326: earth :2016/12/27(火) 23:29:39
異世界(ファンタジー世界)から侵略者が現れ、更に外宇宙から人類に敵対的な生命体が襲来し、最後に銀河帝国宇宙軍を自称する武装集団(女戦士(?)と宇宙艦隊)が出現したことで世界は大混乱に陥った。
最初の銀座事件だけで事が済んだのなら、事態は収束できたのだが、敵対的な巨大生命体が世界各地に襲来して各国の軍隊を蹴散らし、世界各地に甚大な被害を与えていた状況で、その巨大生命体を一蹴する力を持つ異星人(?)の集団が出現したのだ。
これで混乱しない訳がない。
「地球外生命体? SFの読み過ぎだ」と言うような人間でさえ、地上からでも容易に観測できる全長70キロの巨大宇宙船の存在を見せつけられれば黙らざるを得ない。
尤も地球外知的生命体の存在を確認したからと言って、冷静沈着に対応できる訳ではない。
人類は人知を超える化け物、核兵器さえ通用しなかった怪物に突如として襲われ、多大な被害を被っている。そんな化け物を少人数で容易に駆逐できる勢力が現れたのだから、各国の政府、軍上層部が脅威を覚えるのも当然だった。
「彼らは何を望んで、地球に訪れたのだ?」
自分たちでは手も足も出せない化け物を駆逐してくれたことに誰もが大なり小なり感謝している。
しかしその化け物を容易に駆逐できる者たちが何を言い出すのか、何を望んでいるのか……それが判らないのだ。
戦火を免れた一般市民も、次に何か起きた際には矢面に立たされる軍人たちも地球近傍に現れた異星人(?)の艦隊の動向を固唾をのんで見守っている。
「どうなるだ?」
各地から動員された部隊と共に救助活動と警備を行っている自衛隊の隊員たちも不安な顔で空を見上げる。
核兵器をものともしない化け物を数名で駆逐できる兵士がいる武装集団、それが何千隻も宇宙船で乗り付けているのだ。戦いになればどんな目に遇うかは想像に難くない。
休憩中の自衛官たちの会話も異星人と怪物の話題がメインであり、銀座に現れた武装集団についてはあまり触れられなかった。
「ハリウッド映画みたいに米軍の秘密兵器はないのか?」
「あったらとっくにでているさ。化け物の攻撃を受けたニューヨークは壊滅。迎撃に向かった空軍と海軍はほぼ全滅。米海軍第5艦隊も中東に出現した化け物との戦いで全滅したって話じゃないか」
「ロシアは化け物に核攻撃を仕掛けても倒せなかった。通常兵器では何をしても駄目だろう」
「大陸の方は暴動が多発しているそうだ。在留邦人にもかなりの犠牲者が出ているらしい」
「東京がこの有様で、世界経済も半ばマヒ状態。弟が務める会社もヤバいらしい」
得られる情報はどれもネガティブなものばかり。救助活動では多数の死体(多くが原形をとどめていない)を運び出す日々。
悲観的にならない人間が現れない方がおかしい話であった。
327: earth :2016/12/27(火) 23:30:16
そんな中、ある意味、平然としている男もいた。
そう、伊丹耀司三等陸尉。
皇居の避難民と別れた後、原隊に復帰したこの男は浮足立つ一部の同僚たちを他所に、必要な仕事をこなしていた。
報告書を書き終えるとスマホを復旧したネットにつなげる。
表示されたサイトにはこの災厄に対する感想、そして突如として現れた外宇宙からの訪問者に対する期待と不安が入り混じる書き込みがされていた。フィクション上の存在でしかなかったモノが次々に現実のものとして姿を現したという事実は人々に大きな衝撃を与えていたのだ。
「なるようにしかならない、としか言えないな……相手は銀河帝国だからな。しかし銀河帝国か。まぁあんな怪獣やサイヤ人みたいな女戦士がいるんだから、銀河帝国があってもおかしくないか。俺たちにできるのは侵略者ではないことを祈ること位だが」
生き残ったマスコミは連日、政府や自衛隊に問い合わせを行い情報の開示を求めている。
しかし問い合わせを受ける方が「俺たちの方が知りたい」という状況であった。民心を安定させるため友好的に会談が開かれるという情報は開示したが、それ以上の情報は出しようがない。
気の早い人間の中には人知を超越した怪物や銀河帝国に対抗するために人類が団結するべきだと主張する者もいれば、銀河帝国と話し合いをしてその力を取り入れることで自国の発展につなげるべきと主張する者もいる。
身内や親しい者を失った者の中には「何故もっと早く現れてくれなかったんだ?」と嘆く者もいる。
化け物と女戦士の映像を見た研究者の中には「世界各地の神話は異星人と化け物の戦いが元ネタである」と主張する人間もいる。
方向性はそれぞれ違えと、人類は宇宙からの来訪者に関心を向けていた。
「ネットだと、銀河帝国軍を名乗った女戦士のコスチュームや姿が、昔のアニメの
登場人物そっくりって話題になっていたな。
小さな化け物も結構似ていたような気がするし……実はアニメのキャラや化け物は実在していた、なんて……」
日本ではこの伊丹のような感想を持つ人間も少なくなかった。
政府の一部の人間も、その類似性に気づいたが、だからといって「アニメのキャラや化け物が実在した」というぶっ飛んだ結論にたどり着くことはなかった。
「偶然だろう」
常識人を自認する人々はその時点でそう判断した。
後に浅慮と批判する者もいたが、この大惨事の後始末や銀河帝国特使との会談の準備に時間を割かなければならない以上、答えが出るかわからない化け物や女戦士の正体についての検証を後回しにするのは当然のことだった。
かくして地球規模の惨事の後始末に人類が苦しむ中、歴史的会談が沖縄で開かれることになる。
328: earth :2016/12/27(火) 23:32:50
あとがき
とりあえず事件後の地球の光景でした。
GATEネタだと大抵、地球側無双ですが、この話だと無双される話に……。
異世界どころじゃないですね(笑)。
伊丹には努力と根性でスーパーロボットに乗ってもらうか(爆)。
最終更新:2017年02月20日 12:06