294: トゥ!ヘァ! :2017/02/06(月) 16:51:12
大陸seed アナザーストーリー その9 雷鳴と荒野

CE71年4月5日

L1宙域に存在する元世界樹コロニーのデブリ地帯。
通称サンダーボルト宙域では二月も経つが一向にザフトの通商破壊部隊と連合の討伐部隊の決着がつかなかった。
理由としてはザフト側は一か所に集まり全滅する愚を犯さないために幾つもの小部隊に分かれていること、そしてその小部隊すらとにかく逃げまくるなどの要因が重なり中々殲滅しきれないところである。

因みに最も戦いが激化しているのが大規模なデブリ帯があるこのL1宙域というだけで、他の宙域にも多かれ少なかれザフトの通商破壊部隊が小惑星やデブリを改造した秘密基地を拠点に活動を活発化させており、連合各国の部隊の手を焼かせている。
4月1日に行われた新ソ連のDSSD要塞崩壊の報は逆転した戦力差から安心していた連合各国に激震を与えており、ザフトからすれば久々の大戦果であった。

このため連合側も大規模な討伐部隊の編成を更に押し進めるようになり、L1に派遣している大洋の討伐部隊のほかに各国それぞれの討伐部隊を編成、主な航路において暴れるザフト通商破壊部隊の討伐を進めている。
ザフト側は艦隊再建や人材育成のための時間稼ぎが主な目的のため上記のL1宙域のように無理な戦闘は避けるようにと通達しているため、戦闘の長期化を招いていた。

このように宇宙における戦いも白熱化してきているが、ザフトは艦隊や部隊の再建、パイロットの育成などを進めるための時間稼ぎと換えに少なくない戦力を消耗するという負のループに陥り始めている。
プラントの上層部もこのことには気づいているが、だからと言って戦力差の逆転した連合と正面からやり合うだけの戦力も揃わず、現状としては複数の小部隊によるゲリラ的な攪乱攻撃くらいしか手がないのも事実であった。

さて、4月10日にはアフリカの空で大洋がアッシマーを投入することになるのは前回でも話されたが、ここからはその先を見ていこう。

4月15日
中東において新ソ連が大型MAグランディーネを投入。
とあるゲリラ基地攻略戦において試験的に投入されたが、本機の特徴ともいえる長距離荷粒子光弾砲は一撃にて立てこもるゲリラごと基地を崩壊させた。
軍はこの戦果に満足し、グランディーネの正式化を決定。順次量産、配備されていくことになる。

4月21日
AEU、BU合同軍ジブラルタル海峡を渡り、モロッコへ進軍。
待ち受けていたザフト、アフリカ共同体軍と戦闘が勃発する。

ザフト・アフリカ側は端から正面衝突する気はなく、(アフリカにとっては)地元という土地勘を活かし、ゲリラ的な攻撃を行い相手を消耗させる作戦に出た。
またアトラス山脈を利用した地下要塞を東西に建造しており、各地に通じる複雑な地下通路からの突発的な奇襲は連合軍を大いに苦しめることとなる。

とは言え連合側もそりゃ立派な山脈があるなら今までの経験則的に要塞くらい築いていると考えており、諜報部の情報からもその手の情報が上がっていたため序盤以降は無理な攻勢には出ず、早期に占領地における秘密通路の発見と殲滅へと舵を切り替えた。
最も予想以上の規模と数で張り巡らされていたため、いささか以上に労力と時間を割くこととなったが。

なおこの戦いにおいてBUは新型MSトラゴスを投入。
リーオーやエアリーズに足りなかった火力という点を補った本機はBU軍にとって頼もしい相棒とされた。

295: トゥ!ヘァ! :2017/02/06(月) 16:51:51
4月27日
マルタ島方面からチュニジアへと別の連合部隊が上陸を開始。
こちらはAEUと新ソ連の連合部隊であった。

戦力差からザフト、アフリカの両軍は水際での防衛を諦め、アルジェリアなどの内陸に引き込む戦闘へシフト。
そのためAEU、新ソ部隊は比較的スムーズに上陸。チュニジア一帯を占領できたものの、アルジェリアの広大な砂漠を舞台としたMS戦はバクゥ相手に未だ機動性で劣るAEUと新ソ連のMS隊が苦戦することとなる。

5月5日
西サハラ、モーリタニア付近の海岸への上陸を目指し大西洋艦隊と上陸部隊が北米から出向。
ザフトの水中艦隊は残り少ない残存戦力を使い攻撃を試みたがその悉くが失敗に終わる。
しかし、ここでむざむざと上陸されてはモロッコの部隊が後背地を取られるため撤退するしかなくなる。
そのため残存戦力はカナリア諸島沖に集結し、アフリカ共同体と協力して上陸阻止のための大規模攻撃を仕掛けることとなる。

