676: ナイ神父Mk-2 :2017/03/01(水) 00:06:11
大陸SEED ゲート編

接触と遭遇

CE73年、プラント独立戦争終結後、各国では宇宙開発が再び過熱。国力の有る理事国に続いてスカンジナビアと南アフリカが宇宙開発事業に参入を始め、複数のLPにてコロニー開発が進んでいく。そんな中、戦時状態から通常業務へと戻った神埼へ奇妙な報告が齎される。

「L1の作業協力に出ていたブッホコンツェルン社員がジャンク屋に襲われた?」

「はい、スカンジナビアの調書ではダガー系の機体で武装した海賊と紙一重の連中が突然襲撃してきたそうです。」

「しかし、現状ジャンク屋は少なくとも公認の連中は皆非武装化した筈だ。大西洋にしても2線級とは言えMSを早々信用なら無い連中にダガーを売るような真似はしないだろう?」

「はあ、それが・・・」

其処まで報告した所で報告に来ていたスカンジナビア支援へのコロニー建設事業の支援の担当官は言葉を詰まらせた。神埼は不思議に思いながらも先を促すも其処で担当官が話したことは神埼も困惑させる。

「はあ、それが捕まったジャンク屋達はジャンク屋組合が如何とか」

「ジャンク屋組合は既に正式に解体されているはずだ。それとも過去から来たとでも言うのか?」

「流石に其れは私にも・・・」

担当官と其処まで話した所で担当官は退室して、其れと同時に備え付けられた電話のコール音が鳴響く。

「此方神埼だ」

『お忙しい中申し訳ありません。』

「いや良いさ、其れより何が有った?」

『はい、先程L1方面を巡回していた第233哨戒部隊より緊急連絡が入り謎の構造物の様な物を発見、更にその中から出現したザフト艦隊と思われる集団と睨み合いに成っていると報告が・・・』

「構造物・・・と言う事は宇宙拠点かコロニーの残骸の様な物か?それにザフトだと・・・ザフトは既に末期の時点でそんな大規模な施設は残って居ない筈だ。一体何が・・・」

大洋の上層部に混乱が起こっている頃、ゲート向こうから調査に来たザフト艦隊と要請を受けた付近を回る巡洋艦隊が集結し、睨み合いを続けている。偶々試験運用をしていて臨時旗艦として活動している最上型内では藤間艦長が艦橋に設置されたモニターでザフト艦隊の様子を見ながら待機していた。

677: ナイ神父Mk-2 :2017/03/01(水) 00:06:57
「今の所、敵艦隊に動きは無しか・・・」

「はい、MS隊は出撃させていますが、攻撃に移ってくる様子は有りません」

その言葉に艦長はモニターから目を離さずにオペレーターの一人と会話を続ける。

「相手部隊の構成は解るか?」

「ザフトと思われる艦隊はナスカ級を中心に複数のローラシア級で組まれ、MSはゲイツの改良機とスカンジナビアで開発されたトロールに酷似した機体と成っていますね・・・」

「あれは決戦まで間に合わなかった機体だった筈だがな。スカンジナビアから機体が紛失したという報告は有るか?」

「いえ、流石にアレだけの数の機体を紛失していれば嫌でも諜報網に引っ掛かるのでは?少なくとも本部からの通信ではそうした事態が有ったと言う情報はありませんね」

「先ずはこの拮抗状態を維持するとしよう。向こうの出方が解らん以上、迂闊には動けん。」

大洋の艦長がそう話しているのと同時刻、同じく睨み合いを続けているザフト艦隊でも似たような状況と成っていた。ゲートを越えてきたジュール隊の面々も現在の状況には困惑していた。

『一体奴らは何者なんだ、連合の新型部隊か?』

『いや、連合なら俺達の所みたいなモノアイの頭は使わないだろ?』

ジュール隊の隊長を勤めるイザークの言葉にディアッカが軽い調子で返事をするが、イザークは納得できない様な表情をしながらコックピットのモニターに写る艦隊を見つめている。前方に展開しているのは大洋連合の巡洋艦隊なのだが、イザーク達はからすれば知りようの無い事であり、見た事の無いマラサイやドライセン部隊に困惑を隠せていない。

