372: earth :2017/01/14(土) 00:24:27
4億もの宇宙怪獣を短期間に掃討したためか、銀河帝国が知る範囲において宇宙怪獣の活動は鈍くなった。
三賢者はこれに安堵しつつ、宇宙怪獣との戦いに必要な軍事力整備と勢力圏の安定に力を入れた。
まずソノウソホントの改良型ともいうべき因果律改変装置を用いて銀河系の要衝、及びその周辺宙域において銀河帝国政府から認可されていない宇宙船のワープを不可能にした。
反銀河帝国勢力は口汚くこの行為を批判したものの、銀河帝国政府は気にも留めなかった。
「文句があるなら掛かってこい」
銀河帝国政府は態度でそう示した。
しかし今の銀河帝国政府に真っ向から歯向かう存在などなく、旧ボラー連邦構成国家の大半は銀河帝国の政策に唯々諾々と従うしか道はなかった。
三賢者が知る《復活編》で出てきた国々も変わらない。
居住惑星の自衛力こそ高めることはできるが、恒星系外に遠征する力は奪われたも同然だった。また反銀河帝国勢力の集結もこの政策によってほぼ不可能となった。辺境に拠点を築いた反銀河帝国組織は中央にいる賛同者、支援者との連携をほぼ絶たれ、各個撃破される存在になり下がったのだ。
「銀河帝国は1000年続くかも知れない」
反銀河帝国派にすらそう思わせる程の圧倒的な科学力と軍事力で銀河を支配する超大国……それが今の銀河帝国だった。
このため反銀河帝国派の中には銀河を棄てて別銀河に逃れて再起を図る動きが現れた。
しかしそれを見過ごすような銀河帝国ではない。
ブローネの肝いりで建造されたヤマト(18代目YAMATO相当)を含む討伐部隊が彼らに襲い掛かったのだ。
「銀河帝国皇帝が自ら手掛けた戦艦、あれこそ銀河帝国の象徴とも言える船なのだ! ここで何としても落とせ!!」
ガルマン人の抵抗組織の有力者だったガイデルはガルマン人やガミラス帝国残党と組んで抵抗したものの、ヤマトの前では全く歯が立たなかった。
全長400mの戦艦(エンタープライズ級と比較すれば小型)が、まるで巡洋艦、いやそれ以上の機動性を発揮して、ガルマン・ガミラス連合軍の攻撃を回避していく。ガイデルは力押しだけでなく、デブリや小惑星帯に伏兵を配置し奇襲も仕掛けようとしたが、どれもが失敗、或いは空振りに終わった。
そしてヤマトは従来のショックカノンを遥かに超えるプラズマショックカノンでガルマン・ガミラス連合軍の艦艇の装甲をまるで段ボールのように引き裂き、宇宙の塵に変えていった。
決戦を仕掛けるべく集結していた連合軍の有力艦隊の一つはツインノヴァ波動砲によって根拠地ごと消滅させられた。
そこには地球人の支配を嫌って逃れてきたガルマン人のコロニー、大マゼラン星雲から逃れてきた旧ガミラス帝国臣民が乗る移民船も存在したのだが、ガルマン・ガミラス連合軍自体を反乱軍ではなく武装組織の一種と判断している銀河帝国はテロリストの仲間として吹き飛ばした。
「いいガミラス人は死んだガミラス人だけだ」
エンタープライズ級戦艦・ネメシスⅡで指揮を執る銀河帝国軍討伐艦隊司令官はそう嘯いだ。
373: earth :2017/01/14(土) 00:24:59
彼は63歳という銀河帝国宇宙軍では比較的高齢の軍人であり、ガミラス、ガトランティス、デザリアム、ボラーとの戦いを経験して生き残った叩き上げのベテラン軍人だった。
そしてそれゆえに多くの同僚と民間人を目の前で失った。
その彼にとって異星人とは一部の例外を除いて地球人類に不幸をもたらす存在でしかなく、抑え込むか駆除の対象でしかない。
故に地球防衛軍が解体され地球帝国軍が編成された際、新設される地球帝国軍に志願し、銀河帝国軍になった今も戦い続けているのだ。
「連中が昔、何をしたか……我れるものか。あの人の形をした悪魔どもめ」
ガトランティス戦役でヤマトが沈まなかった世界(ヤマト2)のヤマトクルーなら眉を顰めそうだが、ネメシスⅡの艦橋にいた将兵は司令官の言葉に賛同した。
別の時間軸であったようにガミラスとの和解がない以上、地球人類にとってガミラス人は地球人類の大半を殺し、地球を滅亡寸前に追い込んだ不倶戴天の敵でしかないのだ。そしてガミラス人に近い存在であり、銀河帝国に歯向かう以上、ガルマン人も駆除すべき敵でしかない。
故に彼らの攻撃には実に容赦がなかった。
「連中を一人でも逃がせば、地球にいる我らの同胞の血で贖うことになと思え!」
討伐艦隊は脱出しようとする宇宙船を探し出し、非武装だろうが、民間人が乗っていようが容赦なく沈めた。
シャルバート信者の中には、自爆攻撃を仕掛けてくる者もいるため、銀河帝国軍は武装組織の根拠地から逃げ出した船舶はすべて敵として破壊の対象だった。
圧倒的な戦力、容赦のない方針、そして山田博士とライガーが持ち込んだヤマト世界以外の技術(特にドラえもん世界関連)などによって情報がほぼ筒抜けとなっている抵抗勢力に勝ち目などなかったのだ。
「何故だ、なぜ、ここまで負ける?!」
連合軍司令部で何とか生きて戻ることができたガイデルはそう吼えたが、現実は変わらない。
もはや降伏するしか道はないのでは……そう誰もが思ったものの、銀河帝国はそれを許さなかった。
「銀河帝国軍艦隊が出現しました! こちらに一直線に向かってきます!!」
「馬鹿な、どうしてここが?」
銀河系の辺境惑星、それも入念にカモフラージュして地下深くに建設した基地をあっさり発見されたことにガイデルは狼狽する。
一方、帝国軍は猛攻を加え、瞬く間にガルマン・ガミラス連合軍最後の艦隊を排除していった。
燃え盛る自軍の艦隊を見せつけられた人々はついに降伏を決意するが……それを伝えることはなかった。そのとき、すでに彼らのいる惑星に向けてあるものが放たれていた。
それは改良されたジオイド弾。
通常のミサイルに紛れ込ませる形で撃たれたソレは、降伏しようとガイデルが回線を開いた瞬間、その惑星に着し……星を砕いた。
「な、なにが起きている?」
それがガルマン・ガミラス連合軍を指揮した男の最後の言葉だった。
374: earth :2017/01/14(土) 00:25:55
あとがき
ガルマン・ガミラス連合軍終了のお知らせ。
旧作ではデスラーとの和解がないとガミラスは不倶戴天の敵ですから……。
最終更新:2017年02月20日 12:33