892: 影響を受ける人 :2017/03/05(日) 22:37:47
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
―― 台風の目 ――
嫌な感じがする。
それは雨が降り始めた当初から感じ取っていた事だった。
だがそれが難なのか、まったく見当がつかない。
不満を言う“ヤマ”に対しては強く出れたが、古株の部下の訴えは無碍にはできなかった。
そして報告が有った空間に躍り出たわけだが・・・
―妙だな。―
―何がです? いい感じな空間じゃないですか。―
―それはそうだが・・・―
取りあえずその空間に対して一周してみたが、何の障害も無く回れた。
流石に気にし過ぎだと部下が言う。しかし彼はリーダーとして、群れを安全に統率する義務がある。
とりあえず皆一息ついてリラックスする。
その時だった。違和感が増大したのは。
―なんだ!?―
慌てて周囲を警戒する。
周囲・・・というよりも、空間そのものが嫌な反応を示すものに変わっている。
それは散々大陸で味合わされた、例の小さい殺戮者が使う反応そのもの。
全員がパニックに陥る中、彼だけは雲海に向けて飛翔しつつ攻撃を敢行する。
半ば確信に似た行動だった。そして、それは報われる。
―やっぱりか!―
攻撃が、境界線の手前で弾かれた。
慌てて“ヤマ”も攻撃するが、それすら弾き飛ばす。
その白い光の障壁に悪態をつきまくるが、現状出来る事は無い。
しいて言うなら次に来る敵の一手をいかに防ぐかだ。
―― 北郷隊 ――
移動はかなり順調な工程を進む事ができた。
元々迂回行動をとっているし、味方が懸命に囮を務めている。
これで襲撃されるなら、相手方の能力は人類が想定するよりもはるかに高いモノとなる。
そうなればお手上げだ。
自分達は如何にかすれば助かる可能性はあるが、運搬してくれている輸送機とグライダーはやられてしまうだろう。
何せ旧式の機体を引っ張り出して使用しているのだから。
夢幻会が用意させた機体だが、原作にてウィッチが複葉機の支柱につかまって移動すること覚えていた転生者が急遽提案した案だ。
グライダーも複葉機で、とにかくウィッチを沢山載せて移動できるように設計されている。
もっとも、急造品なので武装は一切ない。戦闘など考えていないから、問題はないのだが。
楽に移動できるから北郷章香としては、これは有りだ。
「出来れば、燃費もどうにかしたいのだが・・・」
『それは無茶ではぁ?』
「旭川、ウィッチの消耗度合いは重要だぞ。」
『それはそうですけど。発動機はどうするので?』
「あー・・・それはだな・・・」
副隊長の的確な指摘に、言葉が出てこなくなる。結局は技術の進歩待ちでしかないのだ。
それでも日進月歩で進んでいるので、将来は空中でウィッチ発進が有ると思い、ちょっと「カッコいいな」などと愚考する。
そんな会話をしていると、輸送機から通信が入った。
『すまん。これ以上行くと機体が持たん。
何せこの機体はオンボロ婆さんだからな。労わってやらんとどうにもならん。』
周囲を見渡せば、すでに雲量が凄まじい事になっている。
横風も酷くなっており、そろそろ別離した方が良いだろう。
「わかった。これより我々は突入する為、当機より離脱する。」
『了解した。あー・・・』
「なにか?」
『月並みにしか言えんが・・・ 頑張れ。生きてこそ、人生だ。』
893: 影響を受ける人 :2017/03/05(日) 22:38:21
不器用な応援に面食らった章香だが。すぐに笑って答えた。
「ならば、基地に帰還した際に酒をおごって欲しいな。」
『お、おお! いいともさ!!』
「約束を守ってくれよ。」
そう言って、通信先を部隊全てにかえた。
「これより作戦を開始する!」
「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」
「臆病でもいい。足掻いて足掻いて、恥になっても生きろ!」
「「「「「「「「「「応!」」」」」」」」」」
「北郷隊。出撃する!!」
輸送機の支柱から手を放し、そのまま身を大空に投げ出す。
そのまま安全距離まで降下し、出力を上げて輸送機の前に躍り出る。
ちらりと後方を見れば、全員が綺麗に追従してきているのが見えた。
同時に輸送機とグライダーが機体を傾けて帰還していくのが見える。
そして銃を構え直し、台風に向けて一同は突撃して行った。
―― 台風の目 ネウロイ側――
いかなる方法を試しても、まったくこの檻はビクともしない。
すでに抵抗を諦めて、リーダーは襲撃してくるだろう敵に備えておくことにした。
っと。“ヤマ”が何度目かの砲撃を敢行し、先程からと同じ結果で終わる。
―おい。無駄なんだから、余計な力を使うな。―
―うるさい!―
今回の敵はもの凄い、硬い壁を用意したようだ。
リーダーは周辺に気を配り、動揺冷めやらぬ味方に声をかけていく。
悠然と、堂々と先頭を飛行するリーダーの姿に味方のネウロイ達は落ち着きを取り戻し、周囲をしっかり警備する。
どうせ何もできないのだ。ならば最初からやっていたことをすればいい。
