物の水だけでなく、硝子などを使った偽りの水もそうだ。

砂色の砂漠に浮かぶ木々と水の楽園。都市は細かなところまで精緻なアルーニュ模様で溢れており、さながら芸術の都のようだ。

砂の海も、水の海に負けず劣らず魅力で一杯だ。

場所によってはこの砂の海は”泳ぐ”ことができるのである。

一種の特殊流体現象だが、これによって砂の海の上を歩くことも、また泳ぐこともできる。

砂漠の上を歩く動物達の下を泳ぐ魚達。そういう景色が見られるのはアルーニュだけだ。

砂の上と下。緑と青の都市。

アルーニュは編集部のお勧めだ。


さてログリカール諸国特集。いかがだっただろうか。
               フェーク・バルケール フェーク・スュルグゼーデル フェーク・バルグゼーデル  フェーク・スキル  フェーク・ラスィーサル
それぞれの地上世界はバルケー王国、スュルグゼーデ王国、バルグゼーデ王国、スキール王国、ラスィース王国とバラバラだが
          ソード
幸いそれぞれの門から近い。

ラクファカールからお得な旅行計画が出ているので、今度の休みに行ってみよう。

897: 333 :2017/01/28(土) 20:19:20
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最終更新:2017年02月10日 20:49