5月10日
西サハラ正面のカナリア諸島においてザフトとアフリカ両軍と大西洋艦隊の間に大規模な戦闘が勃発。後にカナリア諸島沖海戦と命名される。
一応数は揃えたが彼我の戦力差を見て端から不利と悟っていたザフトとアフリカ共同体の司令官は空海両面にて先制攻撃を試みる。
しかし、大西洋側もこのことは予想の内であり多数のアクアダガーと試作機である少数オフォビドゥンブルーを艦隊防衛に投入。
空中においてもレイダー、フォビドゥン、ジェットストライカーを装備したストライク。
そして可変航空MSリアルドを投入。

空と海の両方で量も質も凌駕してきた大西洋艦隊に勝てるわけもなく、ザフトとアフリカ共同体の部隊は敗北。
多くの戦力を失いながらも辛うじて西サハラ内陸へと撤退した。
なお、内陸へ撤退する際に持っていけない艦艇や水中MSなどは港へ自沈させるか、爆破処理を行っている。

こうして制海権と制空権を得た大西洋艦隊はこれといった抵抗にあわずに西サハラに上陸。
主力はモーリタニア内陸を通りながらもアルジェリアを目指し進撃を開始した。
この報を受けたザフト・アフリカ両軍のモロッコ防衛部隊は包囲される前にと5月12日にはアルジェリア方面へと撤退を開始。
しかし、それを見逃す連合ではなくBU軍とAEU軍は激しい攻勢を開始。
山岳要塞を爆破し、土砂崩れは起こすは地下通路を爆破し、疑似的な落とし穴にするなどのザフト、アフリカ共同体による激しい抵抗に会いながらもモロッコの地で激戦を繰り広げることとなる。

296: トゥ!ヘァ! :2017/02/06(月) 16:52:34
5月15日
遂に中東における抵抗勢力の掃討を完了した新ソ連軍と東アジア軍がエジプトへと侵攻を開始。
スエズなど重要な拠点のあるエジプトは流石にむざむざ渡せないのかここでもザフト・アフリカ共同体の両軍が激しく反撃を行った。
ザフト側は各地から撤退してきた分に宇宙からの援軍、中東諸国軍の残党、南アメリカ軍の残党、アフリカ方面軍など幾つもの戦力が集中していたため物量で攻めてくる新ソ・東ア連合相手に奮闘。
グランディーネの砲撃に苦戦しながらもバクゥタイプの機動性を前面に押し出した機動防御戦術などにより善戦。
5月21日には紅海、地中海においても残存するザフト・アフリカ両軍の水中、海上戦力と新ソ連と一部の東アジア艦隊が激突。第二次紅海開戦が勃発した。
狭い海域のため至近距離での砲撃戦などが頻繁に行われ、また水中では新ソ連のドーシート隊とザフト、アフリカ共同体の水中MS隊が激戦を繰り広げた。
なおこの際に東アジアが新型の大型MA水蠆(シュウェザァイ)を投入。
この水中用大型MAはミノ粉式融合炉からの大出力を活かし、その見た目からは想像できない速度を水中で発揮し、多くのザフト製水中MSを血祭に挙げた。
結局のところザフトとアフリカ共同体は紅海や地中海における戦闘で制海権を握りきれず、5月の25日までにはスエズ運河は新ソ連・東アジア連合に制圧されることとなる。
それ以降のエジプトでは要衝であるカイロを巡り両軍の激しい戦いが続けられている。

なお、この戦いと少し前のカナリア諸島沖海戦によってザフトの水中、水上戦力はほぼ消滅しており、現地のバルトフェルドからは5月21日に「ザフト海軍は本日をもって消滅したしました」との報告がプラント本国へと届けられている。

そんな中で南アフリカ方面カメルーンでは5月19日にザフトが新型航空機であるファルケンを実戦に投入し始める。
空では大洋のアッシマーと激戦を繰り広げる中で20日、大洋が装甲強化型ジムを投入。
この機体は重装甲重装備ながらもホバーによる地上での高速移動が可能であり、ザフトのバクゥにとって天敵ともいえる存在であった。
同日に起こった装甲強化型ジム部隊とバクゥ部隊の遭遇戦ではバクゥ側が一方的な駆られるというザフトにとっては何度目かわからない悪夢が巻き起こった。
ザフト側からすればどうにか背伸びしまくって空で対抗できるようになったのに次は陸である。
スーダンやチャド方面はどうにか粘り防衛し、戦線を中央アフリカへ押し返したり、押し返されたりしているもののカメルーン方面からの攻撃が激しくなり、一時的であったがナイジェリアまで戦線が後退するということが起きている。

