445: ナイ神父Mk-2 :2017/03/25(土) 21:39:07
大陸SEED ゲート編 その4

交渉団の出発とその頃の原作キャラ

大陸側の安定した時の流れとは打って変わり激動の時代を迎えているゲート向こうの世界でも春は訪れており、東アジアや大西洋では生き残った桜達が華を咲かせようとして居る頃、各国では天空の宣言や世界安全保障条約の締結によって混迷を深めようとしていた。
それとそれと時を同じくして太平洋に出現したゲートでは発光現象が発生。光が収まりゲートを越えて転移して来たのは大陸側の4大理事国の海軍であった。数にして約4個艦隊、理事国が各一個艦隊を抽出した向こうへの合同派遣艦隊が示威行為としての意味も含めてもう一つの連合との交渉を行う為の外交官を連れて来たのである。

到着した大陸側の艦隊は先ず安全確保の為に哨戒用のSFS搭乗MSや空戦MSを展開、同時に海中でも同行してきた蒼龍型を初めとした水中艦隊がズゴックEやフォビドゥンヴォーテクスを出撃させて万一の事態に備え艦隊周辺に直掩として航行し始めた。此処までの過程で何の問題も起こらなかった事に今回派遣された艦隊の内の大西洋艦隊の司令であるノア・オルブライト提督は安堵の息を漏らした。

「此れで一先ずは安心ね・・・」

「向こうがゲートを越えて来る事は有っても、此方から来る事は初めてでしたからね。兵士達の緊張も有る程度は緩和できたと思いますよ?」

「だからと言ってその侭安心し切って敵を見逃したと成ったら洒落に成らないわよ?」

「流石にあの大戦から未だ2年です。其処まで兵士達の気も緩まないんじゃ無いですか?」

「もう2年よ、実戦を経験していない新兵も増えてきているんだから」

ヒラガ大佐の言葉にそう返して来たオルブライト提督に内心で変わらないなあ、等と呟きながらもそんな事は表情に出す訳も無く提督の隣へと直立していた。窓から見える景色には既にジェットストライカーと専用のソナー装備を装着したウィンダムがこの数年で量産されたストライクを中心に編隊を組んで周辺を飛行している。遠くを見れば同盟国である東アジア艦隊も装甲強化型イナクトが艦隊周辺を飛行している様子が伺える。

太陸側の連合艦隊が一路、オーブへと向けて艦隊を動かしている頃、プラントの有するオーストラリアのカーペンタリア基地ではミネルバを含む13隻の艦艇で構成された大規模艦隊が出撃しようとしていた。プラントの集めた情報では現在連合ではカーペンタリア攻略の為の大規模な艦隊の派遣が計画されており、その艦隊を洋上で撃滅する為の準備である。そして、そんな状況下で最新型の艦艇であり強力な砲撃能力を備えるミネルバをザフトが遊ばせて置ける訳も無く、オーブより連合艦隊を突破してきたばかりのミネルバにも作戦参加の命が下り、こうして出撃準備を整えている次第である。艦内では待機している年頃の少年少女と呼んでも差し支えの無い年齢の兵士達が雑談に興じている。

「なあ、シン聞いたか?次の作戦の話」

「ああ、そりゃパイロットだから聞いてなきゃ可笑しいだろ?」

「お、それでその余裕、やっぱりエースは違うね~」

「いや、あの時は無我夢中で・・・」

同僚であり機体の整備を担当するヨウランからの言葉にシンは若干戸惑った様子でそう応える物の、同じ艦の仲間からエース言える様な戦果を上げた人間が出たという事で上機嫌に話掛けてくる。そして、そのシンの困った表情に悪乗りしたのか近くにルナも乗ってきた。

「確かにあの時のシンの動きは凄かったわね、エースって言われるのも解る気がするわ」

「ルナ、お前まで・・・」

「皆、余りシンをからかうな」

周囲からの言葉に困った表情を浮かべていたシンはレイからの言葉によって、周りからの妙な持ち上げが収まった事を見るとホッと安堵のため息をついた。その間に雑談の内容も次の作戦の話題に移っていた様でシンはその話に再び耳を傾ける。

446: ナイ神父Mk-2 :2017/03/25(土) 21:39:40

「しっかし、あれだけ隕石が落ちたって言うのに地球の奴等も良くこっちに戦力を出せるよな」

「それだけ連合も此方を倒す事に本腰を入れてきている証拠だ。以前の様にMSで一方的に相手を倒せるわけじゃない。
油断は出来ないぞ・・・」

「でもさあ、結局はナチュラルだぜ?其処まで警戒する必要は有るのか?」

「・・・」

「ナチュラルだからと言って甘く見て良い訳じゃない」

言葉を詰まらせたレイに対して助け舟を出して来たのは部屋に入室してきたアスランであった。周りが急に出てきたアスランの存在に驚き動けないで居るとアスランは言葉を続ける。

