374: ナイ神父Mk-2 :2017/02/27(月) 00:01:04
大陸SEED その26

大洋の戦後と次の戦争の為に

後にプラント独立戦争と称される戦争はプラントの独立が果されぬ侭、連合の勝利を持って終結する事に成った。しかし、プラントの暴挙とも言えるレベルの人員動員によってプラント国民とも言うべきコーディネイターは激減してしまい、再稼動は暫く不可能だと言う見通しが専門家の予測によって立てられていた。流石に此処まで欠員が出てしまっている事は理事国も予想外でありプラントの依存度が軽微で有った大洋以外は頭を抱える事となる。そこで、理事国各国は中立国であるスカンジナビア王国にて首相級の会談を行い結果として以下の条件が決定する

  • 地球圏内に置ける各国の固有宙域の決定
  • 生産施設群としてのプラントは解体、残るコロニーは各理事国が自国宙域まで運び込んだ上で処遇を検討する。
  • プラント在住のコーディネイターは基本的に所属していた国に帰属するが、家族構成上二つの国籍を有する事に成る人間や本人に希望が有る場合等によって他国へと移民する事も可能とする。
  • 戦時中に置ける親プラント国家に対しては各国の事情に合わせた武装制限を行い、その上で連合軍が一定数駐留するが例外として内戦状態に陥って居る北アフリカのみは連合軍が中心となり治安維持活動に従事。治安回復後に親プラント国と同じ扱いとする。
  • 以降のコーディネイターの宇宙も含めた製造の禁止

この決定によって今まで曖昧であった地球圏内のLPの領有権が確定、更に後の憂いを断つとして治療等の特定の条件に当てはまる物以外民間でのコーディネイターの製造は厳しく規制され、以降コーディネイターは徐々に数を減らし姿を消していく事となる。こうして各国が戦後処理に追われている頃、それどころでは無くなって居るのが大洋、正確に言えばその裏で動く夢幻会であった。現在首相に任命されている神埼は専用に設けられた通信設備で現在ムンゾに居る村雨研の所長と話している途中であり、近くには予算の見積もりを持ってきて居た辻本の姿も有る。

「・・・木星でのGNドライブ研究が成功したと?」

沈黙の中神埼が意を決して口を開くと、持ち込まれたモニター画面に映った村雨研究所の所長も緊張した面持ちで話し始める。

『はい、宇宙空間内で発見された位相欠陥を粒子加速器で木星に打ち込む実験の結果、ガンダムOO作中で発見されたGN粒子と同じ性質を有する粒子が発生。恐らくは同じ性質を有しているかと・・・』

「解ったそのGN粒子については此方でも扱いを協議して置く、木星研究所はその侭擬似太陽炉の研究とドライブのMSへの応用を研究してくれ」

『宜しいのですか?』

「構わない、もし本当にそれがGN粒子で有るなら少し不味い事態も考えなきゃ成らなくなる。」

『解りました。こちらで研究を続けておきます。』

そう言って村雨研の所長が通信を切ると神埼は手元に有った水を飲むと一息付いた。そのタイミングを見て辻本は口を開く

「不味い事に成りましたね・・・」

「ああ、GNドライブが実在すると成ると其れに平行してELS実在の可能性がグッと高まった事になる。」

「しかし、確実にELSが居るという可能性も低いのでは?居るにしても放浪状態に成っているとも限りませんが」

そう辻本が神埼に対して可能性が低い事を神埼に伝えるも、神埼の顔色は優れない。

「さっき情報の前に別の部署から連絡が有ったがNTの其れとは又別の、量子に影響を与える脳波が発見された。恐らく脳量子波で間違いは無い。それに、この問題も有る」

そう言って神埼は手元に有った写真をテーブルに置いた。写真には年若い男女が写っている。

「此れはひょっとして・・・」

「ああ、OOの主人公達だ名前や出身地域も一致している。恐らくこの世界での同位体で間違いないだろう。OOの根幹に関わる人物が此れだけ居てELSだけが都合よく居ないと言うのも考え辛いだろ?」

「・・・リボンズ・アルマークを初めとしたイノベイドは居ない、と言うのはこの場合慰めに・・・成りませんよね。」

375: ナイ神父Mk-2 :2017/02/27(月) 00:01:49
「そっちは居なくとも創始者のイオリアが居た記録は有る。楽観はしていなかったがこうなった以上はな・・・」

「此れだけ条件が揃っていてELSだけがいないと言うのも不自然、というわけですか。他には何を研究していましたっけ?」

そう言って神埼は目頭を解ぐし目の霞を取ろうとしているが、普段の激務で溜まった疲労は中々取れない様で引き出しから取り出した目薬を滴下すると目を瞑って再び話し始める。