この報告と受けてプラント上層部はこのままでは9月まで地上での持久は不可能と悟り、6月6日にアフリカ方面総司令官であるアンドリュー・バルトフェルドへ残存ザフト軍を宇宙へ撤退させることを通達した。

297: トゥ!ヘァ! :2017/02/06(月) 16:53:11
  • 諸々の設定

  • アフリカの現状
連合の侵攻に備えるため所々でザフトやアフリカ共同体が要塞化している。
しかし、連合側の火力が加速度的に上昇していっている昨今ではどこまで通用するか不透明である。



  • 連合側の現状
今回の話にあるようにアフリカへの攻勢を本格化させている。
東西南北と全方位から時間差的に攻め入っているがザフトやアフリカ共同体の抵抗も激しく思ったよりも進めないでいる。

西側であるBU、大西洋、大洋は順調に新型を送り出している。
同盟国ということで大洋からの技術供与もありBU、大西洋共に東側諸国よりも技術的に二、三歩ほど進んでいる。

対する東側は大洋ブーストがないため一歩遅れがちであり、ビーム兵器小型化の遅れや高性能機の開発が遅いなど差が出ている。
現状では戦線への自国産MS投入を目指しているため高性能機よりも量産機の開発と投入を優先している。
代わりとして慣れ親しんでいるMA開発が進んでおり、グランディーネなどの機体やメビウスの更なる高機動タイプなどが投入されている。

298: トゥ!ヘァ! :2017/02/06(月) 16:53:50
  • 兵器設定

  • トラゴス
BUの開発した陸戦型MS。外見モデルはガンダムWのトラゴス。
リーオーを基に不足しがちであった火力支援機として開発された。
背部に二門のキャノン砲を搭載しており、脚部もキャノン砲の反動を抑えるためにリーオーより大型化し、安定性が増している。
なお背部のキャノン砲はユニット化されておりパージ可能。
砲のない素の状態では中々の運動性を見せるため腕に自信のあるパイロットはキャノンを装備せず格闘戦機として運用している記録がある。

前期型ではビーム兵器の小型化が遅れているためマシンガンやバズーカ、ヒートサーベル、シールドなどであったが、後期型からはビームライフルやビームサーベルが追加されている。
また後にホバーユニットの開発に成功し、これを装備した高機動重装型が登場している。
このユニットもキャノンユニット同様パージ可能である。



  • グランディーネ
新ソ連の開発した大型MA。外見モデルはガンダムXのグランディーネ。
現状ではビーム兵器の小型化の遅れにより、火力面に不安の出ていた新ソ連が火力支援兼拠点攻撃用の兵器として開発した。
MSと比べても倍近い全高を持っているほどの巨大さだが、大型のミノ粉式核融合炉から生み出される出力は凄まじい。
機体中央に備えられている砲口から長距離荷粒子光弾砲が発射可能であり、この武装は生半可な基地ならば一撃で殲滅可能な威力を持っており、中東では幾つものゲリラ基地を一撃で消滅させてきた。
機体を支える四脚にはそれぞれ上部に可動式の電磁砲が搭載されており、近付いてきた敵機を陸空問わずこれで迎撃する。後にこの四門をビーム砲に換装したタイプが登場する。

スエズ攻略戦においても活躍しており、量産された本機はドートレスの派生機であるドートレス・ウェポンと共に火力主義な新ソ連軍を代表する機体の一つとなっている。

299: トゥ!ヘァ! :2017/02/06(月) 16:54:37
  • 水蠆(シュウェザァイ)
東アジアの開発した水中MA。外見モデルはガンダム00の同名機体。
もとネタの機体は湾岸警備目的の機体であったが、こちらでは積極的に外洋にて活動することを視野に入れられている。

大型な見た目に似合わず複数の融合炉を搭載した本機は高い出力を活かし、水中において高い機動性を誇る。

武装は左右のクローアームに胴体に装備された複数の魚雷発射管。原作と違い口部にはメガ粒子砲を装備しているが、収束率の問題で水中での使用ができず、もっぱら対空用の兵装として運用されている。
後に収束率問題を解決し、射程は短いが水中でも使用可能になる。

第二次紅海海戦には10機ほどが投入されザフト製水中MS相手に猛威を振るった。



  • 装甲強化型ジム
少々遅れ気味に登場した大洋の陸戦用MS。外見モデルはガンダムオラ人の装甲強化型ジム。
重装甲重武装ながらもホバー走行を実現しており、その機動性・運動性は極めて高い。
もとネタの機体と違い素体はジムⅡであり、その意味でも性能は高くなっている。
武装はマシンガン、バズーカ、ミサイルランチャー、ビームライフル、ビームサーベル、グレネード、シールドなど。
本機の登場でザフトのバクゥは機動性による優位を完全に失うこととなる。
また本機の登場から各国でもホバーユニット研究が加速し、アフリカ戦の終盤には全ての連合国から似たような機動性を持つ機体が登場する。