「確かにナチュラルとコーディネイターの間には高い壁がある。だが、絶対に越えられないレベルの物でも無いんだ。実際にあの時の戦いでもザフトとまともに戦えるナチュラルは居たんだ。侮って良い相手じゃない・・・。っとすまなかったな急に話に割り込んで、でも覚えていてくれ、ナチュラルを甘く見れば何時か手痛いしっぺ返しが来るぞ」

アスランはそう言うと先ほど入ってきた様に再び通路に出て行き、廊下の奥へと消えて行った。後に残されたシン達も嵐の様に来て嵐の様に去っていったアスランに呆気にとられて暫くその場で暫く停止していたが停止から開放されてヨウランは納得できないと言った表情をしている。

「なんだよ、あいつ行きなり入ってきて・・・」

「ねえ、あの人って確か・・・」

「アスラン・ザラ、前大戦の英雄だ。ザフトに復帰したとは聞いてたが、まさかこの艦に来るとは・・・」

「前大戦のエースだからって、行きなり来て説教臭い事言う必要な無いだろ!それにナチュラルがコーディネイターに負けないとか本当にあんなのが活躍していたのか?」

この会話の1時間程の後にブリーフィングにて改めてアスランがミネルバ隊に加入した事がクルーの前で知らされ、挨拶も侭成らない侭にミネルバは激戦へと狩りだされて行く事になる。

447: ナイ神父Mk-2 :2017/03/25(土) 21:40:15
ザフトの襲撃と大陸との差

太平洋に於ける大陸側の連合とザフトの遭遇戦はザフトの思い込みから始まった。ザフトからすれば自国以外で現在太平洋を航行する様な艦隊など、連合かその傘下に入ったオーブの艦隊だけでありウィンダムが警護しているなど連合以外には考えられず、他のMSにしても連合の新型程度にしか考えて居なかった事も不幸を加速させた。

オーブの領海近くで発見されたこの艦隊をザフト及びザフトと結びつきの強い大洋州艦隊は、現在戦端を開いている連合の艦隊と確信し、先制攻撃を仕掛けるべくバビやジャンク屋から購入した多数のスピアヘッドを出撃させて攻撃を開始した。突然始まったこの攻撃に対して、当初安全に航海できると考えていた連合艦隊は若干の混乱を起こすも、直ぐに立て直しを計りデモイン級や吹雪型駆逐艦を初めとした対空能力を持った艦艇が迎撃用の対空ミサイルを一斉に発射して迎撃を始めたことにより先行してきていた大洋州連合の航空部隊が避け切れずに被害を出し、それと同時に各空母から出撃したイナクトやアッシマーを初めとしたTMS部隊が一斉に制空権を確保する為に敵航空機部隊へと殺到、此処からザフト側の悪夢が始まった。

元々各国のTMSは大洋の開発したアッシマーに対抗乃至は勝利する為に作られた機体が殆どである。つまりは標準的に超音速での飛行を行えることはは絶対条件であり、前提として有って当然の物である。しかし、此方のザフトからすれば連合の制空機としてはウィンダムが一般的な印象であり、対抗機体であった。

『な、嘘だろ何でナチュラルの機体に追いつけないんだよ!』

『当たれ、当たれ、当たれー!!』

『後ろを取られた!だ、誰か援護を・・・』

『何なんだよ、此れ、如何してナチュラルなんかに・・・』

『此方、カール隊!増援を寄越してくれ。此の侭じゃ嬲り殺しだ!!』

「くそ、何なんだよ此れはー!」

通信機から聞えてくるのはどれも悲痛な断末魔や救援を求める通信ばかりであり、インパルスに乗って出撃したシンはこの惨状に思わずパイロットシート内で叫ぶ物の、現実が変わる訳では無く。兎に角友軍を援護しようとビームライフルを近くに居た円盤状の機体に向けて発射するもそれに気が付いたその機体は突然MS形態へと変形して制動を掛けてビームを避け、逆に此方に向けてビームを放ってきた。それに対して咄嗟にシールドで防ごうとしたシンで有ったが、急な寒気を感じて回避を選択し機体を横に移動させた。
しかし、避け切れなかったビームが盾の一部を貫通、更に下方を飛行していたグフをシールドごと貫通して撃墜する。

「嘘だろ・・・」

MSの携行火器、それも唯のビームライフルによる対ビームシールドの貫通と言う事態はシン自身も予想外であり、あのまま盾で防いでいればどうなっていたかをアリアリと示す物だった。そして、周辺に目を向けると同じ様にビームライフルによる射撃に対して盾を構えて貫通されると言う事態はあちこちで確認されており、敵の異常性を示すこれ以上無い証拠と成っていた。

