660 :①:2011/12/04(日) 02:25:55
あいかわらず下手な文です。
なんとなく「あの人は今」的かパロディな物語しかかけない予感が(w
まあこういうSSも読んでいただいて息抜きの一助となれば幸いです。

ということである二人のアメリカ人の物語です

提督たちの憂鬱支援SS――「アメリカンドリーム」

「くそ、ジャップだけじゃなくて、メキシコ野郎どもまでもが付け上がりやがって!」
「しょうがねえよ、アメリカは今や腐肉で、ハイエナどもがたかってる状態なんだから」

東部なまりの男達が銃を抱えながらトラックで揺られている

彼らは旧連邦軍、旧アメリカ海兵隊のライフル小隊だ。
今やアメリカ海兵隊は滅び、身内の「敵」でもあった陸軍のアイゼンハワーの指揮の下で活動している
旧海兵隊と言うことでロサンゼルスの海軍基地の警備に当たっていたが
メキシコ軍アリゾナ侵攻を受けて、教育中ではあったが海兵隊の任務(敵地侵攻及び日本軍への反抗)に備えて
装備弾薬が充実していた旧海兵隊の部隊に出動命令が下ったのだ。
彼らの新たな任務は「フーバーダム防衛」、サンディエゴからフーバーダムへの補給路を確保することである。

本隊はサンディエゴ防衛線に投入されつつあった。いざとなればフーバーダムからネヴァダの砂漠を
超えるラインまでも防衛しなければならない

「だからと言って俺たち海兵隊が砂漠のど真ん中のダムを防衛しなきゃならないんだ!」
「しょうがねえだろう、俺たちはもうアメリカ海兵隊じゃない、「カリフォルニア共和国」に居候している
<<旧連邦軍>>の海兵隊なんだから」
「くそ、故郷さえ津波に襲われなかったら…」
男達がその言葉を聞いて無念の表情を浮かべる
小隊の多くの者達は東部出身者だ。故郷の家族がどうなったかわからないのはみな同じだ
さらに故郷へ救出にも戻れない自分たちの立場も無念だった。

661 :①:2011/12/04(日) 02:26:27
その様子を見た軍曹が脇の少尉に何かを合図する。
うなづいた少尉の同意を見て軍曹は立ち上がった

「ジャップの手先のおフェラ豚め!ぶっ殺されたいか!?!!
おまえらはまだウジ虫か?! 地球上で最下等の生命体なのか!?」

はじかれたように男達が身を起こし大声を出して返事をする。

「 Sir,No Sir!」

「いいか!海兵隊より早く神はこの世にあった
  心はジーザスに捧げてもよい 、故郷に帰りたいのは判る。
 だが貴様らのケツは海兵隊のものだ
 だから海兵隊が砂漠中のそびえ立つクソを守れと言ったら守るんだ!
  分かったか豚娘ども! 分かったら返事をしろ! 」

「Sir, Yes Sir!」

「豚娘は海兵隊を愛しているか?」

「生涯忠誠! 命懸けて! 闘魂!闘魂!闘魂!」 

「草を育てるものは?」

「熱き血だ! 血だ! 血だ!」 

「おれたちの商売は何だ、お嬢様?」 

「殺しだ! 殺しだ! 殺しだ!」 

「ふざけるな!聞こえんぞ!」

トラックの中で男達の怒号が続いた


‐「スマンな、軍曹」
 「なに、これぐらいのことは…しかし兵隊たちの心の中を思うと…」
 「軍曹はどこの出身だったかな?」
 「カンサスです」
 「カンサスか、それなら国に戻れただろう、どうして残った?」
 「国はカンサスですが、あっしにとっちゃあ海兵隊が故郷です。
  それに国が津波に飲まれたのに隊に残った奴らを放り出してはいけやせんぜ」
 「そうか…すまんな」
 「少尉も確か東部でしたな」
 「ああ、ニューヨークだ」
 「ニューヨークですか…」
 「たぶん津波に飲まれた、お袋も親父も兄貴たちも妹も…」

 少尉の目はここを見ていなかった。
 軍曹は少尉が言わなかったことを知っていた、家族に加え
 大学時代に知合った彼の婚約者もまた津波に飲まれているであろうことも
 彼もまた多くの兵隊たちと同様に家族と恋人と故郷を失っているのだ。
 なのに彼は多くの兵隊や将校とは違い、あくまでも海兵隊に忠実だった

