334: ① :2013/08/04(日) 22:21:56
征途世界のDDRがパッとしないので、少し弩派手なアクションを起こさせてみる
ちょっと屈折した藤堂兄さんのドイツ版
「ポーランドのほうが騒がしいようだね」
「同志ホーネッカー、レーフ・ワレーサは労働者の待遇改善にデモとストライキを行っております」
シュタージ長官、マルクス・ヴォルフ少将が怜悧な視線で説明する。
「共産主義国家では労働者の待遇は最高のもののはずだ、それがポーランドではうまくいっていないと?」
「所詮、ポーランド人です。彼らは共産主義というものがわかっていません」
「それでポーランドはどう対処すると?」
「戒厳令を引きワレーサを逮捕すると、ソ連の介入を恐れているのでしょう」
「ふむ…ヴォルフ少将、それは最善の策と思うかね?」
「国際的批難は浴びるでしょうが、ソ連の介入を防ぐには…」
「いや、そういうことではない。ポーランド戒厳令後、経済的に停滞するのは明白ではないのかね?」
「そういうことは私は専門ではありませんが…そのような事態になるのは明白かと」
ヴォルフは少し顔をしかめながら言う。
(あなたがベルリンの壁を築いた時のように…)
ホーネッカーは修正された社会主義を訴えて国家資本の再整備を訴えたウルブリヒトを粛清し、ベルリンの壁まで作って共産主義のDDRを守ってきた男、いわばソ連の手先となっている男だ。
「私が壁を築いた時と同じだな、しかし、DDRには「兄弟」がいて何とかなっている、ポーランドにはそんな兄弟はいない、ちがうかね」
「その通りですが…」
ヴォルフは腹の中を見透かされたようなホーネッカーの物言いに背筋が寒くなる。
(しかし、何を考えている?この老人は?)
この期に及んでポーランドの情勢に関心を持つのか、シュタージ「A」総局長兼国家保安省次官ヴォルフ少将にはその真意が諮りかねていた。
しかし、次のホーネッカーの言葉にヴォルフは信じられなかった。
「ダンツィヒをもうポーランド人に任せてはいけない時期が来たということだ。ヴォルフ少将、命令を伝える。
シュタージは国家人民軍と共同し、西プロイセン及びシュレージェンに進駐の準備を行いたまえ」
「ど、同志!そんなことをしては…」
「大丈夫だ、ブレジネフの許可は得てある。西プロイセン及びシュレージェン地方の経済再建を我々DDRが行うことでな」
「しかし、DDRの国際的評価が…」
「さっきも言っただろう、我々には兄弟がいる。どんなに国際的孤立を深めても、我々が奴らの代わりに「失われた土地」を取り戻すのだ。
兄弟は我々を見捨てない」
「そういうことなら…」
「行け、機会を逃すとあの土地は我々の手元に戻らない」
ヴォルフ少将は敬礼を掲げるとすばやく部屋を立ち去った。
エーリッヒ・ホーネッカーは部屋に一人になると、胸元からロケットを取り出す。
「マリア…そしてパウル、ゴッドハルト…ようやく故郷に帰れるよ…」
ベルリン戦で死んだ妻の遺影を見ながらホーネッカーは呟いた
独ソ戦のさなか、共産主義者エーリッヒ・ホーネッカーと入れ替わり、スパイとして共産主義者たちの中に入り込んだ。
祖国は滅び分断されたが、彼は滅びた祖国からの最後の司令を忠実に守り機会をうかがっていたのだ。
祖国からの最後の指令、それは「祖国を再統一せよ」
そのために屈辱も忘れ、ひたすらアカどもの尻の穴まで舐めてきたのだ。
「ドイツは甦る、何度でもな…」
エーリッヒ・ホーネッカーこと、ナチス親衛隊隊員、アーダルベルト・フォン・ギースラー親衛隊大佐はその視線を窓の外に向けた。
その視線の先にはポーランド、いや時間をさかのぼる郷愁の視線であった。幼い頃の妻と自分と兄弟との思い出の地に。
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最終更新:2017年02月20日 10:17