そして、惨劇は海上でも発生する事態は突然始まった、大洋州連合の艦隊の旗艦を勤めるタウンのCICでは怒号が飛び交い事態の収拾を図ろうと動いている最中であった。

「駆逐艦バーケンヘッド沈没!及びアデレードが撃沈」

「対潜ミサイルは如何した!」

「迎撃されました!!敵からの第二陣来ます!」

「爆雷を投射しろ!なんとしても下にいる化物を・・・」

「熱源せっき・・・」

448: ナイ神父Mk-2 :2017/03/25(土) 21:40:49
オペレーターがそう叫ぼうとした直後、正面から叩き込まれたメガ粒子はCICのみならず艦橋すべてを一瞬で蒸発させるとその侭駆逐艦を二枚に下ろして撃沈させた。それを行ったMAグラブロのパイロットであるフラナガン・ブーン大尉はコックピット内で誰に聞かせるでも無しに一人呟く

「見たか。グラブロに海で挑むからそうなる!次は、あれにするか・・・」

そう言や否やフラナガン大尉はグラブロを加速させて目の前のボズゴロフ級に向けて突撃させる。途中で接近に気が付いて迎撃しようとしたグーンやゾノを質量差で弾き飛ばしてその侭破壊しながら前進、格納されていた腕部を展開すると勢いに任せて潜水艦を殴りつけて船体を叩き折る。原始的な方法ではあるが、それでも潜水艦には致命的であり、その部分からくの字に折れ曲がった状態でボズゴロフ級はそのまま海中へと沈んでいった。この様な光景は大洋の攻撃を行う領域だけでなく東アジアの開発したシュウェザァイや海中対応型ザムザザーによっても引き起こされ、ザフト潜水艦隊及び大洋州連合艦隊は壊滅、母艦を失った水中用MSも連合側からの呼びかけによって降伏するか無理な特攻によって海の藻屑と消えている。

そして、ザフト艦艇では未だに戦闘力を保っているミネルバではその余りにも一方的な有様にミネルバのオペレーターであるメイリンは顔を青ざめさせながら現状を報告する。

「た、大洋州連合艦隊旗艦タウン轟沈。及びカーペンタリア潜水艦隊旗艦クストー通信途絶しました・・・」

「何て事・・・残存艦艇は?」

「ニーラゴンゴを含めて2隻ほどですが、戦況は・・・」

「艦長、如何しますか。此の侭では・・・」

「10時方向より艦隊が接近!此れはオーブ軍です。それに通信も。」

「繋いでちょうだい」

タリアはメイリンにそう伝えると前方のモニターにはオーブ軍服を来た男性と艦艇内だと思われる映像が映り込み、中央に映る男性が口を開く。

『此方はオーブ国防海軍一佐のトダカだ。其方はザフト軍の旗艦で間違いは無いな?』

「艦隊旗艦クルトー沈没後、指揮権を引き継ぎましたミネルバの艦長、タリアです。其方の用件は?」

『単刀直入に言います。戦闘を停止して頂きたい。あれは我が国に使節として来る筈だったゲート向こうの連合艦隊です。』

「え?・・・」

「それは事実ですか?」

『ええ、間違いなく』

その言葉を隣で聞いていた副官のアーサーは思わず間抜けな声を出した。そして、余りに予想外だった言葉にタリアは思わずトダカに対して真偽を尋ねるもトダカの答えは変わることは無かった。この不幸な遭遇戦はこの数分後旗艦であるミネルバから発せられた停戦命令を持って終了し、結果としてザフト及び大洋州連合は指揮を受け継いだミネルバを除いて投入した艦隊の9割近くを喪失しその防衛戦力を大きく失い、又宣戦布告を行っていない国家への二度に渡る攻撃を行ったという汚名を残す結果に終わる事となる。

一方で行き成り訳も解らず攻撃を受けた連合艦隊もオーブ艦隊によって戦闘が停止した事に、安堵のため息を付いていた。この艦隊には理事国以外にも中立国や自陣営の同盟国の大使も乗っており、彼らを危険に晒す事無く、戦闘を終了できたのだから当然と言えば当然である。この戦闘の後、オーブ艦隊のエスコートを受けた連合艦隊は無事にオーブへと入国、各国の大使達はゲート向こうの地球連合との会談に臨む事となる。

449: ナイ神父Mk-2 :2017/03/25(土) 21:41:59
以上ですWIKIへの転載は自由です。今回は言っていたザフトの誤認攻撃で戦闘描写を少し入れました。

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最終更新:2017年03月27日 14:04