302: ナハト :2017/01/07(土) 11:33:10

ワイト島に到着して早々、救助要請が入り
私は、弾薬箱を改造した救助箱をウィルマさんとリリィさんと急いで飛行していました。

やがて、水平線の向こう側に黒煙が見え、それに近づくと
メラメラと燃え盛る船にその周りを慌ただしく駆逐艦がグルグルと回っていました。

その船の中でも最も大きい船が、ここに着艦せよと信号が昇っていて
私達はその位置に着艦しました。

「連絡のあった衛生ウィッチですね!!」
「はいっ!患者はどこですか!?」
「コチラです!!急いでください!!」

兵士の案内に従って部屋に入ると
悲惨な光景が繰り広げていた。

ある人は腹から腸をはみ出していたり、ある人は手足のどれかを失ってたり
ある人は頭に包帯を押し付けていた。

「うっ・・・」
診療所や赤城、ネウロイ戦などでそれなりに修羅場を経験した私であったが
これほどの光景に少々吐き気を起こしそうになるが、グッと堪える

「よく来てくれた!トリアージつけてるから、治癒魔法が必要な人を急いでくれ!」
「了解ですっ!宮藤さん急ぎますよ!」
「分かりました!」

私は、まずトリアージを確認し治癒魔法が必要な紫を最優先に治療を開始する
法術士学校で教わった通りに必要最低限の治療で最大の効果が発揮できるように
そして、病院に運びだせるだけの最低限の治療を施し終えたら素早く別の患者に移る

途中で、黒色の患者が無言で目で助けを求めていたが私はごめんなさいと心の中で謝りつつ紫もしくは赤の治療をする
リリィさんも同時多数オペを披露し、ウィルマも包帯巻きなど応急処置レベルを手伝う

やがて、患者が少なくったその時だった。


ウゥーーーーーーーーー!!


警報が突如鳴り出した。
それを聞いた私達は急いで甲板に飛び出すと複数のネウロイが飛行し、ビームを攻撃しようとしていたところだった。

リリィさんが近くにいた兵士に向けて怒鳴る。
「そこの!護衛のウィッチはどうしました?!」
「はっ!燃料切れで十分前に帰投したところです!交代のウィッチは到着まで五分かかるとのことです!」
「なんてこと・・・・宮藤さん!」
「はいっ!」
「戦闘経験は!?」
「経験はあります!ですが、銃は訓練だけです!」
「緊急事態です!私と共に上がってもらいます!」

そういうと、ストライカーユニットを履いて離陸する
なお、武器はワイト島に置いて行ったのでこの場に転がっていた
適当な機関銃を手にとり攻撃開始する

実戦で銃を使った事はないが、ある程度の妨害はできるので
実際にネウロイの攻撃をそらす

リリィさんも初対面のぽやぽやした表情から想像できないほど
真剣な表情で鋭く動き回りながら次々と撃ち落としていく

ようやく、私がまぐれ当たりで1機落とした時には、リリィさんが5機落としてると言ったぐあいだ。
と、目の片隅に赤い光がみえた。反射的に避けたくなった私であるが、船が近くにあることを思い出しシールドで防ぐ

そして、目の前が赤く染まるが、破られる心配はない。後ろの船にも当たる気配はない

ビームの照射が終わると同時に発射した主を見ようと辺りを見回すと
いた。

それは、エイのように平べったい巨大なネウロイだった

「でかい・・・・」

私はお怖気そうになるが、勇気を出して突進する
リリィさんも同じように突進し、攻撃を開始する

さすがに、巨大なネウロイとあって、一筋縄ではいかず
当たり四方に攻撃するも、まったく堪えた様子を見せず逆にビームを乱射してくる

303: ナハト :2017/01/07(土) 11:33:41

「ぐっ」
シールドで上手く防ぐ。しかし、ネウロイは攻撃を緩めずさらに極太ビームにする

このままでは魔法力が切れそうになる
私一人だけならいいが、後ろの船には多くの怪我人がまだいる。
この攻撃を受けたら船はひとたまりもなく沈むだろう

だから・・・・私が・・・・
私が・・・・しっかり守らないと・・・・いけないんだ!!

「うあああああ!!」
シールドをそのままにネウロイに向けて突進する

その勢いを載せたまま、シールドごとネウロイに体当たりかます。
ゴリゴリと嫌な音が響き渡り続ける中、反対側に抜け出す。

そして、機関銃を構え
「いっけえええええええ!!!」
引き金を引く











「あれ?」
カチッ、カチッ。カチッ、カチッ

いくら引き金を引いても弾は出ることはなかった

「こ・・・こんな時に!」
弾切れか故障か不明だが、私はどうでもよかった
目の前のネウロイが再生を終え、ビームを収束し船に向けて発射しようとしていたからだ

「駄目ええええエエエエエエエ!!」

私は手を伸ばし絶叫する他無かった



ヒューッ・・・・・



ドオン!
目の前でネウロイに弾丸が直撃しぐらつくのが見えた

驚いた私が辺りを見回すと
ウィルマさんが船の甲板上からリーネちゃんと同じ銃を
構えていました。

ウィルマさんは、2発、3発、4発と続けざまに撃ち続け
2発目はネウロイをさらにぐらつかせ、3発目はネウロイの装甲にひびを入れ
4発目は装甲を割らせ、コアが露出しました


そして、5発目を発射し、その弾丸は見事コアを貫き
ネウロイをガラスにします


「すごい!さすがリーネちゃんのお姉さん!」


私は、ウィルマさんの所に駆け寄ります
ウィルマさんはニコニコしてます

304: ナハト :2017/01/07(土) 11:34:23

「ウィルマさん!凄かったですよ!あんなに正確に当て続けるのは!」
ウィルマさんはいまだにニコニコし続けて何も話しません

「・・・・・・?ウィルマさん?」
私が心配になって声をかけた瞬間



















―――ゴフッ
口から大量の血を吐きました

「えっ・・・・」
「ウィルマさん!無茶しないようにと言ったのに!!
宮藤さん!手伝ってください!」
「は・・・はいっ!」

私はリリィさんと必死になって治癒魔法をかけ続け
容態が安定したのはこれから数時間の事でした




おまけ


――――某所

拝啓 加東圭子隊長殿。お元気で過ごしてますか?
私は無事ロンドンにたどり着きました?

そして、今・・・・




「・・・・こらあ!待ちなさーい!!」
荷物を子供にひったくりされて追いかけてるところです。

捕まえた子供は戦争孤児で信頼できる孤児院に紹介して事なきを得ましたが
それから四回似たような子供にひったくりにあったという・・・・

305: ナハト :2017/01/07(土) 11:34:54
終わり
ウィルマよ、ごめんよ

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最終更新:2017年02月12日 20:53