726: 陣龍 :2017/03/19(日) 17:09:43
『我等、軍人たる前に、誇り有る人間なれば』


「やあ将軍。わざわざ電話ありがとうござ…」

『「マーク!お前一体何をやっている!まだこっちから命令は出ていないぞ!」』

「そんな事承知してますよ。梅毒で頭がやられてる訳でもハニートラップに嵌っている訳でも無いですから」

『「なら、今お前がやっている事の意味が、分かっているのだろう?!もう少し、もう少しだけ待ってくれないか!?今あのアホンダラを…」』

「将軍。……既に、時間切れです」


 在日米軍基地司令官室。現在『極東危機』真っ最中のホットスポットに存在する超大国の軍隊は、本国からの正式な命令を待たずに出撃を敢行していた。何千回と数えきれないほどに出撃要請をしても完全なる無しの礫に痺れを切らした末のこの独断専行の越権かつ暴走行為だったが、既に在日米軍は総員覚悟完了済みだった。


「この戦争が終わったら、自分を軍法会議でもアルカトラズにでもどこにでもやってくれて結構です。罷免だって勿論受けます。
絞首刑?銃殺刑?良いですよ、どんな悪名でも被ってやります。…ですので、例え大統領命令であっても、この出撃はやめません」

『「お前……死ぬ気か…?!」』

「将軍が私達の事を慮ってくれているのは分かっています。この行動で出世どころか犯罪者として刑務所か処刑台行になりかねない事を、心配して頂けているのは。…ですが、このまま我らが友人を見捨ててしまったら、私達は永久に後悔し続け、【人で有る事】を辞めてしまいます」


 そう言いながら出撃状況を示すディスプレイを眺める在日米軍司令官。その両目には、燃料弾薬満載の即時戦闘可能状態で出撃する在日米軍の持つあらゆる戦力が、一路出撃した日本艦隊への援護に向かっている報告が流れていた。陸、海、空。分け隔てなく、ありとあらゆる戦力が。


「それで、我らが大統領閣下は今何をしておいでで?」

『「…現在の状況に理解が追い付かないようだ。後国務省のバカ女は…」』

「【アメリカ軍の介入は余計に事態を悪化させるだけであり、直ちに撤退すべし】ですか」

『「し…知っていたのか、マーク?」』

「ええ。ええ。私にも本国にそれなりの知古が居ましたから」


 そう答えながら笑い出す在日米軍の司令官。会話の流れとしては少々妙な言動に、本国の上官が薄ら寒い物を感じた瞬間、軍に入隊して鍛えた精神の強さに心から感謝する羽目になる。


「上官殿。自分は今心底思い知っています。人間って、限界を越えたら笑い出す物なんだなぁって」

「…マー、ク……?」

「ミスター・プレジデントとその奥方、そして国務省長官殿にお伝えください。……【俺達は、未来永劫、貴様達を許さない。地獄に落ちろ、クソッタレ共】、と」


 では、の結びの一言にて切れた電話を片手に固まっていた上官であったが、時間が経つに連れて全身のあらゆる部分が
恐怖で震えだした。軍隊時代では怖い者無しで有名で、日本の空挺部隊や自国の特殊部隊からもその度胸を呆れられながらも認められていた彼には、通常あり得ない姿であった。

729: 陣龍 :2017/03/19(日) 17:11:06

「……恨むぞ、あの馬鹿野郎共が……」


 そうして絞り出した言葉が、それだけであった。在日米軍は、自分の将来を投げ捨ててでも同盟国を守る為に動こうとしていたのに、本国の白い家では現況を理解せず、と言うか出来ずに意味不明な事を喚き散らす女共とそれを野放しにする男が我が物顔で居座っている。大西洋艦隊所属将官から出撃要請が出るのも当然の話である。【日本海軍の行動は状況を悪化させる一方でしかない為在日米軍を動員して直ちに撤収させよ】とか言う言葉がオフレコとは言え飛び出していたのを耳にすれば。


「……あの、長官。……大統領閣下や国務長官がお呼びです」

「……要件は」

「極東危機についてです。それと国務長官から在日米軍の暴走行為に対する責任問題に関しても…」

「OK。あいつら全員ぶっ飛ばす」

「えぇ?!」



 秘書が国防長官の唐突な傷害宣言に驚愕するのを後目に、当の本人は早速書類を手早くまとめた末に行動に移る。


「あ、あの、長官?冗談、ですよね?」

「いや、これ以上妄言吐かれる位なら力づくにしてでも黙らせるつもりだ。心配しないでくれ、君の次の職場の手当ては…」

「そうですか。では長官、私から一つお願いがあります」

「…何だ?」

「あいつら全員ぶっ飛ばす時には、私も混ぜて下さいね?」



 ウィンクしながら微笑む自身の秘書の姿に、一瞬ポカンとしつつも、長官は思わず苦笑いせざる負えなかった。
自分達だけでじゃないのだ。この状況に憤慨し、奮闘し、言い様の無い怒りを溜め込んでいたのは。


「そうだな。じゃあ、早速行くとするか」

「はい。お供します。…早く終わらせましょう」

「無論だ」



 その後、出撃して日本艦隊と合流した在日米軍が、一息に撃破出来た筈の北露満連合軍に揉み潰されて発狂状態の中共を細切れに粉砕している最中、前代未聞のホワイトハウス内での傷害事件と議会の連続弾劾によりようやくマトモな人間が大統領に就任した上で、【極東戦争】の終結に向けてアメリカが動きだした。


 明らかに正しかった事とは言え、命令無しによる前線部隊の独断専行による暴走、憲法違反に抵触しかねない議会の
行動、帳尻合わせこそ出来たが最後以外がお粗末通り越して無様極まりなかったアメリカの無責任な行動、その他諸々。

 前途多難以外の何物でもないこれからのアメリカ合衆国の行く末であったが、取り敢えずは核の炎で国土が焼かれた中共人も含めて、20世紀最後の戦争が終結した事を、関係各国の国民は喜んだ。権威と国威が首の皮一枚かつその一枚が切れかかっているアメリカがこれからどういう行動をとるのか世界は不安視していたが、取り敢えずはその事は皆棚上げにした。




――――戦争は、終わったのだ。将来を投げ捨てる覚悟を決めた男達の意地によって、終える事が出来たのだ。

731: 陣龍 :2017/03/19(日) 17:14:10
悪夢世界IFルート ~在日米軍独断専行編~

これまた思い付いたその場のノリで大体一時間位で作った代物です。当然精査なんざ全くやってません(キリッ)

取り敢えず未来的な希望を感じさせる形式にしてみましたけど結局極東戦争勃発しているんでアメリカの国威が
大暴落しているのは避けられない現実。泣けるぜ(レオン並感)

734: 名無しさん :2017/03/19(日) 17:16:52
731
乙。
アメリカだと大臣ではなく長官じゃないか?

738: 陣龍 :2017/03/19(日) 17:23:29
734
……誤訳って事で!いや辞めて石投げないでアバババb…

大臣を長官に修正
最終更新:2017年03月20日 11:00