 少尉は日本が宣戦布告をしたときに、大学を中退して海兵隊に志願した。
 「アメリカ市民として当然の勤め」彼はそう言った。
 アメリカはもうなくなったというのに、

 仕事に没頭し、兵を気遣い、士気を一定に保ち続けていた。
 そのために少尉は伝を使って兵隊たちのためにハリウッドから歌手まで呼んでくれた。

「これから海兵隊はどうなってしまうんですかね?」
「わからん…だがこれだけは言える、メキシコとの戦いで一定の役割を果たせれば
 海兵隊は残るだろう。ジャップの風下に置かれるが、彼らは有用と認めてくれる」
「ジャップの風下ですか…」
「軍曹、君には不満だろうが風下でもアメリカ合衆国海兵隊の伝統はその下で生き延びることが出来る。
そうすれば再びアメリカが立つとき海兵隊は真の姿を表すことが出来る」
「今は耐えるときですか」
「ああ…、だが本当の敵はこのメキシコとの戦いが終わった後だ」
「終わった後?」
「カリフォルニア共和国はジャップが認めても海兵隊独自の健軍はなかなか認めないだろう」
「なぜです?ジャップが認めれば共和国も…」
「経済力が許さないんだよ」
「経済力ですか…」
「今や海兵隊は僕にとっては最後のファミリーだ、何とか守る為には既存の産業だけでなく
 カリフォルニアにとっても新しい商売を始めなきゃならないんだが…」
「新しい商売ですか…わたしゃにはようわかりませんな」
「軍曹は海兵隊の伝統を守っていてくれよ、僕が新しい商売を考えるから」
「頭のいい人にはかないませんなぁ…」

二人が笑うとトラックが急停止した

662 :①:2011/12/04(日) 02:27:04
「休憩です」

運転席から運転手が言った

「起きろ! 起きろ! 起きろ! マスかきやめ! パンツ上げ!休憩だ」


兵隊たちがトラックを降りるとそこは砂漠のど真ん中だった。


「くそ、こんなところで何しろって言うんだよ」

兵隊たちはぶつぶつ言いながらもやけくそ気味に小便をしたり横になっている。

「軍曹、あそこに町があるがどうしてあそこで休憩しないんだ?」
「ああ、ラスヴェガスですか…前はあそこで休憩したんですがね。ドル暴落で今はすっかり寂れて…
しけてましたが博打も出来て、そこそこいい女もいて、いい休憩場所だったんですが…」
「博打?ここでは博打が許されていたのか?」
「ネヴァダは賭博が合法なんですよ」
「賭博が合法?…」
少尉は弾かれたように砂漠を見つめた。そして時折これからの任務であるフーバーダムの方を見る。

「どうしたんです?少尉?」
軍曹はまるで稲妻にしびれたようになっている少尉に問いかける。
「わからないか?軍曹?」
「何が?」
「新しい商売だよ!」
「新しい商売?」
「フーバーダムはロサンゼルス、いやカリフォルニアの生命線になる。
アリゾナがどうなるかわからんが、
いずれにしてもここにジャップは、カリフォルニア共和国は軍をおかなくちゃならなくなる」
「それがどうして新しい商売になるんです?」
「ラスヴェガスは軍の交代の中継点になる。ここに賭博場を開けばいい金になる!
いやそれだけじゃない!高級ホテルに豪華なショウ、いい女も置けばジャップや
アメリカを分割しようとする旧大陸の人間たちもやってくることになる、
保養とスパイを兼ねてな!」
「そんなもんですかねぇ…」
「決めた!僕はここで新しい商売をやるぞ!」
「少尉、志は結構ですが金はどうするんです?こんなところにホテルを建てるとなると…」
「大丈夫、伝はある」
少尉はまるで猛獣が獲物を見つけたときのような獰猛な笑みを浮かべて見せた。

軍曹は時々この少尉がわからなくなるときがある。インテリらしく物静かなときもあるが
時としてヤクザのような激しさを見せるときがある。

運転手が頃合よく休憩を終える声をあげた。

「ま、わたしゃ海兵隊が生き残るならなんでも商売始めてくださいってところですが。
とにかくまずは生き残りましょうや、マイケル・コルレオーネ海兵隊少尉殿」

「そうだな、僕の唯一残された海兵隊(ファミリー)の為にもな。
第一<<海兵隊員は許可なく死ぬことを許されない!>>だろ?ハートマン砲兵軍曹?」

「Sir, Yes Sir!」

わざとらしくマイケル・コルレオーネ海兵隊少尉はハートマン軍曹に答礼し
トラックへ向かった。

後の大ラスヴェガスの誕生の為にも彼らは生き残らねばならなかったのだ。

新たな「アメリカンドリーム」の始まり

そしてマイケルにとっては新しいファミリーを築く始まりなのだ。

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最終更新:2012年01月10日 11:53