「形状記憶機能を持ったナノマシンの開発、重力制御機構の開発、生体エネルギーの研究、そして一番重要度は低いがオカルトもだな・・・特に同位体の発見されている重力制御機構テスラドライブの研究はGN粒子に次いで力を入れていた筈だ。」

「主人公が居れば敵もいる。その抵抗手段も然りと言うわけですね・・・」

「そうだな、現状は其れに縋るしかないって所だ。杞憂であれば良いがバルマーも黒歴史関連もELSも対策が遅れればその時点で大洋延いては地球も終わりだ。しかも、他国からすれば信憑性の薄い絵空事だ。しかし・・・放って置くには余りに危険すぎる」

「だから兵器の研究も軍拡も終われない。解っては居ますが教育の発展に繋げれば一体幾らの予算を当てられた事か・・・」

そう言って何時ものペースに戻る辻本を見て神埼は思わず苦笑する。

「お前は全く変わらないな」

「そう言われても何回転生しても私は私ですよ。本質はそう変わりませんよ」

「それもそうか、GNドライブに関しては会合でも話して置こう。全く戦争は終わったのに又戦争の準備か・・・しかも今度は相手がアメリカや枢軸以上の勢力の大陸に成ってから大分楽に成ったんだがなあ・・・」

神埼はそう言うと通信の途中で中断していた書類仕事を再開し、辻本も退室した。その後夢幻会の会合で正式にGN粒子の存在の確定とELS出現の可能性を聞いて原作のファンの喜びの声や1万対1と言う悪夢の戦力差を考える必要が出てくる事となり多数の軍事関係の転生者達が頭を抱えてのたうちまわる事に成るが些細な事である。
そして、神埼が連絡を受けているのと同時刻、成田空港へと着陸したアスハ家専用のプライベートジェットから護衛に守られて降りてきたのはアスハ家の当主となったカガリで有る。下には護衛の為だろうか軍服を着た女性兵士と数機のアッシマーが待機している。

「此処が大洋の・・・」

「カガリ・ユラ・アスハ様ですね?お待ちしていました。」

「護衛か・・・」

「はい、此れより我々が首相官邸までご案内致します。」

(オーブが逆らわない様に監視も含めて、か・・・お父様、私は如何すれば・・・)

今は亡きウズミの事やオーブの行く末を考えながら用意されていた車へと搭乗、護衛の為のアッシマー達も其々スラスターを噴かせて飛び上がった。その後、カガリは大洋政府の指定の全寮制の学園へと入れられ政治や儀礼等を含めた教育を受ける事になり、その間のオーブ政府の運営はサハク家やセイランを初めとした氏族達によって運営され、その間にアスハ一強の体制から脱却を図る事に成るが、表看板であり国家の象徴的な存在であったアスハの影響は強く最終的には有る程度の勢力を作る事に成功するも其れでもアスハ派とでも言うべき存在たちは大勢残る事となり軍内部や政府、国民等に広く残存する事と成る。

此れは、教育が終わりオーブへとカガリが帰還した事によって変わるかと思われたが、カガリがセイランやサハクへと協力する姿勢を見せた事からアスハ派内でも更に分裂する。カガリの協調や改革へと賛同するカガリ派と、ウズミ代表の道こそオーブの理念であり唯一オーブを成り立たせると言う主張を行うウズミ派に別れ内部闘争が行われる事と成る。

376: ナイ神父Mk-2 :2017/02/27(月) 00:02:23
大西洋の憂鬱と東アジアの再興

大西洋連邦のアズラエルの執務室にはマリアクラウスが訪れていた。部屋の中では憂鬱な表情をしながらアズラエルがソファーへと座って居る。

「まさか、此処までプラントが考え無しに消耗しているとは予想外でしたよ・・・」

「アレだけ過激派が煽れば仕方が無いのでは?特に東アジアが核を使用した事が決定的だったのでは?」

「其れは解りますが、生憎東アジアはジブリール君の影響下です。はっきり言って私の力では無理ですよ」

「ロゴスの上位に居る貴方でも無理だと?」

「そのロゴスだから何でも出来るってのはやめて欲しいんですがね・・・」

その言葉にクラウスは驚いた様に表情を作るが、その様子を見てアズラエルは更に頭を抱える。

「あのですね・・・ロゴスは其処まで出鱈目な秘密組織でもなければ、世界征服を狙う悪の秘密結社でも無いんですよ?何時でも好きな時に好きな事ができる訳が有りません。唯でさえ、今回の事で他のメンバーに協力してもらったりする事が多かったのに・・・」

