950: ナイ神父Mk-2 :2017/04/01(土) 21:46:23
大陸SEED ゲート編 その5

オーブ到着とザフトの苦悩

ザフトの襲撃と言う想定外の事態となった連合海軍であったが、それを撃退した後はオーブ国防海軍の護衛を受け無事に交渉を行う為のオーブ本土まで到着する事が出来ていた。停泊した空母より降りてくる大使達をホストとして迎え入れるべく近くまで来ていたユウナ・ロマ・セイランは近くの車より停泊している艦艇より護衛に守られながら降りてくる大使達を眺めていた。

「へえー、あれが向こうの連合艦隊かあ・・・こっちとは違って随分変わった見た目の機体だね。」

「向こうの連合から先に送られていた資料によりますとあれは東アジアのイナクトですな。スペック上はあの見た目でも音速を超える飛行速度と可変機構を持つ航空MSといわれています。」

「音速!?そりゃ強いわけだ。速度で負けてちゃ、そりゃ一方的にザフトが叩き潰されるよ・・・」

「しかし、ザフト以上の高性能機と言うのは俄かには信じられませんな、我々や此方の連合ですら量産機の性能ではディンクラスが限界なのですから。」

「いやいや解らない物だよ?向こうとこっちじゃ似ているようでまるで歴史が違うんだ。こっちの連合より強いものを作っていても可笑しくないだろ?」

向こうの連合に対して胡散臭そうな視線を向ける運転手に対してユウナは軽口で言葉を返す物の、その目の奥は笑っておらず内心では真剣に向こうの連合について考えを巡らせていた。

(本当に超音速の制空機を向こうが開発しているならちょっと不味いかな?今の家は敵を洋上で撃破する為の戦力を準備中だけど速度で負けているならザフトの二の舞だ。もう少し真剣に情報交換を・・・)

「ユウナ様?もう直ぐ到着ですが、準備は問題有りませんか?」

「え?ああ、問題ないよ。出かける前に準備はしっかりしてきたんだから。」

運転手のその声掛けにユウナがふっと我に返って返事をすると遠くに見えていた艦艇の姿も大分大きく見えてきており、再度自分の身嗜みが整っている事を確認すると停車し次第ユウナは車を降り、何時も通りの柔らかい笑みを浮かべて大陸側の大使を迎える為に歩み寄っていった。

951: ナイ神父Mk-2 :2017/04/01(土) 21:46:55
オーブの代表がそうして大陸側の連合を迎え入れているのと同じ頃、基地の海空軍戦力の大半を失ったカーペンタリア基地ではボロボロになったミネルバがドック入りして修理に追われていた。乾ドックに入れられたミネルバの周辺を修理を担当する整備兵達が忙しく駆け回っているがその表情は余り良くは無く、艦長のタリアにしても艦から降りて顔色の悪い議長と通信による報告を行っていた。

『つまり現状カーペンタリアには戦力がいないと言う事かね?』

「正確には陸戦用のザクは残されています。その代り航空MSや潜水艦隊とその搭載MSは・・・」

『何と言う事だ・・・事情は解った。しかし、急な戦力増強と成れば現在は欧州にも人手を割かれている現状では難しいな・・・』

「しかし、此の侭では体勢を立て直した連合に此方が攻撃を受けます。すでにオーブにも状況は知らされている頃です。」

『・・・遺憾ながらカーペンタリアは放棄の方向で戦力を整える必要が有るかも知れないな』

「!議長、それは・・・」

『解っている。だが、送る事のできる戦力が存在しないのだ。それに、此方の集めた情報の中に大洋州連合内部で連合に
降伏する話が無視できないレベルで高まっている。』

「それは事実ですか?」

タリアがそう呈した疑問に対し、モニターの中の議長は頷くと資料の添付されたメールが少し遅れて端末へと送られて来た。
添付された資料には大洋州連合のTOPが秘密裏に連合の高官と会談を行う様子や世論の推移等が記載されており、大洋州連合が本格的に連合へと下る算段を付けようとしている事が伺えた。

「これは・・・」

『現在の大洋州連合の情勢の動きだ。此方も支援は行っているが、ユニウス7の落下での情報操作は予想以上に大きかった様だ。恐らくこの敗北も含めて親ザフト派は・・・』

「状況は理解しました。しかし、そうなると我々は・・・」

『君達には中東方面へと一度行ってもらいたい。』

「中東にですか?」

『ああ、戦力の再編や本格的な修理の為にも一度其方に向かってくれ』

「了解しました。」

タリアはそう議長へと返すとそのままモニターの電源を切り、軍港内を一望できる窓辺から外の様子を眺めた。作戦前まであれ程あった筈の艦艇は影も形も無くなり、空と成った格納庫とドックが見えるだけであり、その光景から目を背ける様にタリアは窓辺から視線を外した。