  • リアルド
大西洋連邦が開発した可変航空MS。外見モデルはガンダム00のリアルド。
BUのエアリーズ、大洋のアッシマーのように大西洋連邦でも空中で戦闘可能なMSの開発を進めており、本機はその結果である。

変形はしないが、空中戦闘のできるエアリーズ、可変機として空中戦闘可能なアッシマーという二つの回答を先に出されたが大西洋のリアルドはまた別の答えを持っている。
飛行に即した巡航形態へ変形するには母艦か基地においての換装作業が必要であり、出撃前に航空形態かMS形態のどちらかを選ぶ必要があるというユニット式である。
なお巡航形態においては巡航ユニットをパージし、MS形態になることも可能。

MS形態ではジェットストライカーに似たフライトユニットを腰部に装備しており、これで飛行を行う。

武装はリニアライフル、ビームライフル、ビームサーベル、ソニックブレイド(高周波ナイフ)、小型シールド、ディフェンスロッド。

このうちディフェンスロッドなどの実験的な兵装を多数装備しているのが特徴である。
ディフェンスロッドは通常のシールドよりも安定性は低いがビームコーティングされており、入射角によっては通常シールドよりもビームを良く弾きやすくなっている。
また重量においては可変機用の小型シールドよりも軽くなっており、防御力に不安は残りながら重量も嵩むという可変機用の小型シールドの代替えとして期待されている。
ソニックブレイドはアーマーシュナイダーの後継武装であり、高速振動するナイフは下手な装甲は軽く切断される。もしもの時の予備装備だが使い勝手のいい一品。

素体が良い機体のためか陸戦仕様やホバーユニット仕様なども開発されたが、陸戦機としてはダガータイプの系譜に敵わず、少数の生産のみ出会わっている。

300: トゥ!ヘァ! :2017/02/06(月) 16:55:47
  • フォビドゥンブルー
大西洋連邦の開発した水陸両用MS。もとネタはガンダムシードの同名機体。
大方は原作と同じ機体であるが最大の変更点は動力炉がミノ粉式核融合炉になっている点である。
これにより、原作で不安視されていたエネルギー切れからのPSダウンとゲシュマイディッヒ・パンツァー停止による水中での圧壊というのに理論上無縁となっている。

武装も原作と同じであるが、水中で先端がビームを纏うことに成功したビームスピアが追加されている。

原作では試作機ということで四機しか生産されていなかったが、こちらではアズラエル(in天城)の一声で増産されており、カナリア諸島沖海戦では合計12機のブルーが戦闘に投入された。



  • フォビドゥン、レイダー、カラミティ
大西洋連邦の開発した後期Gシリーズ。本編には登場していないがカラミティもしっかりと開発、投入されている。
こちらもブルーと同じく最大の変更点は動力炉が核融合炉に代わっていること。
そのためPSダウンや武装の連発によるエネルギー切れを心配せずに戦える。
また出力が原作よりも上がっているため結果的に各種エネルギー兵器の類は威力が上がっている。

フォビドゥンの装備しているゲシュマイディッヒ・パンツァーは原作と違いミノフスキー粒子に合わせた特異な形質の磁場によりミノ粉式ビームにおいても出力次第で曲げられる装備となっている。
しかし、高出力過ぎるビームは曲げきれず精々幾らか散らす程度にしか効果が発揮できないため注意が必要である。
そのため自機のビームを曲げる際にも意図的に幾らか出力を抑える必要があり、攻撃に使用する際は曲がるビームよりも直線に撃つビームの方が威力が上となる。

301: トゥ!ヘァ! :2017/02/06(月) 16:59:44
投下終了

こちらのフォビドゥンはミノ粉でもしっかり曲がる。
ただライフルとかスナイパーは曲げられるけどドーベンのメガランチャーとかZのハイパービームランチャーまで威力が上がると曲げられない。
普通に押し切られる……な感じ。百式の当たらない奴やネェルアーガマのハイパーメガ粒子砲でも同じ。

東アジアの水中MAは大洋に見られたくないからと一々シベ鉄でパーツ事運んで制圧済みの中東のどっかで組み立てた代物。

ザフトが宇宙に帰ってこいと言いだしたのは大洋が押し込んでいる南ア戦線がいい加減チャド湖マスドラに近づいてきているのでこれ以上先伸ばすと地上軍が帰ってこれなくなるからという危惧から。
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最終更新:2023年11月05日 15:51