癇癪を起こしている護衛対象に辟易しつつ周囲を見回す。
―・・・きやがったか。―
暫らく飛行を続けていた彼等の前に、ウィッチが出現したの割と早い段階だった。
ウィッチ側としても、長時間結界や呪歌を使用するには問題がある。
だから間髪入れずに襲い掛かるのだ。
もっとも、最初の一撃を放ったのはイラついていた“ヤマ”の砲撃。
アッサリ弾かれ更に激昂するのを尻目に、リーダーは数少ない部下を突撃させた。
―― 台風の目 狐狸部隊視点――
強風吹き荒れる空域を強行突破し。全身ずぶ濡れにしつつもようやく敵を視界に入れて一安心。
したのもつかの間、いきなりの挨拶代りの砲撃に全員がビビった。
けれども結界が上手く働いて砲撃を塞ぎ切る。
「あっぶな!」
穴吹智子が驚いて、顔を引き攣らせながら無遠慮な敵に視線を送る。
護衛としてついている“スズメバチ”が二手に分かれていくのがわかった。
反対側から向ってくる敵に対して、戦力を分けたのだろう。
そして、黒い雲塊のようなモノが出現する。
「なにあれ・・・」
誰かが呟く。
黒い雲塊の正体は、大量の“コバエ”の群れだ。
スズメバチよりも小型で、単純な作りの彼等は、思考も単純なので大量に作って置ける。
しかし小型の小型であるが故に航続距離が短い。だから先程まで“ヤマ”の表面に張り付いていた。
そしてようやく出番が来たというわけだ。
「流石にあれは多すぎるな・・・」
黒江綾香も冷や汗を垂らしつつ、黒い雲塊を睨み付けた。
「でも削りきるしかない!」
気圧され始めていた一同であったが、加東圭子の一言により目的を再度思い出す。
そして総隊長の加藤武子が号令をかけた。
「敵は弱いとはいえあの数だ。ここは一気に減らすぞ!」
そう言って特殊武装を持つ狐火隊をみた。
総隊長の機体に答えるために親指を上げてみせ、一気に加速していく。
その後ろから他の二部隊も、行動を開始する。
「さて、これを実戦に使用するわけだけど・・・」
「未知数。」「期待は大。」
894: 影響を受ける人 :2017/03/05(日) 22:39:09
双子もやる気に満ちている。
それに満足しつつ、制御が難しい部下を右側に飛行させ、自分は左側に遷移する。
別に部隊を二つに分けるわけではなく、武装を使用した攻撃をするために離れただけだ。
変に干渉して、暴発するなんて考えたくもない。
飛翔速度をそのままに、【偽神烈火】に左手を添えて右手の刀を強く握る。
炎の出し方は数日で何とかマスターしている。
精神を落ち着け、感情は炎のごとく燃やし、魔力を刀に集め、流れを止める。
籠手はそれに答えて気炎の熱波で大気を揺らめかせて、刀に魔力の炎を現出させる。
同時に左の籠手に仕込んだ術符のいくつかが反応し、青白い炎をまき散らして燃え尽きていく。
そうして出来上がるのは、巨大な火球。直径にして10mもあるだろう。
反対側の不和ヒビキ/スズ姉妹は【真雷】【進電】をぶつける様に交差させる。
そして智子と同様に魔力を送り始めた。
交差した刀が帯電し始め、小さな稲光が徐々の大きく、範囲を拡大しつつ空間をのた打ち回る。
交差した中心が、強力な力の本流により左右に押しのけられていく。
同時に稲光がその一点に集まり始め、こちらも球体を作り出す。
それを目前にした“スズメバチ”達は動揺したが、何も考えていない“コバエ”は無心に向かってきた。
恐れ知らずの“コバエ”達は、圧倒的数の暴力でもって敵を葬ろうと近づいて行き、
「狐火一閃!!」
上下に分断するように振るわれた智子の一撃を受けて、中央部にいた“コバエ”の群れは焼滅した。
10mもあった火球は一気に小さくなり、刀の先端に宿ったかと思うと、高熱量の熱戦ビームとなって薙ぎ払ったのだ。
その空いた空間に向けて、双子も雷球を解き放つ。
「危ない。」「防御、防御。」
何の緊張も無く喋っているが、内心ではこの後に起こる轟音に対して備えていた。
発射された雷球に対し、“コバエ”達は総攻撃をかける。
単純な思考しかない彼等は、味方が殲滅された事に対して何の感情も浮かばない。
ただ機械の様に反応を返すに留まるだけだ。
だが雷球はそんな攻撃をものともせずに突き進み、一定の距離で術式を起動させた。
組み込まれている術式は九曜葛葉が作ったもので、誰でも同じ効果が出る様になっている。
そして効果は単純明快。雷同様に、周囲に“伝播”していくのだ。
密集し過ぎていた“コバエ”達は溜まったモノではない。
広範囲で魔力の雷が伝播し、一気に空間に隙間ができる。
後方で指揮を執るつもりだった“スズメバチ”が動揺して呆然としてしまう。
「うわぁ・・・」
「これは。」「酷い。」
惨状を作った三名も動揺してしまい。他の隊員達も「何あれ・・・」と硬直した。
双方共に、僅かとはいえ止ってしまった珍事は誰に記憶にも残らなかった。
取りあえず、強力な手札が有るとだけ記憶して置こうと、武子はちょっと現実を直視しない様にして心で思った。
以上です。
いや~・・・ 時間掛かった。
最終更新:2017年03月13日 10:25