『ではなんだと言うのだ?まさか宇宙人と言う訳でも無いだろう。あれだけの艦隊を用意出来るのはザフトか連合位だ。我々でないとしたら奴等しか有るまい?』

『流石に俺に聞かれても解らねえよ。兎に角、迂闊な真似はさせるなよ?下手な事してこの包囲網状態で戦闘は勘弁だぜ・・・』

『その程度のこと解っている!何時までも昔の俺だと思うなよ?』

イザークとディアッカはお互いに軽口を叩き合いながら大洋艦隊との睨み合いを続けていく事と成るが、この数時間後に加賀を中心とする主力艦隊が到着する事によって正式なコンタクトがスタートし、お互いに違う歴史を辿った地球で有ることが判明。両世界に出現した構造物が二つの世界を繋げるゲートである事が発覚、同時に太平洋のオーブ沖と大西洋中央部に似たような構造物が出現した事によって向こうの世界のオーブや連合とも接触する事に成り各国が信じるに値するだけの証拠と成っている。

678: ナイ神父Mk-2 :2017/03/01(水) 00:07:31
歴史の違いとプラントの過熱

プラントのアプリリウス市内の議長の私室では、カナーバ退任後に新しく議長と成ったデュランダルが手元の端末に写された情報に頭を悩ませていた。理由は勿論、就任早々対処を行うことに成ったゲートの対処である。情報の整わない初期こそ穏便に交流できていた両世界であったが情報が歴史に移ると話は変わってくる。何せ、ゲートの向こうでは事実上ザフトは悲願を果たすことなく敗北したのである。此れはプライドの高いプラント市民に取っては許し難い事態であり、コーディネイター至上主義の一部の議員等からは逸早く向こうのコーディネイターを救うべきとの話まで出ている始末なのである。これは元々穏健派であったデュランダルからすれば頭の痛いことであり厄介な事態と言えた。

「現在まで市民の動きはどうなっている?」

「過熱の一途ですね。仕方の無い事でも有ります。向おうのザフトが敗北したと言う状況で俄かに連合も活気付いてプラント撃つべしと言う機運が高まっています。この状態では・・・」

「例の彼女の歌ではダメか?」

「いえ、彼女が動いてくれているからこそ、この程度で済んでいると言うべきでしょう。そうでなければとっくに開戦か過激派の議員と交代する事になっていたと思われます。」

その言葉を聴いてデュランダルは更に憂鬱な気分に成るが、それで事態が解決するわけでも無く報告に来ていた秘書官に話を続ける様に促す。

「議長の指示で進めていた向こうの情報収集ですが何分諜報網も情報源も存在しない状態での情報収集でしたのでデータは殆ど・・・
僅かに確認できる範囲では向こうの東アジアが此方の世界でも使用されたストライクダガーよりも性能に劣る機体を運用していたと言う報告が有る程度です。」

「東アジアか・・・此方ではカオシュンのマスドライバーを落とした時等に交戦した記録が有るが其処まで他国と違いが有った様には見えないが、それが事実で有るなら東アジアを狙うしかないか」

「宜しいのですか?議長の方針とは食い違うことに成りますが」

「この民意の過熱を抑えるには派遣するしか方法が無い、或いは其れよりも早く地球が限界に達するかも知れないが其れを待つ訳にもいかない」

「では?」

「ああ、提出されていたゲート開放作戦の準備を進めてくれ」

その後、ザフトでは気炎を上げる旧ザラ派の兵士を中心に部隊の編成が行われ、意気揚々とゲートの向こうへの侵攻作戦で有るゲート開放作戦を実施する事に成るのだが、議長直属の部隊や議長に近い派閥の部隊は本土防衛の為としてプラントの守りに残される事に成るが、この戦闘の結果はザフトにとっては予想外の結果を齎す事に成る。

一方でこの事態に喜んでいた人物もいた。ユーラシアのジブリールの邸宅の通信室ではジブリールがソファーに腰掛けながらこの情勢に祝杯を挙げていた。しかし、其れに対して通信相手であるコープランド大統領の顔は暗い

「まさか、こうまで煽るまでも無く兵士たちがやる気を出すとはな」

『本当に大丈夫なのかジブリール?確かに市民は向こうと此方の被害の差のせいでザフトへの怒りを再燃させているが此れは一時的な物だぞ?』

「其れならば我々が煽れば良い、今度こそあの忌々しい砂時計を落すチャンスなのです!此れを生かさない手は無い!」

『しかし・・・』

「心配性ですな大統領、大丈夫です。何も無策に戦おうと言うわけではない。此方の情報網では連中は向こうの世界への侵攻を計画している。上手くいけば向こうの連合とも奴らは戦う事に成る。」

『だと良いがな・・・』

そう言って不安視する大統領とは正反対に、ジブリールは俺から起こるであろう事態を予想し不気味な笑みを浮かべていた。そして、事態はジブリールが言っていた通りに進み、ザフトは情報どおりゲートへと侵攻する事になる。

679: ナイ神父Mk-2 :2017/03/01(水) 00:08:04
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最終更新:2017年03月01日 21:34