952: ナイ神父Mk-2 :2017/04/01(土) 21:47:30
パイロットの苦悩とその頃の連合


上層部がこの敗北を踏まえて次の策を練っている一方で、この敗北に納得出来ずに荒れているのがシンであった。目の前で良い様に翻弄されて蜂の巣に成りかけた以上、当然と言えば当然である。帰還した時の彼の機体は既に四肢の殆どを喪失しており残っていたのはバックパックと頭部、右腕だけと言う有様で有ったのだから。実際に他のパイロット達もあの激戦にて対空砲に徹していた2機は円盤の様な機体のビームの余波で炸薬の有爆やオルトロスが腕ごと溶断されるなどの深刻なダメージを受けていたのである。

「くそ!、何も出来なかった!」

「シン・・・」

「あの時、もっと俺が頑張って居れば・・・!」

「お前だけのせいじゃない。あの時まるで情報の無い機体の対処を行う必要が有った以上、あれが精一杯だ。」

「だけど!」

「余り自分を責めるな。お前は未だ生きているんだ。又、次のチャンスがある。」

「レイ・・・」

レイにそう諭されて落ち着きを見せるシンであったが、それを見越して戦闘で見たMSの事についてルナマリアは話題を移す。

「それにして一体何だったのかしら、あの機体。こっちの攻撃がまるで当たらなかったんだけど。」

「解らない。しかし、オーブ軍からの通達が確かなら向こうの連合の機体の筈だ。」

「あの時シールドがまるで役に立たなかった。周りにいた機体はシールドを貫通されて落とされてたんだよ・・・」

「ちょっと、冗談でしょ!?」

「それを考えると凄まじい火力だ。・・・此れは報告をした方が良いかも知れない。又、万一向こうの連合と戦う事に成っても情報が有れば戦える筈だ。」

敵機の火力に唖然とするルナマリアに対してそう冷静に返すレイで有ったが、動揺を隠せないのか冷や汗をかいている様子が伺える。
そして、この大陸側との連合との戦闘記録は実際に撃墜された機体のデータや破損したシールドなどと共に本国へと移送される事と成るが。開発局などで解析された情報は何れもザフトの技術者と驚愕させるには十分すぎる物であり、ザフト軍へと大きな衝撃を与えている。

953: ナイ神父Mk-2 :2017/04/01(土) 21:48:03
こうしてザフトが打撃を受けている様を聞いて高笑いが止まらないのがジブリールである。彼は上機嫌に取り出した酒をグラスへと注いで味わいながらコープランド大統領へと通信を繋いでいた。

「聞きましたかな大統領、あの化け物共の無様な末路を!」

『ああ、聞いたさ。向こう側の連合の力、大した物だ。此れは侮れないぞ・・・』

「其処は良いのですよ、大統領。問題はあのカーペンタリア基地が手薄な今がチャンスであるということです。即刻攻撃の準備を!!」

『言いたい事はわかるがな、ジブリール。現在艦艇は全て災害救助に回している。残っているのは君のファントムペインの艦隊位だ。幾ら君の部隊が強いと言っても一部隊で基地攻略は難しいだろう?』

「そんな事を言っていては遅いのですよ!」

『しかしだな。後に残って居るのは潜水艦群位で水上艦艇は・・・』

「くっ。・・・そうだ。オーブが有るでは無いですか。あの国は今は我々の陣営の筈だ。そうすれば・・・」

『あの国は加わったとは言え専守防衛だ。要請をしたとしても首は振らんだろうな・・・』

「しかし、圧力を掛ければ・・・」

『今の所しっかりと同盟国としての役割は果たしている。圧力を掛けても心証を悪くするだけだ。』

「くう!!折角のチャンスをミスミスの逃すとは・・・!」

コープランドの言葉に忌々しげに唇を噛むジブリールで有ったが、この後オーブにおいて、フリーダムによる主席誘拐事件によって大きな外交的失点が発生。それの代償として戦力の提供を余儀なくされた事によってカーペンタリア攻略の目処が立つ事となりジブリールのそして、地球連合優位の状況が加速して行く事と成る。

954: ナイ神父Mk-2 :2017/04/01(土) 21:49:06
以上ですWIKIへの転載は自由です今回は大体オーブ海軍のエスコート連合艦隊がオーブ付いた辺りの各勢力の動きと
させて頂きました。

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最終更新:2017年04月02日 17:03