アズラエルはそう言いながらブツブツと文句を垂れ流し始めた。流石にクラウスも悪いと考えたのかアズラエルへと謝罪した事で何とか事なきを得ることになる。

「解ってくれれば良いのですがね・・・所でプラント国民の社会復帰の支援でしたか?」

「ええ、年齢問わず戦争に参加した元ザフト兵の中には大きな心理的障害を受けた人間も多く居ます。プラントの再稼動に当たり少しでも運用経験を持つ人間は貴方も必要なのでは?」

「個人的には余り気は進まないのですが・・・まあ、クラウス議員にはジブリール君の台頭を抑えることに協力してもらった借りが在りますからね。其れ位ならば受けますよ。此方としてもプラントを再稼動させなければいい加減辛い所も在りますからね。此方の兵士のメンタルケアも含めて他のロゴスメンバーに報告しておきます。」

「お願いします。」

この後大西洋では少年兵を中心に元ザフト兵へのメンタルケアを行う法案が通される事となり、物議を醸し出す事に成るが、プラントの悲惨な消耗状態や同時に大西洋所属の兵士達や被災者に対する支援を強化する法案も通された事によってこの法案も賛否両論では有るものの可決される事になる。

377: ナイ神父Mk-2 :2017/02/27(月) 00:02:58

又、余談で有るが今回の戦争で大洋との技術差が明らかに成った事は大西洋連邦軍上層部に大きな衝撃を齎し、軍事力拡大に力を入れる事となり、その過程で特機タイプのMSや大型の兵器開発が活発化していく事に成るが、その中でも特に
全長2400m近くになる多脚の機動要塞型MAや超大型の水陸両用兵器の開発プラン等が次々提出される事に、アズラエルの頭を更に悩ませる事に成るが此れは別の話である。

そして、大西洋が体制を整えているのと同様に東アジアでも又、ジブリールや現与党が中心と成って国内の建て直しや統制に追われており、ジブリール邸の地下の通信室ではジブリールに協力している軍高官の姿が写し出されていた。

「国内の反コーディネイター組織の此方への協力状況はどうなっている。此方の指示には従うのか?」

「現在の所は半々と言った所です。時勢を読めるような勢力や今回のコーディネイターの新造禁止によって満足しこちらに従う人間も多く出ていますが、何分元が過激派の集まりなので組織統制が・・・」

「聞くものだけで構わん。無理に此方の指示に従わない者を従えて暴発されても困るからな。あくまで此方の指示を尊守出来る組織のみを取捨選択しろ。」

「しかし、それでは反発が強まるのでは?」

「最悪、従わないでいつまでも戦時中気分で暴れている間抜け共は軍にリークして構わん。唯でさえ、今回は国内の意見が分裂したせいで此処まで此方が不利に成ったのだ。其れくらいやらねばそうした奴等は理解せん。」

「了解致しました。しかし、今回の戦いでは重慶の連中の好き勝手のせいで酷い目に遭いましたな・・・」

「煽った手前否定はせんよ・・・だが、あの宇宙の化け者共を排除する為にはそれだけの事が必要だったのだ」

「青き清浄なる世界の為にですな・・・」

「今回の事で溜飲が下がった者が多い以上、これ以上無茶な手を使う訳には行かない。此方でもシアが満州の連中との交渉を行っている。お前は引き続き軍内部の統制を続けろ。良いな。」

「はっ!」

軍人らしい気合の入った返事を最後に通信は途切れ、ジブリールは静かに手に持ったウィスキーを口に含むとグラスを置き部屋を出て行く。その後、東アジア内では相次ぐ反コーディネイターテロ組織の検挙や議会野党のスキャンダルが発覚して多数の逮捕者を出すなど粛清が続いていく事と成る。又軍事面では緊急量産であったグウやカイエからの本格的な脱却の為のMS研究やMA開発も進められると共に奪還したボアスと生き残った艦隊人員を利用して宇宙軍再建や本格的な宇宙開発計画も再開さえていく事となる。

378: ナイ神父Mk-2 :2017/02/27(月) 00:07:16
以上ですWIKIへの転載は自由です。取り合えずユーラシアとスカンジナビアに関してはまだ変動する設定が多く成る可能性も有るので今回は描写せずに終わりたいと思います。
次回からは原作とのゲートネタをいければ良いかなあと言う感じでしょうか・・

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最終更新:2017年03月01日 21:09