718: 影響を受ける人 :2017/01/22(日) 22:30:03
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
―雲仙型重巡洋艦三番艦【田代】:艦橋―
第三打撃艦隊として編成されていた一隻の戦艦、二隻の重巡、そして駆逐艦数隻は第二打撃艦隊に合流すべく急いでいた。
しかし、いかに自分達の庭と言える扶桑海とはいえ、すでに何度も敵が浸透している為に、周りをしっかり見張らねばならない。
現状、馬鹿な司令官のせいで航空支援を望めない状況だ。
既に戦端はきられ、第一打撃艦隊・第二打撃艦隊共々発見されている。
ならばなおのこと急がなければならないのだが、先方から「合流中止」を打電されてしまった。
戦闘中に陣形を組み直すなど、自殺行為しかならないのはわかりきっている為、この指示は正しい。
正しいのはわかるが・・・ 古田高雄の悩みは尽きない。
「やはり、口惜しいな。」
扶桑皇国海軍の最新鋭重巡洋艦。
幼き日より、海上に浮かぶ戦船を目にしてきた。
そして将来はあの大きな船に乗りたいと、ずっと思い続けていた。
その願いは叶い、こうして軍艦の艦長としてこの場に立っている。
「仕方が有りませんよ古田艦長。」
副艦長が後ろから声をかけてきたので振り返る。
「聞こえていたかな?」
「ええ。」
小さく呟いたつもりだったのだが、思ったよりも大きい声になっていたようだ。
しかし、扶桑男児であり。皇国軍軍人であり。国を守る職業に就いた以上、戦闘に加われないというのは・・・
「言われていた魚雷に関してですが、取りあえず信管を抜いておきました。」
「そうか。すまないな。」
「派閥争いのせいで、いらない武装をしていますからね。
水雷長の前で言うのもなんですが。出港前に置いていきたかった。」
「派閥か・・・ 俺には関係のない話だ。」
「ですが、最近はそうも言っていられないと聞きます。」
「堀井大将が大人しくなったと聞くが?」
副艦長は溜息を一つ吐き、帽子をかぶり直す。
「確かに堀井大将はなにかあったのか大人しくなられました。
しかし、下の者達がどうにもキナ臭いとか。」
「そうだな・・・ 今回の作戦拒否のような行動。陛下が許すはずもない。」
「陛下は政治に対しても、軍事に関しても、何も言ってはいませんが?」
「だからと言って関心が無いわけではないだろう?
事実、突入隊として選ばれたウィッチに対し、秘蔵の武具を渡したという。」
「秘蔵の武具・・・ですか。正直信じられません。それで勝てるのでしょうか?」
「それはわからん。しかし、陛下は聡明な御方だ。決して無駄な事はすまい。
・・・人伝に聞いたのだが、九鬼大将が武具の受け渡しの後。胃のあたりを抑えつつも、
「まさに一騎当千となりうる武具だ。」
っと、いっていたらしい。」
「九鬼大将が・・・!?」
副艦長が驚く。もっとも、その後の言葉が有り「しかし・・・もう少し自重して頂きたいものだ。」と愚痴っていたのだが。
すると伝令が駆け寄ってきたのが見えた。
「どうした。」
「はっ! 長門より通信が送られてきました。こちらです。」
そう言って伝令はメモを手渡す。
古田はそのまま視線で読むとにやりと笑い、メモを副艦長に渡す。
そこには第二艦隊の現状が克明に描かれており。同時に作戦内容も書かれていた。
「第二打撃艦隊に“オニグモ”ですか・・・そして・・・」
「悪くないな。」
「ええ。」
古田の視線は前方を向いており、その視界では光信号で『続け』と指示している【陸奥】の艦橋が見える。
「さて、仕事だ。」
719: 影響を受ける人 :2017/01/22(日) 22:30:33
――第一打撃艦隊 上空――
「クソッたれ。何時まで攻勢つづける気だ!?」
天龍空姫が悪態をつきつつも機関銃で“スズメバチ”を追い払う。
すると疲れ気味の須藤つばめが飛んできた。
「隊長。すでに弾薬が残り少ないです。」
「そうだな・・・」
敵の攻勢が思った以上に早く、急いで出撃してきたために誰しも消耗が激しい。
天龍自身も新品だった刀が、何度も叩き付け過ぎたせいでボロボロ、棍棒のような事しかできない。
シールドブレードでも使えれば話は別だろうが、自分にそんな器用な真似は出来ない。
すると、視界の端に援軍が飛行しているのが見えた。
すぐさま向かうと、
「お、陸軍じゃねぇか。」
「申し訳ない。遅れてしまった。」
アナスタシア・ジュガシヴィリ・葛城が率いる狛犬隊と轆轤(ろくろ)隊に、鎌鼬隊だった。
轆轤隊と鎌鼬隊はすぐさま敵に突撃して行く。
同時に天龍隊の面々が牽制弾を放ちつつも交代していく。
「いや、いいタイミングだ。」
「そうか・・・ 状況は?」
問われ、天龍の表情が苦虫を潰したようにある方向を向く。
そこには悠々と大空を泳ぐ“オニグモ”がウィッチ達を蹴散らしていた。
「“オニグモ”の奴。初撃の砲撃喰らってからビビッて近寄ってこねぇ。」
「どういうことだ?」
「最初、そのまま馬鹿正直に突っ込んできたのさ。
そんで【紀伊】以下、狙える三隻で大砲ぶっ放したのは良かった。
着弾位置を大きくずらしていたのも効いたんだろうな。なんとまあ4発も食らって、あわってて艦隊の外側に移動して今は牽制攻撃しかしねぇ。
こっちから攻撃しても、墳進砲の攻撃よりも大砲が怖いのか避けもしなくなった。
おかげで釣る事も出来やしない。」
「厄介だな・・・」
思った以上に厄介な現状に葛城は頭を抱える。
これから交代して、さらに“オニグモ”を誘導しなければならない。
「これはかなり忙しいぞ・・・」
「手伝えればいいんだがな。」
「消耗しているのだろう? 急いで戻った方が良い。」
「すまねぇ。」
詫びとの為に深々と頭を下げ、須藤を連れて後退していく部下の後を追った。
それを見届けると、すぐさま轆轤隊と鎌鼬隊に連絡を入れ、手短に説明する。
「思った以上に状況が悪い。」
『それはまた・・・』
『おお、それは頑張らないとネー』
鎌鼬隊隊長飛龍優花が呆れていると、轆轤隊隊長はむしろやる気を見せる。
「考えとしては・・・『それは私がやるネー』まだ何も言っていないが?」
『自分の能力忘れちゃ駄目ヨー』
轆轤隊の隊長は転生者だ。しかし自分が男性だったのか女性だったのか、まったく覚えていないという珍しいパターンの転生者でもある。
ただ印象的に残っているキャラクターが、髪の色含めて自分に良く似ている為、それを自分の個性として活用している。
そして能力持ちであるのだが・・・
「【害意誘引】・・・だったか?」
『むぅ?』
良く知らない寒衣シキが唸ると、飛龍が説明をする。
轆轤隊隊長の能力は、敵味方無差別に作用する範囲型。
効果は単純。敵意を自分抜向ける。もしくは自分に対する殺意を増加させる。
ある意味、狂戦士化させる能力なのだ。敵味方無差別に。
正直言って葛城は、こんな能力を与えた神様を罵りたいと思っている。
『そうなのヨー。』
『むぅ・・・』
『寒衣。思い悩むのはわかるけど、黙っておきなさい。』
天龍の話から高攻撃力を放っても、戦艦の主砲以下はすべて無視するらしいとわかっている。
だが、この場で能力持ちは彼女だけ。
悩む葛城の耳に、飛龍が賛同の声を上げた。
『それに、ココは強引にでもやらないと不味くない?』
「・・・時間も無い、わかった。だが。」
『はは。回避と防御能力、逃げ足が速いのが私の特徴ですネー!』
陽気に笑う彼女に対し、葛城は歯を食いしばって心中で謝る。
そして部隊全員に作戦とは言えない作戦を伝えた。
730: 影響を受ける人 :2017/01/23(月) 20:26:32
――第一打撃艦隊旗艦:戦艦【紀伊】――
佐宗縄斗【さむね なはと】。しがない新聞記者である。
行動力は同期に比べると非常に高く、面白い記事を書くので部長は目を付けている。
しかしながら彼の執筆速度は御世辞にも早いとは言えない。それでも下から見れば十分早いのではあるが。
そんな彼は現在戦艦に乗り込み、上空の戦闘を写して・・・いない。
「遠すぎる・・・」
一時は近づいてきた巨大な敵は、今は艦隊外周部よりも遠くに陣取っている。
これだけ離れると主砲の命中率は下がってしまう。
それを理解していたので望遠レンズで撮影を試みていたが、やはり遠すぎて見えない。
海上の覇者と言える戦艦に乗り込んだ当初は喜びに震えた。が、戦闘に入ってから生きた心地がしない。
上空から襲い掛かる“ウシアブ”。海水を恐れず低空飛行で突進してくる“スズメバチ”。
駆逐艦や軽巡を執拗に狙う“アホウドリ”。
知っては、いた。ただ、現実を知らなかった。
こんなに恐ろしい物に立ち向かう少女達。それを援護する男達。
詳しく書きたいのに書けない。もっとわかりやすく書きたいのに、まるでページが足りない。
そんな思いが、彼の中を渦巻いている。
「おい。アンタ、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です。そちらは?」
声をかけてきた兵士は、攻撃を受けて潰された砲座の一人だ。
その際、たまたま近くにいた佐宗が救助の助けをしたので、礼を言いに来たのだ。
「さっき、一人な・・・」
「そうですか・・・ えっと、其れでなんでしょうか?」
「ああ、なんでも彼女等が敵を引き付ける作戦を立てたらしいんでな。教えておこうかと。」
「そうなんですか!?」
それを聞いて、すぐさまカメラの調子を確かめる。同時にフィルムも確認した。
その様子を見ていた兵士は苦笑しつつ、新たな配置場所に急ぐために足早に立ち去る。
佐宗がカメラを構え直した時に礼を言おうとしたが、もう兵士はいなかったので後で礼を言おうと心の中でメモをしておく。
カメラを通して視線を“オニグモ”に向けると、一人のウィッチが“オニグモ”の前に出た。
しばらくは追い返すように攻撃をしていたのだが・・・
挑発行為をウィッチがし始めると、段々攻撃を集中し始める。
そして、進路を変えた。
以上です。
遅れてすみません。
最終更新:2017年02月12日 20:59